1. 技術者かねまるの「プラントライフ」
  2. #24 水素って13色あんねん
2025-07-09 18:49

#24 水素って13色あんねん

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水素の基本分類「グレー水素・ブルー水素・グリーン水素」の3種類から解説し、全体13種類まで広げていきます。通勤中に聴くだけで、水素の色と由来がスッと頭に残るエピソードです。豆知識や話の種にどうぞ!
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プラントライフは、化学プラントの技術者である私かねまるが、化学と工場に関するトピックを、分かりやすく紹介する番組です。

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MONOist連載記事「はじめての化学工学」
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サマリー

今回、彼は水素の多様な種類について紹介します。特にグレー水素、ブルー水素、グリーン水素というさまざまな色の水素の生成方法と特徴について詳しく解説しています。また、ターコイズ水素やオレンジ水素など、より専門的な水素の種類にも言及しています。水素は色によって分類されており、主に13色が紹介されています。中でもグレー水素、ブルー水素、グリーン水素が現在の主流であり、それぞれの生成方法に関する情報が詳しく説明されています。

水素の基本と生産方法
どうも、かねまるです。
プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学や工場に関するトピックをわかりやすく紹介する番組です。
今回は、水素のお話をします。
燃やしてもCO2を排出しない次世代のエネルギーとして、水素が注目されています。
燃料やエネルギーキャリアとして活用が期待されています。
もともとは、3種類の水素、グレー水素、ブルー水素、グリーン水素についてお話ししようと思ってたんですけれども、
調べれば調べるほど、いろんな色が出てきて、最終的に13色になってしまいました。
そこで今回は、水素って13色あんねん、っていうお話をします。
もともと水素は無色無臭の機体です。
そこに作り方に応じて色をつけています。
そうして区別されるようになりました。
覚えてもらいたい3色は、グレー水素、ブルー水素、グリーン水素、この3つです。
今回はそこに10色足して13色、これらの水素を紹介します。
音声だけだと忘れてしまうかもしれませんので、何度か同じような説明をすると思います。
復習だと思って優しい心で聞いていただけますと幸いです。
まず一番普及しているグレー水素の話です。
天然ガスや石炭など化石燃料を原料にして水素を得ます。
化石燃料から水蒸気回質を経て、一酸化炭素と水素が得られます。
さらに一酸化炭素は水性ガスシフト反応という反応を得て二酸化炭素と水素になります。
こうして化石燃料が水素と二酸化炭素になります。
世界中の水素の生産のうち、天然ガス由来のものが69%、石油由来のものが29%、
残り2%が電気分解です。
圧倒的に化石燃料を使用しています。
つまりほとんどがグレー水素です。
ただしCO2排出量が大きいという欠点もありまして、これからのカーボンニュートラルに向けた取り組みとして、これからお話しするグリーン水素やブルー水素への転換が課題となっています。
環境に優しい水素
次はグリーン水素です。
水を電気分解して水素を得る方法で、電力源に再生可能エネルギーである太陽光や風力で発電した電気を用います。
世界的にこうして得る水素を目指しています。
製造過程でほぼCO2を排出しないので、環境負荷が極めて低い特徴があります。
また水素自体も燃焼時にCO2を出しませんので、化石由来燃料を使っている現在よりもかなりCO2の排出が削減できます。
再生可能エネルギーは発電のムラがありますので、どうしても余剰電力が出てきます。
この余剰になった電力を水素の生成に活用します。
生成した水素は実は二酸化炭素と反応させて石油原料が作れます。
二酸化炭素を一酸化炭素に変換して水素と反応させます。
フィッシャートロプシュ、FT合成と呼ばれたりもします。
次はブルー水素です。
グレー水素の時と同様に化石燃料を使用します。
ただし製造過程で発生するCO2を回収して貯蔵する点が異なります。
大気に放出しません。
この回収・貯蔵というのはCCSと言います。
実はすでにお話ししたことがありまして、シャープ7番のCO2が資源になるって知ってた。
注目のCCS技術という放送を聞いてみてください。
製造時にCO2と水素を分離してCO2単体を取り出します。
回収したCO2は地下深くに埋めます。
地中には二酸化炭素が通りにくい遮蔽層というものがあります。
この遮蔽層の下にCO2を貯めていきます。
この貯める場所は潮流層と呼ばれたりします。
地中深くに埋めたCO2は遮蔽層のおかげで地上に出てこない仕組みになっています。
化石資源を使用しているけど、待機中に二酸化炭素を放出しない。
グリーンとグレーの間の色でブルーだと思います。
多彩な水素の種類
さてここから本題です。
いろんな色が出てきます。
ですけれども結構マイナーです。
厳密な分類をして、単語の使い方を人に指摘してマウントを取ったりしないように気をつけてください。
豆知識としてはすごくいいですね。
音声だけだと忘れてしまうかもしれませんけど、最後にまとめの部分を作ります。
気構えずにゆっくり聞いてみてください。
まずは天然水素です。
ホワイト水素と呼びます。
岩石中の鉱物な反応ですとか、地熱の活動で地下に蓄積された水素ガスを採掘します。
実はホワイト水素はゴールド水素と呼んだりもします。
名前の由来を調べてもあまり出てこなかったです。
ただオーストラリアにゴールドハイドロジェン社という会社があります。
もしかしたら金のなる木みたいな形で金のなる水素、そういう形で名前が付けられているかもしれませんね。
この天然のホワイト水素というのはまだ研究段階で商業生産にはいたっていません。
実は日本にも天然水素があります。
それも見に行ったり体験したりできます。
長野県の白馬発泡温泉に天然の水素温泉があります。
行ってみてください。
私は行ったことがないんですけれども、もし行った方いらっしゃれば感想など教えてください。
次はブラック水素とブラウン水素です。
名前の色のイメージの通りグレー水素の一つです。
ブラック水素は石炭を原料にして作る水素です。
世界中の水素生産は天然ガスが69%、石炭が29%、電気分解が2%。
このうちの29%、石炭の部分が該当します。
そして石炭にも種類があります。
カッタンと呼ばれます水分や不純物の多い質の低い石炭を用いた場合はブラウン水素と呼ばれます。
こうしたカッタンは安いけど燃やした時に発熱量が少ないので利用が進んでいません。
そのため水素として活用しようという取り組みになっています。
細かく分類されていますけど、ブラック水素もブラウン水素もグレー水素の一つです。
次はターコイズ水素です。
化石燃料である天然ガス、その主成分メタンを高温で熱分解して水素と炭素を得ます。
ここで出てくる炭素は固体の炭素です。
従来の方法だと水素と二酸化炭素が発生していました。
ターコイズ水素の場合は水素と固体炭素が生成します。
ここが違いますね。
生成される固体炭素はCO2ではなくて固形物として得られます。
待機中へのCO2排出が理論上ゼロになります。
内容としては水素の生成過程でCO2を出しません。
ですのでグリーン水素に近い、そんな特徴があります。
ただし原料に化石由来の資源を使いますので、もしかするとブルー水素に近いかもしれません。
そういった理由からターコイズ水素という名前がついています。
ターコイズはトルコ石です。
青色から緑色ぐらいの色を持つ不透明な鉱物となってまして、
まさにグリーン水素とブルー水素のハイブリッドの意味にとれるようなところからターコイズと名前がつけられています。
次はオレンジ水素です。
これはハイプラスチックなどを原料にした水素です。
プラスチックの熱分解や光触媒反応で製造されます。
特徴としてCO2排出量の削減とハイプラスチック問題の解決、この両方を狙えるんですけれども、
やはりまだ技術的には開発途中の段階です。
調べた限りはあまりオレンジ水素という情報はありませんでした。
最後にピンク、レッド、パープル、イエロー、4つの水素を一気に紹介します。
実は全部原子力発電に由来する水素なんです。
メインはピンク水素です。
原子力発電で得られたエネルギーを水の電気分解によって製造します。
意味としてはグリーン水素と同じです。
電力源が原子力発電になっているというだけです。
原子力発電は電力供給が安定でCO2が出ないという強みがあります。
水素の色の分類
呼び方は国際的に統一されているようなイメージがあまりなくて、主にはピンクが使われています。
ただし、レッドやパープルやイエローも原子力由来と書かれていることも多いです。
可能な範囲で調べてみたんですけど、レッド水素は原子力発電で使う熱の方を利用しているようです。
ピンク水素が電気を使うのに対してレッド水素は熱ですね。
そしてこの電力と熱の両方を使うのがパープル水素です。
レッドとピンクの間というか混ぜたというか、それぐらいのイメージでパープルをつけてるんだと思います。
そしてイエローはピンク水素と同じで電気分解をして得られます。
意味的には全く一緒なんですよね。
一部のサイトでは原子力発電の原料となるウランが黄色いからイエロー水素と呼んでいますよという話もあります。
そしてこのイエロー水素のややこしいところが、太陽光発電で得た電気を使ったらイエローと呼びましょうというところもあります。
またまたややこしいのがグリッド電力、つまり送電網から供給される電力を使ったらイエロー水素と呼びましょうという話もあります。
今までの色と違ってイエロー水素っていうのは原子力なのか太陽光なのか送電網一式なのか、特に区別がついていないような色になっています。
主流の水素の説明
最後に復習の時間です。
13色一気に説明していきます。
グレー水素が現在主流の作り方です。
化石資源が使われてCO2もどんどん大気に放出されています。
グレー水素の中でも石炭を使ったものはブラック水素。
さらに石炭の中でもカッタンと呼ばれる不純物の多いものを使うとブラウン水素と呼んだりします。
化石資源を使っていてもCCSという形で大気にCO2を放出しない場合、ブルー水素と呼ばれます。
メタンを熱分解して個体の炭素としてCO2を固定化した場合はターコイズ水素と呼ばれます。
そして再生エネルギー由来の電力を使って水の電気分解から生成した水素はグリーン水素と呼ばれます。
原子力由来の電力の場合は4種類に分かれます。
単純に電力を使う場合はピンクやイエローという言い方になります。
原子力発電の熱を使ったらレッド水素、熱も電気も使ったらパープル水素になります。
水素の原料として灰プラスチックなど廃棄物を用いた場合はオレンジ水素です。
そして最後に天然の水素はホワイト水素、そしてゴールド水素とも呼ばれます。
以上です。
実際のところ世の中で使われるのはグレー水素、ブルー水素、グリーン水素です。
正直この3つで十分説明ができます。
ですけれども13色覚えていると結構話の種になるのかなと思います。
意外と突っ込みどころが多いネーミングになっていますよね。
グリーンとブルーの特徴を持つものをターコイズという石で表現したり、ピンクとレッド両方使ったらパープルになったり、
イエローに関しては原発なのか太陽光なのかグリッドなのか結局どれやねんって話になってきますね。
一度で覚えられなかったかもしれないですけど何回か聞いていただけるとすぐに覚えられると思います。
今回はここまでです。
プラントライフでは科学や工場に関するトピックを扱っています。
毎週水曜日の朝6時に定期配信していますので通勤時間や朝の準備などにお聞きください。
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プラント技術に関する専門的な内容はchemfacというブログで解説しています。
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それではお聞きいただきありがとうございました。
18:49

コメント

13色もあるんですね!知りませんでした!勉強になりました!

私も調べてみて驚きました!ダブりもありますが結構種類がありますよね。

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