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2023-03-06 32:28

生物系三大奇書の一冊「平行植物」

「鼻行類」「アフターマン」と並ぶ生物系三大奇書の一冊「平行植物」についてお話しました!

・作者は「スイミー」のレオ・レオーニ
・生命活動も繁殖もせず、永遠に静止して存在する平行植物
・テナガザルとドッペルゲンガー
・芸術を模倣する植物マネモネ
・月からやってきたツキノヒカリバナ


平行植物(wiki)
https://bit.ly/3mtUkCx

平行植物(amazon)
https://amzn.asia/d/a4aw8K9

ネットショップ「せみやま屋」@セミラジオのステッカー販売中
https://suzuri.jp/semiyama

人工子宮装置Ecto Life(ススムアート)
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一房に55本のバナナ!(かもさんのブログ)
https://harekumo.ti-da.net/index_archives.php?entry_id=9038674


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00:01
みなさん、こんにちは。自然を愛するウェブエンジニア、せみやまです。
今日は、生物系三大奇書の一冊、「平行植物」についてご紹介したいと思います。
前回、「バナナと闇の歴史」ということで、ヘビーな内容を扱ったので、
今回は、雑談多めの緩めの空気感でやっていきたいなと思っています。
まず、セミラジオでもよくご紹介させていただいている、イラストレーターのすすむさんのポッドキャスト番組
すすむアートの最新回のテーマが、「人工子宮装置エクトライフ」というものだったんですけども、
そこで紹介されたエクトライフというものなんですが、人工子宮だとかデザイナーベイビーだとか、
人間の根源的な倫理感を揺さぶるような内容を払うんだもので、かなり衝撃を受けましたね。
いやー、めちゃくちゃ面白かったです。概要欄にリンクを貼っておきますので、ぜひ聞いてみてほしいんですけども、
カバーアートも人工子宮の中に浮かんでいる赤ちゃんのイラストが描かれていて、恐ろしくもかっこいい魅力的なデザインになっていて、こちらも必見です。
このエクトライフ回の冒頭ですすむさんがセミラジオの国立博物館物語会に触れてくださってまして、
セミラジオでご紹介した国立博物館物語という漫画、すすむさんがとても気に入ってくださっていて、取り上げていただいたんですね。
いやー、こうやって気に入ってくださって取り上げていただけると、本当に紹介した甲斐があるというか、めちゃくちゃ嬉しいですね。
すすむさん、ありがとうございます。
国立博物館物語については、こちらもセミラジオでよくご紹介させていただいているポートギャスト番組
生物をざっくり紹介するラジオ仏作のしろさんも最近読まれているということを仏作でお話しされていまして、それも嬉しかったですね。
いやー、自分の好きな作品に興味を持ってもらえるのって本当に嬉しいですよね。
そしてですね、最近とある用事で東京の阿佐ヶ谷に行ってきたんですが、その用事というのはすすむさんと仏作の豊さんの3人で進めているプロジェクトの打ち合わせだったんですけども、
以前もご紹介したんですが、すすむさん主催のセーブジオーシャンというプロジェクトがありまして、これは海の環境を守るためにグッズを作って、その売上を海の保全活動をされている団体さんに寄付するというものなんですけども、
03:10
今回すすむさんと豊さんと僕の3人でデザインを制作して、それをグッズ化するというプロジェクトを進行していまして、それについての打ち合わせに行ってきたんですね。
打ち合わせ以外でも3人でいろんな話をして、すごく盛り上がりましたし、阿佐ヶ谷の商店街をみんなで歩いたり、本当に楽しかったですね。
3人で制作するデザインについても具体的な方向性を固めることができたので、また進捗がありましたらセミラジオでもご紹介できればと思っています。
で、いろいろ話が飛ぶんですが、ちょうどすすむさんと豊さんは最近それぞれのポッドキャスト番組のステッカーをグッズとして販売開始されまして、
どちらも購入させていただいたんですけども、豊さんは今までの仏作のほぼすべてのエピソードのステッカーを、すすむさんはすすむアートから7つのエピソードのステッカーを販売されています。
どちらもすごく魅力的なステッカーで今手元にあるんですけど、いやー
どのステッカーもお二人のイラストが本当に素敵で、日々机の上に置いて眺めて宝物にさせていただいてますね。
で、この度お二人に触発されまして、僕もこの番組セミラジオのステッカーをオンラインショップで発売しました。
以前からSUZURIというサービスでセミラジオのサムネイルにもなっているトリキュアトプスやマンモスのTシャツを販売していたんですけども、
今回はセミラジオのそれぞれのエピソードのカバーアートをステッカーとして販売開始しました。
今回ステッカーとして発売したのが、セミラジオ第28回の僕がマウスで金閣寺を書いた理由。
第34回のバッハの名曲マタイジュナン曲の物語。
第35回江戸時代のUFOうつろう舟。
第38回スフィンクスの秘密。
第43回人の祖先タンキュウ類かっこ哺乳類型爬虫類。
第45回静岡ひといたびタッチャのカッパ館沼津湖深海水族館掘りが深すぎる狛犬。
第52回ギブ付属過去ギリアークの昔話。
第56回生命の進化を辿るゲーム46億年物語後編。
第57回軍隊生物ボロボックス。
第59回大黒天と暗黒神マハカーラ。
06:01
第61回ジンバブへのハイパーインフレット人々の生活。
第64回知られざるソテツの話。
そして第67回バナナと闇の歴史の13点になります。
このセミラジオなんですが今回のエピソードで通算68回目になるんですけども
そう考えると13点って意外と少ないんじゃないかと思われるかもしれないんですけども
今までのエピソードのカバーアートって結構反県物が多くてですね
漫画とかゲームを紹介する回にはそういう反県物のキャラを描いてますし
女毛カルタの回には思いっきりグンマちゃんも描いちゃってるんですよね
サムネイルをグッズ化するという発想が全くなかったので
そんな風に自由気ままに描いてたんですが
思ったよりグッズ化できるの少ないなぁと思いましたね
と言いつつ今回も平行植物という反県物のイラストをサムネとして描いているので
これもまたグッズ化できないんですけども
グッズ化についてはできる範囲でやればいいかなと
そういう風に割り切ってやっていこうかなと思っています
ちなみに今回発売したステッカーのうちマウスで書いた金額字だけ元の絵が正方形じゃないので
他のステッカーと並べた時形が合わないですけども
あとなんとなくマウスで書いた金額字だけアクリルキーホルダーにしてみたり
ちょっとそこだけ統一感ないんですけども
いろいろ試行錯誤しながらやってみようかなと思っています
今回発売したセミラジオのエピソードステッカーについては概要欄にリンクを貼っておきますので
よかったらチェックしてみてくださいね
それとですね
前回バナナと闇の歴史について配信をしたんですけども
ご感想のメッセージをいただいていますのでご紹介させていただきますね
まずツイッターで交流させていただいている
楽能家の牛若丸さんには
ツイッターでハッシュタグセミラジオでご感想をいただきました
読み上げますね
セミラジオのバナナ界視聴
隣のおばあちゃんが昔子供の時食べたバナナは本当美味しかったのよって言ってたけど
あれって思い出補正じゃなくて
マジで品種が違ってた可能性というご感想をいただきました
牛若丸さんありがとうございます
バナナ界でもお話しさせていただいたんですが
日本でもかつては主流のバナナの品種が
現在流通しているのとは違う品種だったということで
09:00
これは普通に可能性としてあるんじゃないかと思いますね
牛若丸さんはツイッターのプロフィールに
兵庫県の牛界と書かれているんですが
落の丘として田島牛を飼育されているということで
ツイッターで牛の画像や動画をアップされているんですが
牛若丸さんがアップされている牛が本当に可愛くて
いや牛って可愛いなぁと思いながら
いつも癒されています
そしていつもセミラジオを聞いていただいている
宮古島のカモさんにも感想のお便りをいただきました
読み上げさせていただきますね
バナナと闇の歴史を拝聴しました
誰もが知っているバナナに
そんな歴史があったなんて驚きました
アメリカ怖いなって思いました
ところで宮古島では
バナナはお家の庭に生やしているくらいに身近な存在です
シマバナナと言われる酸味のある小さいものは
結構な高値で取引されています
甘くて美味しい台湾バナナや
イスラエルバナナと呼ばれている
甘くないバナナもありますが
正確な品種名はわかりません
バナナのひとふさにはかなりの数のバナナがついており
以前いただいたバナナのふさには
55本のバナナがついていました
というメッセージをいただきました
カモさんメッセージありがとうございます
宮古島ではお家の庭に
バナナを植えているということで
沖縄や奄美でもバナナを栽培していることは
知っていたんですが
そんなに身近な植物としてあるというのは
知らなかったですね
シマバナナとか台湾バナナとか
イスラエルバナナとか
初めて聞く名前もあるんですが
沖縄でそんなにいろんなバナナが
栽培されているというのも知らなかったですね
ひとふさに55本のバナナがついていたというのも
カモさんのブログに写真が掲載されているんですが
すごい迫力でした
概要欄にこのひとふさ55本のバナナが見られる
カモさんのブログ記事も貼っておきますので
ぜひチェックしてみてくださいね
シマバナナは近所のセレクトショップに売ってるので
ちょっと気になってたんですけども
今度食べてみようかなと思っています
それではそろそろ本編に行きたいと思います
今回は平行植物という本を
ご紹介していきたいんですけども
この本は生物系3大気象のうちの一冊とされていまして
他の2冊はアフターマンと
ビコウ類という本になります
ビコウ類は以前セミラジオで
ご紹介させていただいたんですが
12:00
花が異常に進化したビコウ類という
架空の生き物について紹介している本ですね
アフターマンは
古生物学者のドゥーガルディクソンという人が想像した
人類が滅んで5000万年後の未来に生きる生き物を描いた本ですね
どちらもとても面白い本なんですけども
そのビコウ類とアフターマン
そして今回ご紹介する平行植物を合わせた3冊をまとめて
生物系3大気象と呼んでるんですね
ビコウ類もアフターマンも架空の生き物について
その生き物がどんな生態を持っているか
どんな環境で暮らしているか
みたいな話を非常に説得力を持って描いている本で
架空の生き物の本なんですけど
読んでいると本当にそういう生き物がいるような気がしてくる
少なくとも言ってもおかしくないなぁと思えてくる
そういう面白い本なんですね
平行植物も既存の植物学からはみ出した
とても不思議な存在である架空の植物
平行植物について非常にディテール細かく書いている本なんですね
作者は絵本作家のレオレオーニーという人です
この作家名を知らなくても
スイミーの作者といえば思い当たる方も多いんじゃないかと思うんですが
スイミーは国語の授業で習うこともある有名な絵本で
小さな魚が集まって大きな魚に見せかける
という有名なシーンがある作品ですね
あれの作者がレオレオーニーという人なんですね
で今回スイミーについて調べていて初めて気がついたんですが
スイミーの日本語版を翻訳したのって谷川俊太郎なんですね
セミラジオで最近配信した
フィフネルの宇宙服という曲についてのエピソードでも
谷川俊太郎について触れたんですけど
スイミーの翻訳も谷川俊太郎だったんですね
いやーまたしてもセミラジオ名物
シンクロニシティが発生しちゃいましたね
話を戻しますとレオレオーニー氏はスイミーをはじめとして
主に子供向けの絵本を精力的に発表した人なんですが
そんな彼の絵本作家としての経歴の中で
異色の作品が今回の平行植物なんですね
この本はレオレオーニーの他の作品とは違って
少なくとも子供向けの本ではないんですよね
15:02
今手元にちくま文庫版の平行植物があるんですが
400ページ近くありますし
生物学の専門書のパロディーとして
割と拡張高い文章で書かれているので
子供はもちろん大人にとっても
正直ハードルが低いとは言い難い本なんですね
平行植物の原著はレオレオーニー氏によって書かれ
1976年にイタリアで出版された
ラボタニカパラレラという本です
ラボタニカパラレラを日本語に訳したのが
平行植物ということなんですね
日本語版の平行植物は
1980年に工作者という出版社から
ソフトカバー版が発売し
その後の86年にハードカバー版が発売
1998年には出版社をちくま文庫に変えて
文庫版が発売しました
現在は再び工作者から
ハードカバーの新装版が発売されていまして
こちらは現在も新品で購入することができます
でこの本で紹介されている平行植物というのが
どういう植物なのかなんですけども
生物系3大記書の他の2冊に関して言うと
微光類であれば鼻で歩くとか鼻で狩りをする
みたいな生態を持った生き物が出てきますし
アフターマンだったら人類が滅んで
5000万年後の世界に棲む地上をのしのしと歩く
巨大なコウモリみたいな
本の定める世界観に沿って
進化した生き物が出てくるわけなんですが
それらはもちろん
想像力の翼を羽ばたかせてはいるんですが
あくまで既存の物理法則に縛られてはいるんですね
ただ平行植物というのは
そういう既存の物理法則や科学から逸脱した存在なんですね
その部分が生物系3大記書の他の2冊とは大きく違うんですよ
そしてそのことや他の2冊に比べて
少し図版が少なめということが
この平行植物のハードルをやや上げてるかなと
個人的には思っています
既存の物理法則を無視しているというところで言うと
例えば遠近法を無視した平行植物というのも存在してまして
どれだけ遠くにいても
どれだけ近くにいても
同じサイズに見える平行植物なんてのもあるんですよ
18:00
さらに分かりづらいのが
全ての平行植物は植物はオロか
生物という枠組みから逸脱しているという前提条件があるんですけども
これがまた抽象的で難しいところなんですよね
どういうことかというと
平行植物というのは植物と言いつつ
もはや植物じゃないんですよ
生命活動を停止していて
死んでいるのとは違うんですけど
成長もしないし
種を作ったり発芽したり繁殖したりせずに
ただ時空の中に静止して存在してるんですよ
平行植物の中には
もともとは普通に生命活動を行って
繁殖もする植物だったものもあるんですが
そういう普通の植物だったのが
時空の中に静止した平行植物に変わることを
本の中では平行化と言っています
種類によっては目視することしかできなくて
写真にも写らなくて
触ると粉になってしまったりするものもあるんですね
これまた例外として触れるものもあったりするんですけど
いろんな種類があって
その性質が一定ではないのが
また掴みどころのない感じなんですね
生命活動をすることなく
ただ時空の中に存在しているのって
何が目的なのってなると思うんですけど
特に目的とかないんですね
ただただ平行植物とはそういう存在である
みたいな感じで本の中では描写されているんですね
かなりトリッキーな存在ですよね
そんな不思議な存在である平行植物なんですが
いろんな種類がありまして
それぞれ個性的な特徴を持った平行植物の中から
印象的なものをご紹介していきたいと思います
まずご紹介したいのは
オカシシという平行植物です
これはディリューという生物学者が
インドのベンガル地方で出会った
バリバイという老人に教えてもらった
ということになっています
もちろんディリューやバリバイといった
平行植物に記載されている人物は
すべてフィクションなんですけども
バリバイは医薬植物学の研究者でありつつ
インドの宗教文書である
ベーダの研究者でもあるという人物なんですが
そのバリバイさんがある日の夕暮れ時に
面白いものを見せてあげようといって
西洋の科学者であるディリューを
森の中にある小山で連れてくるんですよ
そこには2頭のテナガザルが繋がれていて
21:03
1頭は歯を剥き出しにして威嚇してくるんですが
もう1頭のテナガザルは
敷かれた藁の上に横たわって
ピクリとも動かず
どうやら死んでいるように見えるんですね
でこちらを威嚇しているテナガザルに
バリバイ老人は何かの植物の葉っぱを与えるんですよ
そうするとテナガザルは
むさぼるようにその葉っぱを食べるんですが
そのうちぐったりとして
動かなくなってしまうんですね
するとさっきまで藁の上に横たわって
死んでいるようにしか見えなかった
藁のテナガザルが目を見開いて
むっくりと起き上がって
辺りをキョロキョロとうかがい始めるんですよ
まるで生きていた猿の魂が抜けて
死んでいたはずの猿に乗り移ったかのように見えるんですね
どういうことかというと
このオカシシという植物の葉っぱを食べると
ドッペルゲンガーのように
もう1人の自分の幻覚が見えるようになるんですよ
しかもその幻覚が葉っぱを食べた本人だけではなく
第三者の目にも見えるようになる
というのがすごく異常なところで
並行植物はこういう不思議な現象を
発生させる能力を持ってるんですね
続いては森の角砂糖バサミという
並行植物をご紹介したいと思います
名前が変わってるんですが
この並行植物は体全体が
優美な曲線を描いたハサミのような形をしています
森の角砂糖バサミは
かつて生命活動を行う通常の植物だったんですが
その時期にとっていた生存戦略というのが
とても変わっていて
森の中で次世代の個体を増やす時に
じわじわと放射状に子孫を増やしていくのではなくて
陣取りゲームのようにピンポイントで生息範囲を増やしていたんですね
そして森の中での森の角砂糖バサミの生息分布図を見てみると
まるで囲碁の命題曲のように戦略的な配置になっている
ということがわかったんですね
まるで囲碁の騎士のような戦略を持って
個体数を増やしていた知的植物
それが森の角砂糖バサミということなんですね
この並行植物の世界の中にある
国立科学博物館、通称科博には
森の角砂糖バサミのブロンズ製のレプリカが置いてあって
その周囲には五番も置かれ
24:02
全国囲碁大会の会場にもなっているというオチまでついています
人間の生み出した戦略ゲームである囲碁と
同じ動きをする植物というコンセプトなんですね
森の角砂糖バサミとちょっと通じるところがある
並行植物にマネモネがあります
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは
芸術は自然を模倣するという言葉を残していて
自然の作り出すデザインは
芸術活動の偉大な源泉になっていると思うんですが
マネモネはその逆を行く
人間の生み出す芸術を模倣する並行植物なんですね
つまり世の中にはバロック町やロココ町など
いろんな芸術様式があるんですが
そういう芸術様式を真似するマネモネも存在してるんですね
そしてまたより新しい現代的な芸術家や芸術様式が
現れる度にそれらの作品と
そっくりな見た目を持ったマネモネも出現する
というわけなんですね
続いてはアリジゴクという並行植物をご紹介します
アリジゴクといっても昆虫のウスバカゲロウの幼虫ではなくて
並行植物の一種なんですね
このアリジゴクはアフリカで発見された並行植物なんですが
アリジゴクの葉っぱの葉脈はまるで迷路のように複雑な構造になっています
なぜこのような進化をしたかというと
かつてアフリカ大陸にはアリアリマキという
植物を食べるオオグライの昆虫がいまして
この昆虫によってアフリカ大陸すべての植物が
絶滅の危機に瀕していたんですね
アリジゴクはそんなアリアリマキに対抗するために
葉脈を迷路状に進化させて
さらに葉っぱの真ん中から甘い香りを放つようになりました
アリアリマキは葉脈に沿って移動するという習性があったため
なかなか葉っぱの中心部にたどり着けず
エサをまともに取れないようになり
ついには絶滅しました
そのことによりアフリカ中の植物が絶滅を免れることができたんですが
アリジゴクは過酷な生存競争のために
エネルギーを使い果たし
平行化してしまったのではないかと考えられています
多くの植物の命を救い
自らは力尽きるというドラマがあったわけなんですけども
ここは俺が食い止める
お前ら先に行けって言ってくれるタイプの
かっこいい平行植物ですね
27:02
そして今回最後にご紹介したいのは
月の光花という平行植物です
この平行植物はその見た目を説明するために
便宜上上半身と下半身に分けたとき
下半身はまるで足がたくさん生えたレトロなビジュアルの
タコ型宇宙人みたいなそんな見た目をしています
上半身頭頂部は球体をスパッとカットしたような
半球状の形になっていて
質感は全体にメカニカルな雰囲気を漂わせています
今僕の手元にある
ちくま文庫版の表紙を飾っているのも
この月の光花ですね
とても面白いビジュアルの平行植物です
その名の通り
月から飛来したという説を唱えられている平行植物で
アメリカの宇宙船に月の光花の種子がぶつかってきた
というエピソードもあったりします
で本としてのエピソード自体をはみ出してしまうんですが
平行植物の作者のレオ・レオーニは
この月の光花をはじめ
いろんな平行植物の彫刻を自作していまして
それらの作品群に幻想の庭というタイトルをつけて保管していました
彼の死後は孫であるアニー・レオーニさんによって
他の作品も含めて管理がされていたんですが
実は2019年にアニー・レオーニさんの申し出により
その幻想の庭を含むレオ・レオーニの作品群が
日本の板橋区立美術館に寄贈されてるんですね
実は板橋区立美術館では1996年にレオ・レオーニ展が開催されていて
その後もアニー・レオーニさんとの交流が続けられてきたそうなんですね
で祖父であるレオ・レオーニの作品や書類を整理していたアニーさんは
板橋区立美術館から寄せられた日本の子供たちからの手紙をたくさん見つけたそうなんです
スイミーや他の絵本作品についての感想やお便りを
作者であるレオ・レオーニさんに送るための窓口に
板橋区立美術館がなっていたということなんですね
そのことが2019年の作品の寄贈につながったわけですね
並行植物はいろんな国で翻訳されて出版されているんですが
作者自身が作った彫刻が大量に収蔵されているということで
板橋区立美術館は並行植物の聖地と言っても過言ではないんじゃないかなと思いますね
30:07
板橋区立美術館ではこの時にアニーさんから受け取った作品群をメインにした
誰も知らないレオ・レオーニ展という展示を
2020年10月から2021年の1月にかけて開催していまして
そこにはもちろん並行植物の立体作品群である幻想の庭も展示されていたそうです
これ知らなかったんですけども行きたかったですね
幻想の庭は引き続き板橋区立美術館に収蔵されているので
次回の展示のチャンスは見逃さないようにしたいなと思っていますね
ということでレオ・レオーニが生み出した不思議な植物群
並行植物についてご紹介してきました
今回ご紹介した並行植物はごく一部の種類ですので
ご興味があればぜひ本もチェックしてもらえればと思います
並行植物はある意味無目的に存在しているんですが
作者のレオ・レオーニには並行植物を生み出した目的はもちろんあったと思っています
それはもし並行植物という人間の常識と感覚を揺さぶる存在が現れたら
人々はどういうふうに反応するのか
そこにどういう意味を見出すのかという思考実験だったと思いますし
想像力の翼を限界まで羽ばたかせて並行植物という世界を作り出すのは
ただただ最高に楽しい体験だったんじゃないかなぁとも思います
そして今大作家の遊び心が生み出した知的好奇心をくすぐられる書として
これからも並行植物は長く読み継がれていくんじゃないかなぁと思っています
セミラジオではお便りを募集しています
概要欄のフォームやハッシュタグセミラジオでご感想いただけると嬉しいです
今日は大作家レオ・レオーニによる創作物並行植物についてお話しさせていただきました
ご視聴ありがとうございました
32:28

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