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2024年3月28日、そろそろ過去になりますが、今日はXを見てたら、ちょっと面白いエッセイが紹介されていて、これが読んですごく良かったので、皆さんにもご紹介しようかなと思います。
俳優の高嶋雅信さんが、新庁舎の雑誌ナミで不定期の連載エッセイをやっていて、おつむのいい子は長いしないというタイトルの連載なんですけど、そのナミの2024年4月号、一番最新号の掲載文のエッセイが、今、新庁舎のホームページで、これ多分おそらく全文公開されてるんですけど、試し読みっていう形で。
これがものすごい良かったんですよね。この回のタイトルが、インティマシー・コーディネーターという、ご存知の方もいると思いますけど、ドラマとか映画とかで性描写であったりとか、ヌードになるシーンがあったりした時に、俳優さんの精神的な、肉体的な安心や安全を守りつつ、一方で監督がこういうふうな意図した映像を撮りたい、
クリエイター側的にはこういう意図で映像を撮りたいみたいな、そういうところの意図も組みながら、じゃあどういうふうに役者さんの安心も保ちながら撮りたい絵を撮っていきましょうかという手順を、間に入って考えたりとかしていくという、コーディネートしていくというお仕事なんですけども。
それについて高嶋さんがエッセイで書かれていて、つい最近やってたオークで、高嶋さんが徳川家吉かな、家吉の役をやったらしくて、この役どころというのが、自分の娘に、もうその娘が幼い頃から性的暴行を加えているっていう、そういう父親の役だと。
ちょっと僕、そのオークのドラマ自体見てないので、詳しい話の流れとかはわかんないんですけど、ただそういう自分の娘に性的暴行を加えているような、悪としての役柄だと、それをやっていく上で、演じる自分としてもすごく精神的に負荷がかかるし、もちろんその相手の女性、
しかも自分の娘が幼い頃っていう描写のために、あるシーンではその相手の娘さんを演じる俳優さんが13歳とかの方で、そういうふうな相手にもすごいトラウマ、大きなトラウマを与えるような撮影になるかもしれないから、インティマシーコーディネーター入れてくださいと高嶋さんからも言って、スタッフさん的にもちょっとインティマシーコーディネーターは入れようと思っていたみたいな話で、
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実際にインティマシーコーディネーターの方々と話し合ったりとか、スタッフたちとも話し合ったりしながら、そういうシーンを撮っていったっていうことが書かれていて、
すごくそういうふうな考え方でいろいろシーンを撮っていくんだなっていう、結構具体的にどういう対策をするとか、どういうふうな撮り方にするとかっていうのを決めていく流れも書かれていて、
例えばここの例で面白かったのは、実際に密室で娘にひどいことをするみたいなシーンを撮るときに、高嶋さん側からは、流れでそのシーンを長回しとかで撮るようなことはやめましょうと。
なぜなら、俳優としての経験上、頭でわかっていても、長い間シーンが継続している中で演技をしていると、だんだんこの役に集中する中で、ちょっとアドレナリンが出るというか没入することによって、想定していたよりも力が入っちゃったり、早く動いちゃったりすると。
そうすると、考えていたよりも相手に対して、例えば怪我を負わせてしまったり、何かショックな行動、相手が想定していたよりも辛い思いをさせてしまう可能性もある。そういうちょっとハプニングというか、事象が起きる可能性もあるので、長回しとか一連の流れで撮るみたいなのはやめて、ちゃんとカットを割って、そのカットごとに細切れにして撮っていきましょうよみたいな話を高嶋さんからも提案しています。
そういうふうな感じで、俳優の意図と監督側の意図とかをインテリマシーコーディネーターの方が擦り合わせていくという。
結構具体的にこういうふうなやり取りがありました、みたいなことも語られていたり。
あとやっぱり高嶋さん自身も、これ文章を読んでて知ったんですけど、息子さんがいらっしゃって、自分自身、自分の子供に何か加害をするみたいなものを演じる中での精神的なストレスもあるし、
また相手の娘役の方も俳優さんとはいえ13歳とかまだ10代なので、そこの相手に対してどういうふうに信頼をしてもらうかとか、そういうことをものすごく真摯に考えていて、
個人的にすごい好きだったのが、シーンの中で娘が父親に襲われて逃げようとすると、その時に父親が口を塞いで黙らせようとするみたいなシーンがあると。
その時に、じゃあウェットティッシュを用意しておこうって高嶋さんは思うんですね。それは単に口に触れるから除菌をしておこうみたいなことももちろんあるんだけども、
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ボックスのちゃんと箱のウェットティッシュを買って、それを他の俳優さんとかが見えるところに置いておくことによって、もしその娘役の俳優さんがそのウェットティッシュのボックスを見たら、私のことを考えて手とかをきれいにして清潔にしてくれてるっていうことは、私のことをちゃんと尊重してくれてるんだなっていうふうに、
娘役の俳優さんにとっても安心感が生まれるだろうと。その安心感につながる、信頼感につながるから、箱のウェットティッシュを買ったほうがよかろうみたいなことを考えるとか、ものすごいそういうところに気遣いを発揮するんだというところも描写されていて、すごいいいなと思って。
その後、高島さんが実際にドラッグストアでどのウェットティッシュがいいかなって買いに行くくだりがあって、ここがめちゃめちゃ素晴らしいシーンで、ちょっとユーモアもありつつ、すごいグッとくるやりとりがあったりして、このドラッグストアのくだりもすごい好きなんですけど。
ちょっと内容も喋りましたけど、他にもすごくいろんな場面で、高島さん自身がいろんな相手役の娘さん役の俳優さんだったり、インティマシーコーディネーターの方とかスタッフの方とか、いろんな人たちに真摯に向き合い、丁寧に向き合い、できる限りの気遣いをしてリスペクトをして、とはいえ役作りはちゃんとしっかりすると。
ここで自分が演じる悪役っていうところに何か容赦してしまうというか、ちょっと悪く見られたくないからって言って手を抜くと、それはそれで映像としての凄みは出ないと。
だからみんなにとって安心な環境を作った上で、できる限りの信頼を頑張って構築して、できる限りのリスペクトを示した上で、でも自分自身はちゃんとしっかり悪役を演じようみたいな、悪を演じるぞっていうところの準備をするみたいな、そういう覚悟も決めて。
撮影に臨んだ時に高島さんの胸に巨大する心情がどうだったかみたいな、その場面とかがものすごくグッとくるというか、ちょっと泣きそうになるような瞬間もあって、このエッセイとても良かったですね。
本当にすごくデリケートな話がいくつも要素がいくつもある中で、できる限り誠実に、しかも立地的に読みやすく、それでいてちょっとユーモアもまぶしてあるような文章で書いてあって、高島雅乃さん自体はものすごく文章が上手いし、ものすごく人柄も感じるとても良いエッセイだったので、
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ぜひ皆さんも読んでもらいたいというふうに思います。新庁舎のホームページで、これ期間限定で公開されているのかずっと読めるのかはちょっとわかんないんですけど、
なみの2024年4月号のページから、たぶん目次の高島さんのエッセイのタイトル、「オツムの良い子は長いしない」というタイトルを押せば見れるんじゃないかなと思いますので、ぜひこのエッセイはちょっと良かったのでお勧めしたいなというふうに思います。
ということをしゃべっていたら、もう10分くらいになりそうなので、今日はこのあたりで失礼します。おやすみなさーい。