今日のテーマは、未解決になります。
最初に、当番組のアーカイブから未解決に関わる、僕のお気に入りのエピソードを流します。
その後、僕が考える科学における最大の未解決の問題について話していきたいと思います。
これは僕が日本人だからってわけではないと思うんですけど、世界中で使われている科学用語の中に日本語の単語が入っていると、なんかエキゾチックでかっこいいなと僕は思うんです。
分子生物学を習った人だと聞いたことあると思うんですけれども、岡崎フラグメントっていうのがあるんですね。
僕、これめちゃくちゃかっこいい響きだと思うんです。
最近、ミヤケイベントっていう、これもまたかっこいい響きの言葉を知ったんですね。
これ結構興味深い話でもあるので、今日はこのミヤケイベントについて話していきたいと思います。
古いもの、歴史的な建造物なんかがいつできたかを調べる手法として、ラジオカーボンデイティング、放射性炭素年代測定っていうのがあるんですね。
木材とか、そういう有機物には炭素原子が含まれているんです。
地球上のほとんどの炭素っていうのはC12って呼ばれる種類の炭素なんですね。
でも地球上では、宇宙からの放射線でC14っていう、また別の種類の炭素も少量なんだけど作られるんです。
このC14とC12の比率っていうのは、大体いつも一定なんですね。
その木が成長して、その木材ができた時っていうのは、特定の割合で含まれているっていう、そういう状態になるわけなんです。
でもこのC14っていうのは、すごくゆっくりではあるんだけれども放っておくと自然に分解するわけなんです。
そういった木材っていうのは、もう炭素が閉じ込められた状態になって、その中に入っている炭素っていうのはそのままなんですよ。
だから分解してしまえば、そのC14が減っていくっていうことになるわけで、古いものであればあるほどC14が少ないっていうことになるんです。
だから何かものがあった時に、その中に含まれているC14の量を調べてやることによって、それがいつできたものなのかっていうのを調べることができるんです。
この測定法っていうのは、歴史の研究なんかにすごい役立って、わりかし正確に年代を測定できるわけなんですけれども、それでもやっぱり数十年ぐらいの誤差は出るっていう、そういう限界があるんです。
これは2012年に発表された仕事なんですけれども、今でも現役の物理学者で、日本の三宅富佐っていう人がやった仕事があるんです。
この人がですね、薬島の薬杉の年齢を調べていたんですね。
年齢っていうのは木の断面の円形の模様のことなんですけど、もちろんご存知の方はたくさんいると思いますが、一つ一つの円が一年を表しているわけなんです。
この薬杉っていうのはすごく長生きで、樹齢2000年以上のものがたくさんあるわけなんです。
その薬杉の年齢を調べれば、一番内側のやつっていうのは2000年以上前にできたものであって、一番外側っていうのが去年できたものっていうことになるわけなんです。
そういうふうになってますから、一番内側っていうのはC14の量が少なくて、だんだん外側にいくにつれて増えていくっていうことになるわけなんです。
そうやってこの三宅さんはですね、年齢ごとのC14の量を測定していたんですね。
そしたらですね、西暦774年から775年のところで、C14の量が大幅に増えていたんです。
これ一本だけじゃなくて、どの木でもそうなんですね。
この三宅さんは薬島を調べていたんですけれども、また別の地域でですね、すごく古い木を調べていた人たちがいて、その人たちも同じようにこの年でC14の量が大幅に増えているっていうことを見つけたんです。
ということはですね、何が起きたかわからないんですけれども、地球全体で放射線の量が増えて、C14がその年にたくさんできたっていうことなんですよね。
さらにいろんな木を調べていくとですね、こういうふうにC14の量が増えているっていう年が何回かあったっていうことがわかったんです。
それでも三宅さんが発見した774年のやつが一番強かったということで、しかもそれが一番最初に発見されたので、この三宅さんにちなんでこういうふうにC14が大幅に増加するっていうことが起きたことを三宅イベントと呼ぶようになったんです。
この三宅イベントなんですけれども、年代測定に役に立ったんですね。
例えばですね、すごく古い建造物があって、そこに木が使われていたとします。
その木を使って放射性炭素年代測定を行えば、数十年の範囲で大体の年代っていうのがわかるわけなんです。
それでもやっぱりそういうふうに誤差があるんですよね。
でも、もしですね、その木材の年齢のどこかに三宅イベントの年が含まれていれば、その年齢が何年だっていうことがわかるわけですよ。774年だっていうことがわかるわけですよ。
そこから外側に向かってあと何年あるっていうことを調べれば、その木がいつ切り倒されたかが全く誤差なくわかるっていうことなんです。
実際にですね、いつできたかわからないとか議論があったような建物について、この三宅イベントを使った方法によって結論を導き出したみたいな、そういう歴史の研究もあるそうなんです。
そんなふうに三宅イベントっていうのは歴史の研究に役に立ったんですね。
でも、他にもっと大きな問題があるんですよ。
本当は何を考えなきゃいけないかというと、三宅イベントは何なのかっていうことなんです。
三宅さんの研究によって年齢を調べて、地球上でC14の量が急に多くなる年があったっていうことがわかったわけなんですよね。
そんなふうにC14が増えたっていうことは、地球に降り注ぐ放射線がめちゃくちゃ増えた年があったっていうことなんですよ。
僕が思う科学における最大の未解決の問題っていうのはジェンダーバイアスなんですね。
特に女性の科学者、研究者が少ないということです。
ただこの内容で話すのに僕はクオリファーしてないんですよ。
なのでそれを専門にする人が話しているのを聞いてもらった方がいいと思うので、
ここではいくつかのポッドキャストのエピソードを紹介したいと思います。
僕が好きなポッドキャストで、People I Mostly Admireっていうのがあるんですね。
そこでクラウディア・ゴールディンっていう人がインタビューを受けていました。
この人っていうのが女性の労働問題を扱う経済学者で、
今年2023年のノーベル経済学賞を受賞したんです。
このインタビューっていうのは2021年のもので、僕が聞いたのももう2年も前になるんですけど、
今年、このノーベル賞のニュースを見たときにまだ名前を覚えていて、
ああ、この人だと気がついたんです。
だいたい人の名前ってもう聞いたそばから忘れていくんですけれども、
覚えていたというそれくらいに強く印象に残った回だったんです。
女性の社会進出についてはいろんな方向の意見を持っている人がいて、
でもどんな方向の意見を持っている人でも発見のある話だと思うんです。
もちろんノーベル賞を受賞したくらいですから、
長い期間にわたってこういう研究が行われてきて、
それでも僕なんかは全然知らない話ばかりだったんです。
というわけで、非常におすすめなので、今回のエピソードのショーノートにリンクを載せておこうと思います。
英語なんですけれども、わかる人にはぜひ聞いてほしいですし、
そのリンクの先には書き起こしもあるので、
読んだりとか自動翻訳に放り込んだりすることもできます。
それから他に彼女の書いた本で日本語に翻訳されているものがあるんですね。
僕は読んだことないんですけれども、
それから科学雑誌のネイチャーがポッドキャストをしていて、
ネイチャーポッドキャストって言うんですけれども、そこでよく科学者の労働問題を扱っているんです。
そのポッドキャストについては、
こちらは特に科学の世界でという話になってきます。
それは、このポッドキャストが、
ネイチャーのポッドキャストについては、
ネイチャーのポッドキャストは、
ネイチャーのポッドキャストは、
と思います。 こちらは特に科学の世界でっていう話になってきます。
メインの話はこれなんですけれども、一つだけ自分も関わるところで付け加えさせてください。
科学におけるジェンダーバイアスっていうのは大学とか研究機関だけの問題ではなくて、
社会のすべての人が関わる問題だと言われています。 現状、特に日本では
科学者としてメディアに出る人っていうのは 男性が多いんですね。
それをずっと見てきた積み重ねっていうのが 科学は男性がするものっていう無意識のバイアスを生み出すと言われているんです。
もちろんそれだけじゃないんですけど、でも例えば 子供に将来何になりたいかっていうアンケートを行った結果なんかを見ると
小学校でも中学校でも高校でも男子では研究者が割と上位にあるんですけど、でも女子ではそうではないんですね。
で、もちろん僕の番組にはほとんど影響力なんかないわけなんですけれども、それでも僕みたいな人間がこういった番組をするのは
この問題の解決にはどちらかというとマイナスだと思っています。 一応その自覚はあるんですね。
で、うまくいってるかはわからないんですけれども、それも踏まえて番組のあり方というのは考えているんだということだけ
お伝えしたくて、最後こうやって喋ってみました。 今日の配信なんですけれども、科学系ポッドキャストの日のためのものでした。
あの今回はサイエントークという番組がホストとなって、多くの科学系ポッドキャスト番組が共通テーマである未解決にちなんだ話をしています。
旧ツイッターXにて科学系ポッドキャストの日でぜひ検索してみてください。
じゃあ今日はこの辺で終わりにしたいと思います。 最後までお付き合いありがとうございました。