1. ゆうこ|読書ラジオ
  2. 朗読ラジオ『羅生門』芥川龍之介
2024-01-05 23:30

朗読ラジオ『羅生門』芥川龍之介

タイトル
ある日の暮方の事である
作者はさっき、
下人は大きな嚏をして
下人は守宮のように足音を盗んで
下人の眼は、その時、はじめて
下人には、勿論、何故老婆が
下人は、老婆をつき放すと
下人は、老婆の答が存外
きっと、そうか。

いつも聴いていただきありがとうございます。
ケヤンさんとの読書会「早起きの読みっぱなし」の課題本『羅生門』を朗読してみました。目で読む、声に出して読む、ではまた違った味わいがあり面白かったです

以下、言い訳w
イントネーションがちょいちょいオカシイwそれにちょいちょい噛んでるw発声してるが拾われない音もあるw練習なしのファーストテイクなのでお許しください🙇(何回もやると飽きるのよ…)

⭐︎本紹介
羅生門 芥川龍之介(青空文庫)
https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/127_15260.html

⭐︎自己紹介
https://stand.fm/episodes/63c3432660a5d6684a4fd590

#読書 #読書ラジオ #読書感想
#朗読
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/63650fb3b4418c968ddbd7ab
00:07
羅生門
芥川龍之介
ある日の暮方のことである。
一人の下人が、羅生門の下で、雨止みを待っていた。
広い門の下には、この男の他に誰もいない。
ただ、所々にぬりの剥げた大きな丸柱に、
ギリギリツが一匹と待っている。
羅生門が、須作王子にある以上は、
この男の他にも、雨止みをする。
一目傘や、もみえい星が、もう二、三人はありそうなものである。
それが、この男の他には誰もいない。
なぜかというと、この二、三年、
この二、三年、京都には、地震とか、辻風とか、火事とか、黄銀とかいう災いが続いて起こった。
そこで、落柱のさびれ方は一通りではない。
旧記によると、仏像や仏具を打ち砕いて、
その荷がついたり、金銀の箔がついたりした木を、
炉端に積み重ねて、焚木の城に売っていたということである。
落柱がその始末であるから、
羅生門の修理などは、元より誰も捨てて、帰り見る者がいなかった。
すると、その荒れ果てたのを良いことにして、
懲りが済む、盗人が済む。
とうとうしまいには、
引き取り手のない死人を、この門へ持ってきて捨てていくという習慣さえできた。
そこで、日の目が見えなくなると、
誰でも気味を悪がって、この門の近所へは足踏みをしないことになってしまったのである。
その代わり、またカラスがどこからかたくさん集まってきた。
昼間見ると、そのカラスが何話となく輪をかいて、高いしびの周りを泣きながら飛び回っている。
ことに、門の上の空が夕焼けで赤くなる頃には、それがゴマを撒いたようにはっきり見えた。
カラスはもちろん、門の上にある死人の肉をついばみに来るのである。
もっとも、今日は黒原が遅いせいか一羽も見えない。
ただ、ところどころ崩れかかった。
そうして、その崩れ目に長い草の生えた石段の上に、カラスの糞がてんてんと白くこびりついているのが見える。
03:08
下人は、七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺の青の尻を据えて、
右の頬にできた大きなニキビを気にしながら、ぼんやり雨の降るのを眺めていた。
作者はさっき、下人が雨止みを待っていたと書いた。
しかし、下人は、雨が止んでも、画物どうしようというあてはない。
普段ならもちろん、主人の家へ帰るべきはずである。
ところが、その主人からは、四、五日前に暇を出された。
前にも書いたように、当時京都の街は一通りならず水日していた。
今、この芸人が長年使われていた主人から暇を出されたのも、実はこの水日の小さな余波にほかならない。
だから、下人が雨止みを待っていたというよりも、
雨に降り込まれた下人が行きどころがなくて、途方に暮れていたという方が適当である。
その上、今日の空模様も少なからず、この平安町の下人のセンチメンタリズムに影響した。
猿のコクサガリから降り出した雨は、いまだに上がる景色がない。
そこで下人は、何を置いても差し当たり、明日の暮らしをどうにかしようとして、
いわばどうにもならないことをどうにかしようとして、取り留めもない考えを立てた。
雨は羅生門を包んで、遠くからザーッという音を集めてくる。
夕闇は次第に空を低くして、見上げると門のようなものが見えた。
下人は、何を置いても差し当たり、明日の暮らしをどうにかしようとして、
いわばどうにもならないことをどうにかしようとして、取り留めもない考えを立てた。
見上げると、門の屋根が、車に突き出したイラカの先に、重たく薄暗い雲を支えている。
どうにもならないことをどうにかするためには、手段を選んでいる人間はない。
選んでいれば、杖地の下か道端の土の上で飢え死にをするばかりである。
そうして、この門の上へ持ってきて、犬のように捨てられてしまうばかりである。
選ばないとすれば、下人の考えは何度も同じ道を抵戒してあげくに、やっとこの局所へ到着した。
06:01
しかし、このすればはいつまで経っても結局すればであった。
下人は手段を選ばないということを肯定しながらも、このすればの肩をつけるために、
当然その後に来るべき盗人になるより他に仕方がないということを積極的に肯定するだけの勇気が出ずにいたのである。
下人は大きな臭めをして、それから大義相に立ち上がった。
夕日へのする京都はもう日よけが欲しいほどの寒さである。
風は門の柱と柱との間を夕闇とともに遠慮なく吹き抜ける。
荷塗りの柱に留まっていた桐々子ももうどこかへ行ってしまった。
下人は首を縮めながら山吹きの風見に重ねた紺の青の肩を高くして門の周りを見回した。
雨風の憂えのない、人目にかかる恐れのない、一晩楽に寝られそうなところがあれば、そこでともかくも夜を明かそうと思ったからである。
すると、門の上の高堂の上へ登る幅の広い、これも荷を塗った梯子が目についた。
上なら人がいたにしてもどうせ死人ばかりである。
下人はそこで腰に下げた肘塚の太刀がさやば知らないように気をつけながら、
藁通りを履いた足をその梯子の一番下の段へ踏みかけた。
それから何分かの後である。
羅生門の高堂の上へ出る幅の広い梯子の中段に一人の男が猫のように身を縮めて息を殺しながら上の様子を伺っていた。
高堂の上から射す火の光がかすかにその男の右の頬を濡らしている。
短い髯の中に赤く梅を持ったニキビのある頬である。
下人は初めからこの上にいる者は死人ばかりだと鷹をくくっていた。
それが梯子を二三段登ってみると上では誰か火を灯してしかもその火をそこごこと動かしているらしい。
俺はその濁った黄色い光が隅々に雲の巣をかけた天井裏に揺れながら映ったのですぐにそれと知れたのである。
09:11
この雨の夜にこの羅生門の上で火を灯しているからはどうせただのものではない。
下人はやもりのように足跡を盗んでやっと急な梯子を一番上の段まで這うようにして登りつめた。
そうして体をできるだけ平らにしながら顎をできるだけ前へ出して恐る恐る鷹殿の内を覗いてみた。
見ると鷹殿の内には噂に聞いた通りいくつかの死骸が無造作に捨ててあるが、
火の光の及ぶ範囲が思ったより狭いので数はいくつともわからない。
ただおぼろげながら知れるのはその中に裸の死骸と着物を着た死骸とがあるということである。
もちろん中には女も男も混じっているらしい。
そうしてその死骸は皆、それがかつて生きていた人間だという事実さえ疑われるほど、
土をこねて作った人形のように口を開いたり手を伸ばしたりしてゴロゴロ床の上に転がっていた。
しかも肩とか胸とかの高くなっている部分にぼんやりした火の光を受けて、
低くなっている部分の影を一層暗くしながら永久に推しのごとく黙っていた。
下人はそれらの死骸の不乱した周期に思わず鼻を覆った。
しかしその手は次の瞬間にはもう鼻を覆うことを忘れていた。
ある強い感情がほとんどことごとくこの男の周期を奪ってしまったからだ。
下人の目はその時、初めてその死骸の中にうずくまっている人間を見た。
日和田色の着物を着た背の低い女の子。
その老婆は右の手に火を灯した松の木切れを持って、
その死骸の顔を覗き込むように眺めていた。
髪の毛の長いところを見ると、たぶん女の死骸であろう。
下人はその死骸の顔を覗き込むように眺めていた。
髪の毛の長いところを見ると、たぶん女の死骸であろう。
下人は六分の恐怖と四分の好奇心とに動かされて、
残児は息をするのさえ忘れていた。
12:05
旧期の汽車の子を借りれば、頭身も毛も太るように感じたのである。
すると老婆は松の木片を床板の間に刺して、
それから今まで眺めていた死骸の首に手をかけると、
ちょうど猿の親が猿の子の白身を取るように、
その長い髪の毛を一本ずつ抜き始めた。
髪は手に従って抜けるらしい。
その髪の毛が一本ずつ抜けるのに従って、
下人の心からは恐怖が少しずつ消えていった。
そうしてそれと同時に、この老婆に対する激しい憎悪が少しずつ動いてきた。
いや、この老婆に対するといっては語弊があるのかもしれない。
むしろあらゆる悪に対する反感が一分ごとに強さを増してきたのである。
この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男が考えていた
飢え死にをするか盗人になるかという問題を改めて持ち出したら、
おそらく下人は何の未練もなく、賢しを選んだことであろう。
それほどこの男の悪を憎む心は、
老婆の床に刺した松の木切れのように、勢いよく燃え上がり出していたのである。
下人にはもちろんなぜ老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。
したがって合理的にはそれを善悪のいずれに片付けてよいか知らなかった。
しかし下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で死人の髪の毛を抜くということがそれだけですでに許すべからざる悪であった。
もちろん下人は、さっきまで自分が盗人になる気でいたことなどは、とうに忘れていたのである。
そこで下人は両足に力を入れて、いきなりはしごから上へ飛び上がった。
そうしてひじり塚の太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩み寄った。
老婆が驚いたのは言うまでもない。
老婆は一目下人を見ると、まるで石ゆめにでも弾かれたように飛び上がった。
己どこへ行く、下人は老婆が死骸につまずきながら慌ててふためいて逃げようとする行く手を塞いでこう罵った。
15:05
老婆はそれでも下人を突き抜けて行こうとする。
下人はまたそれを生かすまいとして押し戻す。
二人は死骸の中でしばらく無言のままつかみ合った。
しかし勝敗ははじめからわかっている。
下人はとうとう老婆の腕をつかんで、無理にそこへねじたわけだ。
ちょうど鶏の足のような骨と皮ばかりの腕である。
何をしていた?
言え、言わぬとこれだぞよ。
下人は老婆を突き放すといきなり太刀の鞘を払って、白い鋼の色をその目の前へ突きつける。
けれども老婆は黙って両手をわなわな震わせて、肩で息を切りながら、目と目玉がまぶたの外へ出そうになるほど見開いて、
推しのように執念深く黙っている。
これを見ると下人は、
そうしてこの意識は今まで険しく燃えていた憎悪の心をいつの間にか覚ましてしまった。
しかし老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
老婆は、
どうしようというようなことはない。
ただ、今自分、この門の上で何をしていたのだか、
それを俺に話さえすればいいのだ。」
すると老婆は、見開いたいた目を一層大きくして、
じっとその下人の顔を見守った。
まぶたの赤くなった肉食蝶のような鋭い目で見たのである。
それから、シワでほとんど鼻と一つになった唇を、
何か物でも噛んでいるかのように動かした。
細い喉で尖った喉ぼとけの動いているのが見える。
18:00
その時、その喉から、カラスの鳴くような声が、
あえぎあえぎ、下人の耳へ伝わってきた。
この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、
カズラにしようと思ったのじゃ。
下人は老婆の答えが存外、平凡なのに失望した。
そうして失望すると同時に、
また前の象が冷ややかなブベツと一緒に心の中に入ってきた。
すると、その景色が先方へずも通じたのであろう。
老婆は片手に、まだ死骸の頭から奪い取った長い抜け毛を持ったなり、
ひきながらつぶやくような声で、口ごもりながらこんなことを言った。
なるほどな、死人の髪を抜くということは難貌悪いことかもしれぬ。
じゃが、ここにいる死人どもは、
みなそのくらいなことをされてもいい人間ばかりだぞよ。
現在、わしが今髪を抜いた女だのはな、
蛇をシスンばかりに切って干したのを、
干し魚だと言うて、縦脇の陣へ売りにいんだわ。
嫌味にかかって死ななんだら、今でも売りに住んでいたことであろう。
それもよ、この女の売る干し魚は、味が良いと言うて縦脇どもが、
欠かさず裁量に使っていたそうな。
わしはこの女のしたことが悪いとは思うていぬ。
せねばガシをするのじゃて、仕方なくしたことであろう。
されば、今またわしのしていたことも悪いこととは思わんぞよ。
これとてやはりせねばガシをするじゃて、仕方なくすることじゃわいの。
じゃて、その仕方がないことをよく知っていたこの女は、
おおかたわしのすることも多めに見てくれるであろう。
老婆はだいたいこんな意味のことを言った。
下人は太刀を鞘におさめて、その太刀の束を左手でおさえながら、
冷然としてこの話を聞いていた。
もちろん、右の手では赤く頬に海を持った大きなニキビを気にしながら聞いているのである。
しかし、これを聞いている中に、下人の心にはある勇気が生まれてきた。
それは、さっき門の下でこの男には欠けていた勇気である。
21:01
そうして、またさっきこの門の上へのぼって、
この老婆をつかまえたときの勇気とは全然反対の方向に動こうとする勇気である。
下人は、ガシをするかぬすっとになるかに迷わなかったばかりではない。
その時のこの男の心持ちから言えば、ガシなどということはほとんど、
考えることさえできないほど意識の外に追い出されていた。
きっとそうか。
老婆の話が終わると、下人をあざけるような声で念をした。
そうして、一歩前へ出ると、
ふいに右の手をニキビから離して、老婆の襟髪をつかみながら噛みつくようにこう言った。
では、俺が引き上げをしようと恨むまいな。
俺もそうしなければ、ガシをするからだなのだ。
下人は素早く老婆の着物をはぎ取った。
それから足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴り倒した。
ハシゴの口までは、わずかに五歩を数えるばかりである。
下人は、はぎ取ったひわだ色の着物を脇にかかえて、
瞬く間に急なハシゴを夜の底へかき降りた。
しばらく死んだように倒れていた老婆が、
死骸の中からその裸の体を起こしたのは、それから間もなくのことである。
老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、
まだ燃えている火の光を頼りにハシゴの口まで這って行った。
そうしてそこから、短いしらがを逆さまにして門の下を覗き込んだ。
外にはただ、黒灯とおたる夜があるばかりである。
下人の行方は誰も知らない。
23:30

コメント

スクロール