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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
さて、今日のトークはですね、パトワ語という言語を取り上げようと思います。
パトワ語どうですかね。皆さん聞いたことございますかね。
割と日本ではパトワ語っていう言い方がなされることが多いみたいですけど、
言語学だとジャマイカクレオールっていう言い方の方が一般的ではないかなと思います。
このジャマイカクレオールという名前からわかるように、この言語はジャマイカで話されている言語です。
なぜこの言語を今回取り上げようと思ったかというとですね、お便りをいただいたからなんですね。
こちらユコンコンさんからいただきました。ギフトと一緒にいただきました。ありがとうございます。
おはこんばんちは。ペンギンの絵文字。いつも大変興味深くて面白いトークをありがとうございます。
こちらこそありがとうございます。
リクエストなのですが、ジャマイカの言葉であるパトワ語がどのように生まれ、どのあたりが日本語と発音が似ているのかを改めてトークで取り上げてくださると嬉しいです。
70年代のレゲエが好きで、アイアンドアイやディグアップのようなパトワ語に憧れて、パトワ語の本を買った高校生でした。
格笑い。ということでユコンコンさんどうもありがとうございます。
改めてトークで取り上げてどうのこうのっていうのはですね、
僕はこのラジオトークっていうアプリで朝ライブ配信をしてて、
国連加盟国をABC順にビキュペディアを読んでいってるんですよね。
ジャマイカを読んだ時にこのレゲエの話とかにちょっとなって、それを受けて今回ユコンコンさんはお便りをくださったということですね。
ユコンコンさんは音楽に造形が深い方ですので、 ジャマイカのレゲエ音楽とか、あるいはラスタファリ運動とかね、そのあたりのことにお詳しいんですよね。
今回はそういったことは一旦置いといて、このパトワ語っていうのが言語学的に見たらどういった点で面白いのかっていうのをお話ししようと思います。
パトワ語、別名ジャマイカクレオールっていうのは、 その名の通りクレオール言語なんですね。
このクレオール言語っていうのは言語接触によって生じた言語ということになります。
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成立時期としては17世紀ぐらいっていうふうに言われていて、 接触言語っていうぐらいなので、2つあるいはそれ以上かもしれませんけど、2つの言語が接触して、
それが混ざり合ってね、できたような言語ということになります。 その混ざり合った一つの言語は英語です。
もともとジャマイカは英国領だったし、今でもジャマイカの公用語は英語ということになっています。
で、もう一つの言語は西アフリカの言語っていうふうに言われています。 具体的にはエゼ語とかヨルバ語って言われるもののようで、
まあこれは言ってみれば奴隷貿易の結果ということですね。 黒人奴隷をアフリカ西海岸から新大陸にどんどん連れてきたわけですよね。
で、そういった黒人の人々が話していた言語と支配する側の言語である英語が接触した結果、できたのがパトワ語ということになっています。
実際今ジャマイカに住んでいる人たちのほとんどはアフリカ系の人々ということになっていますね。
で、このパトワ語に限らずですね、言語接触が起こってクレオールと言われる言語が生まれるときにある種の傾向みたいなのがあるんですね。
そういったクレオールに共通した傾向の一つとして、文法とか音が簡略化するっていうのがまずあります。
実際パトワ語の母音はアエイオウっていう日本語みたいな5つの母音を使っているし、これは英語と比べたら格段に少なくなっています。
で、ユコンコンさんがお便りの中で日本語と似てるみたいなことを言ってくださっているのは多分この発音のところではないかなと思いますね。
日本語と同じ5つの母音を使って、さらに単母音と長母音の区別があったりするので、そういった発音の面では日本語と似てるかもしれません。
ただ他の面はあんまり似てないんじゃないかなと思います。
今言ったようにパトワ語の母音は元となったっていうかな、英語と比べると格段に少なくなっているわけですけど、
文法の方も簡略化されています。 例えば、英語の私っていうのは主語の時はI、目的語の時はmeみたいに形が変わることがありますよね。
これに対してパトワ語っていうのはmeっていうのが主語にも目的語にも使われます。
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つまり代名詞の変化形がなくなっているっていう意味で簡略化しているっていうことですよね。
あとは名詞の方も、英語ってほとんど複数形を作ろうと思うとSをつければいいんですけど、
ものによっては、チャイルド・チルドレンとかマン・メンみたいに不規則な複数形っていうのがありますよね。
そういったものがなくなって、例えばマンっていう男単数に対して、男たちっていうのはマンデンって言えば複数形になるんですね。
これはどんな名詞でもデンっていう要素を後ろにくっつければ規則的に複数になります。
ちなみにこのデンっていうのは彼らの全部から来ているらしいんですけど、いずれにせよ名詞の複数形を作る不規則みたいなものは全くなくて規則的になっています。
あとは動詞の変化形もなくなってて、動詞自体の形が変わって過去形を作るというよりは、
助詞とか助動詞みたいなものを動詞の前に規則的に置くことで、進行形だったり完了形だったりを表します。
このようにパトワ語っていうのは単語自体が何か変化して意味を変えるというよりは、
規則的に何かその単語の前後に置くことによって別の意味を表すようになる。
つまり複数だったり進行だったり完了だったり、そういったものを規則的にね表すようになっているということです。
冒頭申し上げました通りパトワ語っていうのは元となった言語の一つに英語があるので、語順もやっぱり英語と同じSVO語順なんですよね。
ただクレオール言語っていうのは割とSVO語順になりやすいみたいです。
これは一応理由があって、SVOっていうのは主語動詞目的語っていうことで、これ多動詞っていうことになりますよね。
で簡略化するにはSVOっていう語順が一番都合がいいんですね。
例えば日本語みたいにSOVとなった場合、 私魚食べる
名詞がこう続くわけですよね。そうなった場合どっちが主語でどっちが目的語かっていうのを がとかをみたいなものを使わなくてはいけません。
それに対してパトワ語みたいにSVOとなってしまえば 動詞の前は主語、動詞の後は目的語っていうことで
がとかをみたいなものを使わなくていいっていうことなんですね。 まあそういった意味で簡略化が進んでいると言えるかもしれません。
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というわけで今回のトークはお便りに沿って ジャマイカで話されているパトワ語の特徴を本当にざっくりお話しいたしました。
さらに興味のある方は 詳細欄のリンク飛んでみていただけたらと思います。
というわけで今日のトークはここまでということで最後まで聞いてくださってありがとうございました。
ではまた次回お会いいたしましょう。ごきげんよう。