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2024-03-14 06:29

編集者なのに本を手で製本していますよ、というお話

一人で喋っているだけなのに緊張してしまうのはなんででしょう。ちなみに製本した本はこんな感じです。

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こんにちは。6回目のポッドキャストになります。
今回は、以前よりお話ししようとしていた、当社の楽譜、どういう風に印刷しているか、みたいな話をしていこうかなと思っております。
同人誌とかの世界に詳しい方は、ONとかOFFとかっていう話を聞いたことがあるかなと思います。
このOFFというのは、オフセット印刷のことで、普段皆さんが目にしている紙の本は、だいたいこのオフセット印刷で印刷されています。
このONの方なんですけど、これがいわゆるオンデマンドと言われる印刷なんですが、オンデマンドというのは、もともと注文を受けたら作る、生産する、みたいなそういうことを意味しますが、
実はこれは印刷業界では、実質そういうオンデマンド印刷機で使って印刷したもののことを指したりします。
このオンデマンド印刷機というのがどういうものかと言いますと、一言で言ってしまうとレーザープリンターなんですね。
レーザープリンターでも色々ありまして、普通に家庭用で使うぐらいの小さいサイズからオフィスにあるすごく長い大きなものまでありまして、
印刷所で採用しているオンデマンド印刷機はレーザープリンターのかなり化け物みたいなすごい大きなものがあったりして、
中には4,000万とか5,000万とか1億近くするようなものもあったりします。
値段の差がどういうところに出るかと言いますと、一つは画質という点もあるんですが、色々な後加工が自動でやってくれるかどうかということになります。
その点で言いますと、当社の製品は楽譜というあまりイラストなどを使ったりしないようなものですので、
白黒で印刷できればまず物が足りるということで、実は結構普通のオフィス用のレーザープリンターをそのまま使っていたりします。
ただ使っている紙が普通のコピー紙ではなくて、楽譜などは舞台に上げて使うこともあって、
強い照明が当たると白い紙ですとどうしても見にくいということで、クリーム色の書籍用などで使われるような紙をわざわざ発注して、それで印刷しています。
そしてこれが一つの特徴ではあるんですけど、楽譜というのは皆さんピアノとかを習っていた方はご存知かもしれませんが、ちょっと横が長い判型になっているんですね。
これを菊倍版と呼ばれているんですけれども、A4よりも横が長くてだいたい230ミリぐらいの幅があるんですね。
実は既存の他の楽譜出版社でもオンデマンドで楽譜の印刷を請け負ってたりするところもあるんですけれど、
そういう会社でもA4で印刷することがまずほとんどなんですけれども、当社は一つのこだわりとしまして、通常の伝統的な楽譜のサイズである菊倍版で印刷をしています。
表紙に関してはこれがモノクロだとちょっと物足りないので、実はここでUVプリンターというものを導入して使っています。
なぜUVプリンターかと言いますと、通常のカラープリンターですとインクジェットなどもあるんですが、インクジェットプリンターですと水性なので水がつくと色落ちしてしまうからなんですね。
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その点、UVプリンターは紫外線を当ててインクを硬化させるので、水に濡れたとしてもにじんだりとか色落ちしないというのが特徴になります。
そのUVプリンターで印刷したカラーの表紙とモノクロの中の本文を合わせて手で製本しているというのが当社のオンデマンドのものになります。
オンデマンドだけではなくオフセットに出しているものもあるんですけどね。
なぜこういうことをするかと言いますと、以前のPodcastでもお話ししましたが、楽譜というのは部数がいきなりたくさん売れるわけではないということ。
オフセット印刷に出すとある程度のまとまった量を印刷しないと、1冊あたりの単価がとても高くなってしまう。
そういったことが条件としてあります。
出版社にとって在庫というのは結構難儀なものなんですね。
どういうふうに難儀かと言いますと、まず売れないといつまで経っても倉庫にあったりとかして倉庫代がかかってしまうとか返品があると返品料を取られてしまうとか
そういったところでいろいろ出版社は苦労しているんですね。
実はオンデマンド印刷というのは1冊あたりの単価で言うとそれほど実は安くないんです。
でもその代わりに在庫を持たずに済むという利点がすごく大きいので、
楽譜という薄いページ数でも高い値段がつけられる商品だからこそオンデマンドが向いているというような判断です。
そして製本方法についてあともう一つなのですが、当社が他社と圧倒的に違うのが、
楽譜というのは基本的に譜面台においてきれいに開かないと非常に使いづらいということがあるんですね。
譜面台においても平らになるようにするために当社で開発したというかやっている作業がですね、
糸かがり綴じという方法で、どういう方法かと言いますと、
大体16ページを一単位としてそれを一折りと言うんですが印刷用語では、
それらを背の方で糸で結びつけていくというそういうやり方をしているんですね。
この糸かがり綴じという製本方法は実は今、商業印刷をやっている会社でもなかなか扱っていなくて、
今後徐々になくなっていくだろうという技術になります。
以前特殊な半径のものをこの糸かがり綴じで製本したらどうなるかというのを見積もりを取ったことがあるんですけれど、
何ページぐらいですかね、40ページぐらいで100部ぐらいで製本代だけで、
なんと5、60万ぐらい見積もりが取られたことがあるんですね。
それならば自分でやり方を身につけてやってしまえばいいんじゃないかということで始めたのがきっかけです。
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私はもともと編集者で、本を作るといっても編集までで実際の印刷だとかそこまでは知識としてはあっても、
実際に自分がそれらを自分で手がけて本を作るということまでは想定していなかったので、
なかなか今面白い状況にあるなと思っています。
少し長くなりましたが本日はこの辺で、それでは。
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