2024-11-26 36:48

#101 実例集「ASICS ブランド復活の秘話」

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第101回は、実際にクリエイティブ思考を使って問題を解決した事例を紹介する「Mind Shift 〜発想の転換〜」をお届けします。今回は、ASICSの常務執行役員・マーケティング統括部長の甲田知子さんをゲストにお招きし、ブランド復活の軌跡についてお話を伺いました。日本発のブランドが如何にしてグローバルブランドとして世界中の顧客と関係を築いたのか?クリエイティブ思考を武器に21世紀を生き抜くヒントを紹介します。


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サマリー

ASICSがブランド復活を目指すための戦略と取り組みが論じられています。特に、メタスピードという新しいランニングシューズの開発過程やその成功要因に焦点が当てられています。ASICSのブランド復活の秘話では、パーソナルベストというメッセージを通じて、勝っても負けてもアスリートを祝福する姿勢が強調されています。また、サウンドマインド、サウンドボディの創業哲学がブランドメッセージの基盤となり、新たなマーケティング戦略が成功を収めたことが語られています。エピソードでは、アシックスのブランド復活のための発想の転換について探求されます。特に、競合のナイキに対抗するための革新的な新商品の開発や、パーソナルベストの記録に対する新たな視点が強調されています。ASICSのブランディングとマーケティング戦略の変遷を探り、企業の透明性と社員の視点の重要性が強調されています。

ASICSのブランド復活の背景
This is Reina Moro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone, this is Reina Moro. 皆さんこんにちは、ニューヨークと東京、シンガポールを拠点にするグローバルイノベーションファーム I&CO 共同創業パートナーのレイ・イナモトです。
目まぐるしいスピードで世の中が変化する中、この番組は日本人が世界で必要不可欠な存在となるためのヒントを探ります。
今回は、Mind Shift 発想の転換をお届けします。
このコーナーでは、ビジネスシーンで実際にクリエイティブ思考を使って問題を解決した実例をご紹介します。
今日もこの番組のプロデューサー、竹村一子さんと一緒にお届けしたいと思います。
はい、レイさんよろしくお願いします。
今回、Mind Shift 発想の転換でお話を伺うのは、ASICS の常務執行役員、マーケティング統括部長の甲田智子さんです。
ASICS は海外にも1970年代から進出をしていて、グローバルの展開はかなり早いブランドであります。
実は、ASICS さんは弊社のクライアントでもありまして、2017年からほぼ毎年お仕事をさせていただいています。
そうなんですね。今回はブランド復活の日はをテーマにお届けします。
はい、では早速お話を伺いましょう。
甲田さん、今日はどうもありがとうございます。
いえいえ、お招きいただきましてありがとうございます。
多分、僕が全職で、甲田さんも全職もしくは全全職ぐらいの時に、ナイキさんでマーケティングをやっていらっしゃった時ですね。
ワールドカップ、日韓終わった後で。
2002年ですか?
2002年です。後で。
後で。
一気にデジタルにシフトしますみたいな。お金の使い方もみんなこう結構デジタルにって言ったところで、ちょっとレイさんの名前がちらほら出始めたっていう2004年ぐらいですかね。
ちょっとリスナーの皆さんにも背景を共有するために、僕はその時はですね、クリエイティブエージェンシーのRGAというところで、ニューヨークでナイキのデジタルマーケットの担当をさせていただいていて。
東京にオフィスはなかったんですけども、その時僕がアメリカでお付き合いあったクライアントのジョー・ポラードさんが日本のトップで来られて、彼女に会いに来た時に多分その時に河田さんと会ったのが一番最初なんじゃないかなっていう。
なるほど。
ジョー・ポラードさんが私をブランドコミュニケーションなんですよ。
なので、彼女結構いろいろ改革してですね。
わかりました。
じゃあそこから早送りして、そしてまた再開するのが2016年か17年かと思うんですけども、僕が独立をしたのが、前職を辞めて発表したのが2016年の頭で。
その1年後ぐらいにアシックスさんのメンバーの方から打診をいただいて、初めてのミーティングに来た。
ミーティングって言っても紹介みたいな感じで、別に具体的な案件があったというわけじゃないんですけども、その時に。
私たぶん同席して。
イレイ・イナモトさんみたいな感じで。
でも本当に巡り合わせてまた違ったブランドで。
違ったブランドで。
そうなんですよ。状況も全然違いましたしね。
状況も違いましたし。
エスタブレッシュのところから、ちょっとブランドをまた変えていこうみたいな。
グローバルに、みたいな書き声をかけているタイミングですから。
今日話したいところは、ここ数年のアシックスさんの新潟あかりの業績も含めて、その背景にどういうことがあったのかということを。
僕が知っている範囲でもありますし、僕が知らない範囲でもあると思うんですけども。
それ以前に、2017年、18年くらいにどういう状況だったかということを、ちょっと軽く教えていただけますか。
2017年、18年。私が16年に入ったので。
入った時は、ちょっとこうアシックスといえばみたいなハイパフォーマンスシューズで結構ランニング強くてみたいな。
その状況がちょっとこう、やっぱりもうちょっと拡大していくっていうところで。
本当のコアのアスリートから、もうちょっとエヴェルデイアスリートみたいな。
もうちょっと簡単にスポーツしている人にも物を提供していこうみたいな大きな、ちょっとカジキリがあったタイミングで。
ちょうどだからこう、ライフスタイルとかスポーツインスパイアみたいな言葉が出てきて。
そこがだから17年くらいですかね。
そこでこう、ちょっと何個かイノベーティブな新しい企画の商品とか出してきたんですけど。
ちょっとあんまりうまくいかなくて。
で、そこでちょっとリーダーシップのチェンジが17、18年ですかね。
あって、そこからこう一気にまた新しい経営の方針というか始まって。
そこからちょっと大きなやっぱり改革が始まって。
で、コロナがあって一回ちょっとまたしゃがんで。
21年からまた戻って、そこから一気にアクセレレーションが今かかっている段階ですかね。
そこで一つ大きなきっかけがメタスピードというライニングのシューズの発表なんですけど。
それも走り方、大きく分けて2パターンがありますと。
それに対しての少し違うシューズを提供されるわけなんですけども。
具体的に中から見た時の成功した理由っていうのは何なんですかね。
実はメタスピードを出す前に2、3スタイルあったんですけど。
それちょっとうまくいかなくて。
やっぱりどっちかというとうちのASICSのメンバーはどっちかというとサイエンスにすごい走りがちというか。
選手のフィードバックをもらってというところよりも結構サイエンスで固めていくみたいなところが結構大きかったんですけど。
そこから本当に選手の声を反映してというところに一気に。
カジキリじゃないんですけどサイエンスプラスというところでできたのがメタスピード。
今レイさんおっしゃっていただいたようにFIND YOUR SPEEDというところでやはり一つのシューズで1フィットオールってなかなか難しいと。
やっぱり歩幅の広い選手、ピッチ双方の選手、軽ダンス&ストライドという2種類のシューズを出してそこの履き分けというのも一つちょっと新しいレーシングシューズというところで。
選手の声を反映した製品開発
競合の方たちが一足で勝負していたところをうちは2つの走行スタイルで提案したというのが新しい打ち出しの仕方。
本当にそれのトリガーになったのは大きなお正月の時限とかあるじゃないですか。
そこでもう本当に皆さんも気になる人は気になるかもしれないんですけど、
アシックスが始まって以来の着用選手ゼロっていう、なかなか会社の中でもすごい衝撃だったんですよね。
やっぱりそこで、ただもうそこの段階で準備ができてたんで、ちゃんと選手に履いていただいて試してもらえればある程度は戻ってくるっていうのはそこはちょっと自信があったというところがありますけどね。
それもこの中の話ではあるんですけども、長城Cプロジェクトというのを社長寛太さんの直下でチームを作って、
そしてそのチームが今おっしゃられたみたいにアスリートとリアルタイムでフィードバックをどんどんいただいて、サインスというところもありながらそこを反映した。
あと結構ブランドさんでキャンプ構えてるところありますけど、うちもやっぱり今ってどうしても選手がやはりアフリカ勢とかすごく強いので、
うちも長城キャンプっていう、まさにキャンプをアフリカに2カ所、ヨーロッパ1カ所、北米に1カ所持って、やはりそこで選手のそばでものづくりっていうところで、
Cプロジェクトなんですけど長城キャンプっていうのも作って、今でも日々選手との会話の場所としては活用してますね。
そこでちょっと1つ聞きたかったのは、どこまでお客さんの声を聞くかっていうのって判断しなきゃいけないのかなと思うんですけど、
古い話で、例えば自動車業界の王様であったヘンリー・フォードがお客さんに欲しいものを何かって聞いたら、その当時まだ車が出る出ないの時代ですけども、
どういう移動手段が欲しいですかっていうと、もっと速く走る馬をくださいみたいなことを言うんだけども、それをそのまま鵜呑みにして作るんじゃなくて、
お客様が想像しないようなことででも問題を解決するとかっていうデザインだったりとか、イノベーションだったりとか商品開発の過程があると思うんですけども、
どこまでアスリートの声を聞いて、どこまでどう反映されるかみたいなそういう判断とかで内部でどうされてたんですか?
そうですね、でも1秒でも速く走りたいっていうのは絶対解決してあげなくちゃいけないこと。
ただやっぱり言葉として出てこないけれども潜在的なものとしてアスリートが絶対持ってる怪我をしたくない。
だからやっぱりそういうところは私たちはパフォーマンスは絶対なんですけど、1秒でも速く走らせてあげたいっていう意味もあるんですけど、
やっぱり安心・安全っていうのはなかなかもう選手もすごいもう本当に興奮状態で1秒でもっと持ってるんですけど、
選手生命をやっぱり長くしてあげたいっていう思いもすごくあるので、そこはやっぱりなかなか言葉としては出てこないですけれども、
やっぱり安心・安全に走るっていうのは私たちはもうそこは絶対にこう省くことのできないものづくりの設計方針として持ってる。
なのでただ単に選手の声だけ聞いてると1秒でもだけなんですけどそれだけじゃダメっていうところはやっぱりありますね。
それはブランドとして選手をやっぱり長い間一番にしてあげたいっていう、そこはありますね。
今結構選手寿命というかですね伸びてきてる。マラソン選手でも今30代とかでやっぱり世界新記録とか出してるんで、
今テニスでもね30代で全然皆さん活躍してるんで、そういう意味では本当にブランドとしてメーカーとしてやっぱりいかにシューズでそれをサポートしてあげられるかっていうところは、
選手が走りたいとか2,000秒でも早くたまにも着きたいだけじゃないところもやっぱり見てあげなきゃいけないっていうのはありますね。そこはすごい多分うちのブランドはこだわりがすごく強い。
物作りのところで言うと、もちろん選手の人たちと直接やり取りしたりとか、あとその駅伝とかマラソンに出る選手とか、それもトップクラスでマラソンに出る人とかだと、
アシックスさんが直接サポートしてるか、もしくはその人たちがどういう靴を履いたら早く走れて長く走れるかみたいなことすごく気にされると思うんですね。
ASICSのブランドメッセージ
でも逆にそこの先に一般のお客様にそういうことを伝えるために、特にこの場合2つのスタイルのシューズを作って、でもパッと見なかなかちょっとわからない形じゃないですか。
そういうところを広めていくため、需要を高めていくための工夫だったりとか具体的な施策ってどんなことがあったんですか?
ブランドメッセージレベルでいくと、結構私たちパーソナルベストっていう言い方をしてるんですけど、パーソナルベストって本当に世界記録を出す人もいれば一般のパーソナルベストもあって、
トップの人のためだけのパーソナルベストじゃないっていうのは私たちすごく言っていて、みんなのためのパーソナルベスト、あなたのパーソナルベストっていうところを結構意識してコミュニケーションをしているので、
そこの中でも勝っても負けてもっていうのも結構言っていて、例えば大きな大会でも勝ってももちろんその人のやりたかったことを実現できたってのもあるんですけど、
負けてもやっぱりそこに至るまでの過程っていうのをちゃんとセレブレーションしてあげるみたいなところで、やはりアスリートである彼らがみんなの前でベストのパフォーマンスを尽くしたっていう、
勝ってもセレブレーションしてあげるし、負けてもそれをセレブレーションしてあげるっていうような、結構そのパーソナルベストはそれぞれによって違う。
それは別に勝っても負けてもっていうところで、あんまり機能的な訴求っていうところよりもちょっとエモーショナル的な訴求、精神的なところは結構一貫してやっていたところで、
ただその中であなたはどういうスタイルですかみたいなのは、例えば私はよくシューファインダー、シューナビゲーターとか言ってるんですけど、今もやっぱりAIとかでクリクリやっていくと自分のパーフェクトフィットがナビゲーションされたりとか、
そういう機能を使ったりして、ケイデンスランなのかストライドランなのかみたいなところのデジタルツールでそういうものをサポートするみたいなのは、
昔、今でもトップの選手はお店に行って、やっぱり計測してもらってとかっていうところがあるんですけど、やはりランニングシューズもどんどん今オンラインの購入の方増えてるんで、
ただその段階でやっぱりそういうツールを使ってナビゲーションしてあげて、ライトシューズでナビゲーションしてあげるってことですかね。
そういうサービスプロダクトっていうのは積極的に。
あと、中もすごいアップデートして、もうちょっと精緻を持って、正しいシューズの導き、それはレーシングシューズだけじゃなくて、全部のシューズでやってますね。
勝っても負けてもっていうところで言うと、SNS、ソーシャルメディアとかで、
アシックスさんのブランドとして、
ここに来たまでの営業というか、そこをちゃんとセレブレーションとか、あと千村浩平選手でちょっと失敗したりとかあった時に、
あなたはいつまでもキングみたいなメッセージ出したりとか、結構ほんと勝っても負けてもみたいなところで、
サウンドマインド、サウンドボディの哲学
サンドマインドサウンドボディってやっぱりうちの創業哲学みたいなところで、スポーツを持って心と体の健康って言ってるところで勝ち負けだけじゃないっていうところ、スポーツをしているっていう、
そこはもうやっぱりうちの選手は、何があっても私たちはあなたとともにっていうのは、もうみんなで社内でずっと言ってたことなので、
勝っても負けてもちゃんとメッセージ出そうねっていうのは言ってましたね。
別にだから本当に商業的にやってるんじゃなくって、私たちも本当にピュアな気持ちで応援したいっていう、
負けてもこの選手をみんなちゃんと覚えててねっていう気持ちがすごい強いんですけど、
負けてもこんなにみんながちゃんと反応してくれるんだっていうのがすごいいい驚きでした。
実は負けた方がお客様とのエンゲージメントがめちゃめちゃ高い。
もうそこは、本当に3倍ぐらい。
そうなんですか。
エンゲージメントというと、例えばどんな、リプライしてきたりとか。
リプライとか、要するに反応して、いいねをしたりとか、共有したりとかっていうところで、そうなんですよ。
そこからちょっと結構会社の中で勝っても負けてもで、やっていこうねっていうのはすごい、今でもすごい言ってますけど。
やっぱり勝つだけって、勝つって結構本当にそんなにたくさんないっていうか。
やっぱり選手生長くても負けてることの方が多いしとか、試合負けちゃったりとか、やっぱり活躍できなかったっていうの多いじゃないですか、トップの選手でも。
やっぱりその勝つことだけにスポットライト当てちゃうと、
あとやっぱり私たちがさっき言ってるサンダマイサンボで言ってるところで、やっぱり子供とか。
やっぱり勝つことだけが選手のあるべき姿みたいなよりも、スポーツ楽しいっていうのって難しいんですけど、やっぱりああいうハイエンドの大会になっちゃうと、やっぱり勝ったらみんな嬉しいし。
だけどやっぱりスポーツやってるっていうことの喜びみたいなものを、ちょっとシープな言い方かもしれないけど、やっぱりそこをちゃんと伝えていかなきゃいけないっていうのはありますよね。勝つことだけじゃない。
他には何か商品以外でこういうことが実は役に立ってたとか効果があったとかっていうのはあります?
サウンドマインド、サウンドボディって私さっき何回か言いましたけど、創業哲学が健全な精神、健全な身体、あれかしという鬼塚貴八郎の言葉があって、それをラテン語に直してアニマサナ、インコープレスサナ、頭文字を取ってアシックス。
アシックス。
これをみなさん、アシックスは明日からって言われてる方多いんですけど、アニマサナ、インコープレスサナ。
それを英語に直したのがサウンドマインド、サウンドボディで、それをブランドのプラットフォームに、メッセージのプラットフォームに実はしたのは2021年なんですよね。
やっぱりお客様のインサイトを深掘れば深掘るほど、先ほどものづくりもアスリートの声、やっぱりアシックスにちょっと足りなかったところってそこだったのかなと思うので。
新たなマーケティング戦略の成功
そういう事業体制に変えてから一気に変わりましたね。
本当に変わったと思います。
変わったっていうのはそれは業績っていうところもあるんですけど、他にはどういうところが変わりました?
やっぱり目指す姿が明確、ブランドのプラットフォーム明確。
カテゴリー事業ごとに、やはりその狙うターゲット設定がとっても明確だったので、そのターゲットに対してシェアをとっていくためにはどういうものづくりして、どういうマーケティングをしていってっていうところが非常に明確でしたね。
なので、そこでものづくりも変わりましたし、例えば価格の作り方とかチャンネル戦略とかも一気に変わりましたし、そこでちょっとこうやっぱり安売りもすごいして、ちょっとマーケットが乱れちゃっていた国もあったんですね。
なので、そこをやっぱり掲げたことによって一気に無駄が省かれるようになってきて、それでだいぶそぎ落とされて、今のカテゴリー軸の経営になって、その意味ではあるべき姿、ブランドメッセージ、カテゴリー経営っていうところで本当に変わりましたね。
なるほどね。カテゴリー経営みたいにすると、僕ちょっと外部の人間なんで見えてないところもたくさんあるかなと思うんですけども、目指すべき姿だったりとかお客さんが誰かっていうことがもっと明確になって、もっとターゲットが狭められるかなと思う一方、会社組織としての動き方とかチームごとに分かれちゃったりとかして、まとめにくいとかなっちゃうんじゃないかなっていうふうに思うんですけども、その辺どうでしょう?
ありますね。縦軸がカテゴリーだとしたら横軸でやっぱりそれを、例えばさっきのサウンドマイサウンドボーイで言って、例えばランニングランキーじゃなくて、それは全部ブランドとして、じゃあ例えばデジタルって言っても、カテゴリーごとにデジタル戦略あるわけではなくて、やっぱりプラットフォームを共有したりとかっていう、やっぱり効率も測っていかなきゃいけないという意味では、カテゴリーとファンクションリードっていうところのマトリックスですけど、非常に難しいですけど、
それぞれのやらなくちゃいけないことがとっても明確だったので、アカウンタビリティが、そこが本当になかったんです。やっぱり結構ボールが落っこっちゃうみたいな、最優下にボールがポテンヒットみたいな、なんかそういうの結構多くて、それがなくなりましたね。アカウンタビリティが明確なので。
なので、マトリックスですけど、アカウンタビリティ明確にすれば、その運用はできるっていうのは証明されたかなっていう。本当にうちの会社とかまだまだサイズ的には日本のブランドだし、まだまだちっちゃいですけど、その中でもそういう改善して、マトリックスが今ワークしてるっていう状態だと思います。
で、それをちゃんと回していくっていう、やっぱり強いリーダーシップもありましたし、ガバナンスもすごく強かったし、そこはさっき言ったビジョンもあるし、ブランドのメッセージ通信のプラットフォームもあるし、先ほどちょっと言い忘れちゃったけど、メタスピードを作った時もそうですけど、シックスデザインフィロソフィーという設計指針もすごい明確になってるし、やっぱりブラッシュしちゃいけないものは、ちゃんとみんなで合意が取れた上でカテゴリー経営して、マトリックスでという意味ではブレなかったか。
なるほどね。最後にちょっと聞きたいのが、高田さんご自身がシックスという会社、日本から出てきたグローバルブランドとして2035年もしくしたら40年に目指すそのビジョンっていうのは、どんなことを今想像されてますか?
やっぱりみんな経済的な成功もそうだけど、社会課題の解決ってやっぱりすごく皆さん両方やっていかなきゃなって、どの企業さんでも思ってると思うんですけど、社会課題の解決一つは、私たちも地球環境っていうのは、スポーツができる地球環境っていうのはものすごく今力を入れて、自分たちも50年までネットゼロということを言ってるので、そこに目がけて本当にもう社内の人間本当に苦しんでますけど、それを実現するっていうのをやっているのと、
アシックスの危機
あとやっぱり課題と言っている中でも、今スポーツをする人がどんどん減っていくとか、例えばもっと多様でインクルーシブなスポーツ環境の中で私たちも障害者スポーツとか、そういうところもすごい力を入れているので、やっぱり誰もが一生涯っていうあの言葉ってすごく大きくて、じゃあ30年でそれが変えなきゃいけないのかなっていうと、もちろんまだ全然議論しないんですけど、そんなに大きく変える必要もないのかなと思いますけど。
もうちょっと具体性を出した方がいいかな。
じゃあ今までここ4,5年でやっていらっしゃったことを、どんどんどんどん突き詰めて、スケールしていくっていう感じですかね。
はい、わかりました。
さてここまでお送りしてきました、リーナムトの世界のクリエイティブ思考。今回は新コーナー、マインシフト、発想の転換をお取り出しました。
スポーツ業界の一つの指標になるのは、例えば大きい大会でオリンピックとか、日本だと箱根駅伝とか、全国の人たちが注目してテレビで中継されるようなイベントだと、優勝した人がどの靴を履いているのかみたいなことがすごく注目されるんですよね。
それで、実は2021年に箱根駅伝の時に一人もアシックスの靴を履いてなかったっていう事態が起きちゃったんですね。
それってアシックスにとってはとっても屈辱的なことで、アシックスはグローバルブランドにはなったんですけども、日本のブランドでもありますし、特にその時ナイキの厚底シューズがすごくブームで、もう一時は9割ぐらいの選手がナイキの靴を履いてたんですね。
で、アシックスはゼロだったっていう、もう緊急事態宣言ですよね、が出ちゃって。
ブランド内部ではざわつきますね、それはね。
で、その前からそういう危機的な状況になっているっていうのはアシックスさんの中で認識はしていて、タスクフォースみたいなのを作って、じゃあどうやって新商品を開発しようかっていうことはすごく真剣に取り組んでいらっしゃったんですよね。
で、そこからお客さん、この時はスポーツ選手の人たちをメインにリアルタイムに開発をして感想、フィードバックをもらって、そしてそれをすぐ開発に生かしてっていうフィードバックループをかなりの急速なスピードで回し始めて、それで1年とか1年半ぐらいかけて新商品。
で、その新商品も1つだけではなくて、その選手によってランナーによって走り方が微妙に違いますと。
なので、それを大きく2つのパターンに分けて、で、2つのほぼ同じ機能なんですけども、その歩幅が広い選手っていうタイプの走り方と足の回転が速いっていう走り方があるそうなんですけども、
その2つのパターンに分けて、新商品を2つあえて作って選手の傾向にマッチしたものを発表したんですね。
で、それが大ヒットを製品になり、VG回復のきっかけにつながったっていうところがあるんですが、その発想の転換で言うとやっぱりその今までだとこれぞっていうこれがいいんだっていう1つの商品を出すっていうのは普通だと思うんですけども、
新商品の開発
それをあえて1つの商品を2パターンに分けて、こういう走り方をする人はこっちの商品、こういう走り方をする人はこっちの商品っていうのを微妙な違いがあったではあるんですけども、それが意外と結構大きな違いで、で、それが非常に当たったっていうところなんで、それも発想の転換かなと思います。
ね、その目の付けどころは本当に発想の転換、マインドシフトですね。2個出してもいいんだみたいな、すごいなと思いました。
そうですね。だからASICSの中にISSっていうInstitute of Sports Scienceっていうところがあるんですね。そこはそれこそ神戸市のまたさらに奥にある、すごく秘密の基地みたいなところなんですけど、僕も行ったことがあるんですが、いろんなタイプの科学者の人たちがいて、日々そこで研究されてるんですよ。
それはその人の走り方の研究もあれば、どういう材質がいいかとか、どういう材質を開発したらクッショニングがよくなるかとか、そういうのを常日頃研究しているところがあるんですが、そこの人が、じゃあ例えばその一歩一歩を1ミリでも2ミリでも3ミリでも長くできれば、やっぱり2時間とか2時間半とか走るマラソンだと、それってかなりの違いになるよねっていうのが、
蓋を開けてみると結構当たり前のことかもしれないんですけども、そういうことをやって、じゃあそうするためにはどうしたらいいかっていうふうに調査と研究とインタビューをして、で、たどり着いたところは、こう実際に2つの商品を作って、ちゃんとこう選手たちに寄り添った、ランナーに寄り添ったものを出していくっていうプローチをしてたのが、
まあ後になって話すと当たり前かなと思うんですけども、そこにたどり着くのは意外と難しい観点じゃないかなと思います。
森 私が今回のお話を聞いて一番印象的だったのは、パーソナルベストについてのマインドシフト、発想の転換です。
なんかやっぱりパーソナルベストっていうと、とにかく勝つこととか、早く走った記録、世界記録とか日本記録とか、そういうことをイメージしてしまうんですけれども、高田さんは、勝っても負けても結果だけではなくて、それまでベストを尽くしてきた努力を認めようというブランドとしてのメッセージをご紹介してくださいました。
森 これはまさに発想の転換だなと思いました。一般の人でもどんな人にもやっぱりパーソナルベストってありますもんね。
森 その話を聞いて、我々がアシックスさんのお手伝いをさせていただいて、そして高田さんのお手伝いをさせていただいていて、まず一番最初に課題だなと思ったのは、そのブランドの立ち位置がどこにあるかっていうのが、
森 ここまで長く存在している企業でも、やっぱりその企業も進化するし、競争相手も進化するし、お客さんも進化するし、そして市場も進化するので、立ち位置っていうの、そのブランド立ち位置っていうのは常に変わるんだなと思うんですね。
森 で、我々が仕事をし始めたときに、そのブランドの存在意義が何なのかとか、どういう立ち位置なのかっていうのが、実は結構、あやふやではないんですけど、内部の人たちに話したときに、皆さん同じようなことは言うんですけど、なんか足並みが揃ってなかったところがあるんですね。
森 で、高田さんチーム、そして今は会長になられたんですけども、ひろた会長だったりとか、その当時は社長だったんですけども、皆さんとこう仕事を一緒にさせていただいていて、誰もが一生涯アスリート、英語で言うとthe lifetime athlete in all of usという、まあこう蓋を開けてみるとすごくシンプルでふーんっていう言葉なのかもしれないんですけど、その言葉が実はすごく重要になったんですね。
森 で、ここがさっき竹村さんがおっしゃっていた、勝っても負けても結果だけではなくて、ベストを尽くした努力を認めようっていうところにつながるんですけど、そのアスリートっていうと、なんかそのきらびやかな舞台で、オリンピックが2020年にありましたけども、金メダルを取ったりとか、そういう人たちがアスリートっていうイメージが一般的だと思うんですけども。
森 そうですよね、プロ選手とか選抜メンバーみたいなイメージですよね。
森 そう、で、これもそのブランドの立ち位置っていうところで考えると、競合であるナイキは、ナイキってあれ、ギリシャの女神の勝利を意味したナイキっていう女神がいるんですけども、勝利っていう意味なんですよ、ナイキって言葉は。
森 アシックスっていうのは、これは造語で、ラテン語のアニマサーナインコーポレサーノっていう、1,2,3,4,5個の言葉の頭文字を取ってアシックスっていう風につけてるんですね。
森 これどういう意味かっていうと、健全な心と健全な体っていう意味なんですけども、まず、やっぱり体を動かすことで健全な心になろうっていうことが、ブランドのコアのコンセプトとしてあるんですよ。
森 だから結構そこってナイキと対照的で、ナイキは勝つことが目的になっているブランドに対して、アシックスは心を健全にするために体を動かすっていう結構対照的な意味を持っていて、そういうところから考えると、もちろんその大きい大会、オリンピックのような大会に出るときに勝つことはすごく大切なんですけども、
森 それってほんの0.001%ぐらいの人たちが出れるわけで、そしてまた勝つって、またそのうちの何%じゃないですか。でもスポーツっていうのは人を選ばずに、誰にでも公平に対応して誰でも楽しむことができる。
森 なのでその物理的に優れているからスポーツに勝つとかっていうことではなくて、そのアスリート的な精神っていうのは誰もが心の中に持っていれるものなんだよっていうことで、誰もが一生涯アスリート、the lifetime athlete in all of us、自分の中にあるアスリートっていう言葉を提案させていただいたんですけども、そこがやっぱりそのブランドの立ち位置っていうことを明確にするために、まあ誰のために何をしているのかっていうのがすごく基本的なところではあるんですが、
やっぱりその企業が長く続けば続くほど周りの影響だったりとか社内の変化で、そこはちょっとこうブレちゃうところもあるので、そういうのは意外とシンプルなことなんですが、すごく大事なところだなと思います。
この誰もが一生涯アスリートっていうフレーズは、レイさんの会社がみんなから聞き取って見つけた言葉みたいな感じなんですか?
そうですね、もともと英語で lifetime athlete in all of us っていう言葉を我々が書かせていただいたんですけども。
へえ、そうなんだ。
うん。
じゃあ、レイさんのお仕事は企業のメッセージを明確にするっていうところにもあったりするんですね。
そうですね。ただですね、この言葉はもちろん外部には出してはいる言葉ではあるんですが、別にマーケティング活動でこの言葉を明確に言うとか、何かブランディングの活動でこれが書かれてるってわけでは全くないんですね。
へえ。
っていうよりかは、内部でちゃんと目線を揃えるためにこういう言葉ではっきりしようとかっていうのはあるので、そのブランディングとかマーケティングっていうのは別に、もちろん外部に対して発信することはそれはそれですごく重要なことではあるんですけども、その前にやっぱりその社内マーケティングっていうんですかね、社内ブランディングっていうのがこれも意外と置いてけぼりにしがちな活動ではあるんですけども、実はそこが一番大事だったりします。
企業ブランディングの変革
じゃあお客さんが見えてないところでもやっぱり必要なことってあるんですね。私はそういうのやってるって全然知らなかったので、なんか新鮮です。
そうですね。僕もこの業界に入った時ってそのマーケティングとかブランディングっていうのは、ある企業の例えばロゴみたいなもんだったりとかキャンペーンだったりとか広告だったりとかイベントとかそういういろんなマーケティング活動があるんですけども、その外部に対してやってることをマーケティングっていうのかなっていうのはもう20年ぐらい前なんですけど、そう思ってはいたんですが、もちろんそういう部分もあるんですけども、
なんか特に最近いわゆる古い形のマーケティングとか今までの形の広告っていうものが崩壊しつつあり、やっぱりその企業の姿勢っていうのはある程度透明度が出てきて隠せないことも結構あるじゃないですか。スキャンダルとかもありますし、
例えば携帯で誰もが今動画を撮れる時代になっちゃって、例えばその店員さんの態度が悪かったりするとそれが動画に襲められちゃってそれが炎上しちゃって企業がすごくダメージ食らうみたいな話も珍しくはないと思うんですけども、やっぱりその隠せないところがたくさん出てきちゃったと思うんですよね。
そういう時にやっぱり社員の目線が揃っているっていうのはすごく大事で、そういうところがやっぱりブランディングの出発点なのかなと思います。
そうなんですね。
社内の人も世界中に何万人という社員がいるんですけども、その人たちへの向けてのビジョンの表し方っていうのをやったりしたんですね。
やっぱりその中でも誰もが一生が安いとっていう言葉はもうすでに意識していて、そしてスポーツ楽しむだけではなくて、やっぱり例えばそのオフィスでずっと座っていると、
それって体に良くないよね、やっぱり動かさなきゃいけないよねっていうのを、やっぱりそういうところでも、それはスポーツではないですけども、その体を動かした方がいいですよっていうリマインドをするとか、そういうのってすごく細かいことではあるんですが、
そのブランドのあり方の視点として大事なことではあるので、そういうことを描いたりとかはしたので。
なるほど。じゃあ2030年のビジョンとして、もうスポーツ選手、プロ選手だけじゃなくてみんなアスリートだよねっていうビジョンをレイさんはASICS社内にも広げるっていうお手伝いをされたんですね。
はい。先ほどもお伝えしましたけど、外部の我々だけがやることではなくて、もちろん皆さんといろいろご議論したりとかワークショップしたりとか、
ケンケンガクガクといろいろ意見を言い合って、その外部である我々がある程度客観的な視点で、じゃあこういうふうにまとめたらどうですかとか、こういうストーリーテリーにしたらどうですかっていうのを提案させていただくわけなんですけども、
それは結構2人3客のパートナーシップで長年の付き合いがあるからこそできたことなのかなと思います。
はい。次回も引き続き、ASICSの常務執行役員、マーケティング統括部長、甲田智子さんにお話を伺います。
デジタルガレージの精神
世界のクリエイティブ指向、お相手はレイナムトと竹村由紀子でした。
デジタルガレージは、危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを、創業以来大事にし続けています。
これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えた、テクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。
番組詳細欄にあるリンクより是非ご覧ください。
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ニューコンテックスデザイナー デジタルガレージ
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