00:04
スピーカー 2
アイテム番号 SCP-1960-JP
スピーカー 1
オブジェクトクラス ユークリッド
特別収容プロトコル
スピーカー 2
SCP-1960-JPに埋め込まれたGPS装置の信号を受信した場合、近隣サイトから臨時機動部隊が出動します。
スピーカー 1
可能ならば、機動部隊の隊員1名が対象となり、異世界の調査を行ってください。
スピーカー 2
もし民間人が対象となった場合は、帰還後にその対象を近隣サイトに移送し、そこでSCP-1960-JPに関する聞き取り調査を行ってください。
スピーカー 1
聞き取り調査が終了した後は、記憶処理を施し、解放してください。
SCP-1960-JPの転移現象を目撃した民間人にも記憶処理を施し、対象が帰還するまで付近に監視網を敷いてください。
スピーカー 2
説明
スピーカー 1
SCP-1960-JPは異世界転移能力を持つ1匹の家猫です。
スピーカー 2
体長は約60cm、黒毛で覆われ、老化の兆候を一切示しません。
SCP-1960-JPはその生活時間の大半を異世界で過ごしています。
スピーカー 1
その異世界との行き来を行うことができるのは、現在のところSCP-1960-JPとSCP-1960-JPに接触していた人物以下対象と表記のみです。
SCP-1960-JPは出現すると周囲の人間1人に接近し、脚部に体を擦らせながら円を描くような動作を行います。
これに対し人間が行動を起こさずおよそ5秒ほど待機すると、SCP-1960-JPは転移現象を引き起こします。
転移現象によりSCP-1960-JPと対象は異世界に移動し、その後あらゆる手段をもってしても現実世界との連絡が取れなくなります。
転移先の異世界は全体的に平坦な島と海で構成され、現実世界と同一の大気に満たされている無人の空間です。
スピーカー 2
SCP-1960-JPが転移する先は、後述するSCP-1960-JP1が設現してある不動です。
スピーカー 1
転移後すぐにSCP-1960-JPは対象のズボンの端や靴を噛みながら引っ張ることで、SCP-1960-JP1内へ対象を誘導するような行動を取ります。
スピーカー 2
対象がSCP-1960-JPから5メートル以上離れると、対象は自動的に現実世界へ戻ります。
03:07
スピーカー 1
この特性のため、対象が不動とSCP-1960-JP1以外の場所を広範囲に探索することは困難です。
スピーカー 2
また、異世界に存在する物品を現実世界に持ち帰る試みは現在までのところ成功していません。
スピーカー 1
SCP-1960-JP1は異世界に存在する大型船舶ムエートです。
全長およそ50メートル、全幅およそ15メートルの木造船で、フランスの戦列艦として1795年まで運用された後、老朽化のため一線を退き、
スピーカー 2
老朽種輸送のための回送を施されていたことが歴史的資料から判明しています。
その後の経歴については調査中であり、どのような経緯で異世界の不動に接近するまでに至ったかは未だ詳しいことが分かっていません。
スピーカー 1
SCP-1960-JP1は不動から船橋号を通って入出可能です。
SCP-1960-JP1内部に抗原は存在せず、人間による運用・整備が行われていない期間が長く続いたことによる腐食・損壊が見られます。
SCP-1960-JP1内部は主に3つの階層に区分され、第2階層はさらに複数の牢獄によって区分されています。
スピーカー 2
詳細な船内構造の資料はこちらのページを参照してください。
スピーカー 1
SCP-1960-JP1は対象を最終的に各階層を通過した後、第1階層のエリア1-Y-蒸気資料参照まで誘導します。
スピーカー 2
エリア1-Yは一般の船員が利用していたと考えられている部屋で、人間由来の液体や骨が散乱しているほか、船員が記したと思われる文書類が多数発見されています。
また、この部屋には現在までのところ唯一、SCP-1960-JP1の船員であったと思われる人物の遺体が発見されています。
スピーカー 1
SCP-1960-JP1はこの遺体まで対象を誘導すると、以降対象との積極的な接触を行わなくなります。
遺体の周囲には膨大な数のドブネズミの死骸が散乱しています。
スピーカー 2
SCP-1960-JP1がこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミと遺体との因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。
スピーカー 1
保位1 登録までの歴史
06:00
スピーカー 1
SCP-1960-JP発見以前より、年に3から5回にわたり原因不明の失踪事件が相次いでいました。
失踪した人物は全員数分から数十分で帰還し、全員が同様の場所に転移した旨の証言をしたことで財団の注意を引きました。
より詳細な聞き取り調査の結果、全員が失踪直前に黒猫と接触していたことが判明し、この黒猫によって異常が引き起こされている可能性があるとして幼虫異生物に指定されました。
失踪した人物間に何らかの有力な共通点が確認できなかったため調査は難航しましたが、1990年4月23日にフィールドエージェントの一人が対象となり一時失踪、2時間後に帰還したことで初めてSCP-1960-JPが報告されることになりました。
その後、潜伏エージェントが同様に対象となり、SCP-1960-JPに関する複数の資料の回収に成功したことで正式なSCPオブジェクトとして登録されることが決定しました。
それ以降、GPS装置を取り付ける試みが実施され、2010年3月22日にGPS装置埋め込みに成功したことで現在のプロトコルが制定されました。
②発見された資料
異世界で発見された資料はその場で撮影された後、対象の期間後に精査・文書データ化され、以下に添付されます。
ただし、乱文や意図不明な単語の羅列のみで構成される資料は省かれます。
すべての資料の原文版を閲覧したい場合は、こちらのページを参照してください。
スピーカー 2
SCP-1960-JP-1 入口前の縦板に記された文書
スピーカー 1
概要
以下の文書はSCP-1960-JP-1の入口前の縦板に書かれていたものです。
スピーカー 2
艦隊司令部とSCP-1960-JP-1との関連性は現在までのところ不明です。
スピーカー 1
閉鎖界面
第1716番保存船ムエット
乗るものなき哀れな船よ、せめて安らかに眠れ。
スピーカー 2
艦隊司令部
スピーカー 1
フロア1Mから回収された文書
概要
フロア1Mから回収された文書です。
フロア1Mの出入口には医務室と記されていたこと
フロア1Mの出入口には医務室と記されていたことと、文書の内容からSCP-1960-JP-1に乗船していた船員の一人が筆者であると推測されています。
当該文書はSCP-1960-JP-1における医療関連の文書として非常に重要な資料として扱われています。
09:08
スピーカー 2
また、SCP-1960-JP-1内の探索が試みられるようになってから初めて発見・回収に成功した文書でもあります。
1809年9月5日
スピーカー 1
出港から3日、この船で初めての病人が出た。
症状は発熱、嘔吐、異常な発汗、そして意識混濁。
およそ船乗りがかかる典型的な症状を示している。
もし船員に症状が広がることがあれば大惨事になりかねないため、
スピーカー 2
医務室へ一時的に移動させ、少量の…突血になるのかなこれ?
スピーカー 1
射血。治療の目的で患者の腸脈血の一部を体外に除去すること。全然違った。
少量の射血を行ったが、症状回復の兆候はなし。
一時的に様子を見、いよいよ持って絶望的ならば海に投げ捨てよ、と船長からのお達しである。
今までいくつかの船に乗ってきたが、ここまで早くに病人が出るのは初めてのことである。
早急な原因解明が必要である。
1809年9月9日
出港から1週間、囚人間で体調不良を訴える者が続出している。
現在、当船にいる医者は数少なく、全員の面倒を見るのは不可能である。
スピーカー 2
様子を見て、症状が悪い者は処分する。
スピーカー 1
前日までうなされていた病人はすでに処分済みである。
船員たちには牢獄の近くにできる限り近づかないように警告した。
船員たちの動揺が長い後悔における最大の敵となるのである。
日付未起入
病人の増加速度、ネズミの増加速度、ともに異常。
1809年9月13日
出港から11日、船長が倒れた。
船員にも体調を崩し、職務を従前に行えない者が続出している。
もはや船員が対処できる範囲を有に超えているのが現状である。
船長及び航海庁には船が動かせなくなるより前に近くの港へ一時的に避難した方がいい旨を伝えた。
船長は検討するとだけ答えたが、あの調子では今後まともな判断を下せるかも疑問である。
船長の症状についてはおおむね当選で初期に出た病人の症状と一致している。
スピーカー 2
繊維として感じた疑問点は、船長が囚人とほとんど接触せず、当選で受けられる最高の食事、最高の生活環境を賜っていたにも関わらず囚人と同様の病を発症したことである。
12:10
スピーカー 1
もし囚人の病と船長の病が同様のものなら、船長も長くは持たない。
もし船長が亡くなれば、当選を統率し目的地に導ける者はいなくなる。
今までは船員にできる限り囚人たちの死を包み隠し、船員に動揺を起こさせないようにしてきた。
だが船長の死はさすがに隠し通せるものではない。
もし船長が死んだとわかれば、生き残っている囚人は直ちに暴動を起こすだろう。
船員だって、もしかしたらこの労働環境に嫌気が差して囚人たちと同調するかもしれない。
船長にはできる限り精神を強く持ってもらい、射血ともう数少ない果実を摂取することによる回復を祈る以外にない。
かく言う私も、昨日から体調が優れない。
もし症状が悪化するならば、私も覚悟を決めなければならない。
1809年9月20日
出港から18日
スピーカー 2
おそらく。
私が生きているのか、それとも死んでいるのかわからない。
スピーカー 1
ここはどこなのかわからない。
陸は見えない。
気づかない間に病室の窓は大変に汚れ、ひび割れてしまっている。
スピーカー 2
どうやら私が眠っている間に、とても長い時間が経ってしまったように感じる。
スピーカー 1
私の生命はもはや絶望的である。
ベッドの横には、射血によって排出された、
おそらく私のドス黒い汚れた血が溜まったバケツが置いてあった。
スピーカー 2
私がそれをした記憶がないので、他の繊維が私が寝ている間に施してくれたのだろうか。
スピーカー 1
私がこの文章を書けるだけの体力が残っていたのは幸運である。
私はこれより最後の希望をかけて、私自身に対して射血治療を施す。
これでもし、事態が好転しなければ、私は自らの運命を受け入れ、
我が愛する妻への遺言を残し、そしてこの文章をボトルに詰め、海へ放つ。
スピーカー 2
神よ、我を救いたまえ。
フロア2、QNの内壁、内壁に刻まれていたメッセージ
スピーカー 1
概要
以下の文章はフロア2、QNの内壁に、おそらく突起状の石を用いて刻まれたものです。
大半の文章は意味を読み取ることができていません。
スピーカー 2
ネズミに侵される。死の舞踏。我を許したまえ。
スピーカー 1
フロア1、Yから回収された文章
15:01
スピーカー 1
概要
フロア1、Yは前述の通り、SCP-1960-JPが最終的に到達するフロアであり、
一人の死体がベッドに寝た状態で放置されています。
当該文書は遺体のベッドの傍らのテーブルに置かれており、
筆記から同一人物によって書かれていることが判明しています。
現在までのところ、最も多くのSCP-1960-JPに関する情報が記された文書であり、
SCP-1960-JPに関する歴史背景を調査する上で重要な資料として扱われています。
スピーカー 2
親愛なるアリスへ
スピーカー 1
今日より私はムエットという立派な船に乗り、僕と君の祖国をしばし離れます。
君と離れ離れになるのは何度経験しても辛いもので、
僕は毎日こういう航海のうちは憂鬱な気分になり、
職務に従事している時間以外は遠くの海を眺め、君を想うのが日課になっています。
でもそれはあまりにも辛いし、虚しいことのように感じるので、
今回の航海では僕の船内での日々の暮らしや、
スピーカー 2
船から見える大海の眺めをこの手紙に綴りながら君への思いを馳せようと思います。
スピーカー 1
今日は船長や船員、航海士の方々と食事会に参加しました。
その場ではいろいろなことが話し合われていましたが、
特に興味深かったのは囚人の管理についてのこと、病人の処置のこと、
目的地まであと何日で着くとか、囚人の受け渡しはどうやって取り行われるかとか、
そういうことが話し合われていました。
残念なことに僕たち船員の給料のことは軽く流されてしまいました。
スピーカー 2
いつだって僕たちの仕事というのは給料と釣り合わないものです。
スピーカー 1
食事はとてもまずい。
君の作る料理に比べればどんな料理も美味しくは感じないでしょうが、
そうは言ってもこれほどまずい料理はこの世にないでしょう。
生臭くて舌と喉の奥の方にまとわりつくような、とにかく嫌な食感です。
これを食うぐらいなら甲板で釣りでもして、
そして手に入れた小魚を適当に焼いて食った方が数倍マシです。
スピーカー 2
君の料理を早く食べたい。君が恋しいよ。
スピーカー 1
今日の朝日は格別の美しさでした。
私の寝室の窓から差し込む陽光で私は目を覚ましたのですが、
甲板に出ると心地よい潮風と温かな日の光が私の心身を癒してくれます。
日々の職務は辛いし給料も多いとは言えないけど、
スピーカー 2
こういう船乗り特有の癒しを味わえるから、僕はこの仕事が好きです。
18:01
スピーカー 1
今日も力仕事や言うことを聞かない囚人たちを無知打ち働かせたり、
ネズミを捕まえたりしました。
ネズミは厄介な存在です。
どこから入り込んだのか全くわからないけど、
毎日毎日捕まえて殺しているのに、まるでいなくなる気配がない。
スピーカー 2
おかげで食料のいくつかがすでにダメになりました。
スピーカー 1
ところで、この船にはとても優秀なネズミハンターがいるので、
ここで紹介したいと思います。
それはメスの黒猫で、船員たちはシビル、ウィルバー、フレイヤなどと名付けています。
なんでこの猫のことを書いているかというと、
僕がこの船にいる人間の中で最もこの猫と仲がいいからです。
猫は僕のところに一日一匹必ずネズミの死体を持ってきます。
僕はそれを窓から放り投げて猫に夕食の残りをあげるんです。
猫はとても可愛くて、とても利口。
少なくともどの囚人よりも。
この仕事が終わったら、僕はこの猫を我が家に持ち帰り、
家族の一員として迎え入れたいと本気で考えています。
きっと君も気に入るだろうと思いますよ。
今日はいくつかの推奨を取り行いました。
囚人内で死者が出たということが食事会で船員から話されたのですが、
スピーカー 2
船員は全くあっけらかんとしていました。
スピーカー 1
それが僕たち船員を動揺させないためか、
それとも本当に大したことないと思っているのか、
スピーカー 2
僕には判断がつきませんでした。
スピーカー 1
今日は昼間からその死んだ囚人というのを推奨する仕事を任されたのですが、
これが本当に嫌なものでした。
というのも、囚人というのは生きていようが死んでいようが関係なく不潔で、
酷く臭いのです。
特に死体の臭いは酷く、近づくだけで吐き気がしてきます。
死体はもはや人の形相を保っておらず、
目が眼下からこぼれ落ちて、歯が一本残らず抜け落ちて、
枯れ木のように細い手足が何か、
おそらくネズミ?に食われ骨が飛び出し、見るに絶えません。
こんな酷い仕事を完璧にこなせたのだから、
給料の他に何らかの勲章でももらえなければ、
全く割に合いません。
スピーカー 2
このことについて、次の食事会で船長に直談判しようと思います。
スピーカー 1
今日の看板からの眺めは残念ながらあまり良くありません。
空は曇っていて、海も昨日に比べ明らかに荒れています。
でもきっと神様は僕ら船乗りを見捨てず、祖国へ無事に返してくれるでしょう。
君が僕の帰りを祈ってくれていることを願います。
スピーカー 1
今日も天候は悪く、下手に上看板に出れば、
21:02
スピーカー 1
波にさわらわれてしまいそうです。
船内は湿気と病人の正気でどんよりしていて、
ほの暗く、とても長い時間はいられません。
そんなことをすれば、気が狂ってしまいます。
時折、監獄からは囚人たちの恩仇の声が聞こえてきます。
もしかしたら、彼らはすでに狂ってしまっているのかもしれません。
今日も引き続き死体の処理を頼まれたのですが、なんと今日は5人の処理です。
船員の態度は相変わらずですが、僕に言わせればその気の抜けた態度こそが、
スピーカー 2
船内が何かおかしなことになっていることを示唆しているのです。
スピーカー 1
こんなひどい環境を放置しているからでしょう。
船長が昼過ぎに倒れ、医務室に運ばれていきました。
とても汗をかき、呼吸は浅く、何か…なんだろうこれ…
スピーカー 2
上言。何か上言を言っていましたが、何と言ったかはもはや聞き取れませんでした。
スピーカー 1
黒猫だけはとても元気で、今日も僕の元にネズミを持ってきてくれました。
これで何匹目でしょうね。とても利好な子です。
スピーカー 2
おそらくこの船で今一番の働き者は黒猫です。本当に働き者なんです。
スピーカー 1
今日持ってきたネズミは今までのよりもっと太っていて臭いやつでした。
こいつらのせいで、僕たちが日々必要とする飲み水や食料がやられているのを考えると、とても腹が立ちます。
スピーカー 2
ああ、早くそちらに帰りたい。ネズミなどに悩まされることのない清潔な我が家に帰りたいです、アリス。
スピーカー 1
今日は良い出来事と悪い出来事があります。
良い出来事とは、僕と黒猫とでネズミの親玉を懲らしめたことです。
黒猫は今日、僕のズボンの端を引っ張って、自分についてくるように僕に言いました。
僕が彼についていくと、食料庫のそばの床の上で立ち止まり、そしてそこをかきながら泣き声を上げ始めました。
スピーカー 2
なるほど、ここに何かがあるのだな、と思った僕は周りに誰もいないことを確認してから、その床をひっぺ剥がしました。
スピーカー 1
実際、船は連日の悪天候と船員の体調不良のためにだいぶ痛んでいて、そこまで時間をかけずに床に穴を開けることができました。
その下は空洞になっていて、船の骨組みが見えていました。
そしてあの忌まわしい足音が聞こえました。いくつもいくつも聞こえました。
なんと恐ろしいことでしょう。僕たちが一番に守らねばならない食料庫の真下に、巨大なネズミが溜まっていたのです。
灯台元暮らしとはまさにこのことです。僕が見ただけでも30はいたでしょう。
24:00
スピーカー 2
どれもがまるまると太っていて、不気味な鳴き声を発して空洞内を走り回っていました。
スピーカー 1
黒猫はそこへ飛び込むとまず一匹、そして一匹とネズミを殺していきました。
なんという手際の良さ。それはネズミ専門のアサシンのようです。間違いなく勲章者です。
僕もその狩りに参加したんですが、いやはやあのネズミたちと来たら、
スピーカー 2
こちらの動きをまるで予測しているかのように身をひるがえし、僕が開けた穴から次々と逃げ出していくのです。
スピーカー 1
僕はもう怒り狂い、もう少しで監獄に飛び込んでいくところでした。
ここからは悪い出来事です。監獄はもはや手のつけようがない状態になっていたんです。
なぜ今まで気がつかなかったのか。
そこは明らかに黒いモヤのような正気で満ちていて、一寸先も見えないのです。
ロウはどこも錆びていて、ちょっと触れば崩れ落ちてしまいそうでした。
繊維たちはもはや何をする気もないことは明らかです。
なぜなら繊維たちもは掃除て異物質に閉じこもってしまったからです。
アリス、僕はもはや生きて帰れる気がしません。
しかしもう少しで目的地に着くはずですし、もう少しの辛抱です。
君に良い報告ができないのが心苦しいです。
でもきっと向こうはいいところなはずなのです。
君がこれを読んでいるなら、船がどこもこんなひどい環境であるなんて思わないでくださいね。
スピーカー 2
ほとんどの船というのは豪献で、煌びやかで、高貴なものなのですからね。
スピーカー 1
みな死んでしまった。
僕がネズミ捕りに躍起になっている間に、信じられないほどの時間が経過してしまったのでしょうか。
スピーカー 2
そして僕以外の人間はみんな正気にやられてしまった。
スピーカー 1
正直なところ、僕も現状が受け入れられず、今は自分の戦術に引きこもってこの手紙を書いているんです。
いつもは船の中や外を行ったり来たりしながら書いているんですが、
もうそんなことをする余裕がないほどに船内は正気に満ちてしまっていて、外は雷鳴が鳴り響いています。
どうしてこんなことになってしまったのか、誰にもわからないでしょう。
医務室にはもはや治療を受けるべき人間は一人も存在しません。
船室も僕の部屋以外は空いてしまって、とても静かです。
ネズミはどうかというと、人が減るたびに増えているようです。
スピーカー 2
今や生きている人間よりネズミの方が多いでしょう。
スピーカー 1
みんな死んでしまったのに、ここはどうやっているのかと疑問でしょうが、
それこそが僕が最も受け入れがたい現実としてここにあります。
今、この船は何者にも縛られることなく動いているのです。
27:04
スピーカー 1
ダリンは一人でに動きもあり、頬は常に暴風を受け続けていますが、壊れる気配がありません。
信じがたいことです。こんな暴風の中で頬を広げるなんて、誰がそんな馬鹿げたことをしたのか。
もはや僕は、この船がどこに向かおうとしているのかもわかりません。
話を聞ける状態の人がもういないし、星を見ようにも天には常に雲がかかっているのです。
唯一頼りになる可能性があるのは灯台からの光ですが、それがどの港の灯台の光か僕にはわかりません。
そう、今、僕の船室の窓からはっきりと灯台の光が見えるのです。
スピーカー 2
船は明らかにその光に向かって進んでいて、明日には港に着いているでしょう。
スピーカー 1
ただ、着いたらどうなるというのでしょうか。
もはや運ぶべき囚人は誰一人として残っていないのに。
僕はもう、船が沈んでしまった方がいいように思えてなりません。
スピーカー 2
こう思ってしまうのはとても悲しいことです。
スピーカー 1
もう少し陸に近づいたら、僕はこの船から脱出しようと思います。
もちろん、あの黒猫と一緒にです。
僕は生きて帰ります。神に誓いましょう。
僕にはもう時間がありません。港なんてありません。残念です。
今日もネズミを一匹、黒猫は捕らえてきました。
どんな状況でも、けなげな子です。
もし僕が船長だったなら、この猫に最上級の褒美をあげてやるところです。
しかし、僕にはもう彼女にあげられる食べ物もありません。
食料を取ってくる力も残っていません。残念です、アリス。
もう二度と会えない、僕の愛した人。
今はただ、この猫が神の手によって拾われて、君のもとへたどり着いてくれることを祈るしかできません。
もし君のもとへ一匹の黒猫が訪れたなら、それを僕だと思って大事にしてあげてください。
神よ、この船をどこか遠い場所に運んでいってください。
スピーカー 2
この船を満たす正気が、我が祖国に届かぬように。
スピーカー 1
フロア1Aから回収された文書 概要
以下の文書は2009年8月20日にエリア1Aで発見された文書です。
発見時、文書には金星の額縁が取り付けられていました。
閉鎖会面 第1716番 名誉・ネズミ捕獲長
ウィルバー 1790から現在
この世で最も優れたネズミ捕りにして、最も多くの時間をただ一隻の船に捧げた黒猫
スピーカー 2
艦隊司令部
30:01
スピーカー 1
射血についての注釈 体外に血を排出させる療法
猫・動物・木製・未収容・注目記事 無根・一級・船舶・艦隊のタグが付いています。
スピーカー 2
あ
スピーカー 1
ムエットという船が泊まっている
不当へ異世界連れて行く猫
この猫はその書いた人を助けようと思って連れてきているのかな
スピーカー 2
この長い日記を書いている人
この人名前ないな
転移先の異世界は全体的に平坦な島と海で構成され、現実世界と同一の大気に満たされています。
船がある
スピーカー 1
転移後すぐにこの黒猫は対象のズボンの端や靴を噛みながら引っ張ることで、船の中へ対象を誘導するような行動をとります。
異世界に存在する大型船舶ムエット
露係州輸送のための回送を施されていたことがわかっています。その後の経歴については調査中であり、どのような経緯で異世界の不当に接近するまでに至ったかはまだ詳しいことがわかっていません。
スピーカー 2
露係州輸送中に起きた出来事
こちらのページを参照してくださいというのが2つあったんですが、どっちも押しても何もないですね。書いてあるだけでそのページができてないです。
スピーカー 1
対象を最終的に各階層を通過した後、第一階層のエリア1Yまで誘導します。
スピーカー 2
エリア1Yだから最後まで仲良かった人が寝ているところ。
スピーカー 1
エリア1Yは一般の繊維が利用していたと考えられる部屋で、人間由来の液体や骨が散乱しているほか、繊維が著したと思われる分子類が多数発見されています。
スピーカー 2
この遺体まで対象を誘導すると、以降対象とも積極的な接触を行わなくなります。
スピーカー 1
遺体の周囲には膨大な数のドブネズミの死骸が散乱しています。
はっきりとした結論は得られていません。
33:09
スピーカー 2
SCP-1960-JPがこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミと遺体との因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。
スピーカー 1
SCP-1960-JPがこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミとの因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。
SCP-1960-JPがこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミとの因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。
SCP-1960-JPがこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミとの因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。
SCP-1960-JPがこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミとの因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。
スピーカー 1
SCP-1960-JPがこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミとの因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。
36:03
スピーカー 1
SCP-1960-JPがこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミとの因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。
SCP-1960-JPがこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミとの因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。
スピーカー 2
SCP-1960-JPがこの遺体の元まで対象を誘導する行動原理、遺体の周囲に散乱するネズミとの因果関係などは研究中で、はっきりとした結論は得られていません。