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2023-05-11 13:40

読書ラジオ『絶叫』葉真中顕

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こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書ログや日々の学びを音声配信しています。
今日は、葉真中顕さんの絶叫という本について話してみようと思います。
マンションで孤独死体となって発見された女性の名は鈴木陽子。
刑事の綾乃は、彼女の足跡を追うほどにその壮絶な反省を知る。
平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ。
たどり着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは。
ミステリー、社会派サスペンス、エンターテイメント。
小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作。
ということで、前回の配信ロストケアに続き、葉真中顕さんの絶叫という本の話をしてみようと思います。
これはですね、現代社会の闇を照射するノンストップエンターテイメント。
一気読み確実の社会派エンターテイメントということで、OBにはすごい賞賛のコメントが傑作だというふうに書いてあります。
間違いないですね。
先日ゴールデンウィークで京都と奈良に旅行に行ってたんですけど、帰りの新幹線の中でも一気に読みました。
もう一度も休憩することなく、トイレに立つこともなく、奈良区の先に待つあなたの自由ということで、
この小説は序評家の方がすごいいいコメントされてるなと思うんですけど、
凡庸な女の転落人生の向こうに、思いもよらない自由が広がっている。
この黒い開放感、忘れられないということで、自由がテーマなんですよね。
この小説の面白いところは、主人公は鈴木陽子さん。
まずこの方がマンションで孤独死体、生産な孤独死体となって発見されるところから始まるんですね。
この鈴木陽子がどうやって孤独死に至ったのかっていうのを、ずっと幼少期から紐解いていく小説になります。
その中で出てくる無縁社会とか、ブラック企業とか、壮絶な人生が明らかになっていく。
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その明らかにしていくのが、刑事の綾野になります。
綾野は鈴木陽子と同世代で、シングルマザーで、一度結婚して刑事を辞めたんだけれども、出戻りでもう一度刑事になっているということで、同じ女性、同世代ということで、
鈴木陽子と同じ時代を生きた女性なんですよね。
だから、鈴木陽子の人生をなぞっていくうちに、二人の女性の人生を見ているような進め方になっていきます。
さらに、この絶叫という小説は、綾野の視点と、陽子の視点と、その事件に関わる関係者の証言によって構成されているんですけど、
その中で陽子の視点で語られるパートは、必ず最初、陽子から始まるんですよ。
つまり、第三者が陽子に語りかける進め方になるんですね。
陽子、あなたは何々みたいな。
その第三者って誰なんだっていうところが最後まで謎です。
それがですね、陽子の視点、陽子に語りかける第三者の視点、刑事の綾野の視点で、証言者関係者の関係者の関係者に関わるんです。
この第三者の証言ということで、複数の視点からこの陽子の人生を明らかにしていく。
かなり厚みのある構成で、この物語は進んでいきます。
なぜ陽子が死んだのかっていうところが最大の謎。
その死に至っていくところまでの転落人生。
コロコロと転落していくのかと最初思うんですけれども、どんどん笑えなくなっていくんですよね。
セーフティーネットがないだとか、時代の高度掲載性長期からバブルが崩壊する東日本大震災があるところまでが、
この陽子さんの人生なんですけれども、失われた30年ってやつですよね。
呪われたようにこの鈴木陽子さんは、どんどん転落していく。
そして犯罪に関わっていくっていうことになります。
この小説の一番大きなテーマとしては自由っていうものがありますね。
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この自由っていうのが何なのか私なりに考えてみたんですけれども、
この小説の中で出てくる登場人物が陽子に対してあるセリフを言うんですね。
これがとてもこの自由というものに対して明快に説明している一文なのかなと思うので、ちょっと読んでみます。
そもそもこの世界はまともなのか?どう生まれてくるかも?どう育つかも?どう考えるかも?どう生きるかも?
何一つ選べずに全部ただ降ってくるだけの自然現象なのに、幸せだの?不幸だの?
のたうちまわる人間の世界にまとももへったくれもあるのか?
つまり、私たちって自分で自分の人生を選択して、自分なりに自分の人生を自由に、自分が決めて自律的に生きていると思っている。
もしくは思いたいんだけれども、本当にそうなのかっていうことを言ってるんですよね。
全部ただ降ってくるだけの自然現象なのに、幸せとか不幸とか、息中してのたうちまわっている人間。
人間はただ降ってくるだけの自然現象。そうじゃないの?って言ってるんですよね。
そんな世界に自由なんて本当にあるのか?ってことですね。
でもその中で陽子は自分なりの自由を見つけて戦っていくんですよね。
その自由がこの世の中の倫理観だったり正義に対して照らし合わせた時に、それは正しい選択なのかどうなのかっていうのはまた別の話として、
この女性が自然現象であるこの世の中、壮絶な人生の中に自分の自由を見つける。
出した答えは一体何だったのかっていうのがこの小説の中の最後、クライマックスのところでやっとわかるという話です。
いやーなんかこれうまく言えてない気がするなぁ。でもこれうまく言っちゃうと全部ネタバレになっちゃうから。
これから読む人の面白みをかなり祝っちゃうことになるんですよね。
なんか毎回この配信では言ってる気がしますけど、絶対読んだ方がいいと思います。
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すごい分厚い本ですけど、一気に読めるので、本当によそ見する暇がないジェットコースターのような小説です。
読んだ方がいいですね。
この小説っていうのは浜中明さんが鈴木陽子の人生における出来事を全部設定して、こういう出来事とこういう出来事とこういう出来事があって、
そもそもこういう父と母から生まれて、という鈴木陽子さん、平凡な女性っていうのを仮定した時に、
この人がどういう人生を歩んでいくかって、必然的にこうなるだろうというような鈴木陽子の人生を浜中明さんが書いてるんですよね。
それは小説だから、それはそうだろうって思うんですよ。
確かにこういう境遇で、そういう親から生まれた、そういう性格の陽子さんだったら、こうなっちゃうかもなって読んでるんですけど、
じゃあ自分の人生に照らし合わせた時に、何が違うのかってことですよね。
私も父と母から生まれて、こういう家族で、こういう育て方をされた時に、こういう出来事に出会って、自分が選択を迫られた時に、そもそもどういう選択肢が私にあったのかと。
その中で私がどういう選択をするのかって、自分で選んでいるようで、もうそれを選ばされているような、そんなことなのかもしれないなって、自分の人生のこともちょっと思ったりするんですよ。
なので途中それに気づき始めた時に、とてもフィクションのミステリー小説と思えない、かなり自分の人生にもどこか共通する部分が出てくるような気がしていて、
さらにこの浜中昭さんの巧妙な小説の中に、ちらほら出てくるリアリティさですよね。実際に起きた東日本大震災とかバブルの崩壊、そういったものを、この鈴木陽子の人生の中にも反映させているので、そこにまたリアリティが出てくる。
浜中昭さんというのは男性なんですけれども、女性の気持ちをとてもよくわかっているんですよね。なぜか。すごい取材されている方なのかもしれないんですけど、そこで出てくる女の世界の意地悪な部分だったり、
男性に翻弄されてしまう弱い部分、男性社会に食い物にされてしまう女性を描く、そこへのリアリティさみたいな、リアルさがこの小説の随所にあるので、
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本当にこれはフィクションなのかと思ってしまうような、リアルな怖さとか不気味さのあるミステリー小説ですね。
一番面白いのは、これ言っちゃうとネタバレになるのか、ミステリーなので巧妙に仕掛けられたトリックっていうのもあるんですよね。そこに繋がっていく伏線っていうのも随所にあります。
それを見つけながら、自分で推理しながら読んでいくんですけれども、500何ページあたりで、私はこういうことなのかもしれないって分かったような気がしたんですよね。
でも最後まで読んだ時におわずれしているという、やっぱり浜中あきさんには勝てないなっていう感じで小説を終わりました。
本当にちゃんとうまく説明できているような気がしないんですけど、読んでみてほしい。
今日は浜中あきさんの絶叫という小説について話してみました。
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今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。ではでは。
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