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おはようございます。花火鑑賞士・気象予報士の鶴岡慶子です。この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
今日も最後までお付き合いください。今日は、2024年の厚生労働省現代の名工に選ばれた花火師、今野義和さんについてお話をします。
まず、現代の名工とは何なのかですが、これは厚生労働省が毎年、優れた技能を持つ職人を称えるために選ぶ称号なんです。
伝統工芸から先端技術まで幅広い分野で活躍する職人が選ばれています。 花火師として現代の名工に選ばれるのは非常に稀なことで、
秋田県内では3人目、日本全体で見てみますと5人目です。 日本には多くの花火師さんがいるんですが、名工として選ばれるには、ただ技術が優れているだけではなくて、伝統を守りつつも新しい技術を取り入れて、後継者の育成にも貢献しているということが評価されます。
根野よしかずさんは株式会社北日本花火工業の4代目です。 3代目の正義会長の花火も私は見たことがあるんですが、5代目の高則専務もまた素晴らしい花火師さんなんです。
4代目はもう大学生の時から大曲りの花火に作品を出品していて、もう40年余り第一線で活躍している人なんですね。
その40年の間に2つ大きな伝説を残していまして、1つは花火は丸いものという概念を壊した人なんです。
どういうことかというと、これは型物という花火なんですけど、ハート型とかニコちゃんマークとか、花火は丸いものという概念を超えた花火を多く作り出しています。
その中で私たちを驚かせた花火というのが86年の花火です。 それまで丸い花火に1つばっかがついたような土星という花火が型物の主流だったんですね。
スタンダードな形でした。それを上半分だけを発光させて半分に切ったような花火を発表したんです。
この花火は大曲りの花火、創造花火の部で、「思い出の麦わら帽子」という作品として発表されました。
土星を半分に切ったら麦わら帽子ができたなんて、なんて素敵なんだろうと思います。 これが1つ。そしてもう1つは創造花火に音楽をつけたのが、
昆野さん最初だったんです。今では花火イベントのほとんどが、もう花火には音楽があって当たり前になっていますが、
もともと昆野さんはトランペットを吹く人だったので、いつか音楽の世界を花火で表現してみたいという思いがあったそうです。
それが形になったのは、昆野さん自身が大学3年生で携わった84年大会の創造花火のことです。
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作品名は2001年宇宙の旅。 打ち上げ会場にカセットテープを持ち込んで、実行委員長に音楽をつけていいかと尋ねたそうです。
そうしたら、いいよやってみなさいということで、音楽付きの創造花火が誕生しました。 音楽と花火の共演というのがそこからスタートしてるんですね。
翌年から音楽を組み合わせる業者が少しずつ増えていって、今はもう音楽は付物になってますよね。
こんな大きな伝説を2つも作っていて、伝統の技術、それはもうずーっと手作業なんですよね。 火薬を込めていったりするのって手作業なんです。
なのでそれは変わらないんですけれど、多くの革命を起こしてきたのが北日本花火工業だったし、4代目、昆野義和社長だったと思います。
受賞式は明日東京で行われます。 それを前にこんなことをお話しされています。
もし花火というジャンルに芸術というものがあるなら、一歩でも近づきたい。 これからは新しい味を作り出すよりも、昆野義和の味を進化させていく。
見る人の記憶に残り、明日への活力になれば嬉しい。 この配信はアップルポッドキャスト他各種プラットフォームでお届けしています。
今日もお聞きいただきありがとうございました。 それではまた明日。