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2021-12-01 13:31

「弱いつながり」が自分の良さを見つけ、扉を開いてくれる【第85夜】

「SNSで誰かと誰かのつながりが見えれば見えるほど、『自分はつながっていない』ことも同時に可視化されてしまう」世界で、孤独とメンタルヘルスは世代や国境を越えて大きな関心事になっています。今日は、クラスで孤立してしまったという高校生のお便りにお応えして、廣田周作さんの『世界のマーケターは、いま何を考えているのか?』をご紹介します。「いつメン」と「弱いつながり」、転機をもたらしてくれるのは果たしてどっち……?

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みもれ真夜中の読書会 おしゃべりな図書室へようこそ
こんばんは、KODANSHAウェブマガジンみもれ編集部のバタやんこと川端です。おしゃべりな図書室では、水曜日の夜にホッとできて明日が楽しみになるおテーマに、皆様からのお便りをもとに、おすすめの本やマンガ、紙フレーズをご紹介します。
さて、第85夜を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。ポロロさんからいただきました。
私は高校生で、学校生活がとても辛いです。いろいろなことが混ざり合って辛くなったのですが、特に人間関係に苦労しています。
私は仲良くしたいと思った人だけ仲良くして、それ以外の人には必要最低限に仲良くするぐらいでいいと思っています。
しかし学校でそういう振る舞いをしたら、私はクラスの中で一人ぼっちになってしまいました。自分を偽るよりは一人でいる方が私はいいと思います。
でも時々恥ずかしいような寂しいような気持ちになるのです。どうか一人ぼっちでも大丈夫になれる言葉が欲しいです。よろしくお願いします。といただきました。
すごく分かりますね。皆さんも心当たりがあるんじゃないでしょうか。私も高校生、小学校、高学年ぐらいから高校生ぐらいまでずっと女子グループで群れるというのがあまり上手にできるタイプじゃなかったので、
くっついては離れ、くっついていっては離れしたりして、結局無理をしてついていくより一人で本でも読んで休み時間をやり過ごした方が心地いいかと思って、そんな方を選んだりしてたこともありますけど、
そうなんですよね。ポロロさんがおっしゃる通り、仲良くしたいな、この子可愛いな、一緒にいたいなって思う子は一人だけでグループの中に、後の二人はちょっとガサツであんま好きじゃないなと思ったりすることもあるんですけど、
それってやっぱり、私があんま好きじゃないと思っていることは相手にも伝わるし、誰か一人とだけ仲良くするってグループにおいて難しいんですよね。結局なんとなく自分が妻弾きにされてしまうっていうのを私も経験しました。
でも一人で本読んだりした方が心地いいとはいえ、じゃあそれでいいとたっかんできてたかっていうと、ポロロさんも書いてるように時々恥ずかしいような寂しいような気持ちになったりもするし、行ったり来たりでしたかね。
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でも結局こうして女性誌というか女性ファッションメディアの中で一人で図書室を作って、夜中にポッドキャストを配信しているんだから、私もその頃とあまり変わってないかもしれないですね。もうちょっとうまくやれるようになったかな。
というわけで今夜の勝手に貸し出しカードは、ひろた修作さんの世界のマーケターは今何を考えているのかという本にしました。これはブランディングとかマーケティングリサーチを手がけるひろた修作さんが世界中の100以上のいろんな最新の事例から新しいブランド戦略を考えようというマーケティングの本なんですね。
なんでこの本を選んだのかというところからご説明したいと思います。この本はですね、世界の特にアメリカのトレンドだったり話題になったトピックスを取り上げながら、世界の潮流というか傾向を分析している本なんですけど、
一つテーマとしてZ世代が抱えるメンタルヘルスの問題にかなりのページを咲いています。
若者のメンタルヘルス問題について書かれているところをちょっとだけ読みたいと思いますが、コロナで先行き不透明になってしまったこと、普通に学校に行って友達と会えなくなってしまったこと、政治家の振る舞いやメディアの発信が信頼できないこと、繋がりすぎてしまったSNSの中でむしろ孤独を感じていること、これで若者がメンタルにダメージを受けない方が不思議ですよねとあります。
この問題は若者に限らないかもしれないですよね。皆さんも感じられているんじゃないでしょうか。友達と会う機会が少なくなったり、政治的な不信感だったり、SNSでいろんなことが可視化されるからこそ、孤独を感じやすくなっているということですね。
そのこともこの本の中で結構書かれていましたが、少し前のパンデミックが起こる前は、自分は行っていない飲み会の様子がSNS、インスタとかに上がっていて、呼ばれていないなって思ったりするとか、そういうパーティーピーポー的なものに自分は所属していなかったとしても、人が楽しそうにしているのを目にすると、
まあちょっともやっとしたりもしますもんね。そういうことがまたパンデミックを経て、より一層みんな集まっているわけじゃないけど、いいねを誰が誰の投稿にいいねしたとか、見えやすいというか気にするようになってしまった感じはしませんか。
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なんかグループラインでママ友だったり飲み会をセッティングしようとしている人たちでグループラインを作ってやり取りするとか、例えばあとはスラックとかディスコードとかプロジェクトを進行するための仕事だったりのツールもね、いろいろ今は出てきていますけど、
そういうので誰かの発言に対してみんなが反応しているっていうのを見えるし、あの人の話にはすごい盛り上がっているのに、私が言ったことに対して誰も反応してくれなかったとか、そういうのがすごく可視化されるようになっちゃいましたよね。
もうこれはなんというか、この本を読みながらも思ったんですけど、孤独を感じたり、そういうことをあの人には反応しているのに私には反応してくれなかったとかを意識しちゃうのは、もう自分の性格の問題とか、例えばポロロさんの性質の問題とかじゃなくて、世界がそういう世界になってしまったからしょうがないっていう気もしましたね。
そうやってSNSの反応に一喜一憂しない方がおかしいっていうかね、メンタルはやられない方がおかしいんじゃないかということをこの本を読みながら感じました。
一方でね、世界のセレブリティはメンタルのことだったりとか、SNSで傷つけられることへの反発だったりを少しずつ発信する、反撃する人も増えてきているので、そういう言葉に勇気づけられる人も多いのかなと思ったりします。
今日はこの世界のマーケターは今何を考えているのかから紙フレーズをご紹介します。
社会学者のマーク・グラノベッター氏の研究で、転職など人生において有益な情報は親しい友人や家族ではなくて意外にも弱いつながりの人から得ている場合が多いと述べた有名な論文があります。
この本にありました。
これ私この中ですごいよくわかるなーって思った箇所なんですよ。
パンデミックを経て弱いつながりの人とつながりにくくなった部分もあると思うんですね。
親しい友人とか家族だったらもちろんLINEとかでつながっているし、誘い合うこともできるけど、職場が一緒とか学校が一緒くらいの弱いつながりだとわざわざ誘ってまで会うほどじゃない人にどんどん会わなくなっていて、それはそれで楽だなと思う一方で、弱いつながりの人との雑談みたいなのがないことがより孤独を感じることもあるなと思います。
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ここに書かれているように、意外にも人生に関わるような大きな転機は弱いつながりの人から得ているってすごくわかります。
すごく親しい友人には、仕事のことだったりキャリアのことだったり、結婚するとかしないとか、恋愛のことだったり、深い相談をしていることはあるけど、それはどっちかっていうとそうだよね、わかるわかるって聞いてほしくって言っていて、転換を求めてないのかもしれないですね。
すごく新しいことを始めるときは、いつものメンバーからの情報よりは、思いがけない知り合いの知り合いとか、昔ちょっとだけ一緒に仕事なんかのプロジェクト、大人数のプロジェクトの中の一人だった人とかが、急にフェイスブックのメッセンジャーを送ってきてくれて、こんな会があるんですけど、
私はもしかして好きかなと思って、急に連絡してみましたみたいな、そういうことがすごい扉が開けたり、また新しい仕事のオファーなんかも意外といつものメンバー、いつめんじゃない人からのオファーの方が大きな話だったりとかね、自分のステージアップに関わる、
ちょっと今までと違うお仕事をいただくことは、割と弱いつながりの人からが多いかもしれないなって、この本を読みながら振り返りました。
ポロロさんと私もまさに今弱いつながりじゃないですか、勝手に言ってごめんなさいね。会ったことはないし、200文字くらいのメッセージを一ついただいただけなんですけど、文面からしてすごく聡明そうで大人びた、語彙力のある人なんだろうなという感じがしましたし、
例えば私が同じ高校の1個上の先輩とかだったら、きっと仲良くなれただろうなっていう感じがしますね。
そんな、こんなポッドキャストを見つけ出してお手紙を送ってきてくれたっていうだけでも、すごく弱いつながりなのに新しい扉を開いてらっしゃるじゃないですか、そんなことを今日はお伝えできたらいいかなと思ってこの本を選びました。
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もしかしたら思ってたんと違うジャンルの本だったかもしれないんですけど、この本、他のZ世代を分析したところ以外もすごく面白くて、世界がこんな風になっていっているのは悪くないかもしれないと思える本でした。
人の弱さに気づける力が強さになるっていうこともこの本に書かれていて、そうやって自分の中の弱さに気づけるポロロさんは、誰かの弱さにも気づける強さを持っていらっしゃるかもしれないですね。
今日はお便りありがとうございました。皆さんも最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室はこんな感じで、皆さんからのお便りをもとにしながら、いろんなテーマでお話ししたり、本をご紹介したり、緩やかにやっていきたいと思います。
また来週水曜日の夜にお会いしましょう。
今日は最後までお付き合いいただきありがとうございました。
おやすみなさい。おやすみー。
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