息子っていうのが物語が進んでいくにつれて徐々に動物化していく存在になるんですよ。
人間界に残っている父親がそれをどう受け止めていくかって話になっていくっていう。
そこってもうすごい狼子供で描かれていたものそのものだなっていう気がして、
特にその弟の方の表彰がすごい近いかなと思うんですけど、
息子はどんどん動物の方に近づいていくんで森に帰るというか動物として生きていく道っていうのを選択したいっていう風な欲求がすごく出てきて、
そこを父親、人間である父親が自分とは全く違う存在になっていく子供っていうのをどう受け止めるかっていう話になってくる。
そこの表彰がめちゃくちゃ丁寧ですごい面白かったですね。
なるほど。面白いですね。なるほどな。
動物界ちょっとあんまり注目してなかったんですよ。中身が見えてなかったんで。
そこまで興味控えてなかったんですけど、興味深いなと思ったんですけど、
狼子供の方もそうですけど、動物であるっていうことで、人間と動物の淡いをどっち側に行くかみたいなのが、
子供のアンコントローラブル性みたいなものの象徴としてあって、
親が望むものにならないというか、親が育てた通りに育たないというか、
この世界の複雑さの中でどう子供がなるかっていうのが、
親からは分からないっていうのの象徴みたいなものかなっていう。
それが生来の性質の一つとして動物になるっていうものを含んだものとして、
それが野相じゃなくて人間になるのか、あるいはもうそっちに降って動物になるのかっていう、
分かりやすい二択としての、親は子供を望む通りに育てることはできないっていうことの、
分かりやすい表彰なのかなっていう気がするんですよね。
そういう意味でいうと、次に紹介する映画も若干そのテーマ性をはらんでたりするんですけど、
次、試写でこれ拝見させていただいた映画で公開が12月に入ってからになるんですが、
どうすればよかったのかっていうドキュメンタリーなんですけど、これが凄まじくてですね、
ちょっとこれは今年忘れられない作品だなというふうにちょっと思っています。
どうすればよかったかですかね。
お話しとしては、これはもう家族の中の一人である男性が監督なんですけど、その方の姉が統合失調症があるとき発症すると。
ただ、両親が医学系の研究、基礎研究をやられてた方で、姉のその統合失調症を認めないんですよ。
で、ある種座敷牢的にというか、どんどんどんどん彼女を家の中で閉じ込めてしまって、
実に25年間適切な治療を受けさせないっていうような状態の家族を撮り続けるというドキュメンタリーなんですけど、
いやーこれはなんていうか、うまく一言で言うことができない複雑さみたいなものをものすごくカメラの向こう側から感じて、
なんかドキュメンタリーの強さみたいなのもすごい感じましたし、
先ほどの動物界と関連して話すと、要は父親あるいは母親が持つ統合失調症を発症しまったお姉さんに寄せてた期待みたいなものが、
本当に裏返ってる感じがするんですよね、ずっと。
その愛と呪いっていうのが本当にその姉に向けて注がれてる感じがする。
ずっと研究をされてた方で、おそらくものすごく優秀なご両親だと思うんですけど、
なのでお姉さんも実際医学部に行かれて、その途中で統合失調症発症してしまうっていう過程の中で、
どうしても姉にもう一度その医学部ないしは研究者への道を歩んでほしいっていう願いみたいなものが所々に見えてきて、
それがすごいエグいんですよ、見てると。
たぶんすごく純粋な愛でもあるんですよね、それって。
そこが混じり気なしで映っていて、いやーきついなと思いながら、でもこれ真実だよなっていう、紛れもない家族のエグさみたいなもの。
あるいはその中にあるとはいえっていうところで、そこを要は弟さんはカメラという第三者を吹くことで、
総合遺存的になってしまっているお姉さんとご両親との関係の間に第三者的な視点を置こうと常にし続けてるっていうところなんですよね。
その試みを含めてすごいものを見ているし、まさにどうすればよかったかっていうのは、
監督自身の自分に対する自責の念というか問いかけみたいな気持ちもあれば、僕らを傍観者にはさせないっていう気持ちもすごく感じてしまって、
そういう意味でちょっと忘れがたい作品になったなと思ってます。
これ監督自分で20年撮ってたってことですよね。
そうです。2001年から本当に2022年までの映像を確かつなげてらっしゃったと思うので、ものすごいファミリーヒストリーがそこに映されてるっていう。
すごいなっていうのがあるんですけど、題材的には病気になった家族とどう向き合うかっていうのって、
例えばこれは劇映画で描いたときに、正しい正しくないっていう二元論に落とし込むことは容易いと思うんです。
あるいは正しい正しくないの数直線上の目盛りのどの位置なのかみたいなことを、
グレーを通ってくださいみたいな作品として描くこともできると思うんですけど、
ドキュメンタリーかつ監督が当事者であるっていうことで、