1. 岡大徳のポッドキャスト
  2. 【中医協第650回】新薬4成分の..
【中医協第650回】新薬4成分の薬価とマンジャロ25%引き下げを解説
2026-10-02 06:08

【中医協第650回】新薬4成分の薬価とマンジャロ25%引き下げを解説

spotify apple_podcasts youtube

2026年(令和8年)5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、「医薬品の新規薬価収載等について」が議題になりました。この議題では、新薬の薬価だけでなく、処方日数の例外、既存薬の薬価引き下げ、算定ルールの基礎資料も同時に示されています。本号では、医療機関や薬局の実務に関わるポイントを、算定表の読み方とあわせて整理します。

今回の議題の要点は、「新薬4成分の収載」「1成分の処方日数制限の撤廃」「既収載2成分の薬価引き下げ」の3つです。新薬4成分11品目は5月20日に薬価収載される予定で、4成分すべてが革新的新薬薬価維持制度の対象とされました。新薬のうちドジョルビ内用液は、収載後1年間の「14日ルール」の例外として、処方日数の制限を設けない案が示されました。既収載品のアムヴトラ皮下注とマンジャロ皮下注は、販売額の急拡大を理由に、8月1日から薬価を引き下げることとされました。あわせて、類似薬選定の薬剤分類(改訂第16版)、革新的新薬薬価維持制度の平均的な維持率、新薬算定の係数も示されました。

1. 新薬4成分11品目の薬価:希少疾病用3成分と造影剤1成分

5月20日に収載予定の新薬は、内用薬3成分7品目と注射薬1成分4品目です。4成分のうち3成分は希少疾病用医薬品で、残る1成分はMRI用の造影剤です。算定方式は、原価計算方式が2成分、類似薬効比較方式(Ⅰ)が2成分に分かれました。

ソホノスカプセル(パロバロテン)

* 対象疾患:進行性骨化性線維異形成症

* 算定方式:原価計算方式

* 主な加算:有用性加算(Ⅱ)10%、市場性加算(Ⅰ)10%、加算係数0

* 算定薬価:1mg 46,062.10円/1.5mg 57,114.90円/2.5mg 95,190.70円/5mg 190,381.30円/10mg 355,689.50円

* ピーク時予測:投与患者12人、販売額6.3億円

ドジョルビ内用液100%(トリヘプタノイン)

* 対象疾患:長鎖脂肪酸代謝異常症

* 算定方式:原価計算方式

* 主な加算:有用性加算(Ⅱ)5%、市場性加算(Ⅰ)15%、加算係数0

* 算定薬価:500mL1瓶 734,770.00円

* ピーク時予測:投与患者276人、販売額36億円

インレビックカプセル100mg(フェドラチニブ塩酸塩水和物)

* 対象疾患:骨髄線維症

* 算定方式:類似薬効比較方式(Ⅰ)

* 主な加算:市場性加算(Ⅰ)5%

* 算定薬価:100mg1カプセル 11,137.40円(1日薬価44,549.60円)

* ピーク時予測:投与患者197人、販売額32億円

アムベルビスト静注(ガドクアトラン水和物)

* 対象疾患・用途:MRI造影(脳・脊髄、躯幹部・四肢)

* 算定方式:類似薬効比較方式(Ⅰ)

* 主な加算:有用性加算(Ⅱ)5%、小児加算15%

* 算定薬価:2mL 2,261円/5mL 4,930円/7.5mL 7,098円/10mL 9,193円

* ピーク時予測:投与患者69.3万人、販売額46億円

算定方式の違いを押さえると、上記の数字が読みやすくなります。原価計算方式は、比較できる既存薬(類似薬)がない場合に、製品総原価に営業利益・流通経費・消費税を積み上げて薬価を決める方式です。類似薬効比較方式(Ⅰ)は、効能や薬理作用が最も近い既存薬(最類似薬)の1日薬価にそろえて薬価を決める方式です。

ソホノスカプセル:国内初の進行性骨化性線維異形成症治療薬

ソホノスカプセルは、筋肉や腱などが徐々に骨に置き換わる希少疾患「進行性骨化性線維異形成症」の治療薬です。同様の効能・効果、薬理作用、化学構造を持つ既存薬がないため、薬価は原価計算方式で算定されました。算定では、有用性加算(Ⅱ)10%と市場性加算(Ⅰ)10%が認められています。ただし加算係数が0のため、加算前と加算後の薬価は同じ金額です。加算係数とは、原価計算方式で加算率に掛ける係数で、一般に製品総原価の開示度に応じて設定されます。係数が0の場合、加算は実際の薬価に反映されません。なお、資料には係数が0となった具体的な理由は記載されていません。ピーク時の予測は、投与患者12人、販売額6.3億円です。

ドジョルビ内用液:長鎖脂肪酸代謝異常症で初めて承認された薬

ドジョルビ内用液は、脂肪からエネルギーを作る過程に障害がある遺伝性疾患「長鎖脂肪酸代謝異常症」の治療薬です。この疾患に適応を持つ既存薬がないため、薬価は原価計算方式で算定されました。算定では、有用性加算(Ⅱ)5%と市場性加算(Ⅰ)15%が認められています。市場性加算(Ⅰ)が15%とされた理由は、患者数の少ない疾患であることと、ドラッグ・ロス(海外で承認された薬が国内で開発されない状態)に該当するとされていた品目の開発であることです。なお、この加算率は、臨床試験に日本人患者が組み入れられていない点も踏まえたうえで判断されています。ただしソホノスと同じく加算係数が0のため、薬価は加算前と同じ734,770.00円です。ピーク時の予測は、投与患者276人、販売額36億円です。

インレビックカプセル:既存のJAK阻害薬オムジャラと1日薬価をそろえた骨髄線維症治療薬

インレビックカプセルは、血液がんの一種である骨髄線維症に使うJAK阻害薬です。同じ骨髄線維症に使うオムジャラ錠(1日薬価42,428.00円)が最類似薬に選ばれ、薬価は類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定されました。1日4カプセルを服用するため、加算前の1カプセルの薬価は10,607.00円です。この金額に市場性加算(Ⅰ)5%が上乗せされ、算定薬価は11,137.40円(1日薬価44,549.60円)になりました。市場性加算(Ⅰ)の加算率は通常10〜20%ですが、本剤は優先審査の対象ではなかったことから、5%が妥当と判断されました。なお、本剤の承認は2025年6月ですが、品目の承継と供給体制の構築に時間を要したため、今回の収載希望となりました。

アムベルビスト静注:世界で初めて日本で承認されたMRI造影剤

アムベルビスト静注は、MRI検査で脳・脊髄や体幹・四肢を造影するガドリニウム(Gd)造影剤です。同じ効能を持つガドビスト静注が最類似薬に選ばれ、薬価は類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定されました。算定では、有用性加算(Ⅱ)5%と小児加算15%が認められています。有用性加算(Ⅱ)は、国内外のガイドラインで腎機能障害の患者や小児を含む患者に推奨される「低Gd用量」の造影剤である点を評価したものです。小児加算は、小児の用法・用量が明示されていることから認められました。加算率が15%とされた理由は、臨床試験での日本人の組入れ数、日本が世界に先駆けて承認したこと、成人と小児の同時開発がなされたことなどです。ピーク時の予測は、投与患者69.3万人、販売額46億円で、今回の新薬で最大の市場規模です。

4成分共通:全成分が革新的新薬薬価維持制度の対象

今回の新薬4成分は、すべて革新的新薬薬価維持制度の対象とされました。革新的新薬薬価維持制度とは、要件を満たす新薬について、薬価改定時に一定期間、薬価を維持する仕組みです。ソホノス、ドジョルビ、インレビックの3成分は、希少疾病用医薬品の指定を理由に対象となりました。アムベルビストは、有用性加算などの加算が適用されたことを理由に対象となりました。

2. ドジョルビ内用液の14日ルール例外:処方日数の制限を設けない案

ドジョルビ内用液には、新薬に課される「14日ルール」の例外を適用し、処方日数の制限を設けない案が示されました。14日ルールとは、新薬は薬価収載の翌月から1年間、原則として1回14日分までしか処方できないという決まりです。このルールには、2010年(平成22年)の中医協了承に基づく2種類の例外があり、例外とする新薬は個別に中医協の確認を得ます。ドジョルビに関係する例外の条件は、「疾患や製剤の特性から14日を超える投薬に合理性があること」と「投与初期から14日を超える投薬の安全性が確認されていること」の2つです。ドジョルビは、疾患の特性、製剤の特性、安全性の3点から、この条件を満たすとされました。この例外では通常、処方日数を「製剤の用法・用量から得られる最少日数に応じた日数」とします。これに対しドジョルビでは、処方日数の制限そのものを設けない案が示されました。

疾患の特性:通院そのものが症状悪化のリスクになる

長鎖脂肪酸代謝異常症では、通院自体がストレスになり、症状を引き起こす可能性があります。この疾患は、空腹時や運動時に横紋筋融解症、低血糖、心筋症などを起こす遺伝性疾患で、新生児マススクリーニングの対象です。遺伝性疾患であるため、本剤は食事療法と併せて14日を超えて使い続けることが前提になります。国内の想定患者数は500〜1,000人程度で、承認された治療薬は本剤のみです。

製剤の特性:500mL瓶1本で子どもの14日分を超える

ドジョルビの製剤は500mL瓶1規格のみで、瓶のまま交付することが添付文書で定められています。瓶のまま交付する理由は、ポリスチレンやポリ塩化ビニルなど、本剤と相性の悪い容器があるためです。一方、処方の約50%を占めると見込まれる乳児〜小児の14日分は、500mLに届きません。たとえば14日分の処方量は、1歳未満で172.3〜219.3mL、1〜2歳で298mL、3〜5歳で407mL、6〜7歳で486mLです。この試算は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)未使用で身体活動レベルがふつうの男児が、1日の摂取カロリーの25%を本剤で摂る場合の値です。つまりこれらの子どもでは、1瓶を交付した時点で14日分を超える量を渡すことになります。

安全性:14日を超える投薬の臨床試験データがある

14日を超える投薬の安全性は、海外の臨床試験で確認されています。海外第Ⅱ相試験では14日を超える投薬が行われ、安全性は許容可能とされました。また、日本人も参加する国際共同第Ⅲ相試験でも、被験者への交付は瓶単位で行われています。

3. 既収載品の薬価引き下げ:アムヴトラ約15%、マンジャロ25%

既に収載されている2成分7品目について、販売額の急拡大を理由に薬価を引き下げることとされました。効能変更等が承認された品目などで一定規模以上の市場拡大があった場合、薬価は薬価改定の際に限らず、年4回見直されます。今回は、NDBデータ(レセプト情報のデータベース)の12月診療分に基づいて検討され、新薬収載の機会を活用して薬価を見直すこととされました。引き下げ後の薬価は、医療機関や薬局の在庫への影響を考慮し、2026年8月1日から適用されます。

アムヴトラ皮下注25mgシリンジ(ブトリシランナトリウム)

* 見直しの仕組み:市場拡大再算定

* 薬価:8,006,196円 → 6,834,558円(約14.6%引き下げ)

マンジャロ皮下注アテオス(チルゼパチド)

* 見直しの仕組み:持続可能性特例価格調整

* 薬価(全規格25%引き下げ):

* 2.5mg:1,924円 → 1,443円

* 5mg:3,848円 → 2,886円

* 7.5mg:5,772円 → 4,329円

* 10mg:7,696円 → 5,772円

* 12.5mg:9,620円 → 7,215円

* 15mg:11,544円 → 8,658円

アムヴトラ皮下注:効能追加後の販売拡大で市場拡大再算定

アムヴトラ皮下注は、効能追加をきっかけに販売額が大きく伸びたため、市場拡大再算定の対象になりました。アムヴトラは、2025年6月にトランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型・変異型)の効能が追加された薬です。アムヴトラは、効能追加の承認から10年を経過しておらず、年間販売額が350億円を超え、かつ基準年間販売額の2倍以上という要件に該当しました。その結果、薬価は8,006,196円から6,834,558円に、約14.6%引き下げられます。

マンジャロ皮下注:大型品向けの持続可能性特例価格調整を適用

マンジャロ皮下注は、販売額が1,000億円規模に達したため、持続可能性特例価格調整の対象になりました。持続可能性特例価格調整とは、年間販売額が極めて大きい品目の薬価を、市場拡大再算定とは別枠で引き下げる仕組みです。マンジャロは、薬価収載(2023年3月)から10年を経過していません。そのうえで「令和8年度薬価制度改革の骨子」を踏まえて検討した結果、年間販売額が1,000億円超1,500億円以下で、基準年間販売額の1.5倍以上という要件に該当しました。その結果、全6規格の薬価が一律25%引き下げられ、たとえば2.5mgは1,924円から1,443円になります。

適用上の注意:2026年度改定後の薬価より高ければ適用しない

今回の再算定薬価には、適用されない場合があるという注意書きが付いています。今回の検討はNDBデータの12月診療分に基づくため、2026年度薬価改定後の薬価と比べて逆転が起こる可能性があります。そこで、今回の再算定薬価が2026年度改定後の薬価より高い場合は、今回の再算定薬価を適用しないこととされました。

4. 薬価算定の基礎資料:薬剤分類・維持率・算定係数

今回の議題では、新薬の薬価算定を支える3つの基礎資料も示されました。3つの資料とは、類似薬選定のための薬剤分類、革新的新薬薬価維持制度の平均的な維持率、原価計算方式で使う係数です。いずれも、今後の新薬の薬価を読み解くうえでの物差しになります。

類似薬選定のための薬剤分類:改訂第16版で59成分を追加

類似薬選定のための薬剤分類は、改訂第16版として59成分が追加されました。この分類は、類似薬効比較方式で「どの既存薬を比較薬にするか」を判断するための基礎資料です。今回の追加分は、2025年5月から2026年4月までに収載された成分で、分類別では腫瘍用薬が最も多くを占めます。

革新的新薬薬価維持制度の平均的な維持率:2026年度は0.6%

革新的新薬薬価維持制度の平均的な維持率は、2026年度(令和8年度)は0.6%と示されました。この維持率は、類似薬効比較方式(Ⅱ)などで、比較薬の薬価から維持制度の累積額相当分を差し引く際の係数として使われます。維持率は2010年度の4.0%から低下傾向にあり、2025年度は0%でした。

新薬算定の係数:営業利益率15.6%、流通経費率6.9%

原価計算方式で使う係数は、2022〜2024年の3年平均の値が示されました。具体的には、営業利益率が15.6%、流通経費率が6.9%、一般管理販売費率が53.1%、労務費単価が1時間あたり3,821円です。今回のソホノスとドジョルビの算定表でも、営業利益15.6%と流通経費6.9%がそのまま使われています。

まとめ:新薬4成分の収載、1成分の処方日数例外、2成分の薬価引き下げ

第650回中医協総会の「医薬品の新規薬価収載等について」は、新薬の収載と既存薬の見直しを同時に扱う議題でした。新薬4成分11品目は5月20日に収載予定で、4成分すべてが革新的新薬薬価維持制度の対象とされました。ドジョルビ内用液は、疾患・製剤・安全性の3つの特性から、14日ルールの例外として処方日数の制限を設けない案が示されました。アムヴトラ皮下注は約14.6%、マンジャロ皮下注は25%、それぞれ8月1日から薬価が引き下げられます。あわせて示された薬剤分類(第16版)、維持率0.6%、算定係数は、今後の新薬の薬価を読み解く際の物差しとして押さえておきましょう。



Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

2026年5月13日の中医協総会をもとに、新薬の薬価決定と医療保険制度の持続可能性を考える。ソホノスでは有用性・市場性加算が認められた一方、加算係数がゼロで価格に反映されない仕組みが取り上げられる。ドジョルビは、500mL瓶でしか交付できず小児では1瓶が14日分を超えることや、通院ストレスが発作を誘発しうることから、14日ルールの例外が認められた。さらに、販売額が急拡大したアムブトラとマンジャロの薬価引き下げを、制度を維持するための緊急ブレーキとして説明する。革新的な新薬を評価することと、社会全体の支払い能力を守ることの両立が、今後の課題として提示される。

新薬の評価と加算係数ゼロの薬価算定
想像してみてください。あなたが画期的な難病の新薬を開発して、その有用性が国から認められたとします。
それは素晴らしいことですよね。
なのに、国が提示したイノベーションへの評価、つまり価格への上乗せ係数がゼロだったとしたら。
それはかなりショックですね。
ですよね。これを聞いているあなたと一緒に深掘りしていく本日のテーマは、ズバリ薬の価格決定の裏側です。
はい。今回は、2026年5月13日の中医協・中央社会保険医療協議会の総会データを徹底解説していきます。
中医協のデータって聞くと、なんかお堅い話題かなって思うじゃないですか。
そう思われがちですよね。
でも実は、イノベーションの評価と医療制度の維持がぶつかり合うめちゃくちゃ面白い綱引きなんですよ。
まさにその通りです。単なる数字の羅列じゃなくて、日本の医療制度が直面している
命の値段と社会の限界のリアルな摩擦が見えてきますからね。
まずは5月20日に主催されるソホノスとかの新薬についてです。
これ既存の類似薬が全くないんですよね。
そういった場合は減価計算方式というルールで価格が決まります。
あの製造減価に営業利益の15.6%とか流通経費の6.9%を上乗せするっていうあれですね。
そうです。極めて標準的なやり方ですね。
そこまでは理解できるんです。でも資料を見て驚いたのが、
希少疾患向けで有用性とか市場性の加算が認められたのに、
掛け合わせる加算係数がゼロだったという部分ですね。
そうなんですよ。加算係数ゼロってどういうことですか。
つまり実質1円も価格に上乗せされないというシビアな現実です。
ええ、1円もですか。せっかく画期的な薬なのに。
画期的な薬であっても、まだ長期的な臨床データが不足している段階ですよね。
ああ、なるほど。
そうなると、国の厳しい予算の枠組みの中では、
最大限の評価を与えきれないというブレーキが働くんです。
ドジョルビの14日ルール例外
なるほどな。イノベーションを評価するっていう建前の裏に、
膨張する医療費を何とか抑え込みたい国の強い意志を感じますね。
そうですね。そして価格決定の壁を越えて現場に出ても、
今度は処方ルールの壁にぶつかります。
処方ルールというと、通常は新薬って、
安全確認のために1回14日分しか出せないっていうルールですよね。
はい。でも今回、調査脂肪酸代謝異常症の薬であるドジョルビには、
その例外が認められました。
安全のためのルールなら絶対なんじゃないですか。
資料によると、薬をスイカみたいに丸ごと買わなきゃいけなくて、
切り売りできないってことでしたけど。
まさにそのスイカの例えがぴったりです。
特定の成分が普通のプラスチック容器に溶けてしまう相性の問題があるんです。
え、じゃあ専用の容器じゃないとダメなんですか?
専用の500mlのガラス瓶でしか交付できない決まりになっています。
500mlって結構な量ですよね。
そうなんです。だから、小児の患者さんに1瓶渡すだけで、
どうしても自動的に14日分を超過してしまうんですよ。
ああ、物理的なパッケージのせいで、
そもそも14日分というルールが守れないわけだ。
ええ。その上、この疾患は通院のストレス自体が発作を誘発するリスクがあるんです。
それは本末転倒ですね。
ルールを守らせるためのこまめな通院が、逆に患者さんを危険にさらしてしまうなんて。
だからこそ、国も実態のメカニズムに合わせた合理的な例外を認めたということです。
マンジャロ値下げと医療制度の持続可能性
こういう実態に寄り添う柔軟性がある一方で、
今度は売れすぎた大ヒット薬に対してはルールが一転して牙を吐きますよね。
8月1日からの価格改定の話ですね。
はい。アムブトラが約14.6%、そしてマンジャロに至っては一律25%の大幅値下げです。
かなり思い切った数字です。
いや、25%カットってすさまじいですよ。
莫大なリスクを負って良い薬を作って、それが売れたのに。
成功のペナルティを受けるみたいに見えますよね。
そうなんです。
これじゃあ製薬会社が日本に画期的な新薬を持ってくる意欲が死んでしまわないですか?
実際製薬業界からも同じような強い懸念の声は出ています。
ただこれは罰としてやっているわけではないんです。
罰じゃないとすると何なんですか?
持続可能性特例価格調整という仕組みで、システムを延命させるための緊急ブレーキなんですよ。
緊急ブレーキ?
はい。マンジャロは販売額が1000億から1500億円規模に急拡大しました。
1500億ですか。桁違いですね。
現在の日本の会保険制度は、一つの薬にこれほどの巨大な予算が集中することを想定して設計されていないんです。
なるほど。つまり薬の良し悪しじゃなくて、保険制度がパンクするかどうかという物理的な限界点でルールが発動しているんですね。
私たちが普段この薬はどれだけ革新的かに注目しがちですが、今の国や中医協の最大の関心事は、そのイノベーションを今の社会はどこまで買い支えられるのかという点に移っているんです。
そう考えると、今回の中医協のルールって決して遠い世界の話じゃないですね。
まさにその通りです。あなたや私が支払う毎月の保険料や将来受けられる医療の選択肢に直結しています。
革新的な新薬が次々と生まれて恩恵を受けられるのは本当に素晴らしいことです。
本当に。
でも、医療費が膨張し続ける中で、命を救うイノベーションの対価と社会全体の支払い能力の限界点は一体どこにあるんでしょうか。
難しい問題ですね。
もし今後、AIなんかが創薬をさらに加速させて、超高額だけど確実に命を救う薬が毎月のように誕生したら、私たちは全員の命を平等に救うことを諦めなきゃいけない日が来るんでしょうか。
それはこれから社会全体で必ず直面する究極の選択になりますね。
この問いについてぜひこれを聞いているあなた自身も考えてみてください。
それでは今回の深掘りはここまでです。
06:08

コメント

スクロール