1. 真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室〜
  2. 「後悔」の数だけ、新しい優し..
2026-03-11 19:53

「後悔」の数だけ、新しい優しさと強さを身にまとう【Video Podcast】

EP.241▶︎今夜のお話:Netflix配信開始! 杉咲花主演映画『朽ちないサクラ』について /柚月裕子原作、「警察の事務職」が主人公の異色ミステリー /母や親友……大切な人を亡くした後の「もっとできたことがあったんじゃないか」という終わりのない自問自答 /自責の念とどう向き合うか /警察の不祥事、情報の漏洩、親友への疑念がつながる緊迫の導入 /安田顕さんの渋い声と圧倒的な緊張感 /映画と原作の違いの考察 /藤田朋子さんと杉咲花さんが向き合う「後悔の落とし前」 /「後悔の数だけ、新しい優しさと強さを身にまとう」という祈り 

※今回の配信は、SpotifyとYouTubeではビデオつきです。

▶︎今夜の勝手に貸出カード ・柚月裕子『朽ちないサクラ』(徳間文庫) https://amzn.to/3P06fWK

 ・柚月裕子『月下のサクラ』(徳間書店) https://amzn.to/4bwI62K

映画『朽ちないサクラ』公式サイト https://culture-pub.jp/kuchinaisakura_movie/


▶︎番組概要

夜眠りにつく前の“聴くだけ読書会”。講談社のバタやんこと川端里恵がおすすめの本や心に響くフレーズをご紹介します。毎週水曜日の夜に、リスナーの方のお悩みや気分のリクエストにおこたえして、本を1冊、勝手に貸し出しいたします。読んでも、読まなくても、”あしたが楽しみになる”読書の時間を共有する図書室です。ぜひフォローをお願いします。

▶︎本のリクエスト、番組へのメッセージはインスタのDMよりお送りください

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▶︎番組ハッシュタグ:#真夜中の読書会

▶︎MC:

バタやん(川端里恵・KODANSHA)1979年生まれ。2002年に講談社に入社。広告営業、女性誌「with」「VOCE」「FRAU」「mi-mollet」編集部などを経て、今は人事・総務を担当しています。文芸編集者も漫画編集者も経験していないけど、本と漫画と雑誌を読むのが好きです。メンタルケア心理士。

※講談社の出版物に限らず紹介します。発言や感想は、完全に個人の見解で会社を代表するものではありません。

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▶︎noteで紹介した本をまとめています|https://note.com/batayan_mi

サマリー

今回の「真夜中の読書会」では、リスナーからの「後悔」に関する悩みに応え、柚月裕子原作のミステリー小説『朽ちないサクラ』を紹介。大切な人を亡くした後の自責の念や、親友への疑念、警察の不祥事などが絡み合う物語を通して、後悔とどう向き合い、そこから優しさと強さを見出すかを探求する。映画版と小説版の違いにも触れ、登場人物たちの葛藤と成長を描く。

リスナーからの悩みと本の紹介
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、第241話を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。ペンネームトモヨさんからいただきました。
はじめまして、はじめまして。いつも夜中の授乳中にスポティファイを拝聴し、優しい語り口に癒されております。
自分では答えが見つからない悩みがあり、本をリクエストいただいたと思い、ご連絡いたしました。
母が2年前に突然亡くなりました。今でこそ分かるのですが、亡くなる1年くらい前から鬱症状が出ていました。
2年経ちますが、家族は亡くなった年のことを思い出しては、何かできることがあったんじゃないか、もっと行動しておけばと後悔し続けています。
特に姉は後悔しすぎて不眠症になり、気持ちも不安定になっています。
私自身は母が亡くなる直前の電話で弱音を吐いた母に共感してあげられなかったことをとても後悔しています。
母が亡くなってから、何のために自分は生きていったらいいのだろうと考えるようになりました。
今は子どもたち、家族のために生きようと思っています。
取り返しがつかないことをしてしまい、後悔を抱えたまま生きていくヒントになるような本がありましたら、いつか紹介していただけますと幸いです。
よろしくお願いしますといただきました。
リクエストありがとうございます。
『朽ちないサクラ』の紹介とあらすじ
そうですか、そうですよね。
何かこう、すぐにかける言葉が思いつかないようなね。
今私がここで、それはこれ、こうで、こうでしたねという、
マイアンの言葉をパッとかけるのも違うんじゃないかというふうに思ってなかなか出てこないですけど、
何かもっとできたことがあったんじゃないかっていう自問自答には終わりがないですよね。
答えがないだけに、もうここまでっていうタイムリミットもないですし、試験みたいに答えが出ないなら、はいここまでっていう、はい時間ですよって誰かが聞いてくれればいいんですけどね。
それだけ時間が2年経たれても思いが消えないっていうのは、
トモヨさんがお母様に、お姉様もそれだけの思いがあった、愛情があったっていうことだとすごく感じたんですよね。
どんな本を紹介するのがいいだろうってずっと考えていたんですけど、
癒される本とか、メンタルケアにまつわる本とか、そういうんじゃ全然ない本を今日は選びました。
具体的に言うと、自責の念を抱えていて、自分を許せないっていう感情と向き合う主人公を描いた小説にしてみました。
今夜の勝手に貸し出しカードは、柚木悠子さんの口ない桜という小説にしました。
こちらはですね、2015年に単行本として刊行されていて、すでに文庫にもなっているので、10年くらい前の作品なんですけれども、なぜ今これをトモヨさんにと思って選んだかっていうと、
杉崎花さん主演でこの口ない桜、映画化されてまして、確か杉崎花さんの52Hzのクジラたちをご紹介した回で、この口ない桜も楽しみなんだっていうお話をした記憶があるんですけど、
その映画も私映画館で見たんですが、つい先日ネットフリックスで配信が始まったんです。
だからいろんな人に見ていただけるなと思って、ネットフリックスでもまたちょっと改めて見てみて、ぜひちょっとご紹介したいなと思ったんです。
映画化の際に杉崎さんが、確か何かのインタビューかパンフレットだったかなで、おっしゃったんですけど、失敗してしまった、いつの日か失敗してしまったことのある誰かにも、他者の失敗を許してあげられない誰かにも、この映画が届いてほしいっていうようなことをおっしゃっていて、まさにそういう話なんですけど、
杉崎さんが演じる主人公の森口泉っていうヒロインは、自分のせいで親友を死なせてしまったかもしれない、殺される要因を作ってしまったかもしれないっていう、取り返しのつかない後悔っていうのを抱えている主人公なんですね。
なので今日はこの口ない桜を小説版と映画版と両方の違いも含めてご紹介しますので、好きな方ちょっと見てみようかな、読めそうかなって思う方からぜひちょっと見てみていただけたらと思ってご紹介します。
あらすじを先に解説しますね。この作品テーマはちょっと重たいんですけど、入りがね、この柚木さんの入りが見事なんですよ。
舞台は地方警察の広報課で働く、柚木が働いている場所で始まるんですけど、市民からクレームが、クレームの電話が鳴りまくっているっていうところからスタートしまして、
被害、ストーカーの被害に遭っていたある女子大生が殺害されてしまうんですね。彼女や家族は通報もしていたのに、警察が被害届の樹林を先延ばしにしていて、対応をしっかりしてくれなかったということが分かって、
しかもその時ですね、警察の部署はみんなして、慰安旅行に行ってたらしいっていうことを地方の地元の新聞にすっぱ抜かれてしまうんですね。だから市民たちが警察に給料泥棒とか、抗議の馬律法も含めていろんな電話を寄せてきているわけなんです。
で、主人公の森口泉は警察署の広報課で働く事務員なんですね。警察じゃないんですよ。ここもポイントなんですけど、そのクレーム対応に追われていて、しかし彼女は実は親友で新聞記者をやっている千香さんっていう友達に部で旅行があったという話をしちゃってたんですね。
だからその警察の不祥事、慰安旅行の事実が地方新聞でスクープされちゃったっていうのは、垂れ込んだ親友の千香なんじゃないかって疑ってしまうんですね。疑わしい気持ちになるんですけど、そうこうしているうちに千香さんは川で遺体で発見されてしまうんですね。
そのストーカー事件と地下の事件には繋がりがあるのかないのかっていうところから、そこから警察内部の大きな問題ですとか、ある宗教団体の問題にたどり着いて、大きなミステリーへと物語は展開していくんですけれども、そこはちょっとネタバレになっちゃうんで、あんまりこれ以上喋らないようにしておきまして、
この冒頭のシーンで職場の電話が鳴りまくっている。しかもやばいな、私が友達に喋っちゃったことと関係あるのかもしれないっていう、この物語に引き込まれる導入が見事だなと思ったんですよね。
自分ごととして想像できるじゃないですか。身近なインシデントとしてありえそうだなっていう。泉が警官、刑事じゃない、捜査権を持たない事務職の女性であるっていうところも、この作品のポイントだと思います。
主人公の葛藤と映画版の魅力
最初は友達を疑ってしまった。そして自分も情報漏洩の権威をかけられて、その後は親友を裏切ってしまった。もしかしたら死の原因を作ってしまったんじゃないかっていう後悔が、彼女を突き動かしていくんですね。
で、この事務職で捜査権を持たない立場であるにもかかわらず、彼女がこの事件を突き止めたい、真相を突き止めたいっていう原動力にその後悔の気持ちっていうのがなっていくっていう話なんですよ。そこが苦しい、苦しくって。
でも捜査の外側にいるはずの泉が動く、信用を失った喪失感とか後悔とか、ある種の執着みたいなのが原動力になっていて、この物語を続きを読みたいっていう気持ちに私たちを引っ張っていくんですね。
かつ泉というキャラクターがあんまり完璧なヒロインじゃないんですよね。だからすっごく全面的に共感できるわけじゃなくて、ちょっと自己中心的なとこもあるし、怒りの沸点がわからないところとか、何を押しで貸すかわからない危うさもあるんですよ。
そういう泉の葛藤みたいなのをゆずきさんも苦労して開講を重ねたっていうようなことをどこかで書いてらしたんですけど、映画では杉崎花さんが演じられることでリアリティが増していて、ちょっとその怒りの沸点がわからない感じとか、危うさと芯の強さみたいなのがすごく胸に届く作品に改めてなってきました。
その親友への悔やまれる気持ちとか、会社、警察か、警察っていう大きな組織かつ男社会で警官じゃない女性っていう一段弱い立場で、でも自分なりに何とか責任を取ろうっていう芯の強さみたいなのが非常によく理解できました。
映画では豊原浩介さんが演じる磯川刑部という刑部と、安田健さんが演じる戸菓子刑部っていう二人の獣神の刑事が出てくるんですけど、その二人はなんていうか、水位も甘いも乗り越えていろんな修羅場をくぐってきました。
その水位も甘いも乗り越えていろんな修羅場をくぐってきました。
とても美しい映画です。
ちょっと話がそれるんですけど、私、安田健さんがすごくすごく好きなんですよ。
あの、声がね、いいですよね。
静かな包み込むような、でもちょっとなんか本音がわからないような、本音では何考えてるかわからないような。
その戸菓子刑部と泉が二人で対峙するシーンが何回かあるんですけど、一言一言、安田健さんが何言うんだろう、何言われるんだろうっていう緊張感が半端ないんで、ぜひ見ていただきたいところです。
原作と映画版の違い、和歌の解釈
和歌をね、紹介する大事な箇所があるんですけど、
桜というものがこの世に存在しなかったら、春はもっと心穏やかなのにっていう、有原の成平だったかな、和歌を紹介するシーンがあるんですね。
戸菓子刑事が泉に。
でも原作では、確かこれは私の記憶なんですけど、違う和歌を引用していて、
四季島の山戸心を人問わば朝日に匂う山桜花っていう。
どういう意味かっていうと、日本人の心とはどのようなものかと人が問うたら、朝日が出ている、そこに生える山桜のようなもんだと答えようっていうような意味なんですけど、
これすごい印象的だったのは、映画は大事な人を失った喪失感っていうのを、桜が散ってしまう、見られる期間が短いっていうことと関連させて、情緒的に重点を置いていて、
ゆずきさんの原作の方は、警察組織っていうのは、組織の正義と個人の正義が相反することがあるっていうようなことに重点があるのかなって思いましたね。
四季島のっていう山桜の話は創式の話をしているのかなっていう、これは私の解釈なんですけど、ぜひちょっとよかったら確かめてみてください。
印象的なシーンと作者の想い
さて、そろそろ今日の紙フレーズを読みたいと思います。
原作と映画の違いっていう話で言うと、地下、亡くなってしまった友人の地下のお母さんのまさこと泉が退治するシーンっていうのは、原作ではそれほど多くページは割かれていないんですけど、映画では結構重要なシーンとして出てくるんですね。
ちょっと読みますが、口ない桜、すごい私この本が好きで、2018年のベストブックの文庫編の1位に選んだぐらい好きなんですけど、うっかりお風呂で読んでて、お湯に落としちゃって、だから表紙がびちゃびちゃになってしまって泣くって、
すごく急いでドライヤーで乾かしてから、紙がくっついちゃっているっていうね、ちょっと余談ですけど、この間あんなに文庫、帯も大事にして読んでるみたいな話をしたくせに、ひどい裸もあられもない姿の文庫になってしまったんです。
でもそのくらい大事に読んでいる本です。
ちょっと読みますね。
地下も喜んでいると思います。
泉が気を使っていったと思ったのだろう。
雅子は申し訳なさそうに小さな笑みを浮かべた。
疑礼でも慰めでもない本心だった。
死んでなお自分のことを愛おしんでくれる親の気持ちを嬉しく思わない子がいるだろうか。
雅子はしばらく膝に目を落としたまま黙していた。
やがてゆっくりと顔を上げると、マナ娘を祀っている仏壇に視線を向けたとあります。
今読んだのは地下のお母さんが仏壇をやっとちゃんと整えたんだって話をして、地下のイメージに合うものを選んだっていう話から、泉が地下も喜んでいると思いますって言ったっていうとこなんですね。
これちょっともう、読んだだけで涙が出そうな感じですけど、その2人が交わす会話、言葉の数はすごく少ないんですよ。
でもこの目線の動き、雅子さんはしばらく膝に目を落としたまま黙ってて、ゆっくりと顔を上げて、その仏壇に視線を向けたって書いてあるだけなんですけど、
その目線の動き、一つでお母さんの悲しみとか、まだ言えてない受け止め、切れてない喪失感みたいなのが出ていて、ゆずきさんの文章はすごいなって思った箇所です。
映画では地下の母親役を藤田智子さんがやっていらして、藤田さんと杉崎さんの対峙するシーンっていうのはとっても見応えがあるんで、
友予さんにはぜひそこを見てほしいなって思っていて、小説より映画の方が泉が自分のことが許せないっていう感情にちゃんと折り合いをつける、おとしまいをつけるシーンがしっかり描かれているんですよね。
続編の紹介とメッセージ
ということで、口ない桜をご紹介させていただきました。
今回はそれだけ誰かを大切に思っていた証拠で、その痛みを抱えたままでも誰かにとっての、次の誰かにとっての光になれるっていうのをすごく感じた作品だったんで、今日はご紹介しました。
実はですね、この口ない桜には続編があって、続編というか、森口泉がまた主人公として活躍する作品がその後出てるんですね。
月下の桜っていう、小崎さんの作品なんですけど、月下の桜では森口泉は、あんまり言うとネタバレになっちゃうから、やめておこう、やめておきます。
でも、泉の成長が見られるんです。成長って言うとちょっと上から目線だけど、泉さんはちゃんと前を向いて、痛みを忘れたわけじゃないけど、次のステージに進んだんだなっていうのがわかるんですよね。
だから、よかったら口ない桜、気に入っていただけたら月下の桜も読んでいただきたいです。
自分は冷たかったんじゃないかっていう後悔の数だけ、人は新しい優しさを身にまとえると言いますか、そんな泉さんの強さに少し癒されてもらえたらいいなって思ってご紹介しました。
お便りありがとうございました。そして最後まで聞いてくださってありがとうございます。
番組の締めくくり
さて、そろそろお時間になってしまいました。
あよなかの読書会おしゃべりな図書室は、リスナーの方からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画をご紹介しています。
お便りはインスタグラムのバタヨムから受け付けております。
お届けしたのは講談社のバタヤンこと川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
おやすみ。
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