脳の学びのレゴ
みなさん、こんにちは。教育カフェテラス、信仰の水野太一です。
今日のテーマは、脳が持つ学びのレゴの秘密。
情報源はアメリカのサイエンスデイリーで、2025年11月26日に掲載された記事です。
プリンストン大学の研究者たちが、人間の脳の学習の柔軟性について新しい発見をしたという話題なんです。
こんにちは、高橋さやかです。
学びのレゴって言葉、ちょっと可愛らしい響きですね。
でも、なんだか難しそうなテーマでもあります。
どんな研究なんですか?
実は、脳がどのようにして新しいことを学ぶとき、過去の経験やスキルを再利用しているかを調べたものなんです。
研究チームによると、脳は認知のブロックを組み合わせて学習していて、その仕組みをレゴに例えています。
へえ、レゴみたいに組み立てて学ぶんですね。
それって、例えばどんなときに活かされるんですか?
例えば、料理を覚えるとき、すでにパンを焼ける人なら、ケーキを焼くときにオーブンを使う、材料を測る、といったスキルを再利用しますよね。
脳も同じように既存の思考の部品を組み合わせることで、全く新しい課題に対応しているんです。
なるほど。AIはよく画像認識とかで人間よりすごい結果を出せるけど、この柔軟さはまだ得意じゃないってことですか?
そうなんです。AIは一つのタスクに特化すれば人間以上の成果を出せますが、別の課題に切り替えるとなると、前の知識を忘れてしまうんです。記事ではそれを破滅的干渉と呼んでいましたね。
破滅的ってすごい言葉ですね。つまり一度習ったことをAIが忘れちゃう感じ?
そうです。例えばAIがケーキを作れるようになっても、新しくクッキーを学ぶとケーキのレシピを忘れてしまうようなものです。でも人間の脳は両方の経験をうまく整理して共通する要素を再利用できるんですね。
それってすごく効率的ですね。脳の中ではどの部分がそれをやってるんですか?
研究では前頭前夜という脳の前の部分が重要な役割を果たしていました。この部分は人間の考える力や判断力に深く関係していて、必要なブロックを組み合わせたり、必要ないときは一時的に止めたりしているそうです。
必要ないときは止める?その調節ってすごく人間らしいですね。集中するときに他のことを考えない、みたいな。
まさにその通りです。研究者たちは脳は必要な能力を圧縮して集中すると表現していました。これがあるから私たちは混乱せずに一つの目標に集中できるわけです。
この仕組みがあるから人は新しい環境でもすぐ慣れられるんですね。例えば教育実習で新しいクラスに入ってもこれまでの授業の経験を組み合わせて対応できる、みたいな。
いい例ですね。教育現場でも、この再利用の仕組みはすごく重要です。生徒が複数の教科で共通する考え方を真似れば、新しい学びにも自然とつながっていきます。
それを聞くと、教科横断的な学びっていうのもこの考えに近い気がします。理科と数学を組み合わせたり、国語の読解が社会で役立ったりとか。
まさにそうです。今の学習指導要領でも、教科を超えた学びを強調していますよね。脳の仕組みそのものが、それを支えているのかもしれません。
AIとの比較
プリンストン大学のこの研究、AIの開発にも役立つって書いてましたね。どういう意味なんでしょうか?
AIがこの再利用できる思考ブロックのような構造を取り入れれば、人間のように段階的に学んで成長するAIが作れる可能性があるんです。
AIが忘れずに進化できるようになるかもしれません。
それが実現したら、AIに人間らしい柔軟さが生まれそうですね。でも逆に、人の学びにもAIの工夫が役立ちそう。
そうですね。AIの学習構造を教育に応用すれば、学び方を学ぶ教育、つまりメタ認知を育てるヒントになるかもしれません。
メタ認知、大事ですよね。自分がどう学んでいるかを意識すると、勉強の効率も上がりそうです。
あともう一つ興味深いのは、この研究が医療にも関係している点です。
脳の柔軟な再利用の仕組みがうまく働かないと、例えば統合失調症や脅迫性障害のように、適応が難しくなることもあるそうです。
そうなんですね。脳のブロックを切り替えにくくなっちゃう感じなんだ。そう考えると、心の健康とも深くつながってますね。
はい。最終的には、この研究がリハビリや治療方法の改善にもつながる可能性があると述べられていました。
人の柔軟に切り替える力を科学的に回復させる、そんな未来が見えてきます。
今日のお話を聞いて思ったんですけど、結局、人の学びってめちゃくちゃクリエイティブなんですね。
同じパーツを組み合わせて新しいことを生み出すってまさにアートみたい。
本当にその通りです。人間の脳は常に作り直し、組み直しをしながら進化しているんだと思います。
今日のテーマ、とても面白かったです。学びのレゴって考えると、勉強も少しワクワクしますね。
そうですね。教育もこの原理を理解すれば、もっと創造的な授業作りができるかもしれません。
ぜひリスナーの皆さんも、自分の学びのレゴを意識してみてください。
ここまで聞いてくださった皆さん、ありがとうございました。
次回も楽しく学べるテーマをお届けしますので、どうぞお楽しみに。