1. 理系とーくラボラジオ部『とくおのおと』
  2. #14 理論物理系の博士論文とは..
2023-03-09 36:08

#14 理論物理系の博士論文とは?(論文編)

#13の基礎知識を踏まえて何を解き明かしたのか!? まさきさんは言います、 「表面系のシュレディンガー方程式について、半定量的に正確で解析が容易な数値計算手法を開発した」 もう少しタイトルっぽくするなら 「温故知新と独自路線~表面系のシュレディンガー方程式の気持ちを理解したい~」 と。 前回から少し深く進んだ奥地を探検してみましょう!  

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00:01
理系とーくラボラジオ部 『とくおのおと』
みなさん、こんにちは。理系とーくラボラジオ部 『とくおのおと』
通称『とくおと』のシャープ14をお届けします。
お届けしますのは、家の掃除をしてたら12円見つかりました、かずねです。
財宝だ。
嬉しい。
理系とーくばは物理店舗によく出没するまさきです。
物理店舗っていう意味がするんだけど。
リアルなところが京都にありますからね。
先日、京都の物理店舗でバーマスターをさせていただいたチョです。
バーマスターじゃないですか。
バーマスター。
マスターチョ。
マスターの席が足りなくなって途中で。
めっちゃ成長してますね。
だから僕はみんな仲良くって言いながら、奥から椅子出してもらって、ツメツメにするという。
バーマスターって交通整理員かもしれないですね。
もしくは保護さん。
確かに確かに。
ほらみんな仲良くしてねって。
人あふれかえってましたもん。
そう、あふれかえってましたね。
大人気ですね。
それはすごかった。
コロナ5と言っていいのかわかんないですけど、なかなかな距離な。
ちゃんと換気しながらお届けしてたんでよかったんですけど。
結構なミッシュドで行ってましたね。
そうですね、楽しかったですね。
ありがとうございます、来ていただいて。
いえいえ。
このラジオはオンラインコミュニティ、理系統合クラボに所属する研究員たちが、
ワクワクするような科学トピックや、科学を楽しんでいる人のお話をお届けする番組です。
というわけで、シャープ13はまさきさんに登場していただいて、
透明研とはと、シュレディンガー方程式とはと、いろいろ解説していただきました。
はい。
ここから僕の今日あった話になるんですけど、
収録日の2月末。
2月末にあった話なんですけれども、
今日普通に朝から会社に行ってたんですけれども、
お昼ぐらいから急に会社でパソコンが繋がらなくなりまして、
あれなんだろうと思って、みんなの他の社員さんも繋がらないみたいな感じになってて、
みんなそうだったんだ。
そう、みんなそうだったんですよ。
どうやらその社内Wi-Fiがちょっと調子悪いのかなっていうような感じになったんですよね。
はい。
社内Wi-Fi結構調子悪くなることあったんですよ。今までこれまで。
よくない。
再起動させたらでも元に戻ったんで、
今回も再起動させるかと思って再起動させたんですけど、
全然戻らなくて。
あら。
あれって思って。
よくよく見たら、電話も繋がらんぞってなってたんですよ。
03:00
うわ、やばい重傷。
大事故や。
大事故が起きてる。
どうやらその、うちの会社は電話線からWi-Fi引っ張ってるんですけども、
どうやらそのオフィスの電話線がちぎれたようで。
ちぎれた。
物理?
物理。
物理切断。
まさに物理。ここにも物理。
どういう状況ですか?
会社にも電話こないし、つながらないし、
インターネット使えないし、
だからそのうちの会社は結構クラウドを使ってたりするんですけど、
クラウドにアクセスできないんで。
うわ、ピンチ。
何もできない。
仕事にならんと。
そうそう。
スラックも使えない、メールも受信できないってなって、
みんなも出す術なくなってしまったんですよね。
はいはい。
改めて僕らはテクノロジーに支えられてるなっていう。
確かに。
そう感じまして。
今時Wi-Fi前提の社会ですもんね。
そうですし、テクノロジーを取り上げられると途端に何もできなくなるこの情けなさっていうのをすごい感じまして。
なるほど。
携帯なくしたとき何もできなくなるみたいな。
確かに確かに。
便利になるにつれてね、依存しちゃう。
そうなんですよ。
でももう仕事にならんし、帰ってそれぞれの家でリモートでやりましょうみたいな形になって、
帰ってきてやってたんですけども、
結局この現代科学に依存してばっかりの人間は果たして進化してると言えるのかっていう、
僕が虚ろな目をしながら帰りに考えてたって話です。
現代社会への問題を提起しようとしてたわけですね。
そうなんですよ。
なるほどなるほど。
これだけテクノロジーが発達しても物理切断には敵わないですからね。
いやそうなんですよね。
それは仕方ない。
なんか老朽化が原因っぽい感じの話だったんで、
はいはい。
やっぱり物理的な切断には勝てないなっていう。
それはすぐ治りそうなんですか?
なんかその明日の昼ぐらいに業者さんが来るんですけど、
はいはい。
それまでは会社で仕事はできないですね。
なるほど。
だからもう家で仕事するっていう。
そうか。
そうか、クラウドやから逆に場所は選ばへんのか、なるほど。
そうなんですよ。
むしろそこのありがたみはあったりするんですけど。
確かに確かに。
ちょっとそこにすごい交しするとね、
そういうリスクがあるからこう回線は冗長化するのが良いのですみたいなのが
常識的には割とあったりするんですけど。
そうなんですよ。
うちはそういうのを全く考えてなかったんで、
もうリスク管理ゼロなんでね。
なので今後の人間の進化っていうのはそういうどうテクノロジーを使えば良いのかみたいなところが
重要になってくるんかなと個人的には思ってます。
本当にそれは思いましたよ。
06:00
ちなみに冗長化っていうのは1個は切れても他の路線があるから大丈夫だよみたいなイメージですか?
そうですそうです。
簡単に言うとそう、二重化してみたいな。
そのニュアンスです。
二重なのか三重なのか四重なのか分かんないけど、
複数持っておくっていうぐらいのニュアンスです。
なるほどなるほど。
そうですね、和田さん僕らは地震の対策についても学んだばっかりなので。
そうですよ。
そういう災害とかトラブル対策をちゃんとやっていかないといけないですね。
いや本当にそれは思いました。
日常生活でも気をつけられるところは気をつけていきたいですね。
確かに。
というわけでですね、ここからはまさきさんに続きの方を話していただきたいと思うんですけれども。
ガセロン部本編ですね。
本編の方に入っていこうと思います。
お願いします。
では前回、表面とシュレディング方程式の話をしました。
シュレディング方程式が手で解けるのは限られた場合のみです。
っていうような話もちょろっとさせてもらいました。
厳密に手で解けるのは限られた場合のみなんですけれども、
ある程度近似をすれば手で解ける場合があったり、
知的に解ける場合があったりっていうので、
その辺の近似の話を最初にさせてもらいます。
シュレディング方程式が大体電子の性質を表すような方程式だっていう話なんですけど、
原子には大体形みたいなものがあって、
その形みたいなもののことを原子軌道みたいな言い方をします。
原子軌道、軽軌道とか。
そうです。そういうやつです。
高校化計学で習った気がする。最初に。
とかいうやつなんですけど、
分子って原子の塊だから原子軌道の足し算で大体合うよねっていう考え方があって、
それをLCAOって言って原子軌道の線形結合っていう足し算っていう意味なんですけど、
大体それで解けるでしょうっていうので近似して解きますっていう方法があります。
私は割と先生にこれの計算やってなんか面白いこと出してみたいな感じで振られて、
そんな感じ?
その後特にフォローもそんななかったんで、ひたすらそのLCAOで計算しまくってたんですけど、
私初めて学会に行ったのが博士1年目で、
それまで学会とか論文もまともに読まず、外部とのコミュニケーションをほぼ取ってなかったので、
遮蔽されてる。
そうです。遮蔽された状態で一人で手計算してたんですね。
学会に初めて行って、同じような計算やってる人がいるなと思ったんですけど、
09:06
そのグループが人と金のかけ方が段違いやったので、これは勝てないと思って、
リソースがすごい違うんですね。
全然違ったので、手計算だけでは勝てないっていう風にその時に悟りまして、
ちょっとじゃあ数値計算みたいなプログラムで計算するようなことをしようかなというのを、
さすがに先生に相談したところ、何かしら元になるプログラムは出てきたので、
それを使って何かしら計算をして、結果学位が取れましたみたいな流れになりました。
そこの戦略を変える勇気がすごい大事だったんですね。
いやもう明らかに誰がどう見ても無理ですっていう状態だったので、
そこはもう手を変えるしかないっていうのはもう明らかでした。
その先生から出てきた行動なんですけど、
それがシュリディンガー方程式を数値的に解く時に、
よく第一原理計算っていう計算の仕方をする、そういう分野があるんですけど、
第一原理、第一原理計算。
はい、っていう分野があります。
その第一原理が何っていうのが何のことかっていうと、
実験をせずに計算だけで物質の性質を予言しようっていう姿勢のことを呼びます。
理論的にその定性評価をするっていう。
定量評価。
定量評価、はいはい。
っていうような姿勢で研究をしている人たちがいますと。
この立場の人たちは基本的にはどんなに複雑な計算をしてでもいいので、
正確に解くっていうことを目標にして研究をしてます。
なるほど。
なので、解釈はしづらいかもしれないけど、
数値的に正確に正しいというプログラムは世の中にいっぱいで回ってます。
優勝無償を含めて山ほどあります。
優勝もあるんだ。
優勝もあります、はい。
そういう方向で頑張っても結局勝ってないので、
正確に解くことはあまり目標にせずに、
簡単な計算でそれっぽい答えを出すっていうのを目標にして、
先生のコードを開発していきました。
開発というか改造していきました。
だから方向性を示すような形で。
そうですね。
さっき言ったLCAOという近似をした上で、
その範囲で解くっていうのをやりました。
それをやると大体の形は何となく分かったまま、
それっぽい答えが出てくるので、
12:00
定量的にバッチリ正しいわけではないんだけれども、
すごく解釈がしやすい答えが出てくるというような方法を取りました。
そのLCAOを使って原子の形を決めてあげる。
そうです。
範囲を決めてあげること、枠を決めてあげることによって、
中の計算の範囲を。
量が減るみたいな。
簡単になるみたいな話があって、
その近似の中でそれなりに正しく解くと、
定性的には絶対正しいし、
定量的にもそれなりに正しいような答えが得られるという方針で研究を進めました。
はい。
それでいくつかの表面に対して通知計算をやったんですけど、
実際、実験で得られているものとそれなりに近いようなグラフが得られましたというところが分かったので、
じゃあこれであとは、
何でその現象が起きているのかっていうのを説明すれば論文になるぞというところまで来たので、
結構それで少し出ました。
実際のその表面形における電子の動き方について、
理論値と実際の測定値がある程度似ていたっていうのが。
そうですね。
まさきさんの理論と測定値が似ていたっていうのが分かってきたから、
いけるんじゃないかっていう感じですか。
その通りです。その通りです。
熱い展開が始まった。
そうなんですよ。逆転劇ですよ。
アイデア一発で。
お金も人もないからアイデアで何とかするしかないんだっていう。
リリースからの巻き返し。
コストとかやっぱり圧倒的に、
まさきさんの考案されたやり方の方が低かったりするんですかね。
コストっていうか、
ある程度の正しさと訂正性が担保されているっていうところが、
やっぱりそのガチ計算で回収がよくわからないものを出すよりは、
いいんじゃないっていうような認識ですかね。
そういう用途もあるよねっていう感じで、
私はそっちに走っていきました。
あんまりそういうことする人いないみたいで。
そうなんですね。
正確に出すのが美しいみたいな世界なんですか。
結局そうなんです。実験を再現するみたいなところが、
メインの目的になりがちなので、
その実験を再現した結果どういうメカニズムか解明するみたいな、
そこの部分はあんまり私の印象として強く、
みんなやってないなっていうところなので、
最初からそこを目指して作ったので、
だいぶそこはうまいことやれたかなと思ってます。
なるほど、そうやって正確に値を出すことよりも、
15:01
実際何が起こっているかについて一歩踏み込む。
そうですね。
面白そう。
面白いです。
もう一個ポイントがあって、
普通第一原理計算のプログラムといったときには、
パッケージ化されたものがほとんどなんですよ。
つまりイメージ的にはアプリケーション。
だからできることはこんなことですっていうのがほぼ決まっていて、
みんなその中でなんとかやりくりして、
研究をするっていうのが一般的なんですけど、
なるほど、枠組みがもう決まってるわけなんですね。
そうなんです。できることがだいたい決まっちゃってるんですけど、
私のは全部先生の手書きっていうか、
先生が作ったものに私が機能を追加していった形なので、
隙放題に計算ができるっていうのがすごい強みで、
なるほど。
そこはすごく便利にというか、
他のプログラムとか研究者ではできないようなことができたかなと思ってます。
そこの強みだったんですね。
はい。
プログラミングで実際に解くためのものが準備できました、
コンセプトも揃いましたっていう段階で、
そこからさらに展開があるわけですね。
あとはもう実際に実験でこういうことになってますっていうのがあったので、
その実際の実験がされた表面を模したような計算をして、
だいたいその出てきてる結果と合ってるよねっていうのが確認が取れたので、
あとはそのメカニズムのところを説明するっていうフェーズに入るんですけど、
はいはい、そこがなかなか今想像がつかない。
どういうふうに説明していくんですかね。
それはですね、私がひたすらやってた手計算がここで役に立つんですね。
あら、曲線回収してきた。
そうなんです。
ひたすら手計算で何をしてたかというと、
こういう場合にはこういうことが起きますっていうのをひたすら整理してたんですよ。
ほうほうほう。
で、両方手計算もやった数値計算もLCAOっていうのがベースなので、
同じ状態で話ができるんです。
あ、そっか。そこは共通してるんですね、前提が。
そうなんです。なので手計算で分類してきたものがそのまま使えて、
すごくきれいに分類できて説明ができましたっていうのが一番大きなところですね。
なるほど。
一例を挙げるとどういう場合が想定されるんですか?
ちょっと難易度が上がるんですけど、
18:02
その現象が起きている原因の関数の形が表面があるんですけど、
その表面に対して対称か反対称か、
偶関数か既関数かみたいなのがすごい大事になってくるんですよ。
普通に第一原理計算っていうのをやると、
その関数の形がどっちの方が効いてるのかっていうのを分類するっていうのは、
結構コードを色々書き換えなきゃいけなかったりとかするので大変なんですけど、
私のやつは自分たちで作ったからそこも簡単にできるし、
そこの関数の形をプログラム的にどっちかだけ使うみたいなことができるので、
それと手計算でやってきた分類っていうのを組み合わせていくことで、
色んなことが分かると。
結構対称、非対称って重要なファクターな気がするんですけど、
おっしゃる通りです。
実験の測定値に理論でどっちがフィットするかを見ていくような印象になるんですか?
関数の形が対称の場合と反対称の場合で両方ともその現象は起きるんですけど、
どっちの器用が大きいですかっていうのがあんまりはっきりしてなかったんですよ。
なるほど、普通のパッケージ化されてるやつだとそこの判定が効かないわけですね。
そこをはっきりさせたっていうところにおいて結構大きな影響があったと思ってます。
なるほど、そうですよね。
普通の現象その1ゼロだけで判定できないんですもんね。
混合してるうちのどっちが大きいかとか。
そうなんです。
そこをやっぱり分類するプログラムを追加でかけるっていうのがやっぱり、
自分たちで開発してるっていう強みですね。
そういうふうに表面系の、なんて言えばいいんだ?
表面系の電子放出の対称、非対称って言えばいいの?
ポテンシャルっていうやつがあって、それが関数なんですけど、
そのポテンシャルの対称、非対称、反対称で結構それの起用率みたいなのが計算できました。
計算ができて、そういう、なんて言えばいいんだろうか。
そういう普通できないような解析ができたっていうことですね。
なるほど。
そういうできないような解析を可能にした、
言葉が難しいな。
なんて言えばいいんだろう。
数理モデル化という、すごい陳腐な言い方な感じがするけど。
そういう解き方を開発したとか、計算法を開発したぐらいの言い方でいいと思います。
めっちゃ初歩的な質問かもしれないんですけど。
21:00
どうぞ。
原子の表面系の挙動を把握することっていうのは、どういう技術に応用されるとか、そういうのがあるんですかね。
私が研究してたような性質っていうのは、私が就活する時にも常々この話をしてたんですけど。
そうですね。
どの分野でもされる。
そうそう。
どの分野でもね。
私の研究って伝わらないので、研究の中身をしゃべっても伝わらないので、そういう話をしがちだったんですけど。
トランジスタとかメモリの動作が高速で省電力になるみたいなところにつながっていくような研究でした。
そういうところにつながるんだ。
そうか、どういう原子とかどういう分子の素材を変えれば同電子の動き方が変わるよってこと?
そうですそうです。
なるほど、なるほど。
半導体とかのマテリアルとかそういうところにも応用されそうな感じですね。
そうですね、動作原理をちょっと変えればすごく高速で省電力になりますみたいな売り文句でした。
実際、加定する原子とか分子を変えると大きく変わるものなんですか?
全然違いますね。
例えば、金と銀でも全然違うし。
同じ金属で同電性があるけど違う?
全然違うし、銀の上にビスマスっていう別の原子が乗ったらまた全然違うしみたいな。
すごいドラスティックなものが普通に起きるので、表面系っていうのは。
すごい、そういう意味で言うと可能性とロマンに満ち溢れてます。
そう思うといちいち実験して確かめるよりも、理論的にある程度絞れた方が産業的には圧倒的に楽な印象を持ちますけど。
おっしゃる通りで、表面っていった時にまっすぐ割るのと斜めに割るのととか、いろいろ割り方があるんですよ。
割り方のバリエーションもあるし、何の表面に何をつけるみたいな組み合わせのパターンとか。
組み合わせるにしても、組み合わせ量とか、組み合わせ方みたいなバリエーションがいっぱいあるのはその通りで。
なので、数値計算である程度性質が出せると便利よねっていうのはおっしゃる通り。
一番初めの表面系の説明の中で、横方向に関しては端っこを無視して全部同じように考えたらいいよ。
でも垂直方向はある程度集団で考えなくちゃいけないよってところをお伺いしたと思うんですけど。
そこのクリア方法ですね。
24:01
そうですね。どう解決されたんですか。
古典的によくやられる方法で、垂直方向に関しては、例えば8個しか原子見えませんと。
原子8個の幅の板だと思って、表面の横方向は1箇所だけ見ればよくて、
その表面垂直方向は8個見ますっていう計算方法があって、スラブ近似とかって言うんですけど、
それをやって最大で28原子まで計算しましたね。
やっぱり1個増えるとかなり計算量が増えるんですよね。
そうですね。1個増えると原子数の3乗で計算量が増えていくんですよ。
なので10倍になると1000増えますね。
10倍になると1000か。
そうなんです。なので1個の場合より28個の場合とかだと約1万倍弱ぐらい。
かなり大きい。
効いてくるみたいな。
そうですね。
そんな計算をやりまして、何とかそれっぽい結果が出ました。
28通りの、最大28通りの原子のバリエーションというか、組み合わせを変えることができるようなイメージになるんですかね。
その時はビスマスっていう半金属っていうやつの表面を計算してたんですけど、
とにかく28個あって、計算が大変でしたっていう感じです。
間がどうなってるかは、さっき言った原子軌道っていうのが内角から1s、2s、2p、3s、3p、3dとかっていう軌道に電子が集まっていくっていう話があるんですけど、
その軌道をどう組み合わせるかっていう話なので、結構その辺はさっきごまかしたところなんですけど、
その辺が結局原子数が増えていくと、その原子軌道の数が増えていって、その数の3乗でどんどん計算量が増えていくので結構大変っていう。
なるほど、そっかそっか。ビスマスだとしかも電子数が多い。
81とかそのぐらいだったはずなんで、もう結構な計算にはなってました。
なんかすごい単純なことですけど、ビスマスを使ったのは何か理由があるんですか?
ビスマスの表面で結構特殊なことが起きていて、それを説明できると嬉しいなと思って、その時はビスマスを計算しました。
じゃあ他のものとはちょっと違う性質を持ってるってことは何だか分かったってことなんですか?
27:02
実験的にはい。なんかちょっと変だなーっていうのは分かってました。
簡単にそれは教えていただけるような、簡単に口で話せるような変な性質なんですか?
超ざっくり言うと、普通はグラフがバッテン印で、2本の線がバッテン印みたいに角度をつけて交差するっていう性質なんですけど、
どんなグラフ?
横に何を?
横に電子の運動量みたいなやつをとって、縦軸がエネルギーみたいな図なんですけど、運動量がゼロみたいなところでバッテンでクロスするんですよ、2本の線が。
運動しなかったらエネルギーもないっていう状態?
そのイメージですね、超ざっくり言うと。
普通そうなんですけど、ウィスマスのその表面っていうのは、そこがバッテンにならずに閉じちゃうんですよ。
1本の線になっちゃう。2本あるんだけど重なっちゃうっていう性質になっていて、
へー。
それが何でなんだろうねーっていう話が結構あったので、その計算をしました。
今回の計算方法でその何でなろうねっていうのも、ある程度メカニズムを推察できたんですよね?
はい、その通りです。
それって簡単に説明できる内容ですか?
P軌道っていうのがあって、P軌道って2種類に分類できて、
全角運動量が2分の1と2分の3っていうやつがあるんですよ。
全角、前の角って角?
オール、オールの角運動量。
オールの角運動量が2分の1か2分の3っていうやつがあって、
2分の1のやつはバッテンクロスするわけですよ。
2分の3のやつは閉じるっていうのが分かっていて、
で、どっちなんだろうなーみたいな感じやったんですけど、
実は閉じてるけど2分の1やったんですよ。
閉じてるけど2分の1なんだ。
で、何でそこが閉じちゃったかっていう説明までなんとなくできたんですけど、
そこまで話ができたから良かったねみたいな感じでした。
これまで考えられてた閉じる方は2分の3だと思ってたけど、
2分の1が閉じてて、
実は2分の1でバッテンになるはずのものが、
別の関数が近くにいるせいで、
その表面状態じゃなくなっちゃってたっていう話があって、
実は表面だと思ってたんだけど実は違ったみたいな、
30:02
そんなロジックに落とし込めました。
それは本当にVisMath特有なんですね。
超特有です。
そういう軌道構成がVisMath特有なものがあるから、
結果そうなっちゃうってことですね。
微妙な原子の位置の組み合わせというかズレみたいなものが、
すごい細かく効いてくるんですよ。
それが結構VisMathの場合はちょっと特殊で、
その結果そんなことになってました。
じゃあ鉛とかそういうものだと起こらないんだ、
隣の、基本的に隣でもVisMath特殊なんだ。
鉛と同じようなことが起きてるっていうのは聞いたことがないですね。
そもそもその表面の状態になってるかどうかも、
ちょっと私ちゃんと詳しくないんですけど、
そもそもだから私がやってたような効果っていうか現象が、
起きる原子と起きない原子っていうか金属があって、
それも金属の切り方に、表面の出し方によっても違ってきたりするので、
すごい面白いんですよ。
確かに。
その切り方だけだと、
その軌道とかで説明つかない部分にもなってくるんですよね。
結局その切る向きが違うと、
その軌道の向きが実質的に角度つくじゃないですか。
例えばP軌道だと。
切り方で角度がつくんですね。
斜めに切ったら表面に対してP軌道が斜めになるじゃないですか、実質的に。
そういうのは聞いてくるかもわかんないです。
そうやって斜めになることによって軌道の角度がずれて、
なんか違うことが起きるみたいなのがあるかもわかんないです。
ちゃんと解析してないんで、正しいかはわかんないですけど。
そういう影響もあるのか。
そう思うと結構まだ解かないといけないことはいっぱいある話なんですね。
そうですね。山ほど言われることはあります。
たぶん。
そう思うと、なんか前回の話では、
シュレリンガー方程式でもう100年も経ってるから、
結構やり尽くされてる話なのかなって思ってましたけど、
意外とそういういろんなコンディションに応用するという意味では、
まだまだ尽きない、未解明のコンディションというのが結構多そうですね。
そうですね。シュレリンガー方程式でよくわかってるのは、
この場合は解けますっていうのはよくわかってるんですけど、
ちゃんと手で解けない場合にどうするの?とか、
どうやったらこの現象が説明できるの?みたいなところは、
新しい現象が出てくる度に、たぶん研究をしなきゃいけないところなので、
たぶんいつまでも新しいことが出てくるごとに、
どんどん新しい問題が出てきますね。
常にアップデートされてる、今のところ終わりが見えない。
そうですね。一番基礎的な方程式なんで、
そいつの使いこなしはやっぱりいつまでも話がつきませんね。
33:03
すごいな、そんな方程式だとは思ってなかった。
いや本当にもうかっこいい名前の方程式としか思ってなかった。
中二病とかって話もありましたが。
全然全然すごいな。
あんまり詳しくないけど、生命現象における水ぐらいのイメージでいいと思う。
なるほど。
どこまで行っても影響するよね、みたいな。
いろんなコンディションあるし。
たぶんそんなイメージでいい気がします。
なるほど、ちょっと想像がついてきた。
それは良かった。
壮大な話でした。
そうですね、まだ片鱗しかお話ししてないですが。
これでも片鱗なんですね。
細かい話するとはいくらでも喋れるんですけど、
ちょっとさすがに絵がないと話せないんで。
また絵が描けそうな機会があれば、ぜひ細かいことをお話したいと思います。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
さて、理系トークラボラジオ部特応ノート、トートーシャープ14はここまでになるんですけれども、
山崎さん、前回に引き続き今回もご参加いただきありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
私が喋ろうと思ってなかったところもいろいろと引き出していただいて、
大変楽しくお話ができました。
楽しかったです。
やっぱり物理、特に原子とかそういうところは本当に通ってこなかったんで、
なかなか今回考えることも多かったし、でも知れることも多かったんで、
すごい勉強になりましたね。
役に立つかは分からないですけどね、っていう。
そういう見方であんまり考えたことなかったなっていうのと、
本当に知らない現象ってまだいっぱいあるんだなっていう、
ちょっと感想が浅すぎて。
私は割と異分野の人とお話しするのが好きで、
ロジック自体は適用できないにしても、
そういう考え方みたいなのをちょっと真似できるかなっていうのを
狙うのがすごい好きで、
そういう何かしらのヒントになればなと思います。
ありがとうございます。
というわけで山崎さんありがとうございました。
ぜひまた遊びに来てください。
今度は絵も紹介できるような動画にはなるかもしれないですけど。
ぜひとも他の方も我こそはという方がいましたらお便りお願いします。
ツイッターの番組アカウントだったりグーグルフォームより
応援していただければ私は全部見ますのでお願いします。
それでは本日お聞きくださりありがとうございました。
ここまでのお相手はリケートクラブラジオ部の
まさきと
かずねでした。
36:00
ばいばーい。
ばいばーい。
36:08

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