🔶灌仏会の由来とルンビニの花園
4月8日は「花まつり」です。お釈迦さまのお誕生日をお祝いするこの行事は、正式には「灌仏会(かんぶつえ)」と呼ばれます。およそ2,500年前、現在のネパールにあるルンビニの花園でお生まれになったお釈迦さまを祝し、色とりどりの花で飾られた「花御堂(はなみどう)」が作られます。天から「甘露(かんろ)の雨」が降り注いだという伝承にちなみ、誕生仏の像に甘茶をかける風習が今に伝わっています。
🔶白い象の夢と摩耶夫人の誕生
お釈迦さまの誕生には神秘的なエピソードがあります。母である摩耶夫人(まやぶにん)が、白く大きな象が体の中に入ってくる夢を見られ、お釈迦さまを身ごもられたといわれています。お生まれになったお釈迦さまは、すぐに七歩歩まれ、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と言葉を発せられました。これは「この世に生きるあらゆる命は、何ものにも代えがたい尊いものである」という、命の平等を宣言されたお言葉です。
🔶「花まつり」という名称の意外な歴史
お釈迦さまのお誕生日を祝う行事自体は非常に古く、日本では推古14年(606年)に法興寺(ほうこうじ/現在の飛鳥寺)で行われた記録が『日本書紀』に残されています。しかし、「花まつり」という呼び名の歴史は意外にも浅く、明治34年(1901年)にドイツへ留学していた僧侶らが、ベルリンのホテルで開催したのが始まりです。
🔶ドイツ語「ブルーメンフェスト」から広まった名称
当時、ベルリンに集まった憲法学者の美濃部達吉(みのべ たつきち)さんら18名の日本人は、お釈迦さまの生誕を祝う「ブルーメンフェスト(ドイツ語で「花の祭り」)」を開催しました。このイベントがドイツで大いに盛り上がり、大正5年(1916年)に日本でも日比谷公園で大規模な「花まつり」が挙行されたことで、この名称が全国に定着しました。伝統的な仏教行事が、ヨーロッパの文化と交わって新しい名前を得たという非常に興味深い歴史があるのです。
🔶宗派を越えた仏教共通の喜び
花まつりは、浄土真宗、浄土宗、日蓮宗、禅宗など、宗派の垣根を越えてお祝いできる仏教共通の祭典です。熊本でも、仏教連合会による「稚児(ちご)行列」が下通り・上通りのアーケードで行われるなど、地域に親しまれています。かつて甘いものが贅沢品だった時代、甘茶を分かち合うことは大きな喜びでした。時代は変わっても、甘茶の風味を楽しみながら、お釈迦さまが示された「命の尊さ」に思いを馳せる大切なひとときです。
🔶今週のまとめ
4月8日はお釈迦さまの誕生日を祝う「花まつり(灌仏会)」で、ルンビニでの誕生を伝えています。
お釈迦さまは誕生の際「天上天下唯我独尊」と仰り、すべての命が等しく尊いことを示されました。
「花まつり」という名称は1901年にベルリンで開かれた「ブルーメンフェスト」が語源となっています。
渡辺海旭和上や美濃部達吉氏らがドイツで始めた祭りが、現在の日本の花まつりのルーツとなりました。
宗派を越えて甘茶や稚児行列を楽しみ、命の恵みを分かち合うのが仏教共通の願いです。
次回テーマは「熊本地震(発生から10年)」です。どうぞお楽しみに。
お話は、熊本市中央区京町(きょうまち)にある仏嚴寺(ぶつごんじ)の高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん。
お相手は丸井純子(まるい じゅんこ)でした。
感想
まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!