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こんにちは、りびぃです。今回も、もの技ラジオをやっていきたいと思います。
この番組は、生産設備の現役設計者である私、りびぃが、
ものづくりや技術に関して日々感じていることや考えていること、
また、面白そうなトピックについて皆さんにお届けする番組となっております。
では早速、今日取り上げたいトピックなんですが、
カバーすらできないエンジニアについて、ちょっと喋っていきたいと思います。
これはですね、最近、とあるお仕事でメカ設計の人と話をする機会があったんですね。
その方、たしか40半ばとかそれぐらいの方だったと思うんですけれども、
喋っている中で、今の若手、本当に大したことない、みたいなことを言うわけですよ。
もうなんかおっちゃんエンジニアあるあるみたいな、出た出たみたいな、
そういう話が始まったんですけれども、そこで何かあったんですかというふうに聞いたらですね、
今の若いやつね、カバーすら設計できないんだよね、というふうに言うんですよ。
カバーって言ってもですね、ピンキリで、例えば製品設計とかのカバーで言えば、
安全性を確保しつつデザイン性を重視してみたいな、
そういうカバーもあったりはするんですけれども、
ここで言うカバーっていうのは、生産設備あるあるのカバーのことで、
要するにですね、アルミフレームで枠組んで、そこに透明パネルペッペッて貼っただけみたいな、
そういうカバーですね。
このカバーすら設計できないんだよっていうね、愚痴があったんですよ。
生産設備で言うカバーの役割を言うと、
まず一つ目が作業者の安全を守るためっていう役割がありますね。
作業者と機械との間に物理的な壁としてカバーがあることによって、
機械とその人とが接触しないようにっていう、
そういう役割があるのが一つ。
もう一つがそのカバーの中に、例えば開口だとか扉とかを持ってて、
そこからワークの出し入れをしたり、
そこから身を乗り出して設備内をメンテナンスするときの点検窓というか、
点検口としてっていう、そういう役割が生産設備で言うカバーであったりするんですよね。
生産設備っていろんなユニットというかモジュールの組み合わせで、
一つの装置っていう単位でできることが多くて、
例えばカバー以外にもコンベアがあったりとか、
課題があったりとか、ピックアンドプレイスがあったりとか、
いろんなユニットっていう単位で機械がポンポンポンって固まっているような、
それらが一つで集まって一つの装置ができるみたいな、
そういう組み合わせのことが多いんですけれども、
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その中でカバーって確かにそんな難しくないんですよ。
確かに難しくはないんですけど、
それすら設計ができないってどういうことなんだろうって、
いまいち話をしててもなかなか想像ができなくて、
じゃあいくつか見せてやるよって、
そのおっちゃんエンジニアがいるので見せてもらったんですけど、
確かにこれはいけてねえなみたいなカバーがいっぱいありましたね。
どんな感じでいけてないかっていうのをですね、
いくつか挙げてみたいと思うんですけれども、
例えばですね、単純に柱が1本足んないとかってありましたね。
なんかね、アルミフレームの扉があるじゃないですか。
観音扉ですね。
観音扉のヒンジがついてるところの柱のフレームと、
固定部の柱が一体化してるっていう。
これ扉として機能しないけどええんかなみたいな、
なんかそういうのがあったりしましたね。
あとはですね、課題の上にカバーを載せるタイプじゃなくて、
床のところに立たせて囲いを作るようなタイプのカバーについてだったんですけれども、
アルミフレームを床にベタ置きしてるっていうのもありましたね。
普通はアジャストパッドとかで床とカバーを支えるみたいなことをするんですけれども、
ベタ置きしてるんですよね。
アルミフレームベタ置きって何がまずいというかイケてないかっていうとですね、
どういう床に置くか次第みたいなところもあるんですけれども、
例えばコンクリートの床みたいなところに地下落ちしちゃうと、
コンクリートの表面ってザラザラしとるじゃないですか。
で、アルミフレームってアルミなんで簡単に傷いくんですよ。
なのでベタ落ちした瞬間にもうアルミの表面ゴリゴリ削れちゃうけどっていうのがあったりとか、
あとは床の振りくって、床って水平じゃないんですよ基本的に。
基本的に目に見えるか見えないかぐらいで微妙に傾いてたりとか微妙にうねりがあったりとかしてて、
それを振りくって言うんですけれども、振りくをアジャストパッドだったらそのネジのところを回して、
高いところ低いところでうまく調整ができるんですけど、
アルミフレーム地下置きだとそれができないんですよね。
っていうので、たぶんそのままベタ落ちしたらそのカバー全体がガッタガッタガッタガッタするんじゃないかっていうそんな感じもありましたね。
あとはアルミフレームのフレームの通し方の、
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なんて言ったらいいのかな、センスみたいなところがなんかいけてねえなみたいなのが結構あったりとかして、
どんな感じでいけてないかっていうと、
なんかパッと見これはジャングルジムですか、網だくじみたいな、
フレームの通し方に統一感がないというか、
あっち通したりこっち通したりみたいな、そういうフレームの通し方をしているカバーとかもあったりしましたね。
アルミフレームのフレームの通し方って結構センスの出るところだとは思うんですけれども、
基本的にアルミフレームのフレームの通し方って2パターンあるんですよ。
1パターン目が柱がちで通すやり方。
2つ目が張りがちで通すやり方なんですよ。
この何とかがちってどういうことって言うと、
その張りと柱の交差部のところでどっちを貫通させるように設計するかっていう、
そういうのを何とかがちって言うんですよ。
柱がちだと柱を貫通させて、
その張りをぶった切ってその交差のところでそのジョイントとかブラケットでつなぐってやり方。
張りがちだと張りのところを貫通させて、
柱はところどころでぶった切ってジョイントとかブラケットでつなぐっていうやり方ですね。
この2つについては好みの問題ではあるんですけれども、
どっちかに統一はしましょうっていうのはまず1つですね。
こっちだと柱がちなのにこっちだと張りがちみたいな。
一応成立はしてるんだけど美しくないなっていうかなんかイケてねえなってなっちゃうんですよね。
ちなみになんですけど柱がちと張りがちそれぞれどっちにしたらいいかっていうときにそれぞれのメリットっていうのがありまして、
まず柱がちにするとアルミフレームのキャップの点数が少なくなるんですよ。
キャップっていうのはアルミフレームの端っこにキャップをペッてはめ込むんですけれども、
これなんではめ込むかっていうとアルミフレームの端部って結構怪我しやすいんですよね。
作業服とか引っ掛けると普通に裂けちゃったりとかするのでそういう怪我とかしないようにということでキャップをはめ込むんですけれども、
張りがちだとそのはめ込むキャップが少なくなるんですよ。
アルミフレームのカバーを設計したときに柱の底面の方っていうのは大体金属のプレートを敷いて、
その金属のプレートにアジャストパッド、キャスターをつけたりするので、底面ってキャップいらないんですよね。
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一方で上面の方もこれカバーの貼り付け方次第なところがあるんですけれども、
例えばアルミフレームの表面にベタって貼るようにして透明パネルを貼るのであれば、
その透明パネルがその蓋の代わりになるので上もキャップいらないじゃないですか。
っていうので柱がちにするとキャップが少なくなるっていう傾向がありますね。
一方で張りがちにすると何がいいかっていうと組み立てがちょっと楽なんですよね。
例えば立方体の形にフレームを組んでいきますってなったときに、
張りがちだとどういう組み方ができるかっていうと、まず底面、一番底の面の四角形を組んで、
次にその底面、上面の上のところの四角形を組んで、
あとはそれを柱4つでどんどんどんどんって繋ぐだけっていう組み方ができるんですよ。
これが柱がちで設計しちゃうと、四角を組んで最後につなぎ合わせるっていうことができないんですよね。
ただその反面ですね、やっぱりキャップの点数がちょっと増えちゃうよっていうのと、
あとは単純に見えちゃうのがなんかダサいって思う方、自分もあんまキャップ好きじゃないんですけど、
そういう方とかは柱がちの方が好きって言ったりはしますね。
どっちが正解ってことはないんですけれども、基本的にどっちかには統一すべきっていうのはあるんですよね。
そこが統一されてないと、こいつ何も考えてないで適当に組んだなっていうのがバレバレなんですよ。
あとはカバーの貼り方とかも見てると気になっちゃうところはありますね。
透明カバーの貼り付け方っていくつかはあって、例えばその透明パネルのその辺、四辺のところにスポンジ材みたいなのを巻き付けて、
アルミフレームの溝にはめ込んじゃうっていうやり方とかもあったりするんですけど、
基本的に設備設計でこのはめ込み型のカバーってやらないんですよ。
何でかというといざという時にカバー分解できないからなんですよね。
アルミフレームの溝にはめ込むっていうことは、カバーを取り外そうと思ったらもう一回アルミフレームをばらさないといけないんですよ。
なので基本的には透明パネルはネジ止めが好まれる傾向が強いですね。
ネジ止めするにもいろんなやり方はあったりはするんですけれども、
例えばアルミフレームの表面に貼ってアルミフレームの溝のところにアルミフレーム用のナットを使ってボルトで固定するっていうやり方もありますし、
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あとはミスミさんとかのアルミフレームの三角ブラケットの側面タップっていうのがあって、
その三角形のブラケットの側面にタップが空いてるタイプがあるんですよ。
それを使って三角形の側面のところに貼るっていうやり方もあったりしますね。
どっちでも成立するっちゃするんですけれども、どっちがいいかっていうと、自分的には三角ブラケットの側面に貼る方が好みですね。
これ何でかっていうと、アルミフレームの表面に貼ろうとすると隣同士のパネルで溝の奪い合いが発生しちゃうから、そこが面倒くさいっていうのがありますね。
例えば田んぼの田の地のアルミフレームがあって、その田の地のところに4枚透明パネルを貼ってくださいってなった時に、
例えば30角のアルミフレームで溝が1列しかないので、田んぼの田のどっか一面を貼ったら、その貼った一面の隣のやつってそこの溝使えなくなっちゃうんですよ。
なのでこういう田んぼの田を組む時には、中の十字のところは30×30じゃなくて30×60の2列タイプを使って、その溝の奪い合いが発生しないようにみたいな、
そういうこともやるんですけれども、ただそのアルミフレームを無駄に太くしちゃうと市民性は当然悪くなるし、
いざとなった時に透明パネルをボルト外して、中のアクセスしたいよってなった時の間口も狭くなっちゃうので、
それだったら側面タップで止める方が自分は好みかなっていうのはあります。
ボルト止めだったら個人的にはどっちでもいいかなみたいなのがあるんですけれども、
はめ込みは基本ないなっていうふうには思いますね。
ただそのカタログとか見てると平気ではめ込めますよみたいな感じで商品売ってたりするんですけど、
いや使わないでしょうみたいな感じで思ってたりはしてますね。
ここまでこういう設計をする人もいますよっていうご紹介をしたんですけれども、
これなんで紹介したかっていうとマウントを取りたいわけではなくて、
逆でこれしょうがないんじゃないかなって個人的に思うところの方が強いんですよね。
まずアルミフレームのカバーって若手設計者に振られやすい仕事の一つなんですよ。
まずそんなに構造的に難しくないっていうのはあるんですけど、
自分みたいなある程度経験年数のある設計者にとってカバーの設計ってどういう印象を持つかっていうと、
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もうズバリやりたくないんですよ。
なんでかっていうと強度計算云々とかの要素はなくはないんですけど、
ほぼないし、あとはモーターの動力計算とか、
なんか選定をしっかりしないといけないみたいなそういう要素もないので、
ぶっちゃけ思わないんですよ。
なんならですね、最初的にカバーがないと安全上よくないよねっていうのはあるんですけれども、
工場内の試運転とかそういうとき、カバー邪魔なんで、
もうカバーせずに試運転対応してる人もみんな知見のある人ばっかなので、
安全に気をつけるっていう前提でカバー後回しでいいかみたいな感じで進むこともあるんですよ。
そうやって思わないし、もう後回しでいいやっていう感じにもなるので、
あんまりカバーやってやるぜみたいなモチベーション高くして設計してる人っていないんですよね。
ただですね、そういうこともあって若手に振られやすいし、若手の方がよく設計するから、
カバーすらっていうのが出てきちゃうんじゃないっていうのは一つあるかなというふうには思います。
あとね、カバーといえども、やっぱり経験がなかったら難しいと思いますよ、普通に。
自分も入社1年目の時にそういうカバーの設計、今みたいな理由付けでこうこうだからっていうのを
考えながらできたかったら全然できないですし、
あとはね、実際アルミフレームを使ってカバー設計してって言われてもですね、
カタログ開くとアルミフレームってえぐい種類あるじゃないですか。
で、経験ある人だったら基本これ使うって大体決まってるんですけど、
初見の人がこの中からいいと思うアルミフレームを選んで自分なりにやるって相当難しいと思いますよ。
なんでしょうがないんじゃないって思うし、そこはね、仮に失敗したとしても、
そんなにぶっちゃけ板で食うようなものでもないんで、
ちょっと多めに見てやってもいいんじゃないかなって正直に思うところです。
逆を言うと若手の方は失敗してもなんとかなる部分でもありますので、
カバーの設計ちょっとやってみて言われたらですね、
最悪なんとかなるっていう安心感を持ってですね、
ぜひ設計チャレンジしていただけたらいいかなというふうに思っています。
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他のところでチョンボするとね、もう本当に結構とんでもないことになったりすること全然ありますからね。
例えばモーターの選定1個をミスっただけで、
もう数百万単位の損害とスケジュールも後ろ倒しになってお客さんに迷惑がかかるなんて、
そんなのザラにあるんで、そんなんに比べたらね、アルミフレームなんてねえって自分は思っちゃいますけど。
でもね、ちゃんとお客さんに対してはそんなアルミフレームぐらいで細かいこと言わないでくださいよなんて言わないですよ。
絶対言わないですけど、自分が上司の目線であればまあまあみたいな感じにはなりますかね。
ちなみにですね、ちょっとアルミフレーム難しいなっていう人意外とね、いるんじゃないかと思っています。
実際にカタログ見てみると本当に種類多いので難しいです。
ちなみにLibbyはどうしてんのって一つお教えすると、特別な要件とかがなければ、自分はミスミンのアルミフレームをよく選定するんですけど、
HFSの3030っていうアルミフレームあるんですけど、これ一択って決めてます。
カバーに使うアルミフレームはこれ一択って決めてます。
部分的に強度が欲しいなとか、そういうところは3060使ったり6060使ったりするんですけども、
基本はHFSの3030これって決めてます。
なんでこうしてるかっていうと、アルミフレームって実際カタログ見るとですね、標準タイプって呼ばれているこのHFSの他にも、
軽量タイプとか、高剛性タイプとかむっちゃ種類あるんですよ。
パッと見、断面の形がちょっと違うだけで基本は同じだとかって言ってるんですけれども、
実際にいろんなアクセサリーとかブラケットとかと組み合わせようとした時に、
ちょっと癖があったりするんですよね。そういう標準じゃないやつって。
なんでカバーごときって言うとあれですけれども、そんなね、高数とかかけたくないんですよね。
なんでその余計なことを考えずに、もう求められているものを最短で終わらせられるよう、
設計をやっていこうと思ったらもうね、HFSにしておくのが一番いいですね。
後々になって、例えばザグリの追加工をしてT字でつなげられるようにしたいとか、
あとはジョイントをつなぐために追加工を指定するようにしておきたいとかってなった時に、
HFSだと型番の追加工オプションのところでいかようにでもできちゃうので、
すごい楽なんですよね。なので自分はもうHFSの30、31択っていうので決めてますので、
よかったら参考にしてみてください。ちなみにその40代のおっちゃんは40、40が好みだと。
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そうなんですけれども、HFSが好きだっていうのは同じでしたね。
はい、ということで今回のエピソードは以上となります。
今後もこういったものづくりや技術に関するトピックを取り上げていきますので、
ぜひぜひ楽しみにしていてください。
もしまだフォローしていない方がいたら、ぜひフォローしていただけたら嬉しいと思ってます。
また12月の1日に私の本が出版されます。
題名がこれで差がつくソリッドワークスモデリング実践テクニックっていう本になるんですけれども、
この本は私の現役で設計している立場からしてみて、
この本は現役設計者である私が実際に設計現場で設計している目線で、
こういうときはこのコマンドを使うとやりやすいよとか、
このコマンドは使わないほうがいいよとか、こういう手順でやったほうがいいよっていうところを
中心にこと細かに解説している本になりますので、ぜひぜひチェックしてみてください。
今Amazonで予約受付中とのことなので、この放送聞き終わったらAmazonに行って、
もう忘れないうちにポチッと予約をしておいてもらえたら嬉しいと思います。
また私デリーは他にも企業さんとコラボレーションしてPRさせていただいたりとか、
企業さんの技術コラムを書かせていただいたりとか、YouTube配信やったりとか、
製造業のエンジニアっていうところを主軸に様々な方面で活躍しておりますので、
こういったお知らせはよくTwitterXのほうで発信していますので、
よかったらそちらもフォローしていただけたら嬉しいです。
それではまた次回の放送でお会いいたしましょう。
リビーでした。バイバイ。