はじめに:科学系ポッドキャストの日と人工ダイヤモンド
こんにちは、つねぞうです。
デザイン・レビュー第134回目。
このデザイン・レビュー.fmは、
世の中の様々なもの、主に工業製品について、
私の主観で勝手にデザインレビューをしていこうという番組です。
今回は、科学系ポッドキャストの日の企画に参加します。
この科学系ポッドキャストの日とは、
科学系に限らず、
ポッドキャスターたちが共通のテーマでお話ししましょうという
企画になっておりまして、
今回、3月のテーマは人工ということで、
人工知能、人工受精、人工心臓、人工歯歯などなど、
あなたが好きな人工○○を語りましょうということで、
ホストは、ものづくりのラジオの支部長さんです。
今回は、この科学系ポッドキャストの日に合わせまして、
人工というテーマでお話ししていきます。
私はですね、人工ダイヤモンドについてお話ししようかなと思います。
突然ですけれども、皆さんダイヤモンドって買ったことあるでしょうか?
指輪とかね、ネックレスとか。
私はどうかな?
結婚指輪にはあまりついてないですもんね、ダイヤモンドってね。
婚約指輪にはついているイメージはあるんですけど、
私、婚約指輪は買わなかったので、
妻に送ってないかな、ダイヤモンド。
小さいダイヤモンドが結婚指輪についてたかなっていうくらいですかね。
ダイヤモンドって聞くと、どういうイメージでしょうかね。
ほとんどの人は宝石をイメージすると思うんですけども、
キラキラキラキラ、綺麗で、そして値段も高くてっていうイメージ。
大切な人への贈り物みたいなね、さっき言ったようなね。
でも実はですね、世界で採掘製造されるダイヤモンドの量で言うと、
宝石用よりも工業用の方が多いんですね。
圧倒的に多いそうです。
そして、発掘される以外にも工業用ダイヤモンドっていうのは、
今やもう人工的に作られた人工ダイヤモンドだそうです。
今日はその人工のダイヤモンド、工業用の人工ダイヤモンドについて
ちょっとお話ししていこうかなと思います。
最後はですね、人工で作れるようになったのに、
なんで天然の宝石、天然のダイヤモンドはまだ高いんだろうという話もしたいと思うので、
ぜひ最後まで聞いてみてください。
ダイヤモンドが工具に使われる理由と弱点
まず、なぜダイヤモンドが工具に使われるかというとですね、
シンプルに硬いからですね、カチカチなんですね。
鉱物、こういったその宝石の硬さを表す指標にモースコードというものがありまして、
ダイヤモンドはその最高値の10らしいです。
次に硬いコランダム、ルビーとかですね、サファイアの成分が9なので、
ぶっちぎり高いと、ダイヤモンドがぶっちぎり高いということですね。
で、硬さだけではなくて、熱伝導率、熱を伝える能力も優秀なんですね。
金属の中でもかなりその高い部類である銅と比べても、
ダイヤモンドはさらにその5倍ぐらい熱を伝えやすい。
切削加工というのは、金属を削る加工というのはその摩擦で熱が出ますので、
その熱を素早く逃がせるというのはすごい大事な戦術なんですね。
さらにその摩擦係数、表面のツルツル具合もね、
ダイヤモンド、宝石ってこうツルツルしてますので、
その摩擦係数も低くて表面が滑りやすいということで、
だからその加工した面が綺麗に仕上がるそうです。
ここまで聞くと完璧じゃないかとなるんですけども、
弱点もあります。
その一つは脆いことですね。
硬いイコール強いってわけではなくて、
ダイヤモンドっていうのは衝撃に対して意外と割れやすいそうです。
宝石のダイヤモンドもハンマーで叩けば割れます。
弱点の2つ目としては鉄系の材料が削れないということですね。
これは後でもう少し詳しく説明するんですけれども、
科学的な理由がありまして、
鉄だったりステンレスっていう炭素を含むような材料の加工には
ダイヤモンド工具というのは使えないんですね。
最強のその完璧と思われた材料にも
戦えない相手がいるというところがまた面白いところですね。
天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドの製造法
天然と人工のダイヤモンドの違いというのをちょっと話していこうと思うんですけども、
天然の工業用ダイヤモンドというのもあって、
それの問題があります。
昔から工業用には宝石に使えないようなものですね。
ボルト石とかバラスって呼ばれているそうなんですけども、
その宝石にできないような品質のダイヤモンドっていうのを
工業用に使っていたと。
ただこれらのその宝石にできないものっていうのは品質がやっぱりバラバラなんですね。
産地だったり個体によってその硬さの違いだったり、
その中身にですね、不純物が入っていたりということで、
その工具として使おうとするとその安定した性能が出しにくいという問題がありました。
そこで登場したのが人工ダイヤモンドですね。
ただその人工ダイヤモンドどうやって作っているのと疑問に思うと思うんですけども、
製法としては主に2種類あります。
一つが高温高圧法、英語でHPHTと呼ばれる方法ですね。
これはシンプルに地球の地下でダイヤモンドができる環境っていうのを、
圧力をかける機械で再現しちゃおうというアプローチです。
地下深くで温度が1400度以上、
圧力は5から6万気圧にもなるところでダイヤモンドができますので、
それを巨大な油圧のプレスで再現して、
炭素をギューッと押し固めることでダイヤモンドができるということですね。
これは1950年代にGEというメーカーが初めて成功させた手法で、
工業用ダイヤの製造として長い歴史があります。
2つ目の製法としてCVD法というのがあります。
化学起層堆積法というやつですね。
これは簡単にざっくり話すと、
ガスからダイヤモンドを生やすようなイメージの方法だそうです。
チャンバーという入れ物の中にメタンガスと水素ガスを入れて、
これをマイクロ波などで分解すると炭素の原子が出てきます。
それが板の上にダイヤモンドの結晶として積み重なっていくと。
炭素の原子を作ってあげて、それを結晶化させていくということですね。
1つ目のHPHT法と比べると、低温低圧で作る作業ができますので、
薄い膜状のダイヤモンドだったり、大きな面積のものを作るのに向いていると言うそうで、
こちらの方法の方が工具、材料を削るための工具のコーティングとして使われる技術ということですね。
人工ダイヤモンドの利点と工具としての活用
人工のダイヤモンド、先ほど言ったように天然のダイヤモンドから宝石にならないものを工業用として使うと品質のばらつきがあるということだったんですけども、
人工ダイヤモンドというのは品質が安定しているんですね。
製造方法をコントロールしてあげることで、不純物も入っていなくて、結晶の方向とかも揃っている。
工具として使うにはむしろ天然よりも人工の方が都合がいいと。
ものづくりの世界で言うと、品質は工程で作り込むという考えそのものですね。
実際の工具での使われ方なんですけども、PCD工具と呼んでますね。
人工ダイヤモンドが工具に使われる代表的な形というのがPCD工具です。
PCDというのは多結晶ダイヤモンドという英語の略ですね。
細かい人工ダイヤモンドの粒子を焼結して、調光合金の台座に貼り付けたものがPCD工具です。
単結晶のダイヤモンドよりも人性が高くて、工業用の工具のチップとして使いやすい形にできます。
旋盤だったりフライス盤。旋盤というのは材料を回して固定した工具で削る。
逆にフライス盤というのは材料が固定されていて回転する工具で削る。そういった工作機械なんですけども、
それらの旋盤だったりフライス盤の刃先に使われていると。
見た目はシルバーっぽいチップなんですけど、シルバーっぽい色をしているんですけども、
よく見てみると表面がダイヤモンドがいるのでキラキラキラキレイなんですね。
このPCD工具活躍するのはアルミニウムだったり銅だったりCFRP、あとはセラミックですね。
アルミは自動車のエンジンだったりスマホのボディに使われている材料なんですけども、
アルミを使う場合はとても加工量が多いんですね。
ダイヤモンドの刃はアルミとの摩擦が小さいので、加工した面がキレイに仕上がるし工具の寿命も長いです。
またCFRPは炭素繊維が中に入っていて非常に硬いですから、普通の超硬工具だとすぐ麻毛してしまうんですね。
ここでPCDの硬さが活きてくると。
セラミックも硬い材料ですので、このダイヤモンドの硬いという性質が非常に有効に効いてくると。
さっきも少し触れたんですけども、このダイヤモンド工具では鉄だったりステンレスを削れません。
これは科学的な理由があって面白いんですよね。
ダイヤモンドというのはやっぱり炭素でできていますから、鉄を加工した時に高温になると炭素が自分の体の中に溶かし込んでしまう性質があるんですね。
加工している間はワークと工具が触れる刃先のところは摩擦で数百度にも温度が上がりますので、ダイヤモンドの炭素が鉄の中にどんどん溶けていってしまう。
つまり、削っているつもりが工具の刃先が溶けてなくなっていくという現象が起きてしまいます。
なのでその鉄系にはダイヤモンドは使えないということですね。
一見最強にも思われるダイヤモンド工具、PCD工具なんですけども相性があって、石器でもよくある話なんですけども、
どんな優れた材料も素材も使う場面を選びますよというところで鉄系には使えませんよという話でした。
ダイヤモンドを使った工具にはもう一つありまして、ダイヤモンドコーティング工具というものがあります。
調工の工具と表面にCVD法でダイヤモンドの薄い膜を貼ったものでPCD工具よりも安価で複雑な形状にも対応できると。
ただその薄い膜なのでその膜が薄い分寿命はPCDよりも劣ってますよと。
ここはコストだったり工具の形状の自由度、寿命のトレードオフで使い分けられているという感じですね。
人工ダイヤモンドと天然ダイヤモンドの価値の違い
最後にですね、最初ちょっと予告したように、なぜその人工で作れるようになったのに、天然のダイヤモンドにはまだ価値があるのかというところで、
人工のダイヤモンドというのは価格的にはですね、天然のダイヤモンドと全く同じ炭素の結晶です。
物性もほぼ同じだし、硬さも輝きも熱伝導率もその専用の機器で分析しなければ見た目では区別ができないそうです。
それでもですね、宝石の市場ではですね、天然ダイヤモンドというのは人工ダイヤモンドの何倍でもですね、
ちょっとさっき見たニュースでは7倍ぐらい値段の差があるそうです。天然ダイヤモンドの方が人工ダイヤモンドよりも7倍ぐらい高いと。
場合によってはですね、何十倍もの値段の差がつくそうです。
設計者的な目線で言うと、スペックが同じなのになんでそんな値段が違うんだと、ちょっと不思議に思うんですけども、
その天然ダイヤモンドの価値っていうのは、その大部分はね、希少性から来てるんですね。珍しさ。
ただこの希少性っていうのもその天然の自然が作ったっていうよりも人間が作り出したものではあるんですけども、
このダイヤモンド業界を長年支配してきたデビアスという会社がありまして、ここはですね、市場に出回る天然ダイヤモンドの量をコントロールして、
この希少性っていうのを維持してきた歴史があります。
ダイヤモンドは永遠にというキャッチコピーがあるようにですね、
婚約指輪にダイヤモンドを送るという文化自体が、マーケティングによって作られたという慣習があるという側面があります。
つまりその希少性天然ダイヤモンドの価値と思われている希少性っていうのは、地球が作ったものではなくて、人間がブランディングしたものであるということですね。
もう一つ、最近のその天然ダイヤモンドっていうのは産地証明、トレーサビリティが価値になっています。
どこの鉱山で採れたか、どんなルートで流通したか、その紛争地帯ですね、戦争が行われているような紛争地帯で採掘された地のダイヤモンドではないという証明ですね。
これもそのものづくりで似たような話があって、材料のトレーサビリティ、部品のトレーサビリティ、その部品、製品がどういう経路をたどって作られてきたか、どういう材料を使って、どういう加工機を使って、どういう検査をして、どういう流通経路でお客様のところまで届いたかと。
それがロット番号でちゃんと追えるかというところで、これは同じですよね。
天然ダイヤモンドがどこの鉱山で採れて、どこのダイヤモンドを磨く人が磨いて、というトレーサビリティが取れているというところも一つの価値になっているそうです。
最後にですね、ちょっとお話を整理してみると、工業用ダイヤモンドっていうのは品質が均一であることが非常に重要です。
なので人工のダイヤモンドが非常に使われているということです。
天然のダイヤモンドっていうのは、天然であること、気象であること、トレーサビリティが取れていることということが価値になると。
だからその人工のダイヤモンドがいくら作れても、品質、見た目が全く同じだとしても、天然のダイヤモンドの方が価値が高いということですね。
同じ炭素の結晶なのに使われるところで価値の定義が違うと。
価値って何だろうっていうのをダイヤモンドを通じて考えると面白いですよね。
ということで今日はですね、人工ダイヤモンドと工具の話から宝石の話みたいなものをしてみました。
スペックで上回っても価値は別の話ということで、人工が天然を超えられる部分と超えられない部分があるということですね。
これって設計の世界でも同じで、性能だけじゃなくてブランドだったり品質の信頼というものが数字にならない要素が意思決定に絡んでくるよというところを思ったりしました。
最近とあるメーカーの信頼が揺らぐようなことがありましたけれども、
メーカーの信頼が揺らいでしまうとそのメーカーが作っている製品への信頼も揺らいでしまうというところで、
明日は我が身と思って気をつけなきゃいけないなと思っております。
まとめと考察
ということで今回は科学系ポッドキャストの日のテーマ人工ということで人工ダイヤモンドの話をしてみました。
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そしてこのポッドキャストがいいなと思ったら各ポッドキャストアプリでのフォローそして欲しいつつ高評価つけていただけると今後の励みになりますのでぜひぜひお願いいたします。
ではお疲れ様でした。
ご安全に。