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今まさにこの音声を聞きながら、あのパソコンの画面をじっと見つめているあなた、あるいはスマホを片手にうつむいているあなた。
夕方になると、首の付け根がもう石みたいにガチガチになって、目の奥がズーンと重くなる。えーと、そんな感覚ないでしょうか?
あー、おそらく多くの方がその痛みを、まあ仕事をしている証拠だから仕方ないって受け入れてしまっているんじゃないかなと思いますね。
いやー、受け入れちゃってますよ、本当に。
でもそのいつもの不調、実は肩をいくら揉んでも絶対に治らないかもしれないんですよ。
えっと、怖いこと言いますね。
ええ。
でも実際マッサージに行ってもなんか次の日には元通りみたいなことってよくありますし。
そうなんです。というのも、実はそのしぶとい肩こりの原因って全く別の場所にあるかもしれないんですね。
全く別の場所ですか?
はい。まずはあなたのその痛みがどこから来ているのか、ちょっと簡単なテストをしてみましょうか。
お、いいですね。やってみましょう。
今から10個の症状を読み上げます。いくつ自分に当てはまるか心の中で数えてみてください。いきますよ。
はい。
目が重い、目の奥が痛む、目がかすむ、目が乾く、目が中欠せる、まぶたがピクピクする、光を眩しく感じる、涙が出る、肩が凝る、頭痛がする。以上です。
なるほど。えっと、私は結構当てはまっちゃいましたけど、これ聞いているあなたはどうでしたか?
実はこれ2つ以上当てはまったら、あなたの肩こりの根本原因は目の疲れにある可能性が非常に高いんです。
えっと、たった2つでいいんですか?じゃあデスクワークしているほとんどの人がそうじゃないですか。よし、これちょっと深掘りしていきましょうか。
はい。いきましょう。
目が疲れると、なぜ全く別の場所である肩が痛くなるんだろうっていうところですよね。
こっちはですね、肩こりなのになぜ目なのか。ここをひも解いていくと、まあ私たちの体がどれだけ鮮密に、そしてむろくできているかが見えてくるんです。
目の使いすぎで目が痛くなるのは、あのすごくよくわかるんですよ。
ええ。
でも、物理的に離れている首とか肩の筋肉が固まるのって、なんかどういうメカニズムなんですか?
そこを理解するには、まず、盲腰帯筋という筋肉について知る必要があります。
盲腰帯筋。
はい。これはカメラのレンズに当たる目の水晶体の厚みを調節してピントを合わせる筋肉なんですね。
ああ、つまりパソコンの画面の文字にフォーカスするときに無意識に使っている筋肉ですね。
そうです。そしてここが最大のポイントなんですけど、この盲腰帯筋って自律神経によってコントロールされているんですよ。
自律神経で?
ええ。腕とか足の筋肉みたいに自分の意思で動けって命令するんじゃなくて、心臓の鼓動とか呼吸と同じように自動で調整されているシステムの一部なんです。
なるほど。ということは、パソコンの画面を何時間も凝視しているときって、私たちは無意識のうちにその自律神経を酷使しているってことですか?
その通りです。特に近くの画面をじっと見つめたり、あと仕事のプレッシャーを感じたりしていると、
はいはい。
体は戦闘状態である。交換神経が極端に優位になるんですね。
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もう常に戦ってる状態ですね。
そうなんです。すると、この盲腰帯筋が過度に緊張してロックされてしまって、ピント調節機能が狂い始めるんです。
あの、自律神経がエラを起こして目のピントが合わなくなるっていうのはわかるんですけど、でもそれがなぜ肩の痛みにつながるんでしょうか?
これには脳の錯覚と防衛本能が関係しているんですよ。
防衛本能?
ええ。目がかすんだり、ピントが合わなかったりする不快感とか、視覚情報の乱れを脳が感知すると、脳は無意識のうちに首や背中の筋肉を強張らせて頭を安定させようとするんです。
へー。視界がブレるから、体を固めてブレを止めようとするみたいな。
まさにそんな感じです。ここで興味深いのは、桃谷薄井成形外科の研究データなんですけど、
はい。
交換神経が過剰に活性化することで、首や肩の筋肉内の血流が最大で37%も減少してしまうことがわかっているんです。
37%ダウン?いや、それじゃ血が巡らなくて当然ですよ。ただでさえ脳が筋肉を強張らせているのに、そこに栄養も酸素もいかなくなるわけだ。
そうなんです。で、血流が滞ると、そこに発痛物質が蓄積し、その痛みがまたストレスとなって交換神経を刺激する。
うわー、悪循環。
ええ、完全に抜け出せない負のスパイラルですね。医学的な視点で見ると、これは単なる筋肉の疲労ではなくて、脳と筋肉の対話障害とも言える状態なんですよ。
対話障害。ちょっと整理させてください。えっと、つまり目は車でいうところのハンドルで、自立神経はエンジンみたいなものだということですよね。
おおー、面白い視点ですね。
つまり、仕事のストレスとか画面の凝視で、エンジンである自立神経が常にレッドゾーンまで吹き上がっている状態。
はい。
で、エンジンが悲鳴を上げているせいで、ハンドル操作である目のピント調節がおかしくなってしまう。
ええ。
そして、ハンドルがブレるから、最終的に車体全体、つまり首や肩のフレームまでがガタガタと震え出して、痛みに変わる。そういうことですよね。
完璧な例えです。脳というドライバーが、ブレる視界を何とかしようとして、無理やりハンドルを握りしめているから、腕から肩までガチガチになってしまうわけですね。
しかも、人間って進化の過程で二足歩行になったじゃないですか。
はい、そうですね。
人間の頭って、体重の約10%、およそ5キロのボーリングの球くらいの重さがあるってよく聞くんですけど。
画面を見ようとして、頭が前に15度傾くだけで、首への負担は通常の約2.4倍に跳ね上がるんですよ。
15度傾くだけで、ってことは、5キロの球が12キロの負担になるってことですよね。
そういう計算になりますね。
そりゃあ、肩のフレームも悲鳴を上げますよ。だったら気合を入れて、よし、背筋をピンと伸ばそう、顎を引こうって常に意識していれば、この問題は解決するんですか。
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実は、そこが一番の落とし穴なんです。
えと?落とし穴?
はい。無理に良い姿勢を作ろうとして、背中の筋肉を緊張させると、それがまた交換神経を刺激してしまうんです。
ああ、なるほど。
気合で姿勢を正すのは、長続きしないだけでなく、逆交換になることも多いんですよ。
えと?じゃあどうすればいいんですか。気合がダメなら、私たちはどうやってその5キロのボーリングの球を支えればいいんでしょう。人間の骨格を変えるわけにもいかないですし。
そこで重要になるのが、気合ではなく、環境を変えることです。専門用語でVDT昇降群対策とも呼ばれるんですが。
VDT、ディスプレイ画面を使った作業のことですね。
はい。要するに、物理的に悪い姿勢が取れないデスク環境を作ってしまうんです。
環境を強制的に変えちゃうわけだ。具体的にはどんな環境が理想なんですか。
まず絶対条件として、ディスプレイと目の距離は40から50センチ空けること。
40から50センチ。
そして、モニターの上辺が目線より数センチ高い位置に来るように設定してください。
上辺が目線より上ですか。結構高めですね。でもこれ、ノートパソコンを使っている理由はどうするんですか。
そうなんですよ。
画面とキーボードがくっついているから、机に直置きするとどうしても目線が下がって、さっきの15度傾いたボーリングの玉状態になっちゃいますよね。
まさにそこがノートパソコンの罠ですね。直置きでの長時間の作業は首にとって最悪の環境と言えます。
やっぱり。
これを防ぐためには、PCスタンドを使って画面の位置を物理的に高くして、入力は外付けのキーボードやマウスで行うのが理想的です。
なるほど。道具を使って首が自然に起き上がる状態を強制的に作ってしまうわけですね。
その通りです。あと、アームレスト、肘置きですね。そういうものを導入するのも効果的です。
足元も重要で、膝の角度は90度以上を保ち、足の裏全体がしっかりと床につくようにします。
床に届かない場合はどうすれば。
その場合はフットレストを活用してください。
なるほどなるほど。つまりこれってどういうことかっていうと、気合で良い姿勢を保つんじゃなくて、道具に頼って正しい位置を保てる環境を作ることが最初のステップだってことですね。
まさにそうです。そして意外と見落としがちなのが、メガネやコンタクトレンズなんです。
メガネですか。目と直接関係のあるアイテムですね。度が合っていないとダメとか。
単に視力に合っているかどうかだけじゃなくて、PC画面との距離に合っているかが問題なんですよ。
距離ですか。
ええ。例えば遠くがよく見えるように作ったメガネで40センチ先のモニターを見続けるとどうなるか。
ああ、さっきの盲腰帯筋が近くにピントを合わせるためにずっとフルパワーで働き続けないといけないってことですか。
その通りです。スクワットをしたまま数時間耐えているような状態ですよ。
うわ、それはきつい。
在宅ワークが増えてモニター環境が変わったのに、数年前に作った遠く用のメガネのまま仕事をしている人って非常に多いんです。
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これが疲労を激増させているケースは少なくありません。
いや、それは盲点でしたね。メガネをPC用に変えるだけで劇的に肩こりが治る人もいそうです。
ええ、本当にたくさんいらっしゃいます。
でも環境を完璧に整えたとしても、やっぱり8時間同じ姿勢で画面を見続けること自体が異常じゃないですか。
仕事中にこのスパイラルを断ち切る方法ってないんですか?
もちろんです。VDT作業のガイドラインでは、1時間に1回、5から10分は画面から目を離すことが推奨されています。
いや、それは頭ではわかっているんですけどね。集中しているとつい忘れちゃうんですよね。
あ、気づいたら3時間経ってたみたいな。
ですよね。ですから単に休むって考えるんじゃなくて、具体的なアクションをスケジュールに組み込むことをお勧めします。
具体的なアクション。
はい。例えばデスクで簡単にできるマッサージや呼吸法です。
呼吸法ですか。深呼吸で肩こりが治るなら苦労しないよってちょっとだけ思っちゃうんですけど。
いいえ、呼吸は自律神経を直接発揮できる唯一の手段なんですよ。
発揮できる?
ええ。今回の資料の中で特に注目したいのが478呼吸法です。
478、どうやるんですか?
簡単です。鼻から4秒間息を吸い、7秒間息を止めます。そして8秒かけて口からゆっくりと息を吐き出す。これだけです。
吸うよりも吐く時間が倍くらい長いんですね。
そこが鍵なんです。人間の体は息を長く吐き出すときに、瞑想神経というリラックスを司る神経が刺激されて、心拍数が強制的にゆっくりになります。
ほうほう。
これにより副交換神経が有意な状態、つまり安全モードに強制的に切り替わるんです。
これを1日3回行うだけで痛みが半減するという臨床試験の研究結果もあるほどなんですよ。
えっと、ただ息の長さをコントロールするだけで脳の戦闘モードを解除して物理的な痛みを減らせるんですか?
それはすごい。まさに自律神経のハッキングですね。マッサージの方はどうですか?
マッサージなら、後頭下筋群という頭と首の境目あたりにある筋肉をほぐすのが効果的です。
後頭下筋群。
手のひらで首の後ろを包み込んで、下から上へ優しく3往復つまみ上げます。その後、後頭部下のくぼみにある風市というツボを親指で10秒ゆっくり押す。
風市ですね。
はい。これは2、3回やるといいですね。目の周りの血流改善や視覚への刺激に直結する部位です。
あとは、耳の後ろの出っ張った骨、乳腰突起を親指で円を描くようにマッサージするのもいいですよ。
ああ、それ気持ちよさそうですね。
さらに、短いストレッチも習慣にするといいです。
縮困った胸と肩の筋肉を逃すために、椅子の背もたれの後ろで手を組んで、胸を開きながら組んだ手をゆっくり後方へ上げる。これを15から20秒キープします。
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なるほど。
あと、バンザイの状態から肘を曲げて、アルファベットのWの形を作るWエクササイズもおすすめです。
いいですね。これならあなたも無理なくスケジュールに組み込めそうですよね。
例えば、毎時0分にはトークを見る、お昼前には風邪イチのツボを押し、午後のイライラじる会議の前には478呼吸法で強制的にリラックスモードに入る、みたいな。
素晴らしい実践プランだと思います。
これならできそう。
ただ、すでに首が石のように硬いとか、毎日頭痛がするといった感じで重症化してしまっている場合は、今お話ししたようなセルフケアだけでは限界があるのも事実なんですよね。
確かに。もう10年もデスクワークをしていて、肩がコンクリートみたいになっている人には、深呼吸だけではちょっと立ち打ちできない気がします。そういう人はどうすればいいんですか?
これを全体像と結びつけてみると、そういう慢性的な痛みって、もはや単なる疲労ではなくて、筋膜の癒着という状態に発展しているんです。
筋膜の癒着。筋膜リリースって言葉は最近よく聞きますけど、癒着って具体的にどういうことなんですか?
筋膜というのは、筋肉を包んでいる薄いボディースーツのような膜のことです。本来は水分を含んでツルツル滑るんですが、長時間同じ姿勢でいたり血流が悪くなったりすると、水分が失われて、まるで接着剤のように筋肉同士をくっつけてしまうんです。
体の中で筋肉がボンドで固められているような状態ですか。そりゃ痛いし動かないわけだ。
そうなってしまった場合の最新の医学的アプローチとして、ハイドロリリースという治療法が注目されています。これは筋膜リリース注射とも呼ばれますね。
ハイドロ、水ですか?
はい。超音波のエコーで筋肉の内部を見ながら、癒着して固まっている筋膜と筋膜の間に生理食塩水などの薬液を注射して、水圧で物理的に剥がすんです。
えっと、首に直接塩水を注射して、接着剤をベリっと剥がすんですか。ちょっと怖いですけど。
言葉にすると少し怖く聞こえるかもしれませんが、非常に細い針を使いますし、安全性も高い治療なんですよ。
無刀成形外科などの臨床データによると、なんと91.9%の患者さんが注射直後から速攻性を感じたと報告しているんです。
9割以上が速攻性を感じるって圧倒的ですね。本当に限界を迎えている人は、専門医でエコーを見てもらうのが一番の近道かもしれない。他にも医学的なアプローチはありますか。
体質的な問題にアプローチするという意味で、漢方薬も非常に有効です。
漢方ですか。
ええ。例えばストレスで血圧が上がり、頭痛や肩こりが起きているような人には、超糖酸という漢方がよく使われます。
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超糖酸。
はい。一方でむくみがある人や高粘気などで血流が悪い人には、カッコン糖などその人の体質に合わせた漢方を処方してもらうのが効果的ですね。
なるほど。日中の環境改善、そして限界なら医療の力。となると、あとは一日の終わり、夜から朝へのケアルーティーンですね。
そうですね。ここでも目的は、自立神経を副交換神経に切り替えることです。
就寝2時間前に38度くらいのぬるめのお湯に30分ほど浮かる。そして、目を蒸しタオルや市販のホットアイマスクで温めてください。
目を温めると気持ちいいのはわかりますが、それも自立神経に関係あるんですか。
大いにあります。目の周りには副交換神経のスイッチとなるセンサーが多く集まっているんです。
そこをダイレクトに温めることで、脳にもう戦わなくていい、安全な時間だという強力なサインを送ることができるんですよ。
だからホットアイマスクをするとスッと眠りに落ちちゃうんですね。あと、睡眠といえば枕も肩こりには重要ですよね。
もちろんです。枕の高さの最適化は必須ですね。理想は首の自然なS字カーブを維持できるかどうかです。
S字カーブ?
はい。仰向けに寝た時、目安としては1センチから6センチの高さがいいとされています。
ただし、最近増えているストレートネックの人の場合は1センチから3センチの低めが良いですね。
でも、自分に合う枕を探すのって結構難しくないですか?
ええ。もし合わない場合は、無理に新しいものを買うのではなくて、タオルを折りたたんで高さを微調整するのが一番おすすめです。
なるほど。では今回の深掘り、1日の完璧なストーリーとして総括してみましょうか。
お願いします。
あなたは朝、タオルで微調整した自分だけの完璧な高さの枕で、首の痛みなく目覚める。
日中、仕事場ではPCスタンドと自分に合った距離の眼鏡を使い、物理的に正しい姿勢を保つ環境で作業する。
はい。
そして、1時間ごとに画面から目を離して、ストレスを感じたら、4秒吸って8秒吐く、あの四七八呼吸や壺押しで自立神経をリセットする。
夜はぬるめのお風呂に浸かり、目を温めながら深い眠りにつく。
完璧ですね。
これ、どんなに忙しいビジネスパーソンでも、絶対に無理なく続けられる究極の目の疲れと肩こりケアルーティーンだと思います。
本当にそうですね。一気に全部やろうとしなくてもいいんです。まずは自分が一番やりやすいものから始めてみてもらえれば。
そうですね。今これを聞いているあなた、もし今デスクに向かっているなら、まずは今日の仕事中に一つだけ、例えば今すぐ画面から目を離して、鼻から4秒間深く息を吸い込んでみてください。
いいですね。
そして、8秒かけてゆっくり吐き出す。それだけでも試してみてほしいんです。あなたの脳と自律神経は確実にほっと息をついているはずですから。
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ええ、間違いないです。
さて、ここからが本当に面白いところなんだけど、私たち人類って何百万年もかけて4足歩行から2足歩行へと進化しましたよね。
はい。
そして、両手を自由に使う代償として、あの5キロもある重い頭をこの細い首だけで絶妙なバランスで支えるという力学的なリスクを背負い込んだわけです。
生物学的に見れば非常にアンバランスで奇跡的な構造ですよね。
ですよね。それなのに今、テクノロジーの進化によって、私たちは一日中デスクに座って光る長方形の画面を覗き込むために、再び頭を前へ突き出し、さなかを丸めて猫背になろうとしています。
確かに。
これってまるで4足歩行の姿勢に戻ろうとしているみたいじゃないですか。
言われてみればそうかもしれません。
このままデジタル時代がさらに何千年も進めば、人類の背骨や首の構造はパソコンを使うためだけに全く違う奇妙な形へと再進化してしまうのだろうか。
そんな壮大なスケールの変化が今まさにあなたのその思い方の上で起きているのかもしれないですね。