「自治体の財政ってどうなんですか?」(前)
2025-10-05 08:48

「自治体の財政ってどうなんですか?」(前)

OA日時:2025年10月5日

出演:ゲスト 今村 寛さん(自治体財政エバンジェリスト)

聞き手:田中みずき

福岡市市職員を退職され、「自治体財政エバンジェリスト」として、自治体職員の方々のスキルアップ支援をメインに活動されている今村さん。私たち一般市民は、自治体の財政といえば、市町村の広報紙に掲載された予算書・決算書を見る機会があっても、ほぼ無関心。「財政が厳しい」「財源がない」などということを聞いても、いまいちピンとこないのが現状。身近な問題である「自治体の財政」について、お話を伺います。

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サマリー

福岡市職員から自治体財政エバンジェリストに転身した今村博氏が、自治体の財政改革について語る。限られた予算内で新規事業を行うための「枠配分予算」の導入や、職員間の対話と相互理解の重要性、そして「一人の千歩より千人の一歩」という理念に基づき、全国の自治体や市民への財政知識普及を目指す活動について解説している。

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サンデー・チェンジメーカーズ。 これまでの常識を超えて新しい時代を開くチェンジメーカーたち。
社会や地域を支えるスターたちの思いを届けます。 この番組はスタービル博多祇園の提供でお送りします。
こんにちは、田中美月です。 スタービル博多祇園スタジオからお送りします。
自治体財政改革の背景と枠配分予算の導入
先週に引き続き、今日のチェンジメーカーは、自治体財政エヴァンジェリストの今村博さんです。 今村さん、よろしくお願いいたします。
前回は、福岡市の財政予算の組み方という仕組みをガラッと変えて、各部署で限られた予算の中でやってくださいと権限を渡して予算を組むように、
そういうふうにシステムを変えていったというお話を伺いました。
今週は、そのシステム変革がスムーズに行われたのか、当然最初は反発があったんじゃないかなと思います。
その反発をいかにしてうまく軌道に乗せていったのか、というところをまず伺ってもよろしいですか。
はい。先週、枠配分予算、一個一個全部財政化が査定をして金額をつけていくのではなくて、
あらかじめ部局ごとに大きな枠の金額を与えて、部局単位で自分たちの予算を組んでくださいという仕組みに変えたという話をしました。
その本質は、そもそも自治体のお金がないというのが、新しいことをやるお金がないという構造なんですよ。
新しいことをやるお金がない。
自治体の収入ってもうだいたい毎年一定なんですけど、支出の方も今まで決めたことをやっていくというお金が実は9割以上を占めてまして、
新しいことをやるというのは、その残り1割以下のところで、来年はこんな新規をやりたいというのをいっぱい予算要求があって、その中で優先順位をつけていくんですよ。
なので、今まではそこにものすごい競争率が高くて、そこの財源を年出するために、今やっていることを財政化が一個一個査定で切っていってみたいなことをしてたんですが、
新しいことをやりたいんだったら、自分のところで何か見直して財源を作ってくださいよと。
あんたがやりたい事業だったら、あんたがお金作りっていうのが実は枠配分の根質なんですよ。
確かに家計でもそうですよね。もう限られて予算の中で、例えばその習い事を3つやっている。4つ目の習い事を始めたいんだけど、それはお金がないよね。どうしよう。一つ削るかっていうふうなことは、皆さん多分家計ではやっていらっしゃることですよね。
そうなんです。自治体の職員がどうしてできないのかというと、それが分業なんですよ。福祉の仕事、教育の仕事、街づくりの仕事、みんな予算を与えられて、与えられた予算を使って市民の幸せを実現しているんですけど、
その与えられる予算の外側にどんなお金があるのか、もうないのかっていうことは、実は分担していないのでわからないんですね。それを全部束ねているのが財政化。
財政化は全体収入がこんぐらいあって、今ここにこのぐらい使っているっていうことを知っているので、あなたのところにはこんだけしか配分できませんよっていうふうに決めてたわけですね。
それを事業単位じゃなくて、もう政策単位で福祉はいくら、教育はいくらっていうぐらいの大きな単位でお金を渡して、その中身はあなたたちで決めてくださいというふうに変えたのがさっきの枠配分の仕組みなんですね。
職員の意識改革と対話の重要性
職員の皆さんの意識改革というかスキルアップでやっぱり大事だったのは、お互いの理解、対話ということになりますか。
そうですね。結局内緒では触れないという財政化の理屈と、いる者はいるという現場の理屈、これを融合させるためにはお互いに知っていることを全部持ち寄って出し合わなきゃいけないですね。
今まで予算要求で、いる者はいるの方は財政化散々聞いてたんですよ。けど内緒では触れないの方がなかなか理解してもらえなかったので、どうしてお金がないか知ってるって。
自治体の財政どうして厳しいか知ってる。実は既存事業で9割以上お金使ってて、新しいことをやるお金がもうないんだよっていう、お金がないってどういうことっていうことを出前講座でお話をするようにしたんです。
それが私が課長の1年目の時ですね。それからそういう構造だから、みんなお互いに新しいことをやりたい人が自分でお金を見つけてこようよっていうふうな分担、共同、コラボレーションのやり方を仕組みとして提案して、みんなこのやり方でやりましょうよと。
そういう話をしていって、与えられたお金の中で優先順位つけて仕事を組み替えていけばいいんだね。それは分かりましたということで、やっと分かってもらって一緒に進められるようになったということになります。
それは本当に、同じように財政で困っている他の自治体の担当の方も、福岡市のそのやり方、真似したい、取り入れたいって思いますよね。
予算だけじゃないんですよね。自治体組織大きいので、いろんな分担がうまくいかなくて、分担になっているというようなことがあるんですけれども、そうじゃなくて、お互いの情報を共有して、お互いの立場を理解して、連携をしましょうと。お互いに自分がやらなきゃいけないことをやりながら、相手のことも少し配慮しながら一緒に進んでいきましょうと。
こういう仕事の進め方ができるようになるためには、職員の中での対話が必要になりますし、多分これから先、住民との対話とか議会との対話とか、そういったことも必要になってくると思います。
全国への普及活動と今後の展望
今後、どんなふうに、このシステムを全国に広げていきたいとか、この先の夢ってありますか。
実は市役所を辞めて、今9ヶ月ぐらい経つんですけど、この1月以降でも、いろんなところでお話をしてほしいという依頼がもう50本ぐらいいただいて、もう50本こなしているんですね。
やっぱりこの話を聞きたいとか、自分たちも実践したいというニーズは全国各地にあるし、最近増えているのは議員さんとか市民の方から自治体の財政のことをわかりやすく説明してほしい、理解したいというようなことがすごくオーダーが増えているので、
そういったまさにエヴァンジェリスト、その役所の中だけじゃなくて、役所の外の人にも自治体の財政のことを知ってもらうという、そういったことが今から自分がやれること、やっていきたいことかなと思っています。
そうですね。納税者としての市民も、人ごとではない、ちゃんと自分たちが暮らしている自治体をもっと良くするための正しい財政の在り方というものにもっと関心を持っていきたいですよね。
はい。ぜひ今日を機会に関心を持ってください。
はい。最後に今村さんが今大事にしている言葉を教えてください。
はい。私、出前講座の一番最後に必ず一人の千歩より千人の一歩という言葉をホワイトボードに書いて、それで締めるんですけれども、
財政課長がやっている頃に、当時3,000ぐらいある事業を全部財政課が見て査定をしていた。
1人で1,000も2,000も見て、もしそれを間違っていたらどうするんだ、うまくいかなかったらどうするんだ、それよりも1,000人2,000人、福岡市9,000人の職員が財政課あるいは市長と同じ方向、どっち向いているか知っていて、
その中で、じゃあ自分ができること判断、判断はこうなるよねというふうに、みんなが同じ方向を向いて、自分なりの一歩をそこそこで歩んでもらった方が絶対うまくいくし、確実に進むだろうと思うんですね。
この一人の千歩よりも千人の一歩という言葉を財政の話をするときは必ず締めくくりに話をさせていただいています。
これからも納税者として考えていきたいと思います。
よろしくお願いします。
ありがとうございました。
今日のチェンジメーカーは、自治体財政エヴァンジェリストの今村博さんでした。お相手は田中美月でした。
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