第九十八話『自分の居場所』-【軽井沢篇】彫刻家 イサム・ノグチ-
2017-07-15 14:52

第九十八話『自分の居場所』-【軽井沢篇】彫刻家 イサム・ノグチ-

軽井沢の深い森の中にある、セゾン現代美術館。
木々たちの間をすり抜けた清廉な風が、心地よく、かたわらを行き過ぎていきます。
開け放たれた鉄の門。そこから延びる真っ直ぐな道を進むと、鳥の声が迎えてくれます。
敷地内を流れる小川のせせらぎ。
小さな橋を渡ると、そこに世界的な芸術家たちの作品が、自然と一体化して、訪れるひとを待っています。
その作品のひとつを手がけたのが、彫刻家イサム・ノグチの『雨の山』『雲の山』。
緑と融和した岩が、独特の存在感を持って、迫ってきます。
イサム・ノグチは、日本人の父とアメリカ人の母の間に生まれました。
二つの祖国を持つということ。
そして、母が未婚のまま自分を産んだ、いわば私生児だったという事実。
彼は生まれながらにして、自分の居場所を持てない、流浪の人生を決定づけられてしまいました。
彼は、自伝の書き出しにこうしるしています。
『二つの国を持ち、二重の育てられ方をした私にとって、安住の地はどこなのか?私の愛情をどこに向ければよいのか?そもそも、私とはいったい何なのか?日本か、アメリカなのか、あるいは両方なのか、それとも、もしかしたら私は世界に属しているのだろうか』
彼は、その答えを追い求め、地球に作品を刻みました。
日本のみならず世界中の大地に残された彼の彫刻は、静かに、降ってくる時を受け入れています。
自分の居場所を見失ったとき、ひとは、どう生きればいいのでしょうか?
自らの存在理由に悩み続けながら激動の時代を生きた、芸術家イサム・ノグチがつかんだ、明日へのyes!とは?

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