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2024-12-05 15:14

#29 WCAG 2.0 解説シリーズPart11「『ガイドライン2.2 十分な時間』とその達成基準」

WCAG 2.0「ガイドライン2.2 十分な時間」についてと、このガイドラインに関する達成基準を詳しく解説します。制限時間の調整や延長、例外規定を理解し、すべてのユーザーが十分な時間を確保して利用できるウェブサイトを目指します。また、スライドショーやアニメーション、自動更新情報のアクセシビリティ向上方法も紹介します。

ウェブ制作者にとって重要なポイントを簡潔にまとめた内容です。

参考:

ガイドライン 2.2: 十分な時間を理解する

https://waic.jp/translations/WCAG21/Understanding/enough-time.html

達成基準 2.2.1: タイミング調整可能を理解する

https://waic.jp/translations/WCAG21/Understanding/timing-adjustable.html

達成基準 2.2.2: 一時停止、停止、非表示を理解する

https://waic.jp/translations/WCAG21/Understanding/pause-stop-hide.html

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サマリー

本エピソードでは、ガイドライン2.2に基づく時間に関する達成基準が解説されています。ウェブユーザーがコンテンツを利用するために必要な時間を確保する重要性や具体的な対応方法に焦点が当てられています。また、WCAG 2.0のガイドライン2.2「十分な時間」についても触れられ、自動更新情報や動きのあるコンテンツに関する達成基準が解説されています。ユーザーが動作を一時停止、停止、または非表示にできるメカニズムの重要性も強調されています。

00:04
ゆみこ:こんにちは。チャコウェブラジオは、株式会社Cyber Catsが運営するチャコウェブのスタッフが、ウェブアクセシビリティやSNS運用など、ウェブに関するテーマについて楽しくお話しするポートキャストです。
進行を担当するゆみこです。よろしくお願いします。
みあ:みあです。よろしくお願いします。
ガイドライン2.2の紹介
ゆみこ:本日のテーマは、WCAG 2.0 解説シリーズPart11「『ガイドライン2.2 十分な時間』とその達成基準」です。
みあ:今回紹介するガイドラインには、レベルAAAのものを除くと、2つの達成基準が存在します。
そして、そのどちらもレベルAに指定されているんです。
ゆみこ:レベルAということは、基本的な対応として重要なものということですね。
ではさっそくですが、詳しく教えてください。
みあ:はい、それではまずはガイドラインについて、WCAG 2.0 解説書を見ていきましょう。
ガイドライン2.2「十分な時間」について、解説書には「利用者がコンテンツを読み、使用するために十分な時間を提供すること」と書かれています。
ゆみこ:端的で分かりやすいですね。ユーザーがコンテンツを利用するために必要な時間を十分に確保するよう求めるガイドラインなんですね。
みあ:はい、そうなんです。
ウェブユーザーの中には、さまざまな理由で利用時に十分な時間を必要とする人がいます。
例えば、操作に時間を要する運動障害のあるユーザーや、文章を読むのに時間を要する読字障害のあるユーザー、
情報を見つけたり、読んだりするのに時間を要するロービジョンのユーザーや、ウェブの操作に不慣れで時間がかかるユーザーなどが挙げられます。
こういったユーザーのために、このガイドラインでは制限時間を取り除くか、十分な追加の時間を提供することが求められています。
ゆみこ:なるほど。確かにさまざまな事情から、短い制限時間での利用が難しいというユーザーもいると思います。
このガイドラインでは、制限時間を取り除くか、十分な追加の時間を提供することが求められているんですよね。
一体どのように対応すれば良いのでしょうか?
みあ:はい、それは達成基準を見ていくと分かりますので、1つずつ確認していきましょう。
達成基準2.2.1の詳細
みあ:まずは、達成基準2.2.1「タイミング調整可能」です。
解説書では、「コンテンツに制限時間を設定する場合は、次に挙げる事項のうち、少なくとも一つを満たしている」と書かれています。
「次に挙げる事項」として挙げられているのは、「解除」「調整」「延長」という3つの対応方法と、「リアルタイムの例外」「必要不可欠な例外」「20時間の例外」という3つの例外です。
この6個のうち、少なくとも1つを満たしている必要があるんですね。
ゆみこ:うーん、6つですか。なんだかたくさん出てきましたね。
1つずつやっていく前に、1つ質問があります。コンテンツに制限時間を設定する場合というのは、具体的にどんなものが当てはまるんでしょうか?
みあ:よくあるのは、オンラインショップの決済などですね。「30分以内に決済が完了されない場合、カートの中身が空になります」といったものは、制限時間が設定されている例です。
それから、オンラインテストはわかりやすい例です。テストの制限時間が60分となっている場合、もちろん制限時間が設定されているということになります。
ゆみこ:わー、なるほど。そうやって聞くと、制限時間が設定されているコンテンツというのは、結構ありそうですね。
みあ:そうですよね。それでは、そういった場合に満たす必要のある事項について解説していきます。
まず1つ目は、「解除」です。これは、制限時間があるコンテンツを利用する際に、ユーザーがその制限時間を解除できるようにするという対応方法です。
ゆみこ:最初に制限時間を解除できるようにしてしまうんですね。
みあ:2つ目は、調整です。これは、制限時間のあるコンテンツを利用する際に、ユーザーが制限時間を調整できるようにする対応方法です。
標準設定時間の10倍を超える長さに調整できるようにする必要があります。
ゆみこ:10倍!例えば、通常3分の制限時間であれば、30分より長い時間に調整できるようにするということですね。かなり余裕のある設定ができるんですね。
みあ:通常の10倍より長い時間があれば、どのようなユーザーでも操作が可能だろうということで、このような設定になっているようです。
3つ目は、「延長」です。これは、制限時間が切れる前にユーザーに警告を表示し、ユーザーが操作を行うことで、制限時間を10倍以上に延長できるようにする方法です。
この時、2つのポイントがあります。1つ目は、スペースキーを押すなどの簡単な操作で延長できるようにする必要があるということです。
2つ目は、1つ目の簡単な操作を行うための時間をユーザーに20秒以上提供する必要があるという点です。
ゆみこ:ただ延長できるようにするだけではなくて、この2つのポイントが重要なんですね。
まとめると、制限時間が切れる前にユーザーに警告をして、延長するための簡単な操作を行う時間を20秒以上提供する。
そして、そこで延長できる時間は標準の制限時間の10倍以上であるということですね。
みあ:はい、そのようになりますね。残りの3つは例外事項です。こちらも見ていきましょう。
4つ目は「リアルタイムの例外」です。オークションのようなリアルタイムのイベントにおいて、制限時間が必須で代替手段がない場合は例外として扱われます。
ゆみこ:確かにオークションで公平性を保つためには、一人だけ制限時間を延ばすことはできませんね。
みあ:5つ目は「必要不可欠な例外」です。制限時間が不可欠なもので、制限時間を延長することがコンテンツの動作を無効にすることになる場合に当てはまります。
ゆみこ:制限時間を延長するとコンテンツの本質が変わってしまうような場合に適応されるんですね。
みあ:そして最後は20時間の例外です。「制限時間が20時間より」長い場合も例外として扱われます。
この20時間という数字は、1日に起きている時間よりも長いという理由から上限として設定されています。
ゆみこ:20時間もあれば十分だとされているということですね。
ここまでに6つの事項が出てきましたが、コンテンツに制限時間を設ける場合、この6つのうち1つ以上を満たす必要があるというのが達成基準2.2.1の内容なんですね。
みあ:はい、そうなんです。
達成基準2.2.2の概要
みあ:それでは次は達成基準2.2.2「一時停止、停止、非表示」についてやっていきましょう。
ゆみこ:この達成基準は第7回と第8回で前後編に分けて詳しくやりましたよね。
スライドショーなどの動くコンテンツは、ユーザーの注意を散漫にさせたり、読んでいる文章が途中で切り替わってしまったりする可能性があるので、ユーザーがタイミングを調節できるようにする必要があるという内容の達成基準だったと思います。
みあ:はい、その通りです。
詳しい内容を知りたい方は第7回、第8回を聞いていただくとして、ここではこの達成基準の内容をWCAG 2.0解説書に沿っておさらいしていきたいと思います。
ゆみこ:はい、お願いします。
みあ:達成基準2.2.2は、WCAG 2.0解説書の中で「動きのある、点滅している、スクロールする、又は自動更新する情報は、次のすべての事項を満たしている」と書かれています。
動き、点滅、スクロールの場合と、自動更新の場合に分けられ、それぞれで満たす事項が定められているんですね。
ゆみこ:動き、点滅、スクロールの場合、満たすべき事項はどのように書かれているんでしょうか。
みあ:「動きのある、点滅している、又はスクロールしている情報が、(1)自動的に開始し、(2)5秒よりも長く継続し、かつ、(3)その他のコンテンツと並行して提示される場合、利用者がそれらを一時停止、停止、又は非表示にすることのできるメカニズムがある。
ただし、その動き、点滅、又はスクロールが必要不可欠な動作の一部である場合は除く」と書かれています。
ゆみこ:書き方は難しいですが、内容自体は以前にやったものと同じですね。
みあ:はい、そうですね。動いたり、点滅したり、スクロールするコンテンツがユーザーの意図に関係なく、自動的に開始し、5秒よりも長く続き、なおかつ他のコンテンツと同時に画面に表示されている場合に、ユーザーによってその動くコンテンツを一時停止や停止、非表示にできる機能が必要だということです。
ゆみこ:はい、そうでした。ただし、動き、点滅、スクロールが必要不可欠な動作である場合は例外として扱われるんですよね。
その場合、3つすべてを満たしていても、一時停止などの機能は不要だったと思います。
みあ:はい、その通りです。
自動更新に関する基準
みあ:次に、自動更新の場合です。
こちらは解説書に、「自動更新する情報が、(1)自動的に開始し、(2)その他のコンテンツと並行して提示される場合、利用者がそれを一時停止、停止、もしくは非表示にする、又はその更新頻度を調整することのできるメカニズムがある。
ただし、その自動更新が必要不可欠な動作の一部である場合は除く」と書かれています。
ゆみこ:これは、リアルタイム情報が自動的に更新されるようなコンテンツが、自動的に開始し、他のコンテンツと同時に画面に表示されている場合は、ユーザーによってそのコンテンツを一時停止、停止、非表示、もしくは更新頻度を調節できる機能が必要だということですね。
こちらも、自動更新が必要不可欠な動作の一部である場合は例外でしたよね。
みあ:さすが、その通りです。
アニメーションなどの場合、5秒以下であればタイミング調節の機能は不要です。
反対に、ユーザーがタイミングを調節できるようにすれば、スライドショーや長めのアニメーション、自動更新するコンテンツも取り入れることができます。
ゆみこ:アニメーションなどの動きとウェブアクセシビリティを両立させることができるんですね。
みあ:そうなんです。今回紹介した2つの達成基準に基づいて制作すると、どんなユーザーにとっても利用しやすい、十分な時間を確保したウェブサイトにすることができます。
ゆみこ:少しややこしいですが、しっかり対応していきたい部分ですね。
本日のテーマは、「WCAG 2.0 解説シリーズPart11「『ガイドライン2.2 十分な時間』とその達成基準」でした。
お聞きいただきありがとうございました。
感想をいただけるととっても嬉しいです。
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