2022-03-12 10:41

第2話 怪しげな男たち

事件記者・阿部雅美は、昭和54年の秋ごろ、「日本海の方で変なことが起きている」という断片的な情報を頼りに、地方新聞を読み漁っていた。

ある日、富山県の地元紙に奇妙な事件が載っているのに気づく。富山県高岡市の海水浴場で、若い男女が何者かに襲われ、寝袋をかぶせられた、というのだ。

 

阿部は取材を進めた―。

 

【原作】 阿部雅美『メディアは死んでいた―検証 北朝鮮拉致報道』
【語り手】柳亭市好
【制作】 産経新聞社

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00:01
第2話 怪しげな男たち
産経新聞社がお届けする音声ドキュメント 北朝鮮による日本人拉致事件
原作 産経新聞出版 安倍政宗 メディアは死んでいた 検証 北朝鮮拉致報道
2018年5月28日 初版発行 製作 産経新聞社
案内役は私 話科の劉邸一光です。
事件記者 安倍政宗は1979年の秋ごろ
日本海の方で変なことが起きているという断片的な情報を頼りに地方新聞を読み漁っていた。
ある日、富山県の地元市に奇妙な事件が載っているのに気付く。
富山県高岡市の海水浴場で若い男女が何者かに襲われ、寝袋をかぶせられたというのだ。
安倍は取材を進めた。
襲われた二人のうち、男性は袋詰めにされたまま民家に助けを求めて無事だった。
一方の彼女である英子さんはタオルで猿ぐつは押され、後ろ手に紐で湯沸かれていた。
袋詰めにされた後、犯人たちはカムフラージュのためか松の枯れ枝を袋にかけたという。
しばらくして周囲に犯行グループの気配がしなくなったように感じた英子さんは、
自力で袋から脱出し、線路の向こう側の民家へ助けを求めて無事だった。
男性が助けを求めた民家の住人が百頭板すると、すぐにパトカーが五台も来たという。
後から分かったことですが、実は夕方5時半から6時にかけて、
うちの家族も事件があった浜で遊んでいて、犯人たちを見たんです。
ここは海水浴場と海水浴場の中間で、土地の者しか来ないんですが、
その時は散歩をする水着姿のアベックと4、5人の男たちを見かけたそうです。
03:01
男たちは白いシャツにステテコ姿、浜をうろうろしていた。
地元の者はそんな格好はしない。見かけたこともない。
なんか日本人じゃない感じだったって言うんです。
周辺取材をすると、事件前、釣りをしていた人が犯行グループの一人から日本語で話しかけられていたことも確認できた。
釣れますか?
日本人じゃない感じの犯行グループには日本語のできる者がいたことになるが、
そのこと自体はむしろ自然に思えた。
犯人たちがどこから集まってきたのかわからないが、
多少とも日本語が話せる者がいなければ、こんな場所まで怪しまれずに来て犯行に及ぶことは難しいのではないか。
そう感じた。
ただ、犯行前の現場で犯人が自分の方から釣り人に声をかけていたことには首をかしげた。
外国の重宝活動などが関係する外事事件であろうと、通常の刑事事件であろうと、
普通、犯人はそんなことはしないだろう。
大胆なのかずさんなのかわけがわからない。
訳がわからない。
高岡警察署の刑事はそう言った。
先手を打って日本語で話しかけることで怪しまれずに済む。
日本人グループの犯行と見せかけられるという辛抱遠慮と考えることもできたが、わからない。
異流品だけではなく、犯行現場での犯人たちの服装も行動も普通ではなかった。
犯人たちがどうして日本人じゃない感じと言えるのか。
目撃した家族が言うには全体の感じからですよ。
わかりますよね。
なんとなく。
民家の主人はこう言った。
なんとなくわかる気はした。
一旦東京に戻り日本ゴム協会を訪ねた。
残された異流品の中で一番気になったゴム製の猿靴はについてもっと知りたかったからだ。
06:00
筒をくり抜いた不気味な形状で口に当たる部分に呼吸ができるように穴が開き、両耳も塞げる。
こんな異形の猿靴は見たことも聞いたこともなかった。
富山の猿靴は、ああ、あの変なやつですね。
うちで鑑定しましたよ。天然ゴムの手製です。
使われているゴムは日本にはない粗悪なものです。
輸入?日本はあんなゴム輸入なんかしませんよ。
工業のひどく遅れた国にしかないでしょう。
どこですか?と私が聞くと、断定はしませんが、まあ、ご想像の通りでしょう。
という、私はある国を思い描き始めた。
翌日、富山にUターンし、危うく間の手から逃れて助かった被害者の自宅を探した。
犯人たちの妊娑や風邸、犯行の状況を一番知るのは、襲われた当人たちだからだ。
猿靴羽をはめられ、袋詰めにされて襲われた男女二人は、当時婚約中だった。
あの日、海岸に近いホテルで初めての顔合わせをし、
なごやかに寛断した両家の親族たちが気を利かせて、若いカップルだけを浜に残して散会した。
そこで事件は起こったのだ。
得体の知れない恐怖は、まだ二人から消えておらず、
とても取材には応じられないというので、両親が若夫婦から聞いた話をしてくれた。
犯人たちは日本人ではないようでした。
全体の感じ、だそうです。
日焼けして、たくましそうだった。
役割分担しているようで、手際がよく訓練されているようだった。
犯人たちは、袋詰めにした二人を担いで松林へ運び、
三十メートルも離れたところに、
別々に転がした。
無言だったそうです。
話した言葉は、たった一言だけ。
「静かにしなさい。」
と言ったそうです。
日本語です。
犯人たちは、
じっと、
何かを待っているようだった。
09:04
これは、音声ドキュメント
北朝鮮による日本人拉致事件のシリーズ第2話です。
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メールアドレスは、
u-service at 3k.com
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この作品は、
元産経新聞・社会部記者・安倍政美による著書
メディアは死んでいたを再構成したものです。
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案内役は、竜亭一皇でお送りしました。
安倍は、警察が発表していなかった
新潟県柏崎市の
安倍区行方不明事件にたどり着きます。
では、次回。
あなたは拉致を、いつ知りましたか。
10:41

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