みなさんは、初めて「ひとりでおとまり」した日のことを覚えていますか?

平成24年に福音館書店から刊行された「ひとりでおとまり」(まるやまあやこ作)は、子供の視点からそのうれしさと不安、寂しさや緊張とともに、それを乗り越えた成長や自信が描かれています。

まりは初めて友達のあやのちゃんの家に泊まりに行きます。お母さんは夜に家に帰りたくならないか心配しますが、まりは「へいきだよ」と答えます。遊んだり、あやのちゃんの家族と夕飯を食べたり、2人だけでお風呂に入ったりもしました。子供部屋に並んで敷かれた布団で眠りますが、ふと目が覚めると、いつもと違う匂いがして、いつもと違う天井が見えます。まりはどうやっても眠れなくなってしまいました。


【語り】相川由里


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毎週1冊ずつ、国内外の気になる絵本を紹介していきます。選者は、国立音楽大教授・同付属幼稚園長の林浩子氏。書店には余り並んでいない作品も多く取り上げます。定番の絵本に飽きたらなくなったら、ぜひ参考にしてください。

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絵本と歩む
乗り越えた成長や自信を描く。
皆さんは初めて一人でお泊りした日のことを覚えていますか?
2019年に福音館書店から刊行された
一人でお泊り 丸山彩子作は
子供の視点からその嬉しさと不安
寂しさや緊張とともに
それを乗り越えた成長や自信が描かれています。
マリは初めて友達のアヤちゃんの家に泊まりに行きます。
お母さんは夜に家に帰りたくならないか心配しますが
マリは平気だよと答えます。
遊んだり、アヤちゃんの家族と夕飯を食べたり
二人だけでお風呂に入ったりもしました。
子供部屋に並んで敷かれた布団で眠りますが
ふと目が覚めるといつもと違う匂いがして
いつもと違う天井が見えます。
マリはどうやっても眠れなくなってしまいました。
おばちゃんと声をかけると
アヤのお母さんが眠るまでそばにいてくれました。
次の日の朝、マリは迎えに来たお母さんと家に帰り
いつもと同じ匂いを胸いっぱい吸い込みます。
それからこう言います。
私ね、一人でお泊まりできたんだよ。
子供にとって、よその家で夜を過ごすことは特別で
非日常の世界がそこにあります。
同じ日常の営みでも、自分の家とは違う場や空間
時の流れや関係性を子供なりに肌で感じ、知るのです。
絵のタッチや色彩から場の音や空気が伝わってくるとともに
子供の心情とその変化を感じ取れます。
子供にとって今いる安心の世界から一歩出ることは
不安や寂しさを伴いますが、安心の世界と行き来戻りつの中で
子供は自分の世界を少しずつ広げていきます。
コロナ禍でお泊まり保育や友達や祖父母宅への
お泊まりが難しい今だからこそ
一人でお泊まりすることの意味を改めて考えさせられる一冊です。
ナビゲーターは相川優里がお届けしました。
03:00
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絵本と歩む。
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