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2023-07-04 20:29

997. 未来の宇宙移住のためのマウス実験が超加速中【JAXA】

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1日10分、宇宙時間をテーマに毎日お届けしております、宇宙話。今回は国際宇宙ステーションで行われているマウスの実験、これがどういう意味があるのか、そんなお話をしていきたいと思います。
私たちはこれから、宇宙移住っていう可能性がどんどん出てくる。 そんな中で、体にどんな影響があるのか、そういったところの実験が今どんどん進んでいる。
そんなところを今回は、包括的に全体をざっくりお話ししていければと思っておりますので、ぜひ最後までお付き合いください。
【佐々木亮の宇宙話】
2023年7月4日、始まりました佐々木亮の宇宙話。 このチャンネルでは、1日10分、宇宙時間をテーマに、天文学で博士号を取得した専門家の亮が、毎日最新の宇宙トピックをお届けしております。
本日でエピソードが997話目を迎えております。 1000話まであと少しというところで、ぜひ皆さん盛り上げていただきたいなと思っているわけなんですけど、
基本的には1話完結でお話ししておりますので、気になるトピック、気になるタイトルから、ぜひですね、他のエピソードを聞いていただいていいんじゃないかなと思っております。
前回は、結構ガッツリ天文学っぽいお話、40億年前の太陽系の様子だったりとか、その前は2023年に予定されている、日本の天文学にとってめちゃめちゃ重要な打ち上げ、そしてミッションについてお話しさせていただきました。
そんな中で、今回お話ししていくのは、結構僕たちの今後の宇宙ライフに関わってくるようなお話ししていきたいと思っております。
何かっていうと、これですね、国際宇宙ステーションで行われてきたマウスを使った実験のお話、ここら辺が結構わかりやすくまとまっている記事っていうのがJAXAから公開されていたので、
そちらをベースに今回はお話ししていきたいなというふうに思っております。
これからの宇宙開発、一体どんなことがメインで取り上げられてくるのかっていうと、1個大きい軸としてあるのは、移住ですね。
移住。宇宙話でも散々この辺りってお話ししてきたかなと思うんですけど、今後の宇宙開発どういうふうに進んでいくかっていうと、やっぱり今一番大きい潮流としてあるのは、アルテミス計画って呼ばれるアポロ計画の後継プロジェクトですかね。
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ここがやっぱり大きいかなと思っていて、どんなことをするか。世界中の宇宙機関、NASAを中心として、いろんな宇宙機関協力して、月を目指していこうと。
で、月の表面に基地も作るし、月の周りに宇宙ステーションも作るし、そこを拠点にして、さらに深い宇宙の探査をしに行こう。
っていうところで、月に1000人ぐらい住んでいる状況から、次は火星を目指していく。
っていうようなところで、スペースXの目指しているところも最終的には火星だったりするっていう話、3回前ぐらいのエピソードでさせていただいたと思います。
そんな感じで、今まさに宇宙開発が進んでいってる方向性の先には、人が宇宙に当たり前にいる、そんな時代っていうところが見据えられているわけなんですよね。
なので、人間が宇宙に行っても大丈夫なのか、っていうような健康的な面も、こっからどんどん注目度は上がっていく。
今までも実際に結構いろいろやられてきてたんですけど、そういった目線が大事になってくるというところがあります。
ただ、宇宙開発どんどん進めていく中で、いろんなデータが揃ってくる中で、やっぱり課題になってくるのは人体実験とかってなかなかできない。
もちろん、宇宙飛行士の方が宇宙ステーションにいるデータ、体のデータとかは取られていたりするから、これを人体実験と捉えるのかどうかみたいなところはあるんですけど、
そういったところをベースにしているけど、何かを検証するために何をしよう、みたいなことではないんですよね。
そこで利用されているのが、マウスによる実験です。
マウスに使った実験ですね。
簡単に言うと、マウスを国際宇宙ステーションに連れて行って、連れて帰ってきて、その中で変わってきたマウスの状況っていうのを調査していく、っていうような実験ステップですね。
もちろんこれは、人体実験ではないにしても生物を扱う実験なので、倫理規定みたいなものは結構厳しく管理されている上で行われている、
っていうところだけちょっと頭の片隅に入れて聞いていただけたらと思います。
これ前もポッドキャストで話して、結構ええそうなんだって同意してもらったところがあるんですけど、結構こういう生物を扱う実験って日本国内だと特に厳しく扱われてるんですよね。
例えば、科学研究費って呼ばれるもの、研究者の方々が実験、自分たちの好きな実験をするために国の研究、国の機関にこういう実験をしたいっていう提案書を提出する、そういうものがあるんですね。
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それに合わせて、まあ予算いくらくださいみたいな、まあ実際にはいくら使える枠みたいなのが決まってて、そこに対して応募していくっていう形なんですけど、
で、そういうのがある中で申請書、めちゃめちゃリッチに書かなきゃいけないですね。
この資金を獲得するために、研究者の人たちめちゃめちゃ時間を使うっていうぐらい、ここの研究費を取りに行く動きっていうのはすごく大事だし、むしろそこに時間がかかりすぎて本来の研究できなくないかっていうような課題まで上がってるぐらい重要なんですよね。
で、その何枚か10ページぐらい書くんですよね。いろいろな情報を。で、10は嘘か。7とか8とかか。
で、その中ですごいビチーって書く中で、1枚、ちゃんと1ページがっつりで倫理規定っていうページがあって、
その倫理規定、つまり今回みたいにマウスの実験をするだったりとかっていうような、何かの倫理に抵触しそうなもの、生物実験みたいなところが入ってくると、そこしっかり書かないといけなかったりするんですよ。
なので、日本国内は結構そういうの厳しく管理されてるかなっていう印象ですね。
ただその一方で、アメリカ、僕NASA研究行ってたんですけど、NASAの中っていうよりは、近くにNIHっていう研究機関があったりとか、大統領とかが来たりするような医学研究の場所ですね。
で、そういうところがあったり、近くにも大学病院、大学のレベルで医学の研究めちゃめちゃ進んでるところがいっぱいあって、そういう研究してる人と知り合う機会も多かったんですよ。
で、いろいろ聞くと、日本だとかなり厳しく管理されている一方で、アメリカの方がまだそういうマウスとかを使った実験とかっていうのは比較的しやすいみたいな話だったかな。
そういったところがあったりするっていう話だった記憶がありますね。
なので、国によっていろいろ違うけど、今回は日本国内で行われている実験にフォーカスを置くみたいな、そういうところです。
ちょっと話それましたけど、これまでも何度かマウスを利用した実験って紹介してきたんですけど、そういうのを実際にやってる人がどういう全体の流れで、そして今どういう状況にいるのかっていうお話をさせていただきたいなと思ってます。
これ、宇宙空間に人間が行くのもそうだし、マウスが行くのもそうだしっていうところで発見された一つの特徴っていうのが、無重力空間に行くと筋肉が萎縮してしまうっていう、そういう研究結果が得られたんですね。
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国際宇宙ステーションでマウスを飼育して、無重力空間によって適応したようなマウスたちっていうのの体を調べてあげると、筋肉に対する遺伝子レベルっていう話もそうだし、実際に筋肉全体を見てあげたときに筋肉の萎縮が起こっている、筋萎縮っていうのが発生するっていうところが実は明らかになってるんですね。
で、この実験をするのも実はすごい大変だったっていうエピソードが今回公開されていて、何かっていうと、こういう実験を行うときっていうのは対象実験って呼ばれることをやるんですよ。対象実験。
これ、中学校の理科の授業、たぶん中学1年生とかだったかな。僕大学の頃、中学生のテスト対策とかを教えてたので、確か中学1年生、もしかしたら2年生かもしれない。だいたいそういうのって漢字で書かされるテストの定期テストの項目で絶対出るんですよ。
対象実験。比較対象するための対象だから、対っていう字に対と対象の性が照らすかな。っていうので、対で照らし合わせて、条件の違う2つのものを比較していくっていうような、そういう実験を行うんですよ。
ただ、これ難しいのが、国際宇宙ステーションにマウスを連れて行くっていうふうになるんですけど、これ、この無重力状態に連れて行ったマウスと地上のマウスっていうのを比較してると思いませんか。違うんですよ。
で、なんで違うか。実際は国際宇宙ステーションに、例えば10匹だったら10匹のマウス連れて行きます。そのうちの5匹には、無重力空間での生活を行わせる。で、もう5匹っていうのには、これ人工的に重力を加えて、1Gの環境でマウスたちには生活をしてもらうっていうような、そういう実験の仕方をするんですよ。
地上と比較すればいいんじゃないかっていう意見あると思うんですけど、それだとダメなんですね。なぜか、2つを照らし合わせるときに、事前の環境が違いすぎるっていう課題があるんですよ。
国際宇宙ステーションにマウスを連れて行く場合は、打ち上げ時の衝撃とか、あとは宇宙空間を飛び交う放射線の影響とか、そういったところを排除するために、そういうのが無重力空間に飛ばしたマウスにはかかるわけじゃないですか。
けど、もし地上と比較しようとすると、そういう条件が合わなくなる。地上にいるマウスって打ち上げも経験しなければ、放射線にも当てられないっていうところがあるから、そういう違いがあるんですよね。
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なので、そこの環境をしっかりと揃えてあげないと、マウスたちの比較ができないっていうところで、全員連れて行って、連れて行った上で、あえてそこで重力をかける。
というところで、まるで地上にいるかのようなマウスと、そうではない、宇宙空間にいるマウスっていうところを比較できるようにするっていう、そういう実験設備っていうのが、まず宇宙ステーションに整えられたと。
で、この2つを比較することによって、やっぱり重力の環境っていうのが、そのマウスにとって非常に重要であった。
つまりこれによって、菌移植っていうところが、重力の影響によって発生するっていうところが明らかになったんですね。
で、実際にはこれ、菌重量の減少と菌繊維のタイプだったりとか、その遺伝子が変化したっていう研究結果が得られていて、っていうところがあるんですよ。
で、これ面白いですね。で、こういう、これしかも遺伝子レベルでの変化っていうところまでしっかりとらえられるんですけど、ここに課題っていうのが実は指摘されていて、
何かっていうと、宇宙ステーションでその検査っていうのはできないんですよ。
なので、宇宙に連れて行って、で、そのマウスが帰ってきて検査を行うっていうところをするので、
これ、地上に帰ってきた後、すぐにやらないと、無重力の研究結果っていうのが、重力に対応してまた変わっちゃうかもしれないじゃないですか。
そこの結構課題っていうのが実は大きいらしくて、今時点でマウス連れて行って、地上に帰ってきてっていうのをやった時にかかる時間っていうのは、
地上戻ってきてから2日経たないと、今のところ調査できないらしいんですね。ここが結構課題になっているみたいなところも実はあったりします。
で、これ、こういうところが見えてくると何が必要かっていうと、まずは宇宙飛行士の人とか、宇宙に今後滞在する人っていうのは、
無重力のせいで筋繊維だったり筋量っていうのが落ちることは確実なんですよね。遺伝子レベルで決まってしまっているから、
じゃあそこで筋トレをすればいいのかっていうところだけじゃなくて、例えば一定重力がかかるような環境を作って、
体を無重力に適応させないみたいなところも、もしかしたら重要かもしれないし、っていうようなところが未来的には考えられてたりするんですね。
しかもこれ、昔ポッドキャストでも話したことあるんですけど、その、何て言うんでしょうね、遺伝子レベルで変化が起こった宇宙飛行士たちが子孫を残しますよね。
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地上に帰ってきて子供を作る。で、子供ができたときに子供の検査もすると、実は子供にそういう遺伝子の変化、筋量じゃなかった気がするんですけど、
そういったのも遺伝してしまうっていう、そういう研究結果も出てるんですよ。っていうところの差が実は出てたりするから、結構、やっぱその遺伝子レベルで変化するっていうところは、
まあ、宇宙飛行士にとっても重要だし、その後、例えば、宇宙空間で子供ができるとかっていう人間が移住したらあり得るじゃないですか。
そういったところも考えなきゃいけなかったりするっていうところで、無重力に対する生命の対応力っていうのは、今後もかなり見ていかなきゃいけないんですね。
それに加えて、これ重要なのが、例えば、地上で、これ実はその宇宙に出ていくためだけの実験じゃなくて、
地上で病気を患っている方々っていうところ、疾患している方々っていうのにもフィードバックができるような、そういう研究の立て付けが作られていて、
宇宙空間に行ったら、例えば骨粗小症になってしまうとか、筋量落ちるっていうのが、地上でも年齢を重ねた方々っていうのは、そういった同じような症状っていうのが出てしまうんですよ。
じゃあ、宇宙空間で骨が溶け出すのを防ぐ、そして筋量をカバーするっていうところが解決されるのであれば、そのまま地上で同じような疾患を患っている方々にも適応して対応することができるっていうので、
宇宙での対応能力に対して出たソリューションを地上でも使ってあげるみたいなところまで考えられている一つのパッケージになっているっていうのが、この宇宙開発、そしてそこでマウスの実験をするっていうところの非常に重要なポイントになっているというようなところですね。
ここが今回面白いなと思って、ちょっとポッドキャストで話そうかなと思った部分でした。
で、そこに加えて、これマウスの実験した人たちだけがそのデータ使えるんじゃないのっていう話なんですけど、これ実は東北大学とJAXA共同で、マウスのこのデータっていうのをデータベースとして整備してオープンにしていくっていう取り組みまで進んでるんですね。
そうすると、例えば、この宇宙での実験の費用最近だんだん下がってるんだよみたいな話、ポッドキャストでしたじゃないですか。ああいうのがあって、あったとしてもやっぱなかなか宇宙で実験するのは難しいので、JAXAとかそういったところががっつりあった実験結果を使って、何か新しいことを探るっていうこともできる。そういうシステムはどんどんできてるんですよね。
僕がいたX線天文学とかっていう分野は、まさにこういうシステムがもう整備されていて、それこそあれですね、2回前にお話しした未来の宇宙開発みたいなとこで、クリズムっていうものの話しましたけど、こういうデータももう誰でも触れるようにNASAのデータベースに乗るんですよ。
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で、それを世界中の天文学者が触って結果をどんどん出していくから、めちゃめちゃ論文誰でも再現できるしっていうようなとこがあったりするのは結構面白い部分ですね。しかも共通のソフトウェアとかまで作られてるんですよ。みんなが同じソフト使って同じデータを取れて、誰でもそのデータを再現できるみたいな、そういったところが結構面白いポイントで。
僕、NASAいるときにそのソフトウェアの開発とかもちょっと携わらせてもらってたことがあったので、こうやって作ってんだ、すごいな天文学の、特にX線天文学の環境ってすごいなって実感できるポイントが多かったですね。
そういったところで結構科学分野、宇宙分野っていうのはデータがオープンになっていくって流れ、どんどん強くなっていってる。そして実際にマウスの実験とかのデータもオープンになっていってるっていうところは、かなり今後の宇宙開発広がっていく上で面白いポイントになってくるんじゃないかなと思うので、ぜひ皆さんも注目していただければと思いますし、
今後もしかしたらこれを聞いてる人の中に宇宙に行く人いるんじゃないかなと思うので、こういう実験も気にしてみるといいんじゃないかなと思います。ということで今回はJAXAが取り組んでいるマウスの実験が今どういう状況でどういう環境の工夫がされていて、今後どうなっていくのか、そんなところまでお話しさせていただきました。
今回の話も面白いなと思ったらお手元のSpotifyアプリでフォロー、フォロー、すいません、Podcastアプリでフォロー、サブスクライブ、ぜひよろしくお願いいたします。
番組の感想や宇宙に関する質問についてはTwitterのハッシュタグ宇宙話で募集しております。また概要欄にお便りフォームを置いておりますので、そちらからもぜひコメントお寄せいただけたら嬉しいです。
あと3回で1000回放送を迎えていきます。なかなかここまで来るの長かったような短かったような感じなので、ぜひ皆さん一緒に盛り上げてくれたら嬉しいです。
それではまた明日お会いしましょう。さようなら。
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