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2023-05-25 13:21

e27 酔いをさますホルモン

FGF21というホルモンがアルコールによる酔いをさますという研究を紹介します。アルコールの分解には影響がなく、脳に作用して酩酊状態からの回復を促進します。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1550413123000463?via%3Dihub

https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(23)00041-4

FGF21の役割の発見
みなさんこんにちは、こなやです。
どうですか、みなさん。お酒って飲みますか?
いや、僕よく飲むし、好きなんですよ。
ただ、お酒って健康にも良くないっていうのもそうなんだけど、
単純にですね、お酒飲みすぎると集中力なくなるし、フラフラするんですよね。
だから、飲んでる時っていうのはまともに活動ができなくなるっていう問題があるわけなんです。
今日なんですけれども、体の中にあるとあるホルモンがですね、
お酒に酔っ払った状態から回復させるのに働くっていう、
そんな話の論文があって、ちょっとそれを紹介していきたいと思うんです。
このホルモンがですね、FGF21っていうやつで、
タンパク質なんですよ。
ホルモンですから、一つの細胞から出てきて、別の細胞に作用するっていう、
そんな風に働くんですね。
いろいろなストレス状態にある時に作られて分泌されるっていうことが既にわかっているんです。
言われているのはですね、血糖値とか脂質の代謝、それから体重のコントロールに影響があって、
代謝に対して良い影響があるかもって言われているんです。
それに加えてですね、主にマウスを使った研究でわかってきているんですけれども、
アルコールとの関係が既に知られているんです。
お酒、アルコールを飲むと肝臓でFGF21の量が増えて放出されるっていうことがわかっているんですね。
アルコールから体を守るような作用を持っていて、
アルコールで肝臓の炎症が起きるっていう肝炎が起きることがあるんですけど、
それから守るような作用があるそうなんです。
さらにですね、脳に直接作用して水を飲むように促すそうなんですね。
アルコールって取りすぎると脱水症状になりやすいんですよ。
利尿作用がありますし、さらにアルコールの分解に水がたくさん使われるんで、水が足りなくなるそうなんです。
そういうわけですから、喉が渇いたような気分にさせるんだと思うんですよね。
水を飲むように促すっていう、そういう作用があるんだそうです。
今回の論文なんですけれども、さらにですね、このFGF21のアルコールから体を守るっていう作用について新しいことがわかったっていう、そういう話なんです。
これがですね、ミン・ワーチョイっていう人たちがやった研究で、またいつものように論文のリンクは小ノートの方に載せておきます。
この論文なんですけれども、内容としてはですね、マウスでアルコールを投与した時に酔っ払った状態になるんですけれども、その酔っ払った状態から回復するのにFGF21がどんな作用をしているかっていうのを調べているんです。
マウスで酔った状態っていうのを調べているんですね。
それをどういうふうに評価しているかというと、その体のバランスを調べているんですよ。
FGF21の脳への作用
人間でもそうなんだけれども、立ち直り反応っていうのがあるんです。
体が傾きかけた時に反射的にその傾きを直すみたいな反応が普通は起こるんですね。
酔っ払ってる時っていうのはやっぱりその反応が悪くなるわけなんです。
それをマウスで調べる時にはですね、マウスを仰向けにして置いておくんだそうです。
マウスにとっては標準の形っていうのは下を向いている時なんで、普通であれば向きを戻すっていうのをやるんだけれども、酔っ払ってしまうとそれができなくなるんです。
今回の実験の条件ではですね、マウスにアルコールを飲ませてから回復して向きが変えられるようになるまでに200分間、だから3時間ちょっと時間がかかったということなんです。
先ほど話したようにですね、FGF21がアルコールと関係があるということがすでに分かっていたので、こんな風にですね、酔っ払った状態から回復するのにもFGF21が関係あるのではないかと考えて、この現象についてFGF21の影響を調べたんです。
まず最初にやったのが、このFGF21の遺伝子に異常があって、FGF21を作ることのできないマウスを調べるということですね。
その結果なんですけれども、FGF21が作れないマウスでは酔っ払った状態からの回復により時間がかかるという結果だったんです。
時間にして350分、だから倍近い時間がかかったということなんです。
でもですね、血中のアルコール濃度を調べてみると、それは普通のマウスと違いがなかったんですね。
だからアルコールの分解がおかしくなっているわけではないということなんですよ。
さらにですね、余分にFGF21を投与するという実験もやっています。
FGF21を注射で持って投与すると、酔っ払った状態から回復するのに必要な時間が約半分になっていたんです。
だから100分くらいになっていたんですね。
以上の実験から、このFGF21というホルモンが酔った状態からの回復に重要であるということがわかったんです。
さらにこのグループはいろいろ詳しく調べていったんですけれども、このFGF21の作用というのが脳への作用であるということもわかったんです。
脳の中にですね、正反角というんですけれども、ノルアドレナリンという神経伝達物質がたくさんある領域があるんですね。
FGF21の脳領域の重要性
この領域が大事であるということを明らかにしたんです。
ノルアドレナリンというのがですね、集中力にとって大事であるということがすでに言われているんです。
さらに調べていくと、酔った状態でここから出ていくノルアドレナリンが酔った状態から回復するのに重要であるというところまでわかったんです。
ということで、この研究の内容をまとめるとですね、アルコールを飲むと肝臓でFGF21が作られて、肝臓から放出されてしまうんですね。
それが血管を通って脳まで到達するんです。
脳の中でも特に正反角というところの神経細胞に作用するんですね。
そこからノルアドレナリンが放出されて、ノルアドレナリンは集中力を高める作用があるので、その結果酔いが冷めるっていう。
そういうメカニズムで作用していると考えられるわけなんです。
ここで疑問に思うのはですね、そもそもなんで動物の体にこんな仕組みが備わっているのかっていうところなんですね。
お酒なんて人間ぐらいしか飲まないんですよ。
なのにそれに対応する仕組みがマウスなんかにもあるっていうのはなんか不思議だなっていうところなんですね。
それに対して論文を書いた著者たちは想像をしていてですね、
果物とか花の蜜って自然に発酵してアルコールができるんで、それに対応しているんじゃないかって言っていました。
知っている方も多いと思うんですけれども、ブドウとかってその皮に酵母がくっついているんですね。
だから潰せば自然にワインができてくるんですよ。
さらにですね、このFGF21っていろんなストレス状態の時に増えてきて放出されるんですけど、
寒い時とか空腹の時にも作られるんです。
だからヒッシャラが想像してたのは、冬眠の前なんかで他の食べ物が減ってくると果物が動物によっては主食になったりするんですね。
そういう時にアルコールを摂取しやすいからそれに対応する機構なんではないかと、そういうことを言っていました。
実際ですね、草しか食べないとか肉しか食べない動物ではこの機能がなくなっているものもあるみたいで、今の説明に合致しているというところなんです。
人間もこのFGF21のシステムを持っているんですね。
だからこそお酒がそれなりに飲めるっていうところなんです。
マウスの研究ではですね、体の中にもともと持っているんだけどそれに加えてさらに投与してやると、
明定状態からの回復が早くなっているから、人間でも同じように酔っ払った状態から回復する、そんな薬が作られるかもしれないっていうところです。
今回の研究っていうのはマウスで体のバランスっていうのを測っているんですよね。だから明定状態から回復するっていうところなんですけど、
アルコール、お酒っていうのは飲むとリラックスできるし幸せに感じるっていうのがあって、それで飲んでいるわけなんですよ。
ただそういうリラックスするとか楽しくなるとかそういうのってFGF21と関係あるかっていうのは今回の研究からではわかんないわけなんですよね。
個人的にはですね、そういう幸せな感覚っていうのは維持したまま体のバランスとか集中力がないとか、そういうのは回復できるみたいな薬が開発されたらいいなと思ってしまうというところですね。
今日はこの辺で終わりにしたいと思います。最後までお付き合いありがとうございました。
ありがとうございました。
13:21

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