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2012-03-20 10:51

vol.8-1「美術品輸送業務との出会い」

日本通運株式会社で美術品輸送業務について31年。徳田氏が美術品輸送という業務が存在することを知ったのが、同社に入社後でした。「美術品を運ぶ」という発想すらなかったという徳田氏ですが...?











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皆さんこんにちは。今ご紹介に預かりましたインタビュアーの早川洋平と申します。日本ツーン株式会社の徳田秀政さんをお迎えして、美術作品の輸送と展示についてお話を伺いたいと思います。
早速、徳田さんをご紹介させていただきます。まずお呼びする前に、プロフィールを簡単にご紹介させていただきます。
徳田秀政さん、1981年4月、日本ツーン京都支店に入社されました。入社以来31年間、現場で美術品の梱包輸送の取り扱いに従事されていらっしゃいます。
2003年から5年間にわたって、国内20カ所以上で開催された京都国立近代美術館巡回展など、国宝・重要文化財作品を多数取り扱っていらっしゃいます。
2007年7月から本社美術品事業部の技術指導員として、全国の美術品作業員の指導にわたっていらっしゃいます。
ということで、早速お迎えしたいと思いますので、みなさんも拍手で迎えていただければと思います。
徳田さん、よろしくお願いします。
早速なんですけども、先ほどプロフィールでもご紹介したんですけども、1981年4月、ちょうど31年くらい前。
実は私がちょうど1980年生まれなんで、ほぼ生まれた頃になんですけども、京都支店に入社されててことだと思うんですけども、
そもそもこれは美術品担当社員として入ったのか、そのあたりの経緯というか、ザクバランに教えてください。
運送会社に希望して入ったのは間違いないです。
ただまさか美術品を運ぶということは、ましてそれが運送とは思わなかった。
みかんとかリンゴとか、たとえば引っ越しかもってたら想像してたし、そのつもりだったんですけども。
一番入って、いろんな会社の中のいろんなものを見せてもらって、これも運送かと思った美術品に入って、1週間目ぐらいに配属が決まりました。
それ以来はずっと美術品を輸送することを専門にやらせていただいてます。
そのときの正直な気持ちはどうでした? 美術品やってって言われたとき。
気持ちはね、運ぶというか、初めて行ったのが京都の博物館なんですよね、仕事で。
え、博物館?運ぶの?みたいな。
運ぶというより飾るとこから入りましたね。
飾る。
一番初めの仕事は飾る仕事です。
いわゆる展示です。作品を博物館内で展示することが。
あ、ここまで運送かと思いましたね。
それは行って、そこである意味初めて終わったときに、今後こういう仕事をやってもらえよみたいな感じだったんですか?
いや、あのね。
もう31年前なんで。
わかんないですけども、いろんな体験をしました。
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それこそ当時、貨車もあって、貨車から袋に入った重たいものを下ろされるという仕事もしたんですけども。
ああ、これが運送やかと思って。
翌日、そういう博物館に行って。
そのときは偶然にも、入って間もないので見るぐらいしかできなかったんですけども、
そのときには展示する仕事をされてました、先輩さんは。
で、そのときはそれで終わってしまう。
で、1週間したら、配属がそんなところに行って。
あれでわかったのかなと。
そこからまさか31年、今こうして、それこそ今日のように専門家として話す日が来るっていうのは、
全然そのときは想像なんてしてなかったかも。
もちろんです。
日本にも当然そういう仕事があるってことは、
海外なんかも、こういう運送の会社さんが運んだり展示する美術品の事業部っていうのは普通にどこもあるもんなんですか?
そうですね。世界各国にあると思います。
ただし、日本は展示までするのは特化されてまして、
世界で運送は運送屋がするんですけども、
例えば梱包、飾り付けは、
例えばボストンだったらボストン美術館の展示担当スタッフはいると思います。
日本ではなかなか展示担当スタッフっていうのはそんなに多くなくて、
だから我々が生きて見せるとあるというのが事実なんですけども。
そんなところで、実際ここから一番皆さん気になる、
実際の美術館の取り扱い、業務って言っていいのかわかんないですけども、
ステップごとにお聞きしていきたいと思うんですけども、
ステップがいくつかあると思うんですけども、
一つ目がやはり調査計画というか、リサーチプランニング。
このあたりが、僕も事前にいろいろ調べたんですけども、
最初のステップなのかなと思ったんですけど、
この辺具体的にポイントとか重要に考えてることとか教えていただければと思います。
まずね、出すか出さないかっていうのも含めてですけど、
調査でまず一番思うのは、安全に出せるか。
安全に作品を取り出せるという方は多いですけど、
お寺の奥深くある物を出す、結構大変なんですけども。
そういった場合、どのようにして出すのとか。
そのときには、実際に私たちも運ぶプロですけども、
正直言って、本質はよくわかんないんです。
例えば仏像がどういう構造でどこが繋がっててっていうのがあるので、
実際に調査のときには、そういう有識者と一緒に行って、
これを出したいって言われたら、運送屋として、
じゃあこの仏像なら絶対ここで横にさせてくれって。
大丈夫?この仏像を横に寝かしても壊れないって聞いて、
大丈夫って言われたらするし、いやわかんないって言われたらどうしようって話をして。
そこでほとんどが決まりますね。
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まず梱包方法もそうだし、
実際にどういうふうに梱包するかが決まって、
それで方法が決まって、それに応じてあと何日かかる、どうする。
もちろんいくらかかるって話もあると思いますけども。
いくらってのはなかなか出てこないんです。
安全に運んでよっていう話が、どうしても先に立って。
かといってね、無人像でお金をくれるお客さんって、なかなか難しいところなんですけども。
これいくらっていうところで言うと、
たとえば保険とかっていうのは美術院当然、
これ美術館さん側の話だと思うんですが、かけるんですよね。
かけてもらいます。
言ってしまえば保険のかかってないのも運べ。
確かにそうですよね。
万が一壊れることもあるし、壊すこともあるし、傷つけることもある。
絶対に保険をかけてもらいます。
そうすると受けたくても受けられない。
そうですね。保険のかかってない荷物は運ばないっていうスタンスですね。
はっきり言ってしまうと。
僕がもし今、徳田さんの立場だったら、
31年やってたらもっと気も据わるかもしれないですけど、
基本的にリスクは一切置いたくない。
もうちょっとやばくなかったら無理ですって言いたくなると思うんですけど、
その中で当然、お客さん美術館の方とかが、
結構その、確かにこれギリギリかもなっていうところで、
でも有識者の方が、いいとも悪いとも言えないようなところがあるじゃないですか。
そういうときって、やっぱりでもチャレンジしなきゃいけないというか、
いけないというか、その辺の微妙なラインというか。
そうそう。微妙なラインはありますね。
でもしたいですね。
やっぱりそうですか。
心の中ではしたいです。
ただ、怖いですね。
本当に、ずっとやる前から憂鬱な、どうしよう、こうしようって考えて、
でも正直やりたい。
難しい仕事のほうが、みんなのほうもそうやと思うけど、面白いと思います。
やりがいがあるというかね。
やっぱりそのギリギリを今までかなりやってきたっていうところあるわけですよね。
このプランニング調査のところっていうのを今少しお聞きしたんですけども、
そう受けたときもそうだと思うんですけど、
ヒアリングというか、現地行ったときもそうですけど、
この辺のコミュニケーションというのは結構かなり大事かなと思ったんですけど、
その辺っていうのはどうですか。
それずっとだと思いますけど。
例えばクライアントももちろんそうですよね。
それこそ所蔵家さん。
例えばお寺のお坊さんなのかな。
お坊さんが多いですけども、そういった人と、あと団家さんもいるんですよね。
その辺が一番怖いですね。
怖いというか、仏像に限るかもしれないですけども、
みんな拝むもんじゃないですか。
仏像は触るもんじゃないですよね。
少なくとも仏像を包んでどっか持っていくもんではないので。
それは博物館の人は、たぶん美術品と捉えてると思うし、
お坊さんも魂抜いたから大丈夫って言うんですね。
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魂入ってる間は絶対触んないんですけども。
魂抜いてもらって、どこに魂があって抜いたかわかんないんですけども。
魂抜いたからどうぞって言うんだけども、
団家さんはもっと思いが深いのかな、仏像に関して。
わしらずっと拝んでんじゃねえと。
美術さん、その扱いなんなん?って言われたことがあるんです。
確かに扱いは抜群に良かったと思います。
ただし、それは心がこもってなかったかもしれない。
梱包のプロとしては、すごい素早く、スピーディーに、手短に、スマートに。
そういう心情を持ってやってたんですけども、そのときまでは。
スマートに、スピーディーに、エコにとかいろんなことを目指してやってたんですけども。
それが団家さんにはビジネスライクって言うんですかね。
仕事に見えたらしくて、
わしらは今まで拝んだと、もうちょっと心を込めて運んでくれへんやろうかと言われて、
それから20年目ぐらいです。
ちょうどいいときにやりがいも出て、
結構自信も持ってやってたと思うんですよね。
やっぱりそのスマートさを目指したのが、団家さんには受けなかったのかなと。
プロには、もちろん博物館の先生、学園さん、お寺さんには受けたんですけども、
ちょっとそういうとこまで。
それからちょっと考えるようになって、団家さんの前では3歩ぐらい引いて、一緒に拝んで。
だからもちろんお寺に行くときは拝んで入りますし、
根本さえ全然関係ないんですけども、
十字も持ってますしっていうような。
今はそんな感じでやらせてもらってます。
やっぱり思いを運んでるというんですかね。
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