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スピーカー 2
はい、というわけで早速ゲストの方お呼びしましょう。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
今回のゲストは、高エネルギー加速器研究機構、素粒子原子核研究所、準教授の中山博之さんです。よろしくお願いします。
スピーカー 1
よろしくお願いします。
スピーカー 2
よろしくお願いします。
では最初にですね、自己紹介の方お願いします。
スピーカー 1
はい、今ご紹介に預かりました、
今略して高エネ研って言うんですけど、高エネ研もしくは経緯経で、素粒子の研究をしている中山といいます。よろしくお願いします。
スピーカー 2
よろしくお願いします。
これまでにサイエントークでも、科学史ってことで、科学の歴史をビッグバンから辿ってみようみたいなことをずっとやってたりするんですけど、
最初の宇宙の誕生とか素粒子とか関係してくるところは、そんな詳しく説明できてないんですよね。
ざっくりイメージを教えてもらったみたいな感じで。
そうですね。っていうのも、僕の力が足りないっていうのもあるんですけど、なかなかやっぱり素粒子ってやっぱちょっと難しいとか、
なんかそういう本当に細かく話そうとすると、結構複雑な分野でもあるかなとは思っていて、
スピーカー 1
そうですよね。僕もよく自己紹介するとき、今素粒子の研究してますって言ったんですけど、
だいたい一言で言いたいときは、宇宙の研究してますっていうことが結構多くて、
ただその宇宙の研究してますって言うと、結構ほとんどの方が、
あ、じゃあ望遠鏡で宇宙を、星とかを見られるんですか?とか、ロケットに乗って宇宙飛行士みたいな、そういう研究なんですか?って考えられることが結構多いんですけど、
実は僕は全然そういうことは全然違って、その宇宙っていうすごい大きいものを研究するんですけど、
手段としては、その素粒子って言われるその世の中で一番小さいものについて詳しく調べるっていう、
そういうちょっと直感からすると大きさが全然違うスケールの話なんですけど、
それが実は密接に関係してるってことを、今日おいおい話していければいいかなと思うんですけど。
スピーカー 2
いやそうですよね、多分今聞いてる人も、いや真逆じゃんみたいな感想を持たれる方は結構いるかなと思うんですけど。
スピーカー 1
なんでそんな世の中で一番小さいって言ってる素粒子を研究したら宇宙のことがわかるの?っていうのは確かに直感的には不思議ですよね。
スピーカー 2
うん、いや不思議ですよね。
スピーカー 1
僕もそう思います。
スピーカー 2
なので今日は実際にそういう研究をされてるっていうご本人登場みたいな回なんですけど、
なかなかお話聞く機会もないかなってことで、
大きく分けて前半では、そもそも素粒子ってどんなものとか、素粒子物理学ってどんな分野なのかっていうお話とか、
さっき言ったような、なんで宇宙と結びつくんだみたいなところをちょっと前半に色々聞かせていただいて、
後半では研究されてる高エネルギー加速研究機構とか、あとはこの素粒子を研究してる研究所って実際どんな感じでやってるんだろうとか、
かなり具体的なお話とかを色々とちょっとお話聞いていきたいかなと思います。
はい、よろしくお願いします。
じゃあ早速中山さんはどんなことを研究しているのかっていうのをお聞きしましょうか。
スピーカー 1
さっき宇宙の成り立ちを調べるために素粒子っていうすごい小さいものを研究してるって言ったんですけど、
素粒子の研究する方法にも色々あるんですけど、僕たちの場合は加速機と呼ばれる粒子を加速する、つまりスピードを速くする装置っていうのを使ってます。
加速機っていうのは小さいものから大きいものまで色々あるんですけど、
小さいものだと例えば昔のテレビってブラウン管だったっていう、ちょっと世代によってブラウン管ってわかんない方もいるかもしれないですけど、
あれも実は小さな加速機なんですよ。
ただあれもブラウン管っていうガラスの容器の中で粒子を加速してテレビの面を光らせてるんですけど、
ああいう小さいスケールのものもあれば大きいものもあって、
我々のやつは非常に大きくて、一周3キロのリング状の加速機っていうのを使って実験してます。
スピーカー 1
なんかその25度と1000度の間に違うことがあるわけですね、物理法則が。
スピーカー 2
確かに同じ計算式だと説明できないぞってことが起きちゃう。
スピーカー 1
そうそう、合わないみたいな。
で、それは多分25度の時もなんかその差は、これまで考えてた理論と新しい理論の差は多分あったんだけど、
スピーカー 2
すごいちっちゃくてその実験の誤差に隠れてたぶん見えてなかったんですよね。
スピーカー 1
結局実験ってやっぱり必ず誤差があるので、その誤差の範囲内でちょっとずれててもわかんないですよ。
確かに確かに。
スピーカー 2
検出できてなかったらもうないのと一緒になっちゃうみたいなことですよね。
スピーカー 1
そうそうそう。
で、なんか普段の室温だとあんまりその効果がすごい小さいような現象があるんだけど、
それは見えてなかったのは温度をボーンと高くするとその効果がすごい大きくなって、
実験やったらもう明らかに草が見えるみたいなことが起こるわけですよ。
だからその極限状態を作ると、
これまでわかってなかったような、見えてなかったようなものが新たに見えてくるっていうのがいろんな条件であるんですね。
それは圧力でもいいですし、今言った温度でもいいし。
我々の場合はその粒子を光の速さ、
つまりそれ以上もう超えることができない光の速さに限りなく近づけて実験を行うことで、
とっても早いエネルギーが高い状態を作り出しているんですね。
そこで実験するっていうことがとても大事なんで、
粒子を加速するっていう必要性が出てくるんですね。
スピーカー 2
じゃあ今言われてたみたいな温度が高い条件とか圧力が高い条件で素粒子を研究されている方もいるっていうことですかね。
スピーカー 1
今その例に温度とか出しましたけど、温度とかっていうのは実は素粒子ってすごい小さいものなので、
それに対して定義できる実はその状態ではなくてですね。
スピーカー 2
なので素粒子の場合は基本的には多分どんどんどんどん速くする、エネルギーを高くするっていうところが極限状態にいく一つの例だと思います。
スピードを上げるっていうのがその手段。
スピーカー 2
普通の状態って今例えば顕微鏡とかでめちゃくちゃズームしまくって見えるみたいなのあるじゃないですか。
スピーカー 1
多分一番ベーシックな。
スピーカー 2
だけどそれだと全然見えないみたいな話ですよね。
スピーカー 1
そうですね。
今顕微鏡の例出してくれたのが非常にいいなと思ったんですけど、
顕微鏡もより小さいものを調べようとしたら普通のテーブルの上に置けるような小型の光学顕微鏡じゃなくて、
スピーカー 2
理科室とかにあるやつですね。
スピーカー 1
あるようなやつじゃなくてすごい大きな電子顕微鏡とか、部屋一粒ぐらいあるようなものが必要になってくるじゃないですか。
じゃあもっともっと小さい素粒子を見ようってなるとやっぱりそれに応じて逆に今度は大きい顕微鏡、我々は加速器なんですけど、
大きい装置が必要になってくるんですよ。
だからより小さいものを見ようとするとより大きいものが必要になってくるっていうのが普通の顕微鏡と電子顕微鏡の比較とちょっと似てますよね。
スピーカー 2
確かになんか反ピエしてるみたいな感じにしますね。
スピーカー 1
そうそうそうそう。
こうやって物理的にもちゃんと意味があって、その小さいものを見ようとすると短い波長の光を使わなきゃいけなくて、
そうすると高いエネルギーが必要なんで大掛かりな装置が必要になってくるんですけど、
スピーカー 2
なるほどなるほど。
スピーカー 1
なので我々はその素粒子を詳しく調べようと思ったら素粒子めちゃめちゃ小さいからすごい大きな装置が必要になるっていう風に考えてもらっても大丈夫です。
スピーカー 2
なるほど、だからそれぐらいのディズニーランド一周みたいなサイズでめちゃめちゃに加速させるっていう。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 1
人工的に作れるエネルギーっていうのはやっぱり上限があるので、もっと天体とかで加速された素粒子を研究するっていうものではなくて、
その場合だとものすごい高いエネルギーまで到達したものが作れるんですよ。
ただそれは人工的に作るんじゃなくて、宇宙からたまに降ってくるものを頑張ってみなきゃいけないんで、
結構その別の難しさがあるんですけど、
我々の場合は人工的に作って、しかもとにかくたくさん作るっていうところにフォーカスしてやってるんです。
スピーカー 2
宇宙の天体とかだったらもう運ゲーみたいな感じで。
スピーカー 1
そうなんですよね。
スピーカー 2
見えるか見えないかみたいなのがあると思いますけど、
ある意味人工的にやったらいつでもそういう研究はやろうと思ったらできるみたいな感じですか。
そうですね。
スピーカー 1
我々は本当にそれを人工的にとにかくたくさん作ろうっていうところがポイントで、
なんでたくさんっていうかっていうと、
アンケートの結果とかでも考えてほしいんですけど、
100人に聞きましたアンケートと1万人に聞きましたアンケートどっちが信用できますかっていうと、
当然1万人のほうですよね。
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
100人のほうでこの商品が1位だったって言われても、
本当?たまたまじゃないの?とか思うじゃないですか。
でも1万人でアンケートでこの商品が1位になりましたって聞くと、
確かにそうかもって思うじゃないですか。
なので素粒子の研究で何か新しい発見をするっていう時も、
とにかく数をたくさんためて、
たまたま統計的なふらつきで出た結果じゃなくて、
これは本当にこういう現象が起こってますよっていうことを言うためには、
とにかくたくさん集めなきゃいけないんですよ。
スピーカー 2
そのぶつける回数をいっぱいやるっていうイメージですか?
スピーカー 1
そうです。まさにそういうことです。
なので我々の加速器で1秒間に何回ぶつけられるかみたいな指標のことを
ルミノシティって言うんですけど、
我々の公園の県にある加速器っていうのは、
ルミノシティの世界記録を今持って、しかも更新中です。
1秒に何回ぐらいなのか気になるんですけど。
単純に回で言うとなかなか難しいんですけど、
我々が欲しい粒子をどれぐらい作れるかっていう能力で言うと、
例えば我々Bって呼ばれる重い中間子って呼ばれる粒子を作りたいんですけど、
それを1週間でも1500万個とか。
1500万。
それまだ全然今後更新されていく数字なんですけど、
それぐらいだから全体でも何百万個っていうデータをためて解析して、
わずかなズレでも見逃さないぞっていうそういうスタイルの実験をやってます。
スピーカー 2
1週間で相当溜まりますね、データそれ。
スピーカー 1
相当溜まります。
スピーカー 2
解析が追いつかなさそうだなって思いました。
スピーカー 1
すごい大変だな。
スピーカー 2
そもそも取粒子ってすごく小さいじゃないですか。
小さいものを半時計回りと時計回りで回したものをぶつけさせるって、
なかなか正面衝突しなさそうだなってパッと聞いて思ったんですけど。
スピーカー 1
おっしゃる通りです。
おっしゃる通りで、実はだから一個一個をぶつけてるんじゃなくて、
何百万個とかもっとすごい数だったんですけど、
塊同士をぶつけてるんですね。
すれ違わせてるんです。
プラスのビームの中にも何千万個とか何億個とかわからないですけど、
非常にたくさんのプラスの粒子と非常にたくさんのマイナスの粒子がすれ違うんですね。
狭いところ。
そうすると時々当たる、そんなイメージです。
本当に一個だけ持ってきて一個だけ持ってきてぶつけるのはめちゃめちゃ難しいんですけど、
たくさん持ってきてそれを狭いところを通せばどれかは当たるじゃないですか。
そういうイメージですね。
スピーカー 2
確かに逆に一個だけ飛ばすのって難しそうだなって思いましたけど。
スピーカー 1
難しいです。
スピーカー 2
じゃあいかにその小さい中に素粒子を掘り投げるかみたいなところで、
さっき言ってたルミノ、何でしたっけ?
スピーカー 1
ルミノシティが決まるっていうことですか?
めちゃめちゃその通りです。おっしゃる通りです。
それをやるためには衝突する直前にビームを細く密度高くしてからぶつける必要があるんですね。
でもビームの粒子の中ってプラスだったらプラス同士がいっぱい集まってるわけじゃないですか。
マイナスだったらマイナス同士がその中にみんないるわけですよね。
そうするとプラスとプラスって反発しあうじゃないですか。
だから我々ギューって絞りたいんですけど、
あんまり絞りすぎると逆に反発しちゃって悪さするとかそういう難しさがあるんですよね。
なので衝突する直前だけにギュッてビームを絞ってあげてぶつけるんですけど、
それをやるためにはめちゃくちゃ強い磁石の力が必要になる。
スピーカー 1
で、さらに今後うまくいけば何十倍くらい塗り切れるんじゃないかっていうことを目指してやってるっていうそんな感じです。
スピーカー 2
すごいですね。
日本が1位っていうのがいいですね。
いろんな科学の分野で結構アメリカが強いみたいなイメージありますけど、
ソリューシの加速については日本が1位っていうのはかっこいいですね。
スピーカー 1
で、もちろん違うタイプの加速機でヨーロッパでやってる大きな実験で、
例えばスイスのセルンっていうところでやってるLHCっていうのはちょっと加速機のタイプが違うんですけど、
我々は電子と溶電子っていう非常に軽い粒子同士をぶつけてる加速機なんですけど、
セルンのやつは溶子っていうかなり重い粒子同士をぶつけてるっていうちょっと経路が違う加速機。
スピーカー 2
ぶつけるもののサイズで全然違うんですね。
スピーカー 1
そうですね。単純に比較はできないんですけど、
電子と溶電子をぶつける我々のタイプの加速機では今それが記録をとっています。
スピーカー 2
なるほど。
でもなんか日本がすごいみたいなのって、
やっぱりノーベル賞受賞してる人いるよねみたいなイメージを持ってる人はいるかなと思いますよね、ソリューシとか。
スピーカー 1
そうですね。我々が今お話ししてたソリューシっていうのは、
実験をどうやってやるかっていう話なんですけど、
ソリューシの理論を考える研究者なんです。
日本はやっぱりその分野でもかなり昔からすごい歴史があって、
我々の一つ前のベル実験っていう2010年に終わった実験も、
もともとは小林マスカワ先生っていう2人のノーベル賞、2008年にノーベル賞を取った先生、理論先生ですけど、
その先生たちが考えた小林マスカワ理論っていうのがあるんですけど、
その理論が正しいっていうことを、何とか我々の日本人の手で証明できないかっていうところから、
実験がスタートしたもので、
そういう意味では、日本人の理論の先生が考えたのを、我々の実験で証明できたっていうのはすごい嬉しいですよね。
スピーカー 2
それは多分その当時の加速器の利用の目的の一つだったのかなと思うんですけど、
今っていっぱいぶつけて、N数を食べて、何をしようとしてるんですか?
スピーカー 1
今ですね、素粒子の世界っていうのは、いろんな実験が過去からどんどん積み上がってきて、
その結果が全部説明できる標準理論っていうすごい完成度の高い理論があるんですよ、実は。
こんなに何でも説明できちゃうんだったらこれでいいじゃんって思うかもしれないんですけど、
まだ全然それでも説明できないいろんなことってのがたくさんあって、
ということは、全部説明できないっていうことは、このすごい完璧に見える標準って言っちゃってるぐらいですかね、標準理論も、
多分何か間違ってるんですよ、どっかにまだ抜けがあるんですよ。
それを調べるためには、さっき言ったようにたくさんデータを貯めて、標準理論で誤差の範囲で、
本当はずれてるんだけど、ずれがちゃんと見つかってなかったようなものを詳しく調べることで、
標準理論にさらに何か足せるスパイスというか、まだ拡張があるはずなんですよね。
そういったもののヒントを見つけるために、いろんなアプローチができるデータをとにかく貯めて、
たくさんデータの観測を行うっていうのが我々の実験の目的ですね。
全方向から攻めてやろうという、そういう実験です。
スピーカー 2
本当に真の標準理論だったら例外とかもあっちゃいけないですよね、本来。
標準理論ってそもそも一つの数式みたいなものなんですか?
それとも何個か合わさって、何個かセットで一つの標準みたいな感じで、
今やろうとしているのはそれに何個か追加するのか?
それとも一つのものをさらに良くするか?
スピーカー 1
そうですね。例えば標準理論の中では素粒子っていうのは、
これこれこういうものとこういうものとこういうものと全部で何種類ありますよみたいな標があって、
それぞれの間に働く力っていうのはこういう式で欠けますよみたいなのがもう全部決まってるんですよ。
我々の実験でも、我々B中間子っていうのを作ってるんですけど、
B中間子がこういう粒子に壊れていくのは大体何パーセントぐらい起こるよねみたいなのを、
もう理論から結構良い精度で予測できちゃうんですよ。
ほとんどの場合それ通りになるんですけど、
すごいごくたまにしか100万回に1回しか起こらないみたいなやつっていうのは、
そもそも過去の実験だとデータが足りてないんで、
なんとなくは分かってるんだけど、
本当にその理論の予測通りになってるのかどうかっていうのはちょっと誤差が大きすぎてたまにしか起こらない。
データ数が少なすぎて、ぼやっとしてるようなものもあるんですね。
それをもしデータ量が10倍、20倍になったら、
もっと精度良く標準理論、やっぱり正しいよっていうのか、
もしくは標準理論ちょっとずれてんじゃんみたいなことがどんどん分かってくるので、
そういうのがいっぱいあるんですよね、リストが。
それを一つずつ潰していくっていう、そういう感じですね。
スピーカー 2
その理論とかをいろいろ潰していって、回数どんどん重ねて、
ある程度いろんなことを予測できるようになるっていうのは、
なんかこの辺から宇宙とかも繋がってくるんですかね?
スピーカー 1
そうです、宇宙の話そうです。
スピーカー 1
プラスマイナスの符号だけ違ってる、そういうものです。
スピーカー 2
裏みたいな存在って感じ。
スピーカー 1
で、さっき我々ビームでプラスとマイナスをぶつけてるって言ったんですけど、
マイナスの方はよく皆さんが知ってる電子物質の方なんですね。
でもプラスのビームの方は実は半物質を人工的に作ってて、
電子と同じ、性質ほとんど全部同じなんだけど、
電化のプラスマイナスだけ逆の陽電子、
太陽の陽ですね。
太陽の陽の電子。
プラスなんで。
スピーカー 2
陰陽の陽ですね。
スピーカー 1
陰陽の陽でプラス。
陽電子っていうものを作ってぶつけてるんですけど、
そういうふうに人工的に作ると、
そういう我々の世界にある粒子の反対の粒子っていうのは作れるんですよ。
でも宇宙空間を探すと全然ないんですよ、半物質。
スピーカー 2
そうですよね。
そうやって聞いたら、僕らが持ってるというか、
みんな原子でできてますけど、
みんなマイナスの電子持ってて、
プラスの方もいていいじゃんみたいなことですよね。
そうなんですよ。
スピーカー 1
じゃあビッグバンの最初に何が起こるかって、
普通に考えると何もないところからここっと生まれてきて、
プラスのものができたらマイナスのものも一緒にピュアでできてくれないと、
最初何もなかったからプラマイゼロだったわけですよね。
そこからプラスだけできたらなんか変じゃないですか。
スピーカー 2
いや変ですね。
マイナスないと。
スピーカー 1
だから普通に考えると宇宙が生まれた瞬間っていうのは、
プラスとマイナスっていうのは必ず同じ数だけあったっていうのが自然だと思うんですよね。
でもその後宇宙がだんだん冷めてきて今の宇宙になったら、
なんか知らんけど物質の方だけ残ってて、
暗物質全然いなくなっちゃって。
これすごい不思議なんですよ。
スピーカー 2
仮定でっていうことですか。
最初にその2つあったみたいのはもう分かってるんですかね。
スピーカー 1
そこは調べようないですけど、
でも原理的に考えて多分プラスとマイナスが同時に生まれてないと理屈が合わないんですよね。
なのに今我々の宇宙の周りを見渡すと片っぽだけしか残ってない。
これすごい不思議なんですよ。
もしかしたらですけど、我々が見えてる範囲にはプラスがある、物質があるけど、
どっか遠いところの宇宙には、宇宙の遠いところには半物質っていうのだけの世界があるのかもしれないですけど、
それはちょっと不自然な考え方としては。
やっぱり多分、何らかの原因で宇宙が生まれてから今の状態になってくるまでの間に半物質の方だけが消えちゃったんだと思うんですよね。
どういうことがあったらそういうことが起こるかっていうと、
物質に働く物理法則と半物質に働く物理法則の間に何か違いがあったらそういうことが起こっていいわけですよね。
スピーカー 2
全く同じ半物質の物質と同じように説明できんだったら残るよねっていうことですかね。
スピーカー 1
そうそうそうそう。
だから多分、物質は生き残れたけど半物質は生き残れなかったみたいな、
物理法則の中に物質か半物質かを見分けて何か違うように作用するような効果があるんじゃないかっていう。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
で、実はこれって実際に観測されてて、
で、それをこう、何でそういうことが起こるんだろうねっていうのを説明しようとしたのが実はさっき言った小林マスカー理論なんですけど。
スピーカー 2
それがその半物質と物質の何か違いを説明するみたいな。
スピーカー 1
そうなんです。
で、これ難しい用語で言うとCP対称性の破れって言ってめちゃめちゃ難しいですけど、
CPっていうのはそのチャージとパリティって要するに今言った物質半物質の違いの対称性の破れなんで、
CP対称性が成り立ってませんよっていう、そういう意味です。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
だから物質と半物質の間の対称性が成り立ってない。
破れてる。
スピーカー 2
ついてこれてます?
いや、あの、すいません。
ちょっと、あの、まだ私半物質が、
半物質になったんじゃないか。
半物質ちょっと聞いてもいいですか。
はい、もちろん大丈夫です。
聞きましょう、せっかく。
えっと、片方しかないっていうのはプラスの方しかないのかマイナスの方しかないのかどっちなんでしたっけ?
スピーカー 1
あ、えっと、だから我々の世界でマイナスの物とプラスの物ってあるじゃないですか。