1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2021-09-13 08:53

#359 グリム兄弟とペディキュア(比較言語学) from Radiotalk

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00:01
皆さんはペディキュアとかなさいますでしょうか?
僕はまだペディキュアデビューはしていません。
志賀十五です。
今日も志賀十五の壺やっていこうと思います。
ペディキュアはやってないんですけど、
まあ、マニキュアとまでは行かないですけど、
僕はね、手の爪をヤスリで削って、
表面をピカピカにするのが結構好きなんですよね。
で、このペディキュア、語源としては、
足のフットと一緒なんですね。
ペディキュアとフット。
なんか全然違うように思われるかもしれませんけど、
このペディみたいな音が足を表すっていうのは他にもあって、
ペドゥみたいな音をですね、
ペダルとかもそうですよね。
これも足だし、
あるいは知っている方もいるかな、
ペディストリアンっていうのが歩行者っていう意味なんですけど、
これも語源はフットと一緒なんですね。
これはどうなっているかというと、
足の方のフットっていうのは、
Fの音で摩擦音っていう音ですよね。
一方、ペディキュアやらペダルやらペディストリアンやらは、
プっていう音は破裂音ということです。
つまりフットの方は摩擦音で、ペディキュアの方は破裂音でって、
こういう風になっているわけなんですけど、
こういう摩擦音と破裂音の対応っていうのは、
プとプ以外にもあって、
サンっていうのはフリーですよね。
このフリーっていうのも摩擦音です。
ただ、三重奏。
3人組で演奏することを三重奏って言いますけど、
あれはトリオって言ってトリオですよね。
これもプっていう音とトゥっていう音で、
摩擦音と破裂音が対応しています。
スリーとトリオは割と語源が同じっていうのは、
分かりやすいんじゃないかなと思います。
綴りの上でも割と似てるんでね。
ではなぜ同じ英語なのに、
フットとかフリーみたいなものは摩擦音になって、
ペディキュアとかトリオみたいなものは破裂音になっているのか。
こういったことをね、今日お話ししてみようと思います。
今回のトークはね、思ったより壮大な話で、
ペディキュアとフットって語源が同じなんだよね。
それ以上の面白さがあるんですね。
03:02
英語っていうのはヨーロッパの言語の一つで、
ヨーロッパの言語っていうのは、
その多くがインドヨーロッパ語族という、
言語の家族に属すものなんですね。
このインドヨーロッパ語族というのは、
インドヨーロッパ祖語という、
共通の祖先からちょうど家系図のように 枝分かれしていって、
現在のような様々な言語の状態に 至っているわけなんですね。
例えば英語は、
インドヨーロッパ祖語というのが まずあって、
その子供として、
ゲルマン祖語というのが あったと考えられています。
このゲルマン祖語から、
英語やらドイツ語やらオランダ語やら、
北欧のデンマック語、ノルウェー語などが 分かれていったと考えられているんですね。
ざっくり言うとですけど。
このゲルマン祖語の他にも、
姉妹となる言語が他にもあったんですね。
例えばイタリック祖語というものから、
フランス語、イタリア語、スペイン語、 ポルトガル語みたいなものができたりとか、
ケルト祖語というものから、
アイルランド語、ウェールズ語なんかができたりとか、
こういうふうにインドヨーロッパ祖語という 共通の祖先から、
ゲルマン祖語とかイタリック祖語なんかができて、
さらに孫みたいな形で、
英語、ドイツ語、あるいはフランス語、スペイン語みたいに、
どんどんどんどん枝分かれしていったんですね。
さて、冒頭お話しした、
足を意味する英語のフットっていうこのFの音っていうのは、
ゲルマン祖語にまで遡れるものなんですね。
どういうことかというと、
破裂音が摩擦音に変わるっていう音変化が起こったんですね。
つまりプみたいな唇を使う破裂音がフっていう音になったし、
ツっていう音がTHで書くようなスっていう音になったし、
あるいはKの音がフっていう音になったりっていうふうに、
破裂音のシーンがすべて摩擦音に規則的に変わったんですね。
その時、フットっていうFの音になって、
現代の英語に引き継がれているということなんですね。
だから元々はフットもプっていうPの音だったんですね。
こういうふうに破裂音が摩擦音に変わったっていう、
こういった音の規則を発見したのが、
グリム兄弟のグリムなんですね。兄の方のヤーコプ・グリムです。
グリム兄弟は決して童話作家ではなかったんですね。
グリム童話っていうのは、ドイツ各地の民話というかお話を集めたものなので、
06:03
それを編纂したのがグリム兄弟なんですけど、
このグリム兄弟っていうのは言語学者だったんですね。
その兄の方のヤーコプ・グリムが、
この無声破裂音のプ・トゥ・クが、
ゲルマンソ語においてフ・フ・フという音に変わったっていうのを指摘したんですね。
グリムの法則は他にも音の規則を指摘しているので、
全部扱うことはできないので、また解を譲るか、あるいは皆さんで調べていただけたらと思います。
フットのFの音がゲルマンソ語まで遡れる。
ゲルマンソ語でそういった音変化が起こったっていうのは分かったんですけど、
じゃあ今英語にあるペダルとかペディキュアとかのこのプっていう音は何なのか、
こいつらは変化せずに残っていたのかというとそういうわけではなくて、
これは釈用なんですね。
つまりゲルマンソ語ではプっていう音がフっていうFの音に変わったんですけど、
それ以外の言語では変わりませんでした。
例えばラテン語とか、あるいはフランス語とかこの辺りの言語のイタリック系の言語、あるいはロマンス系の言語では、
インドヨーロッパ祖国からプっていう音はプのままなので、
それが釈用される形でペディキュアとかペダルっていう感じでプの音が残ってるんですね。
それが英語に入ったので、同じ語源だけど音は違う形で並存しているということになっています。
他にも同じような並存はあって、ハンドレットとセンチュリーも同じなんですね。
両方100の意味がありますよね。
ハンドレットの方はゲルマンソ語に遡れて、センチュリーはもともとケっていう音だったんですね。
破裂音だったわけですけど、あれは釈用として英語に入ってきたものということになっています。
というわけで、今日のトークはグリムの法則っていう言語学史上最も重要な発見と言ってもいいかもしれません。
そういったお話でした。
ちょっとね、結構これ盛りだくさんなんでね、うまくまとめきれなかったなと思います。
もし質問等あればお便りで教えていただけたらと思います。
というわけで今回のトークはここまでということで、最後まで聞いてくださってありがとうございました。
お相手はしがらじゅうごでした。
08:53

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