1. 技術者かねまるの「プラントライフ」
  2. #125 普通は光らないはずが!..
#125 普通は光らないはずが!?凝集誘起発光(AIE)
2026-09-09 14:08

#125 普通は光らないはずが!?凝集誘起発光(AIE)

spotify apple_podcasts youtube

溶液だと光らなくて固体だと光る、そんな常識から外れた面白い特性である凝集誘起発光(AIE)を紹介しました!

📚参考資料

――――

プラントライフは、化学プラントの技術者「かねまる」が、化学プラントの技術者が、化学を軸に皆さんの視野を広げていく番組です。感想は #プラントライフ を付けてXにてお待ちしています!

📅 配信スケジュール

毎週 水曜日・日曜日 の朝に更新!

LISTENで先行公開後、各種Podcastアプリ(Spotify/Apple/Amazon/YouTube)にも配信されます。

🖥️ 公式ホームページ

技術者かねまるの「プラントライフ」公式ホームページはコチラ!!

https://plantlife.chem-fac.com/

💬 お便り募集中

番組への感想や、聞いてみたいテーマなどお気軽にどうぞ!

https://forms.gle/EDHYXorTnk35gu91A

🤝 かねまるの「ここだけの話」メンバー募集!

noteでメンバーシップを開設しています!言いたい・残したいけどオープンにはしたくない「ここだけの話」をお届けするメンバーシップです!

https://note.com/webview/chem_fac/membership

🔗 関連リンク

X:かねまる@化学プラント技術者 https://x.com/chem_fac

プラント技術解説ブログ「ケムファク」 https://chem-fac.com/

MONOist連載記事「はじめての化学工学」 https://monoist.itmedia.co.jp/mn/series/40825/

化学工学計算支援ツール https://tools.chem-fac.com/

技術士(化学部門)一次試験 過去問解説 https://pe-chemistry.chem-fac.com/

🎵 Music

RYU ITO https://ryu110.com/

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

通常、物質は外部からのエネルギーを光として放出するが、分子の動きや高濃度・固体状態では熱としてエネルギーが逃げ、光りにくくなるのが一般的です。しかし、凝集誘起発光(AIE)を示す物質は、液体では光らず、固体状態になると強く光るという常識外れの特性を持ちます。これは、分子が凝集することで動きが制限され、かつプロペラ型構造により分子同士の密着が妨げられるため、熱ではなく光としてエネルギーが効率的に放出される原理によるものです。

凝集誘起発光(AIEE)の紹介
こんにちは、かねまるです。 プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学を軸に、皆さんの視野を広げていく番組です。
今回は、普通は光らないけど、ある条件で光るようになる、という面白い物質の話をします。
しかも、その光るという条件が、普通の化学物質だったらありえないよな、という条件で光るんです。
その特性が、凝集誘起発光,AIEEというものです。 今回は、そもそも物質が何で光るのかっていう話から始めて、
じゃあ、今回取り上げる凝集誘起発光,AIEEの何がすごいのかってところを、一緒に見ていきましょう。
物質が光るメカニズム
まず、物質が光るっていうところの話から始めていきます。
いろんな種類がもちろんあるにはあるんですけど、オーソドックスなのは、外部から何かしらのエネルギーをもらって、
受け取ったエネルギーを吐き出すときに、光として吐き出す方法です。
つまりは、エネルギー変換している、ということなんです。
受け取るエネルギーの代表的なものが光です。
レーザー光などを使って、とある物質に光を当てると、その物質から別の色の光が出るようになります。
よくやるのは、紫外線を当てることです。
紫外線は私たちの目には見えませんので、そういう光を当てて、私たちの見える黄色や赤などの色のついた光を物質から発光させます。
ただ、受け取ったエネルギーが全て光として出てくるわけではないんですよね。
光が熱に変わる理由と分子構造
その代表例が熱です。
例えば外から紫外線のエネルギーを受けて、その紫外線のエネルギーを光ではなくて熱として処理されてしまうと、出てくる光は弱くなってしまいます。
熱として使うと言っても様々でして、分子の世界、ミクロな視点で見ていくと、分子の結合がゆらゆら動くような形です。
こうした分子自身が吸い込んだエネルギーを、自分の化学結合の振動とかねじれ、つまりは動きとして捨ててしまうのが、熱に変換されてしまうということです。
だから分子の構造で見ると、光りやすい物質っていうのは結構特徴的でして、それこそ化学結合一本一本が動きにくそうなガッチリロックされた形になっています。
形で言うと、正六角形が繋がったハニカムみたいな構造でしょうか。
化学構造的には長い分子っていうよりは、輪っかを作って動きを阻害したような形の方が光りやすいです。
これはガッチリロックしている方が、自分自身の振動とかねじれの動きとして使いづらいからなんですよね。
逆に言うと、大体の物質っていうのは、エネルギーを受け取ったら自分の振動やねじれ、つまりは動きとして捨ててしまうんですけど、
体がガッチリ固定されて、吸い込んだエネルギーを吐き出す手段がない、そんな時に光として出せるようになります。
濃度と固体状態が発光に与える影響
ちなみに自分がエネルギーを受け取って、元に戻る時に光るような現象、これを蛍光と言います。
あの蛍光物質の蛍光です。
エネルギーをもらったのに自分が光として出せない条件っていうのがもう一つあります。
周囲の環境です。
そもそもですね、光る物質を山のように準備すればたくさん光りそうじゃないですか。
ただですね、たくさん用意するって言っても濃度を濃くすれば濃くするほど光るわけではないんですよね。
逆にとっても濃くすると光が弱くなっちゃいます。
何が起きてるかっていうと光る分子がめちゃめちゃ密着しているんですよね。濃度が濃いと。
蛍光を出す物質っていうのは平べったい形のものが多いんです。
そして濃度を濃くするとその平べったい分子同士が板みたいにぴったり重なってしまいます。
そうすると重なった分子同士でエネルギーを熱として逃がす近道が新しくできてしまうんですよね。
せっかく光になるはずだったエネルギーがそっちに流れていってしまいます。
光る分子同士が近づくとうまーく光らなくなるんですけど、それの最上級が固体です。
蛍光物質を扱う人には結構一般的な話ですが、液体に溶かしたら光るけど固体にしたら光らなくなるっていうことは往々にしてあります。
本来であれば濃度が濃いといっても液体の中にいるので比較的薄い部類にはなります。
それでも光は弱くなっちゃうんですけど、今度は固体にすると光る分子同士がめちゃめちゃ密着するのでとにかく光りづらくなります。
だからこそ難しいのは有機ELなんかも光る物質ですけど、そういう発光する分子をそのまんま膜にすると消えちゃうんで、別の材料に混ぜて薄めて使うっていうのが定番になっています。
ここまでの話を一度整理しますと、分子がまず外からエネルギーをもらって光るか熱として出すかっていうところに分かれます。
分子自体ががっちりロックされた形だと熱じゃなくて光として出せるようになります。
ただ分子同士が密着してぴったり重なると、今度はそこに熱で逃げる近道ができてしまってやっぱり光らなくなってしまいます。
だからこそ固体状態っていうのはものすごく光りにくい条件なんです。
常識を覆す凝集誘起発光(AIEE)の発見
ここからが本題なんですけど、希薄溶液、何かに溶かした状態だと光らなくて、固体状態で強く光る物質が発見されました。
2001年のことです。
この物質が示す特徴を凝集誘起発光、AIEEと呼ぶようになりました。
凝集はその名の通り集まること。
有機は誘って起き上がると書いて有機です。
そして発光、その名の通り光ること。
凝集誘起発光っていうのは分子が集まることで引き起こす発光なんです。
不思議な話で、普通だったら固体だと光らないけど、固体だからこそ光るっていう分子があるんですね。
英語だとアグリゲーションインディウスドエミッションと言います。
AIEEの原理っていうのはこれまで話した内容からなんとなく予想がつきます。
AIEEの原理:テトラフェニルエチレンの動き
もともと光らなくなる原因っていうのは受け取ったエネルギーを熱として出してしまう。
もっと言うと分子が動いちゃうのが問題だったんです。
AIEEを示す物質で有名なのはテトラフェニルエチレンというものです。
分子の形としてはプロペラみたいな形になっています。
棒の両端それぞれに器みたいな羽の形のものが2つずつ伸びていて、4枚のプロペラがついているような形になっています。
液体に溶けている、溶解している時っていうのはこの羽の部分が自由に動けるのでエネルギーを受け取っても動くのに使ってて光りません。
ただし固体状態になって周りとぶつかるようになってしまうと分子同士が当たって羽が動かなくなるんです。
動かなくなったらどうなるかっていうと熱じゃなくて光で放出されます。
原理としては分かりやすくていいですよね。
動いちゃって光らないから動かさないようにするっていう分かりやすい内容です。
AIEE分子設計の妙:重なりを防ぐ構造
ただしなんですけど、固体にすることで分子が光る条件は作れました。
熱じゃなくて光を出す条件です。
それでももう一つの問題がまだ残ってしまってるんです。覚えてますか?
普通の光る物質だったら液体に溶かした状態だと光って、固体にすると分子同士がぴったり重なって熱で逃げる近道ができて光らなくなるという状態になります。
だから動きを止めるっていう条件はできたんですけど、重なって消えてしまう方の問題はまだ解決できてないということです。
しかしそれも今回紹介したプロペラ型のテトラフェニルエチレンは解決していました。
化学構造がプロペラみたいにねじれた形ですので、
普段使っているような平べったいガチガチに固定された光る物質の形とは違うんですよね。
普段使っているものだったらぴったり重なったり近づいたりしやすいんですけど、
今回のプロペラ型のテトラフェニルエチレンというのは集まってもぴったり重なることができないんです。
だから熱で逃げる近道が空きません。
動きは止まるのに重なりだけは起きない。
なかなか絶妙な分子設計ですよね。
AIEEのまとめと知見の価値
今回は少し短いですけど、凝集誘起発光AIEについて話してきました。
私がこれを知ったのは大学時代でして、
もともと光に関する研究も少しやってたので、
逆にこんな条件で光る物質なんてあるんだって感動した記憶があります。
教科書にも載っているような常識を打ち破る研究結果ってやっぱりすごいですよね。
おそらく今回の話、AIEっていうのはテレビでもネットでもほとんど聞かないと思いますけど、
こういう物質がこういう現象があるんだっていうのは知っていると人生で1回くらいいいことがあるかもしれません。
まずは物質が光るってどういうことなのかっていうのを知ってもらえると嬉しいです。
エンディングと番組情報
今回はここまでです。
プラントライフでは化学や工場に関するトピックを扱っています。
配信は毎週水曜日と日曜日の朝6時を予定しています。
番組への感想は概要欄のお便りフォームよりお待ちしています。
もしくはXでハッシュタグプラントライフをつけていただけるとすぐに見に行けます。
逆にAIE知ってるよって人いたら是非言ってください。
最後にお知らせです。
noteにてメンバーシップかねまるのここだけの話というものを公開しています。
発信の試行錯誤ですとか技術者のキャリアのような
オープンな場では少し話しにくいけど残しておいた方がいいかなっていう本音をお届けしています。
もし興味を持っていただきましたら概要欄のリンクから是非覗いてみてください。
それではお聞きいただきありがとうございました。
14:08

コメント

スクロール