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2023-11-09 22:52

ICYMI2 私の考える科学における最大の未解決問題 + ミヤケイベント

科学系ポッドキャストの日、共通テーマ「未解決」にちなんだエピソードを当番組アーカイブからお届けした後、私の考える科学における最大の未解決問題について話します。


Claudia Goldinのインタビュー:

https://freakonomics.com/podcast/bonus-nobel-laureate-claudia-goldin-on-greedy-work-and-the-wage-gap/


クラウディア・ゴールディン書籍:

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%94%B7%E5%A5%B3%E3%81%AE%E8%B3%83%E9%87%91%E3%81%AB%E6%A0%BC%E5%B7%AE%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9A%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%96%B9%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3/dp/4766428471


Nature Podcast:

https://open.spotify.com/episode/7AHO00nKhv7urO7eDdoJyN?si=68d7b2cb04fb4441

https://open.spotify.com/episode/0hCnYhjoMb6K0Tey41d6dh?si=ad0e47a1711e4eca


科学系ポッドキャストの日:

https://twitter.com/hashtag/%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%B3%BB%E3%83%9D%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%97%A5?src=hashtag_click


ミヤケイベント:

https://www.science.org/content/article/marking-time-cosmic-ray-storms-can-pin-precise-dates-history-ancient-egypt-vikings

https://www.sciencenews.org/article/solar-storm-radiation-trees-miyake-event

https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspa.2022.0497

サマリー

科学における最大の未解決問題として、ミヤケイベントが存在しています。三宅富佐さんの研究によると、C14の増加は太陽フレアとは関係なく起こり、1年以上続くこともあることが明らかにされています。太陽フレアや三宅イベントについての真実はわかりませんが、三宅イベントは地球に影響を及ぼす可能性があり、地球の文明を大きく変える可能性があると考えられています。

科学における未解決問題
今日のテーマは、未解決になります。
最初に、当番組のアーカイブから未解決に関わる、僕のお気に入りのエピソードを流します。
その後、僕が考える科学における最大の未解決の問題について話していきたいと思います。
これは僕が日本人だからってわけではないと思うんですけど、世界中で使われている科学用語の中に日本語の単語が入っていると、なんかエキゾチックでかっこいいなと僕は思うんです。
分子生物学を習った人だと聞いたことあると思うんですけれども、岡崎フラグメントっていうのがあるんですね。
僕、これめちゃくちゃかっこいい響きだと思うんです。
最近、ミヤケイベントっていう、これもまたかっこいい響きの言葉を知ったんですね。
これ結構興味深い話でもあるので、今日はこのミヤケイベントについて話していきたいと思います。
古いもの、歴史的な建造物なんかがいつできたかを調べる手法として、ラジオカーボンデイティング、放射性炭素年代測定っていうのがあるんですね。
木材とか、そういう有機物には炭素原子が含まれているんです。
地球上のほとんどの炭素っていうのはC12って呼ばれる種類の炭素なんですね。
でも地球上では、宇宙からの放射線でC14っていう、また別の種類の炭素も少量なんだけど作られるんです。
このC14とC12の比率っていうのは、大体いつも一定なんですね。
その木が成長して、その木材ができた時っていうのは、特定の割合で含まれているっていう、そういう状態になるわけなんです。
でもこのC14っていうのは、すごくゆっくりではあるんだけれども放っておくと自然に分解するわけなんです。
そういった木材っていうのは、もう炭素が閉じ込められた状態になって、その中に入っている炭素っていうのはそのままなんですよ。
だから分解してしまえば、そのC14が減っていくっていうことになるわけで、古いものであればあるほどC14が少ないっていうことになるんです。
だから何かものがあった時に、その中に含まれているC14の量を調べてやることによって、それがいつできたものなのかっていうのを調べることができるんです。
この測定法っていうのは、歴史の研究なんかにすごい役立って、わりかし正確に年代を測定できるわけなんですけれども、それでもやっぱり数十年ぐらいの誤差は出るっていう、そういう限界があるんです。
これは2012年に発表された仕事なんですけれども、今でも現役の物理学者で、日本の三宅富佐っていう人がやった仕事があるんです。
この人がですね、薬島の薬杉の年齢を調べていたんですね。
年齢っていうのは木の断面の円形の模様のことなんですけど、もちろんご存知の方はたくさんいると思いますが、一つ一つの円が一年を表しているわけなんです。
この薬杉っていうのはすごく長生きで、樹齢2000年以上のものがたくさんあるわけなんです。
その薬杉の年齢を調べれば、一番内側のやつっていうのは2000年以上前にできたものであって、一番外側っていうのが去年できたものっていうことになるわけなんです。
そういうふうになってますから、一番内側っていうのはC14の量が少なくて、だんだん外側にいくにつれて増えていくっていうことになるわけなんです。
そうやってこの三宅さんはですね、年齢ごとのC14の量を測定していたんですね。
そしたらですね、西暦774年から775年のところで、C14の量が大幅に増えていたんです。
これ一本だけじゃなくて、どの木でもそうなんですね。
この三宅さんは薬島を調べていたんですけれども、また別の地域でですね、すごく古い木を調べていた人たちがいて、その人たちも同じようにこの年でC14の量が大幅に増えているっていうことを見つけたんです。
ということはですね、何が起きたかわからないんですけれども、地球全体で放射線の量が増えて、C14がその年にたくさんできたっていうことなんですよね。
さらにいろんな木を調べていくとですね、こういうふうにC14の量が増えているっていう年が何回かあったっていうことがわかったんです。
それでも三宅さんが発見した774年のやつが一番強かったということで、しかもそれが一番最初に発見されたので、この三宅さんにちなんでこういうふうにC14が大幅に増加するっていうことが起きたことを三宅イベントと呼ぶようになったんです。
この三宅イベントなんですけれども、年代測定に役に立ったんですね。
例えばですね、すごく古い建造物があって、そこに木が使われていたとします。
その木を使って放射性炭素年代測定を行えば、数十年の範囲で大体の年代っていうのがわかるわけなんです。
それでもやっぱりそういうふうに誤差があるんですよね。
でも、もしですね、その木材の年齢のどこかに三宅イベントの年が含まれていれば、その年齢が何年だっていうことがわかるわけですよ。774年だっていうことがわかるわけですよ。
そこから外側に向かってあと何年あるっていうことを調べれば、その木がいつ切り倒されたかが全く誤差なくわかるっていうことなんです。
実際にですね、いつできたかわからないとか議論があったような建物について、この三宅イベントを使った方法によって結論を導き出したみたいな、そういう歴史の研究もあるそうなんです。
そんなふうに三宅イベントっていうのは歴史の研究に役に立ったんですね。
でも、他にもっと大きな問題があるんですよ。
本当は何を考えなきゃいけないかというと、三宅イベントは何なのかっていうことなんです。
三宅さんの研究によって年齢を調べて、地球上でC14の量が急に多くなる年があったっていうことがわかったわけなんですよね。
そんなふうにC14が増えたっていうことは、地球に降り注ぐ放射線がめちゃくちゃ増えた年があったっていうことなんですよ。
C14の増加と太陽フレア
なんでそんなふうに放射線がたくさん降り注いだのかっていうところなんですけれども、これは太陽フレアではないのかっていうのが最初考えられたんです。
太陽フレアっていうのは、太陽で不定期に起こる爆発なんですね。
これが起きることによって地球まで放射線が到達するんです。
観測史上、最も強烈な太陽フレアっていうのが1859年に起きたキャリントンイベントと呼ばれるものです。
太陽フレアの影響で磁気嵐と呼ばれるものが発生するんですけれども、それが電子機器なんかに影響するんです。
1859年だから今とは違ってそんな大した電子機器はなかったんですね。
それでも電報のシステムが停止したり、鉄道から火花が出たそうなんです。
つまり1859年にこれが起きたからまあ良かったんだけど、もし今キャリントンイベントと同じようなレベルの太陽フレアが起きたとすると、
送電線や光ケーブルが被害を受けて、さらに無線通信が止まって人工衛星も落下すると言われているんです。
今の社会っていうのはもう全てが電力とか通信に依存しているので、もしこんなことが今起きたらですね、その被害はもう想像もできないぐらい大きなものになると言われているんです。
さらにですね、この三宅イベントによるC14の増加っていうのはキャリントンイベントによるものよりも遥かに大きいんですね。
だからもし三宅イベントが大きな太陽フレアであったのであれば、キャリントンイベントなんかよりもずっと巨大なエネルギーが地球に到達していたっていうことになるんです。
だからもし今三宅イベントなんかが起きたら、人類存亡の危機に陥るんじゃないかっていうところなんです。
三宅イベントの研究
なんですけれども、最近ですね、この点に関して研究が一つ発表されました。
これはチン・ユアン・ザンらによる2022年の研究です。
太陽フレアっていうのは、太陽周期と呼ばれるものに応じてその頻度が変わるんですね。
その太陽周期っていうのは、太陽の黒点の数が変わるんですけれども、その周期のことで太陽の活動が強くなったり弱くなったりするっていう、そういう周期のことなんです。
この研究グループはですね、シミュレーションなどをして三宅イベントと太陽周期の関係を調べているんです。
その結果、三宅イベントは太陽周期とは関係なく起きるっていうことを明らかにしています。
しかもですね、三宅イベントっていうのは1年以上続くこともあるっていうことを示していて、
太陽フレアっていうのは長くても数日で終わるので、かなり違うものであるということも示しているんです。
それから太陽フレアっていうのはですね、南極とか北極で影響が大きいんです。
これは地球の磁気っていうのが赤道に近い方で地球を守る力が強いからっていうところなんです。
でも三宅イベントの方は地球全体で同じように影響を及ぼしているようで、この点に関しても太陽フレアとは違うということになります。
まあ完全な証明というわけではないんですけれども、三宅イベントは太陽フレアではなさそうだという、そういう結論だったんですね。
じゃあ一半身っていうことかというと、そうではないんですよ。
太陽フレアではないにしてもC14がめちゃくちゃ量が増えるような放射線が何らかの形で地球に到達しているんです。
三宅イベントっていうのはこれまでの歴史の中では平均すると1000年に1回くらいの割合で起きているんです。
ということはこれから10年の間に1%の確率で起きると考えて差し支えがないわけですね。
だから地球の文明がめちゃくちゃになるようなことが十分起こり得るっていうことなんですよ。
でも現状ではこの三宅イベントの正体すらわかってないんですね。
だからこそもしそんな地球をめちゃめちゃにするようなことが起きたとしても対応すらできないっていうことだけがわかっているわけなんです。
ジェンダーバイアスの問題
僕が思う科学における最大の未解決の問題っていうのはジェンダーバイアスなんですね。
特に女性の科学者、研究者が少ないということです。
ただこの内容で話すのに僕はクオリファーしてないんですよ。
なのでそれを専門にする人が話しているのを聞いてもらった方がいいと思うので、
ここではいくつかのポッドキャストのエピソードを紹介したいと思います。
僕が好きなポッドキャストで、People I Mostly Admireっていうのがあるんですね。
そこでクラウディア・ゴールディンっていう人がインタビューを受けていました。
この人っていうのが女性の労働問題を扱う経済学者で、
今年2023年のノーベル経済学賞を受賞したんです。
このインタビューっていうのは2021年のもので、僕が聞いたのももう2年も前になるんですけど、
今年、このノーベル賞のニュースを見たときにまだ名前を覚えていて、
ああ、この人だと気がついたんです。
だいたい人の名前ってもう聞いたそばから忘れていくんですけれども、
覚えていたというそれくらいに強く印象に残った回だったんです。
女性の社会進出についてはいろんな方向の意見を持っている人がいて、
でもどんな方向の意見を持っている人でも発見のある話だと思うんです。
もちろんノーベル賞を受賞したくらいですから、
長い期間にわたってこういう研究が行われてきて、
それでも僕なんかは全然知らない話ばかりだったんです。
というわけで、非常におすすめなので、今回のエピソードのショーノートにリンクを載せておこうと思います。
英語なんですけれども、わかる人にはぜひ聞いてほしいですし、
そのリンクの先には書き起こしもあるので、
読んだりとか自動翻訳に放り込んだりすることもできます。
それから他に彼女の書いた本で日本語に翻訳されているものがあるんですね。
僕は読んだことないんですけれども、
それから科学雑誌のネイチャーがポッドキャストをしていて、
ネイチャーポッドキャストって言うんですけれども、そこでよく科学者の労働問題を扱っているんです。
そのポッドキャストについては、
こちらは特に科学の世界でという話になってきます。
それは、このポッドキャストが、
ネイチャーのポッドキャストについては、
ネイチャーのポッドキャストは、
ネイチャーのポッドキャストは、
と思います。 こちらは特に科学の世界でっていう話になってきます。
メインの話はこれなんですけれども、一つだけ自分も関わるところで付け加えさせてください。
科学におけるジェンダーバイアスっていうのは大学とか研究機関だけの問題ではなくて、
社会のすべての人が関わる問題だと言われています。 現状、特に日本では
科学者としてメディアに出る人っていうのは 男性が多いんですね。
それをずっと見てきた積み重ねっていうのが 科学は男性がするものっていう無意識のバイアスを生み出すと言われているんです。
もちろんそれだけじゃないんですけど、でも例えば 子供に将来何になりたいかっていうアンケートを行った結果なんかを見ると
小学校でも中学校でも高校でも男子では研究者が割と上位にあるんですけど、でも女子ではそうではないんですね。
で、もちろん僕の番組にはほとんど影響力なんかないわけなんですけれども、それでも僕みたいな人間がこういった番組をするのは
この問題の解決にはどちらかというとマイナスだと思っています。 一応その自覚はあるんですね。
で、うまくいってるかはわからないんですけれども、それも踏まえて番組のあり方というのは考えているんだということだけ
お伝えしたくて、最後こうやって喋ってみました。 今日の配信なんですけれども、科学系ポッドキャストの日のためのものでした。
あの今回はサイエントークという番組がホストとなって、多くの科学系ポッドキャスト番組が共通テーマである未解決にちなんだ話をしています。
旧ツイッターXにて科学系ポッドキャストの日でぜひ検索してみてください。
じゃあ今日はこの辺で終わりにしたいと思います。 最後までお付き合いありがとうございました。
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