アホウドリの呼び名と生態
こんばんは、ひとりごとの時間です。 こんやは、アホウドリの楽園について話そうと思います。
ウミドリと聞くと、カモメやウミネコ、ベリカンやアホウドリなんかが思い浮かびます。 けれども、あのアホウドリという名前には、どこか間の抜けた響きもあって、少し気の毒に感じてしまうことがあります。
ただ、彼らには翼の王者という異名があり、英語ではアルバトロスと呼ばれています。 ゴルフをされる方なら思い当たるかもしれません。
あの滅多に出ないスコア、アルバトロスもアホウドリの飛行にあやかって名付けられたものなんです。 ゴルフは、球を遠くへ飛ばす競技です。
そのため、呼び名にも空を飛ぶ鳥との繋がりが重ねられてきました。 1打少ないバーディーはコトリ。
2打少ないイーグルはワシ。 そしてそのワシ王も上回る、3打少ないスコアに与えられたのがアルバトロスという名前です。
そんな風に風の魔術師とも呼ばれる彼らですが、 日本ではアホウドリという名前で知られています。
この呼び名は、過ごす場所によって印象が大きく異なることに由来すると言われているんです。
陸に降りたアホウドリは、お世辞にも器用とは言えません。 その翼は広げると3メートルにもなります。
空を飛ぶことに長けたその翼は、地上ではかえって扱いにくく、思うように動けないんです。
ヨチヨチと歩いたり、人をあまり怖がらずにのこのことを近づいてきたり、 時にはあの着地の際にドテッと転んでしまうことさえあります。
そんな様子にはどこか愛嬌さえ感じます。 そうした中で、人をあまり疑わずに近くまで来てしまう、
そのお人良しなところが、うめえような名前に繋がっていったのかもしれません。 空へ上がる時も、地面をかけて助走をつけたり、向かい風を待って味方につけたりと、
それなりの手間がかかります。 けれどひとたび空へ出てしまえば、印象はすっと変わります。
軽やかな骨格と大きな翼で、海の上の風を捉えながら、 ほとんど羽ばたくことなく進んでいきます。
何時間も、あるいは何百キロも、 滑るように飛び続けるその姿は、陸にいた時の様子が思い出せないほどです。
場所が違えば、アホーと笑われてしまうこともある。 それでも、自分に合った場所にいれば、他では見せない姿を見せてくれます。
そんなアホ踊りの姿は、自分に合った場所を見つけることの大切さを、どこかで教えてくれている気がします。
アホウドリの絶滅危機と再生
ただ、そんな彼らにも見過ごせない出来事がありました。 かつて日本の近海には、数百万羽とも言われるアホ踊りが暮らしていたんです。
しかし明治の頃から、羽毛を目的とした乱獲が続き、 その数は急速に減っていくこととなります。
お人よしとも言える警戒心の薄さや、すぐに飛び立てない不器用さ、 こういったものが人にとって格好の標的となってしまいました。
さらに仲間が襲われると、心配してそばへと集まってきてしまうことがあるんです。 その仲間思いの習性も、かえって被害を広げていきました。
こうして、かつて大海原を自在に渡っていた鳥たちは姿を消し、 世界でも一旦は絶滅したのではないかと考えられるほどまで減っていきます。
ところが、この物語には続きがありました。
わずかに生き残っていた数羽が、鳥島で見つかったんです。
アホーと呼ばれるほどのお人よしさゆえに、一度は居場所を失いかけた彼らですが、 その後多くの人の手で少しずつ守られてきました。
今では再びその大きな翼で空をゆっくりと舞う姿が見られるようになってきました。
鳥島と漂流者の物語
それではここで一曲。
めぐり
お湯を沸かして
熱い湯気の向こうに
今日の光が差し込む
靴ひも結んで
ドアを開けたら
いつもの角に新しい花が咲いてた
めぐり
明日へ続く
やさしい街を繋いで
心ほかほか
暖かくなるね
幽霊の道を大事に抱きしめて
やさしい心を
かつて数百万羽がひしめき合い、そしてあの一度は静まり返ったアホードリの楽園。
それが東京から600キロほど離れた伊豆諸島の南にポツンと浮かぶ島、鳥島です。
この島はアホードリの楽園として知られる一方で、多くの漂流者が流れ着き、命を繋いできた場所でもあるんです。
この島には古くから数え切れないほどの漂流の記録が残されています。
10年、20年という長い年月を島で過ごし、自ら船を作って帰り着いた人もいました。
また先人の残した木の跡や洞窟を頼りに、何とか命を繋いだ人たちもいたといいます。
そうした話の中でもよく知られているのが中浜万次郎のことです。
後にジョン万次郎と呼ばれることになるこの少年は、14歳の時仲間とともにトサの海へ漁に出ます。
しかしあのそこで嵐に遭ってしまい、黒潮に流されてしまいます。
命からがらたどり着いたのがこの鳥島でした。
彼らの命を繋いだのは皮肉にも人をあまり疑うことがなかったアホオドリたちでした。
限られた食料の中で島での暮らしを何とか繋ぎながら長い日々を絶えし抜きます。
その後140日余りを経て偶然立ち寄ったアメリカの捕鯨船に助けられたことで、万次郎の道は大きく開けていきます。
船長にその聡明さを見込まれた彼は仲間がハワイに留まる中、一人でアメリカへ渡ることを選びました。
鳥島にたどり着いた少年が思いがけず異国へと足を踏み出すことになったのです。
そうして万次郎が新しい時代へと歩み出した後、この鳥島のありようもまたゆっくりと変わっていきます。
鳥島の変遷と再生
かつて生き延びるためにたどり着いた場所だったこの島には、やがて生きるためではなく奪うために訪れる人々が現れるようになります。
島を埋め尽くしていたアホ鳥たちは、いつしか富を生むものとして見られるようになり、穏やかだった風景も少しずつ姿を変えていきました。
けれどそのままの状態が続くことはありません。
やがて火山の大噴火が繰り返され、島にいた人々はそこを離れざるを得なくなります。
人が助けを求めてたどり着き、やがて人が欲を持ち込み、そして人が島を離れていった後、この場所は今、改めて鳥たちの住処として静かに戻りつつあるようです。
今夜はアホ鳥の楽園について話しました。
それではまた次回。