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もし、明日、地球上の大気汚染とか、空気中の塵がすべて消え去ったらどうなるか、私たちが吸う空気が完全にクリーンになる代償として、あの息を飲むほど美しい真っ赤な夕焼けを永遠に失うことになるとしたら、あなたはどう思いますか?
いやー、非常に究極の選択を迫る切り出しですよね。でもこれ決して大げさな話ではなくてですね、私たちが美しいと感じて心を動かされているあの空の色って、実は地球が抱えるある種のノイズの産物でもあるんですよ。
そうなんですよね。ということで、今日のディープダイブへようこそ。今回は、あなたが毎日当たり前のように見上げている空の隠された秘密を解き明かしていきます。
よろしくお願いします。天気とか空の色って誰もが共有できる最も身近なアートですよね。
本当にそうですね。今回は手元にですね、平安時代の文学から気象学の専門書、あとはウユニエイコの旅行記とか現役カメラマンの裏話まで本当に多彩な資料の束が揃っています。
かなり幅広い視点から空の色にアプローチするわけですね。
はい。この壮大な資料を通して、なぜ夕焼けが赤くて、朝焼けは色が違うのかっていう、そういう素朴な疑問を科学と文化の両面から探求していくのが今回のミッションです。
物理法則のショーケースでもあり、文化的な美意識の源でもあるっていうことですよね。とても楽しみです。
さて、これを紐解いていきましょう。資料を読んでいてハッとさせられたんですが、昔の日本人って空の観察に対する執念が凄まじいですよね。夜明けから朝までのわずかな時間を表すのに、赤湯とか枯れじゃだれ時とか。
東雲、朝鮪、明け明け、有明とかですよね。ものすごい数の語彙を持っています。
そうなんです。エスキモーが雪を表す言葉をたくさん持っているように、当時の人々にとって空の変化を観察すること自体が最高のエンターテイメントだったってことなんでしょうか。
特に平安時代の貴族たちにとってはまさにそうでした。空の色合いの推移は最高のエンターテイメントであり、美意識の源だったんです。
なるほど。清少納言野間川創作の有名な一節、春は明け物っていうのも、その観察眼の鋭さが際立っていますよね。
はい。これは当時の京都の地形が大きく関わっているんですよ。京都って山法を山に囲まれた盆地じゃないですか。
あー、盆地特有の底冷えとか湿気で、朝方に霞がかかりやすい環境ですよね。
その通りです。春の夜明けを待っていると、東の山際がほんのりと明るくなって、そこに紫色の霞がたなびくんです。
へー、想像するだけで美しいですね。
さらに太陽の光が差し込むことで、まるで仏教美術の雲間という技法のように色が濃くなっていくんですよ。
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雲間ですか。
はい。同じ色相で光弾を層のように重ねていくグラデーション技法のことなんですが、彼らは空がキャンバスの上で絵の具を重ねるように変化していく、そのわずかな時間を最高の美として楽しんでいたんです。
いやー、自然が描くその雲間のグラデーションこそが、当時の美的感覚の頂点だったんですね。
そうなんです。そしてその色が、日本の伝統色である明け物色として定着したわけです。
資料によると、茜色の染料に、わずかに白もついという黄色い色素を持つ花のつぼみを掛け合わせて表現するそうです。
はい。単なるピンクや赤ではなくて、少し黄色が混ざるんですよね。
ええ。それによって、まさに太陽が顔を出し始めた瞬間の光の温度感まで再現している気がします。
非常に繊細な色彩感覚ですよね。そして面白いのは、この明け物色が江戸時代になると、明け物染というファッションのトレンドにまで発展したことです。
明け物染、服のデザインに取り入れたってことですか?
そうなんですよ。着物の裾なんかの血の色を濃い色からだんだん薄くグラデーションに染め抜いていって、白く残った部分に模様を描くという非常に手の込んだ技法です。
つまり、夜明けの空の移り変わりをそのまま服のデザインとして身にまとっていたわけですね。
自然の情景をテキスタイルに変換する技術があったなんてすごいです。
ええ。しかもその影響って現代にも続いていて。
そうですよね。美しい夕日で有名な北海道の九州路では、地元の和菓子屋さんとかケーキ屋さんが、出現のシルエットとか赤やオレンジの夕日をイメージしたスイーツを今も作り続けているんです。
そうになったゼリーとかアンを使って空のグラデーションを表現したりして。
そうなんです。空の色が視覚的な美しさを超えて、私たちの生活とか食文化にまでインスピレーションを与え続けているのは興味深いつながりですよね。
人間がどれほど空の色に魅了されてきたかがよくわかりますね。
ただ、ここで平安貴族が相出たそのグラデーションの正体について少し視点を変えてみたいんです。
どう言いますと?
彼らはただ美しいって感動していましたが、実はその色の変化って、地球を覆う大気と光が繰り広げる非常にダイナミックな物理現象の結果なんですよね。
まさにそこですね。なぜ空がそんな色になるのか、ここで物理学の視点を入れてみましょう。
はい、お願いします。
大前提として、私たちが普段無色だと思っている太陽の光、つまり可視光線には虹の7色すべてが含まれています。そして色によって波長が異なるんです。
青い光は波長が短くて、赤い光は波長が長いっていうやつですよね。
ええ。波の細かさが違う光の束が、太陽から地球に向かって一斉に飛んできている状態です。
なるほど。
そして、太陽光が地球の大気に突入した瞬間、レイリー産卵という現象が起きます。
大気中にある酸素や窒素の分子に光がぶつかって産卵するんですが、
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ここからが非常に重要なんですよね。
そうなんです。波長が短い光ほど、分子にぶつかって産卵しやすいんです。
しかもこれ、ただ産卵しやすいだけじゃなくて、光の波長の4乗に反比例して産卵されるという物理法則があるんですよ。
ちょっと待ってください。波長の4乗ですか?
少し興奮してしまいますが、つまり青い光は赤い光に比べてちょっと産卵しやすいとかそういうレベルじゃなくて、
桁違いに弾き飛ばされまくっているってことですか?
はい。それはすごいですね。
だからこそ、昼間のように太陽が真売れにあって光が大気を通過する距離が短い時は、
圧倒的に激しく産卵した青い光が空いっぱいに広がって青空に見えるんです。
ここからが本当に面白いところなんですが、
じゃあ、太陽が沈む夕方とか昇る朝はどうなるか?
はい。
太陽が斜め横から照らす形になるから、光が大気っていう分厚い壁を突き抜けてくる距離が昼間とは比べ物にならないほど長くなりますよね。
ええ。距離が長くなることで何が起きるか想像できますか?
先ほどの法則で言えば、激しく産卵しやすい青い光は、私たちの目に届くずっと手前で大気の分子にぶつかりまくって完全に散らばって消えてしまう。
そうですね。
つまり、青い光は障害物にぶつかってすぐ跳ね返ってしまう小型車みたいなもので、途中で脱落してしまう。
代わりに波長が長くて分厚い大気という障害物を力強く突き抜けるパワーを持った大型トラックのような赤い光だけが生き残って私たちの目まで到達する。
まさにそういうことです。とても分かりやすい例えですね。
昼間は空中にその青い小型車が大渋滞を起こしているから青空に見えるんですが、夕方は生き残った大型トラックだけが目に飛び込んでくるんです。
だから夕日とか朝日は赤く見えるわけですね?
ええ。ちなみに空に浮かぶ雲が白く見えるのは、ミー産卵という別のメカニズムが働いています。
レーリー産卵とは違うんですか?
はい。雲を作っている水滴の粒って光の波長よりもはるかにサイズが大きいんです。
この場合、光の波長の長さに関係なく全ての色の光が同じように産卵されるんですよ。
ああ、なるほど。
全白いの光が混ざると人間の目には白に見えるため、雲は白く輝くんです。
わかります。空気の分子みたいな極小の障害物だと青だけを弾き飛ばして赤い光のトラックを通すけど、水滴みたいな巨大な障害物だと小型車も大型トラックも全部まとめて弾き返して真っ白になるわけですね。
その通りです。光と大気の粒子のサイズ関係が空の色を決定づけているんです。
さて、これで光の産卵の原理は完全に理解しました。でもですね、資料を読み進めていくと大きな矛盾にぶつかるんです。
矛盾ですか?
はい。物理学の原理だけで言えば、太陽が低い位置にある朝も夕方も光が通過する距離は同じですよね。
ええ、物理的な距離は同じですね。
だったら、朝焼けも夕焼けも同じように真っ赤にならないとおかしいじゃないですか。でも実際には朝焼けと夕焼けの色って全然違いますよね。
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そこがこのテーマの最も奥深いところなんです。物理的な条件は同じはずなのになぜ色が違うのか。そこには地球の大気と人間の活動が織りなすドラマが介入してくるからです。
ドラマですか?
はい。夕方がより赤く、燃えるようなドラマチックな色になる最大の要因は、大気中の塵や排気ガス、水蒸気などのエアロゾールなんです。
エアロゾール?
ええ。日中に人間が経済活動を行って、車が走り、風が吹いて、気温が上がって水蒸気が発生することで、夕方の大気中にはありとあらゆる微小な粒子がたっぷりと舞い上がっています。
なるほど。
これらがレイリーサンランをさらに強烈にして、波長の長い赤やオレンジの光を極限まで再立たせるんですよ。
ちょっと待ってください。ということはですよ。
はい。
あの、ロマンチックで感動的な夕焼けの深い赤色は、要するに空気中の汚れとか排気ガスのおかげだってことですか?なんだか一気にロマンが台無しになりそうですが。
ああ、まあそう言われると身も蓋もないんですが、でもここで非常に興味深いのは、それを単なる汚れと捉えるか、地球と生命の営みの痕跡と捉えるかなんです。
営みの痕跡?
ええ。その日一日、人々が懸命に働き生活し、地球が呼吸した証が太陽の光を美しく曲げているんです。いわばその日だけのオリジナルカクテルのようなものです。
なるほど。一日頑張った地球へのお疲れ様の色だと思えば、むしろエモーショナルですね。じゃあ逆に、朝焼けが澄んだ淡い色になるのはそのノイズがないからですか?
その通りです。夜間の冷え込みによって、日中に舞い上がった塵や水蒸気が地面に落ち込んで、待機中の不純物がリセットされるんです。
空気が掃除されるんですね。
ええ。空気が極めてきれいに澄んでいて、なおかつ気温が低く、待機も安定しているため、余計な産卵が起きないんです。だから朝焼けは赤というよりも透明感のあるピンクや紫、青みがかった色になるんですよ。
資料にある現役カメラマンの裏話でも、朝焼けと夕焼けの撮影環境のギャップが面白おかしく語られていましたよね。
はい、ありましたね。
あるカメラマンの表現を借りるなら、朝焼けは孤独で過酷、透明感のある青の世界だと。真冬の気温一桁の中で午前4時に起きて、指もカメラも震えながら撮影する、最大の敵は自分の布団だそうです。
プロのカメラマンであっても、朝焼けを撮るには相当な覚悟とストイックさが必要なんですね。
一方で夕焼けについては、たたかたく社交的、情熱とノスタルジーのエモい世界だと。仕事帰りに自転車でフラッと寄って、コンビニの肉まんを片手に、誰でもスマホで撮れる、陽キャのテーマパークみたいなものだ、という対比です。
ははは、面白いですね。この表現は少し砕けていますが、待機中のノイズの量だけでなく、そこにいる人間の状況や心理状態も、拙実に表していますよね。
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本当ですね。
さらに言えば、人間の目の構造自体も影響しているんです。
目ですか?
はい。朝は長時間暗闇にいたことで、目が暗所純陽という状態になっていて、瞳孔が開いています。そのため、光のコントラストをやや感じにくいんです。
なるほど。
逆に夕方は、明るい日中から暗くなっていく過程なので、赤色がより鮮烈に目に飛び込んでくる、という生物学的な理由もあります。
人間の目とか生活リズムまでが、空の色の印象を左右しているんですね。となると、場所や季節によって空の表情が劇的に変わるのも納得がいきます。
そうですね。
見事に夕焼けのメカニズムを対比できる環境ですよね。
ええ。物理学と地理の観点から見ると、究極のサンプルですね。
まずマニラは、熱帯特有の高い湿度と、大都市特有の排気ガスやスモッグが大量に存在します。
はい。
これが先ほど言った強烈な産卵を引き起こして、極めて濃くねっとりとした情熱的なオレンジから赤の夕焼けを作り出します。
まさに都市のエネルギーの爆発のような色合いですね。
ということは、大気汚染が少なくて空気が冷たいクシロの場合は、スモッグによる過剰な産卵がないから、もっとピュアな赤い光だけが届くってことですか?
まさにその通りです。クシロは気温が低く、空気が極めて澄み切っているため、赤い光がストレートに目に届きます。
その結果、ただ赤いだけでなく、深い赤から透明感のある青紫へと抜けるような圧倒的なグラデーションが生まれるんです。
へぇー。
さらに、広大なクシロ資源のシルエットが背景になることで、息を呑むような絶景を作り出すんですよ。
季節による違いも大きくて、クシロのように緯度が高い地域だと、下死の頃は日が沈むのが19時頃でゆっくりグラデーションを楽しめるのに、当時の頃はなんと16時前には一気に日が沈んでしまうんですよね。
はい。地球の傾きと光の差し込む角度が変わるためですね。
同じ場所でも季節によって体温の高度が変わるため、夕日の色合いや沈むスピードは毎日違うんです。
ちなみに、これだけ夕日のメカニズムを知ってしまうと、自分でも最高の夕日を見たくなりますし、写真にも収めたくなりますよね。
そうですね。ぜひ皆さんに試していただきたいです。
資料の中で、カメラマンが夕日を綺麗に撮るための意外なコツを教えてくれています。
多くの人は雲ひとつない海星が夕日を見るベストな条件だと思いがちですが、実は違うと。
ええ。最も劇的で美しい夕焼けになるのは、空に50から70%の適度な雲があるときなんですよ。
もちろん雲が太陽そのものを隠してしまってはダメなんですが。
つまり、太陽から届いた赤い光のトラックが空に浮かんでいる雲の底面にぶつかって反射したり散乱することで、空全体に立体的なキャンバスが出来上がるわけですね。
その通りです。
海星だと光がそのまま通り過ぎてしまうから、意外とあっさりした夕焼けになってしまうんですね。
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はい。適度な雲がスクリーンとなって、夕日の赤を空全体に広げてくれるんです。
そしてもう一つ重要なコツは、太陽が地平線に沈んだ後もすぐに帰らないことですね。
沈んだ後もですか?
ええ。日没後の10分から15分間はアフターグロウ、残晶と呼ばれていて、太陽が隠れていても上空の雲や大気にはまだ赤い光が当たり続けているんです。
この時間が空が最も妖艶に美しく染まり続けるゴールデンタイムなんですよ。
つまり、これらは全て何を意味しているんでしょうか。
最高の夕日を見るためには、完璧な晴天を祈るのではなく、適度なノイズ、つまり雲や湿度、そして大気中の塵が必要だということです。
へえ、本当にその通りですね。
あなたが次に旅行の計画を立てるなら、澄み切った冷たい空気と資源が織りなすくしろのグラデーションか、それとも都市のスモックと熱帯の湿度が爆発して空を焦がすマニラの情熱的な赤か、どちらを選びますか。
どちらもその土地の気候や、人間の生活、物理法則が複雑に絡み合って描き出される唯一無二のアート作品といえますよね。
本当にそうですね。そろそろまとめの時間です。
今日は空の色についてディープダイブしてきました。
平安時代の貴族が愛でた天野野の繊細な色彩文化から始まり、光の波長の4乗に反比例して青い光が桁違いに弾き飛ばされるレイリーサンランという容赦ない物理の法則。
はい。
そして大気中の塵や雲、私たちの活動そのものが生み出す奇跡の風景までを一気に駆け抜けました。
これを全体像に結びつけて考えてみるとですね、私たちが毎日何気なく見上げている空の色というのは決して固定された背景譜ではないということがわかります。
と言いますと。
地球そのものの今日のコンディションや私たち人間の日々の営みがリアルタイムで投影された巨大なキャンバスなんですね。
私たちの生活の息遣いが空の色を塗っていると考えると、毎日空を見上げるのが楽しみになります。
さて、最後にあなたに冒頭の問いをもう一度少し視点を変えて投げかけてみたいと思います。
はい。
もし今後環境技術が飛躍的に進歩して地球上の大気予選や空気中の塵が完全にゼロになったとしたらどうなるでしょう。
私たちの数空気は完璧にクリーンになります。
しかしそれと引き換えに、あの心を揺さぶるような真っ赤でドラマチックな夕焼けは二度と見られなくなるかもしれません。
クリーンな空を手に入れる代わりに情熱的な夕焼けを手放す覚悟があなたにはありますか。
深い問いですね。
次に夕暮れの空を見上げる時、その赤い光の中に含まれた今日の地球の痕跡をぜひ想像してみてください。
明日の夕焼けが今日とは全く違った意味を持って見えてくるはじですよ。
今回のディープダイブはここまでです。また次回、新しい探究でお会いしましょう。