第二百三十三話『自分だけの道を歩む』-【山梨篇】画家 藤田嗣治-
2020-02-15 13:44

第二百三十三話『自分だけの道を歩む』-【山梨篇】画家 藤田嗣治-

山梨県立美術館では、3月8日まで「藤田嗣治『黙示録』三連作の謎」と題した、コレクション展冬季特別企画が開催されています。
同美術館所蔵の藤田の『黙示録』は、彼がカトリックの洗礼を受ける前後に書かれた貴重な作品です。
特に、洗礼後に画かれた『天国と地獄』は圧巻。
仔細(しさい)に描かれる、救済と破壊、平和と殺戮は、見るものを釘づけにします。
『黙示録』は、間違いなく藤田嗣治という稀代の画家の宗教観をひもとく重要な作品群です。
ピカソ、モディリアニ、マチスらと、1920年代のパリに暮らした藤田は、エコール・ド・パリ、唯一の日本人。
独特な感性で賞賛を浴び、時代の寵児になりました。
彼が描く「乳白色の肌」と呼ばれた裸婦像は、西洋画壇にその名をとどめる強烈なインパクトを持っていたのです。
しかし、日本では、異端児。
特に戦争の渦が彼を巻き込み、翻弄します。
第二次世界大戦がはじまると、日本に帰国を余儀なくされましたが、戦後は「戦争協力者」のレッテルを貼られ、日本から逃げるように再びパリに戻り、フランスに帰化。
名前も、レオナール・フジタとします。
しかし今度はフランスからも「亡霊」と呼ばれ、自らのアイデンティティを喪失してしまうのです。
彼は日本を去るとき、「私が日本を捨てるのではない。日本が私を棄てたのである」という言葉を残しています。
それでも藤田は亡くなるまで、日本を愛し、日本人としての誇りを胸に生きていました。
日本から疎まれ、フランスからはじかれても、彼は愚痴や言い訳を口にしませんでした。
それはまるで彼の画法のように、訂正や書き直しをしない、直感を信じた揺るぎない一本の線のようです。
おかっぱ頭に丸メガネ、口ひげの画家、藤田嗣治が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

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