中山 俊 専修大学 ネットワーク情報学部特任教授
2026-10-26 16:04

中山 俊 専修大学 ネットワーク情報学部特任教授

「GeoAIで都市を読み解く——人流データ×AIが変える都市分析の未来」専修大学 中山俊 特任教授


今回のゲストは、専修大学 ネットワーク情報学部の中山俊特任教授。地理情報・空間情報を専門に、人流データと都市構造の関係を研究する中山先生に、急速に進化する「GeoAI」の現在地を伺います。生成AIを支えるTransformer技術を空間分析に応用する「GeoTransformer」によって、都市の複雑な構造や人の回遊をどう捉え、再開発などのシミュレーションにつなげるのか。さらに「AIは地図を読めるのか?」という問いから、わずか数カ月で変化するGeoAIの進化、従来のGISや地理学の知識の重要性、ビジネスパーソンに求められるリスキリングまで、研究と社会実装の両面からGeoAIの未来を語ります。

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サマリー

専修大学の中山俊特任教授が、地理情報・空間情報と人流データを扱う研究、そして新しい分野としてのGeoAIについて語る。生成AIの基盤技術であるTransformerを空間分析に応用する「ジオトランスフォーマー」により、都市内の複雑な相互作用と人の来訪・回遊を捉え、再開発での施設配置や人流のシミュレーションにつなげる構想が紹介される。GeoAIは地図やGISの複数レイヤーを相互に関連づけて理解する技術として説明され、海外学会ではTransformerを使う研究が急速に増えるなど、分野の進展の速さも話題になる。AIが地図を読めるかという問いには、十分な情報と適切な読ませ方があれば可能だという見方が示された。技術が急速に変化しても、古典的なGISや地理学の知識を土台として学ぶ必要があり、企業や社会人には認識をすり合わせるリスキリングが重要だと述べられる。

中山俊教授の研究室と研究の歩み
Location Weekly Japan です。今日は専修大学の中山先生にお越しいただきました。先生よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
はい、じゃあ早速、研究室紹介と自己紹介をお願いいたします。
ご紹介いただきましてありがとうございます。専修大学の中山俊と申します。私の研究室は、昨年できたばかりの研究室です。
専門にしているのは、地理情報とか空間情報、あとは土木計画とかそういった分野になります。
最近は人流データを扱った研究を進めています。
学部生しかいない研究室で、大学院がない学部になりますので、できることは限られているんですけれども、学部生も積極的に研究日々やってくれております。
じゃあ先生の自己紹介もお願いします。
私は高知県出身ですし、今年で30歳になります。
私の自己紹介ですか。
普段あまり自己紹介をする機会がないので、これといった自己紹介はいつも持ち備えていないんですけれども、
昨年の2月に私は博士号を取ったばかりでして、その時のテーマは都市の密度と脱炭素というテーマで、
どういうふうな陽性起立にしてあげると都市は脱炭素になるんだろう、みたいなそういう研究をしていました。
なので人流データを扱うとかっていうところとは少し離れたところを専門にしていたんですけれども、
ちょっと学位を取り終わった後、研究テーマを変えてみたいなという思いもありまして、
そこでちょっと人流データを扱って、都市の同じく密度、陽性起立とか、
そういったものが人がどういうふうに動くかっていうのとどういうふうに関係するんだろうというような研究をするようになりました。
最近はそんな研究をずっと続けているという形になります。
ありがとうございます。もともと学部生だった頃っていうのはどんなところからスタートされて今に至ってらっしゃるんですか。
学部生だった頃はずいぶん不真面目な学生で。
それは置いていきましょう。
私は学部2年生の時に慶応美術大学の源先生の研究室に入ったんですけれども、
入ったきっかけは私が1年生の秋学期ぐらいに1校目の先輩が私の家に遊びに来てやっていた課題が非常に面白そうだったので、
後から思えば別に面白くもなかったもないような気がするんですが、
でもすごく面白そうだったので、それがきっかけで入りました。
ただ入った2年生の春学期には文化祭がありまして、私は文化祭の実行委員会でしたので、
それにてんやわんやで授業も不真面目に行かず、
でも研究室があるので寝泊まりだけはさせてもらえるというので、
3週間連続で研究室を休んだ時に源先生とばったり研究室で食わすという、そんな不真面目な学生生活を送っておりました。
そこから博士号まで行くってすごいですね。
そうですね。3年生の春学期ぐらいに源先生が学会がありますよと行きませんかというふうに声をかけてくださったんですが、
なんか私は中国語を練習していたので、中国で学会がありますよということをお誘いいただいたんだと思うんですが、
そのとりあえずじゃあ行きますと言って行ったんですけれども、
その学会発表でもどういうものなんかも全く存じ上げずに行きましたので、行くまでパワーポイントも何も準備せずに行きまして、
パワーポイントないんですかと先生に前日に言われまして、今ほどAIが発達していればよかったんですけど、
そういうのもない時代ですので、Google翻訳のひどい英語を羅列してですね、鮮烈な学会デビューを果たした記憶があります。
まあでもその経験があるから学術の道を選んだというのもなんか面白いエピソードですね。ありがとうございます。
あのせっかくなんで今研究室、これ立ち上げられたんですかね。
そうですね。はい。立ち上げたという感じになると思います。
なんかその辺の経緯をお話しいただけると。
なんかあの専修大学の方で、まあひょんなことからですね、専修大学で公募がありますよというようなお話を伺いまして、
まあ出したところ無事採用されまして、こちらが特任のポストなので永遠にいられるわけではなく、
5年間ぐらいしかいられないという契約なんですけれども、その中で研究室というかラボという名前で専修大学を呼んでますけれども、
そのラボをやってくださいというのがオーダーでした。
そこで私は地理情報の分野がこの学部に無かったものですから、そういったものを立ち上げたというところになります。
実際どうですか立ち上げてみてというのは。やっぱりそれを専門にやってらっしゃる、
例えば源先生のような先人の方がいらっしゃらないっていう中での立ち上げってどんなもんなんですか。
そうですね。全てが試行錯誤の日々ですので大変な思いをしております。
実は一般的に国立大であればおっしゃったように前任の先生がいらっしゃってそこからつないでいくという感じだと思いますので、
研究室を一から立ち上げるというのはあまり多くないんじゃないかなと思いますし、
私立大学ですと時々あるのかもしれないですけれども、
それも一般的にはやっぱり準教授になられるようなお年になってからだと思いますので、30代半ばぐらいからかなと思います。
学位を取って2月後ぐらいにですねそういう機会を持たせてもらえるというのはなかなか器用なケースだと思うんですが、
一番大変なのはやっぱりこの業績を上げないといけないというプレッシャーもありますし、
一方で学生さんを育てないといけないというのもありますので、
そのためには研究費を集めてこないといけないとかですね、そのあたりを日々頑張っております。
これはなかなかプレッシャーのかかる体験でいらっしゃいますね。
はい、じゃあ具体的に今研究されていらっしゃる内容を教えてください。
GeoAIとジオトランスフォーマー
最近研究している内容は最近この地理情報の分野にジオAIというものが新しい分野としてできています。
ジオAIといってもいろいろと定義がありますので、一口に申し上げるのは難しいところです。
地理情報の分野にはもともとこの写真測量とか航空写真とか衛星画像とか使ったものがありますので、
そこら辺でAIよく使われてたんですけど、そういった分野だけではなくて、
もっともっとその近年の生成AIを飛躍的に発展させたような技術とか、
それの生成AIをそのまま使うというよりはそういうものの基盤になった技術をどんどんどんどん空間処理の方にも応用していこうというようなのがありまして、
その一つとして私はジオトランスフォーマーというものを扱っています。
都市再開発と人流シミュレーション
トランスフォーマーというのは皆さんご存知だと思いますけれども、この生成AIを飛躍的に発展させた技術ですが、
これをうまく活用しますと都市の中のちょっと離れたところとの複雑な相互作用とかそういうのも捉えられますので、
今までにないほど都市構造とかを整地に捉えることができるというようなことをやっております。
そうすると複雑な都市構造がどういうふうにインタラクションを起こして、
その結果どれぐらい人が来ているのかというのを説明できたりとか、そういったところに使ったりしています。
それは主に観光だったりの分野で活用されることを想定した研究ですか?
そうですね。観光というのはあまり今のところ私の研究の直接的な出口にはなってないんですけれども、
例えば再開発事業とかそういうところで扱われることをある程度想定していたりします。
例えば再開発されるときにここに新しい商業施設を配置したいとか、ここにタワーマンションを作りたいってなったときに、
その結果どれぐらい人がこの町に来るんだろうとか、この町をどれぐらい人が回遊するんだろうとか、
そういったところのシミュレーションができるというようなところで使えたらというふうに考えています。
なるほど。そこに人流データを重ね合わせて実際のシミュレーション結果を予測するモデリングをするとか、そんなイメージになるんですかね。
はい。おっしゃる通りですね。
なるほど。ジオAI先生の中での定義は何ですか?
そうですね。ジオAIの…
言ったもん勝ちですよ、今なら。
ジオAIという言葉自体、地理という部分とAI、人工知能の分かれた単語ですけれども、もう少し空間知能というんですかね。
その空間情報、地理情報というものをよく読み込める状況になっているというのが一つ重要なんじゃないかなと思います。
従来の冷静画像とか航空写真を、それもディープラーニングとかAIで解析するというようなものはありましたけれども、
そういったものを十分にその様々なレイヤーに整理された地理情報をよく理解して解析がされているというわけではなくて、
その画像を学習するというようなところにおいてのみ使われていたと思うんですけれども、
この解析をしていく一つのフレーム全体にですね、このいろんな情報、この様々なJSとかですとレイヤーに分かれていますけれども、
このレイヤー一個一個の情報がですね、既にインプットされていて、
それらが相互につながって、そのレイヤーとレイヤーの間の複雑な関係まで捉えられるというような風になったとき、
それがジオAIなんじゃないかなと思います。
急速に変化するGeoAIと地図読解
なるほど。実際、私が中部先生とお知り合いにならせていただいたのが、
この国交省が主催していたジオAI研究会、2026年2月からですね。
そこで私も委員をさせていただいてましたけれども、その中で結構そのジオAIとは何ぞやみたいな議論、
あれ始めたのが2月だったんですけど、今この収録している時点で9月、もう10月ですけれども、
もう全然変わったような気がするんですけど、この8ヶ月で。
なんかその辺ってどんなイメージ持たれてますか。
とてもとても早い分野だなというふうに思います。
例えばですけれども、昨年の10月ぐらいですと、
例えばそのLLMを使ってGISの処理を、私たちが普段使うような自然言語で何か入力するとGISみたいな処理を行われてみたいなものも、
十分新しかったと思うんですけれども、
もう今になってしまえばもうそういうものはちょっと古くなってきているという側面も否めないのかなと思います。
そのような感じで全ての技術が日進月歩ですので、このジオトランスフォーマーも、
昨年ぐらいでしたらもう全然新しい技術だったと思うんですが、
今では学会に行きますとトランスフォーマーが4分の1と5分の1ぐらいの発表には入っていたりしますので、
すごいなと思ったりします。
ただそれは海外の学会に行くとそんな感じですけれども、国内の学会に行くとまだ全然そんなこともなかったりしますので、
そういったところは別にそれを必ずしも遅れているということを意味しているわけではないかもしれないですけれども、
双方の発展の仕方が違うところもうまく活用しながら進めていけたらいいかなと思います。
そういう意味で一時期、今年の前半ぐらいだと、とはいえAIって地図読めないよねっていうような異論がなされることが聞いたんですけれども、
複数の場所で、それってどうなんですかっていうのは今となってみると。
十分に情報を与えてしまえば全然読めると思います。
読ませ方が一定のやり方があると思うんですけれども、
結局のところ地図を、例えばChatGPTとかクロードみたいなものがどれぐらい学習しているかっていうところが、
かつてはそこまで学習していなかったかもしれないですけど、今後本腰を入れてやってくるとまた変わってくるかもしれないですし、
そういったところはあるのかなと思います。
なんでこれを先生のような方にお伺いしたかっていうと、
我々ビジネス事業者が多いのですから、
事業者からすると既存のビジネスとして展開しているツールだったりサービスがあり、
それがAIで代替できてしまうとそのビジネスモデルが壊れるんじゃないかっていう恐怖はあると思うんですよね。
ただそんなことを言って既存のものにずっとしがみついていると、
どんどんこの日清月歩で進化しているGOAIの概念、
そしてそれが生み出すアウトプットみたいなものに、
先ほどおっしゃったような、もう1年で地球1種分ぐらい遅れちゃうぐらいなスピードになっているんじゃないかなと思うんですよね。
そういった意味でなかなかビジネス事業者観点だとそこが難しい部分と、
何しろ何年もかけて積み上げてきたビジネスモデルっていうのがあって、
ただそれをいきなり全部AI、GO、トランスフォーメーションができたが故にひっくり返すわけにもいかないしとか、
お客さんもどこまでついてこれるのかみたいなところもあったりします。
そこは研究学術観点で言うとどんな感じなんですかね。
教えているものが半年経ったらもう遅れているみたいなのってどうやって向き合ってらっしゃったりするんですか。
GIS・地理学を土台にした学習とリスキリング
そうですね。例えばですけど、この空間処理の分野でもこのGOAIが出てきたので、
どういうふうにGOAIを教えていくんだろうっていうのはあるんですが、
じゃあGOAIだけ教えればいいかっていうとそうでもないはずで、
前提にある地理情報のこの古典的なGISのレイヤーで整理しましょうとか、
そういったところがある程度前提として学生の方に入っていないと、
GOAIの話にはどうしても一足止めにはいけないので、
これは必ず積み重ねていかないといけないと思います。
これはGOAIに関しても同じで、
昨年までのこの話っていうものを抜きにして今やっているものだけやろうとしてもなかなかうまくいかなくてですね、
これは昨年までのものもしっかりと踏まえながら今年にどんどん来年という形で技術も進化していってますので、
そういったものをちゃんと踏まえながら進めていかないといけないのかなと。
途中から参入するというのはそこもちょっと難しいところですけれども、
そういうふうに過去のものがすべて用無しになるというわけではないような気がしたりします。
例えば私の研究でそのジオトランスフォーマーという話を先ほどさせていただきましたけど、
この中でこの都市空間どういうふうに捉えるんだろうという話があります。
この都市空間を例えばグリッドのようにメッシュのようにしてですね、
切り取って捉えるのか、またまた全然違う捉え方をするのかというのもありますが、
都市をどういうふうにこの切り分けるのかというのは割と古典的な地理学の問いだったりするんですね。
こういったものと連動させるっていうところがすごく重要だったりすると考えてますので、
意外とその今のテーマがかつてよく議論されていたりというようなことがありますので、
そういったところを結びつけて、そしてまた新しいものを作っていくというのが必要だと思います。
なるほど。ありがとうございます。
ちょっと普通の大学生とから離れて、
ジオAI研究会で私が提案させていただいた一つっていうのが、
物事を判断する人たち、社会人、事業者で働いている人たちに対して、
新しくAI、ジオAIを活用していくための知識だったりスキルっていうのが、
これちょっとちゃんと教育し直さなければいけないんじゃないか。
いわゆるディスキリングの観点っていうのを提言させていただいた部分はあります。
仕事の仕方は確実に変わってくるわけですし、ただ判断しなければいけないこと、
そしてその判断をするために必要なデータっていうのは、
さらに重要性が増してくるんじゃないかなっていうことをお話しさせていただいた次第ですが、
そういったところにも踏み込んでいかれたりとかっていうのを考えていらっしゃったりしますか。
まさにおっしゃる通りだと思います。
時々会社の方とお話をさせていただく機会があって、
その中でジオAIが話題になることもあるんですが、
ジオAIの最先端によく理解されている方もいらっしゃる一方で、
ジオAIとかそのAIというものに対して、
少なくとも私とは違った認識でおられる方もいらっしゃるのかなと。
そういったその認識がうまく合わないと、うまく話が進まないというようなこともあったりとかですね。
もちろんその意思決定のところで適切な判断ができないというようなこともあるかなと思いますので、
そういったところをちゃんとすり合わせていくとか、リスキリングとかっていうようなことがすごく重要だなと思います。
大学に求められていることの一つかもしれないですし、
そういったところがお役に立てるのであれば、いつでもご協力させていただきたいなと思います。
ぜひそういうプログラムを作っていただけると、スタン学連携とか研究費とかもどんどん面倒がついてくるんじゃないかなと思うので、
そんな相談をまたしていければなと思います。ありがとうございます。
GeoAIで都市空間の未知を明らかにする展望
じゃあ、そしたら最後に今後の展望をお話しください。
今後の展望としては、このジオAIというような分野をもう少し切り開いていってですね、
さまざまな今までわからなかったようなことをわかるようにしていきたいなと思っています。
複雑なこの都市空間ですので、まだまだ明らかになっていないことはたくさんありますので、どんどん明らかにしていきたいなと思います。
ありがとうございます。今日は専修大学の中山先生にお話を伺いました。先生どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
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