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スピーカー 1
いつも寂しい。一人だから寂しい。
始まりました。大人の近代史。よろしくお願いします。
スピーカー 2
よろしくお願いします。
その言葉はあれだよね。おが太郎には全く、この人生の中でなかったことじゃん。
スピーカー 1
いやいや、俺もあるわ。
スピーカー 2
いやいや、俺は、おが太郎がフリーな時ってなかったと思っててさ。
スピーカー 1
そういうんじゃないんだよ。
スピーカー 2
そういうんじゃないの?
スピーカー 1
この人のは本当に、僕らが体験できるようなものじゃないっていう感じですね。
スピーカー 2
何だろう。
今回のテーマでもある、スニヨン、または中村輝夫をやりたいと思います。
ちょっと俺はピンときてないぞ。
スピーカー 1
本当。この人がね、日本のある記者の取材で、
スピーカー 2
寂しくなかったですかって言われた時に、答えた言葉なんだよね。
スピーカー 1
そうそう。
ということで、この人、今ちょっと長村はピンときてないようなので、
もしかしたら、結構知らない人多いかもしれない。
多分聞けばなんとなくわかるんだけど、
この人は第二次世界大戦終結後に、約30年後に戦地から生還した元日本兵なんだよね。
スピーカー 2
日本兵私立か。
スピーカー 1
そうそう。これはね、最も最長で、戦時中を含め、この人は約32年間戦地にいたんだよね。
そうそう。前さ、小野田さんとか横井さんやったけどさ、この人たちより長くてさ、
小野田さん発見の約9ヶ月後に発見されたのが、このスニオン、また中村テルオンなんだよね。
でも、この横井さん、小野田さんに比べると知られてないじゃん。
スピーカー 2
まあそうだね。
スピーカー 1
話題にもなってないし、あとこれね、本とかも調べても、まず彼自身が書いた本とかもないし、
スピーカー 2
すごくね、本自体も少ないのよ。
スピーカー 1
これは一体なぜだろうっていうところも、ちょっとおよいわかってくると思うんで、
ぜひ、よろしくお願いします。
スピーカー 2
何言うの?
スピーカー 1
じゃあ、ちょっと時代背景から行きたいんだけれども、
日本は日清戦争の結果、1895年の下関条約によって、台湾が新庁から日本に割譲されたんだよね。
で、そこからさ、日本統治時代に入って、台湾の住民に対して、日本は公民化政策を進めたりとか、天皇崇拝の強制だったり、
日本語教育の徹底なんかをして、日本人化っていうのを進めていったんだよね。
これはちょっと台湾統治時代とかでも、長丸のね、高須賀族っていうのも今回結構関連していくので、
その回とか聞いていただけると、より深まるかなと思うんですが。
スピーカー 2
台湾統治と言ったら尾形郎じゃん。もう台湾をさ、2回にわたってさ、尾形郎がさ、あの回もかなり高評価だよね、そういえば。
スピーカー 1
いやいや、そんな事実はございません。
スピーカー 2
いや、事実だよ。何言ってんの。
スピーカー 1
はい。で、そんなね、日本統治下の台湾で生まれたのが、今回のテーマの人であるスニオンっていう方なんだよね。
スピーカー 1
彼はね、1919年に台東県の北部の村に、6人兄弟の末っ子として生まれるんだよね。
当時はさ、高須賀族って呼ばれていて、いわゆる台湾の原住民族の一つである阿弥族の人だったんだよね。
そうそう。で、この高須賀族って言ってもさ、いろいろな部族がいて、この阿弥族っていうのは平地に住む部族で、主に農業で自給自足の生活をしているような部族だったんだよね。
スピーカー 2
で、スニオンもね、その当時農業をしていて、で、時代はね、第二次世界大戦と突入していくんだよね。
スピーカー 1
この海戦当初はさ、台湾っていうのは外地っていう扱いで、長平成が施行されなかったんだよね。
で、ただ戦争の激化とともに、1942年に台湾でも陸軍特別志願兵制度が施行されて、ここからね、多くの台湾人志願者が応募するようになっていった。
で、その中に、当時22歳だったスニオンっていうのも応募して、彼はね、親指をこう切って、吹き出す血で願書を書いて、真っ先に志願したって言われてるんだよね。
で、その時に日本人名が付けられて、スニオンから中村テルオに彼はなったんだよね。
ちょっとね、彼名前がこの後も変わるんで、ちょっとややこしくなっちゃうんで、今回の回は全部スニオンでちょっと統一しちゃおうかなと思って。
で、あくまでさ、これ最終的にこの人志願はしたんだけれども、台湾各地でさ、その当時集会とか行われてたり、歌とかね、映画などの宣伝を大々的に行って、さらに警察などから兵隊に志願するよう進められたっていうことがあったらしいんだよね。
で、そういうさ、行かなければいけないっていう雰囲気はあったっていうのは事実で、その中での応募っていう背景もあるんだよね。
で、その時、彼っていうのは同じアミ族のサンピっていう妻と結婚をしていたんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そうで、しかもね、子供が生まれたばかりだった。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、それでもさ、彼はまあ、その戦争に行くんだけれども、部隊がね、第二遊撃隊っていうところに所属して、歩兵一等兵として従軍していくんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、配属された場所はインドネシアの東側に位置するモロタイ島だったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、このモロタイ島っていうのはね、約2500人の日本の兵士が配備されたって言われていて、
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
当初さ、その日本軍はモロタイ島に行って、まあ、現地人と非常にこう有効な関係を築いていったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、さらにさ、タカサゴ族の言語とか、島の現地の言葉が似ていたっていうこともあって、意思疎通がこうしやすかったっていうのもあったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、そんな中、スニオンっていうのは、現地の人とこう交流もしていて、その島のね、なんか女性と恋仲になったっていう証言もね、
これ本人じゃないんだけど、その島の証言であるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
女性に指輪をプレゼントしていたっていうのもあって、ちょっとね、その指のサイズまでは調べられなかったんで、そこはちょっと申し訳ないです。
スピーカー 2
いや、調べようぜ。いやーもう、みんな期待してるのに。
スピーカー 1
食い気味で来たな。
スピーカー 2
うん。いやもう、このパターンかと思って俺は。
スピーカー 1
で、えっと、1944年の9月になると、そのアメリカ軍がその島の周りを取り囲んで、一斉に艦砲射撃をしてきたわけなんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そこでね、約6万人ほどの米兵が島へ一気に上陸作戦を開始するってことになった。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
日本はね、このモロタイ島自体に、そのアメリカがこれほどの規模で上陸作戦をしてくるっていうのは考えていなかったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そうそう。アメリカの考えではね、モロタイ島のこの北部に位置するフィリピン方面に進行するために、この島をね、航空基地の拠点としたかったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、日本はその想定外のこの上陸作戦で、その対抗できるほどの兵も備えていなかったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、圧倒的なこの軍事力の差で、日本兵っていうのは、どんどんジャングルの奥地へこう交代させられるっていうことになった。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、昼はそのまま日本兵は密林に隠れたりとかして、夜こう寝静まった頃に米軍のその基地に行って切り込み襲撃をして、またすぐにこう密林へ隠れるっていうようなゲリラ作戦を取ったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そうそう。で、ここでね、えっと、前ちょっとタカサコ族の回で長室も言ってたんだけど、結構そのタカサコ族っていうのは活躍をしたんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ちょっとね、一部だけ紹介したいんだけど、優れた方向感覚っていうのがあって、
うん。
あの、密林ではさ、方向感覚を失いがちで、日本兵はこう屈戦をしたんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、そこでね、タカサコ族にこう扇動してもらって、移動を行ったんだけども、例えばね、森林の中で東西南北を確認する方法があるんだけど、これなんだと思う?
スピーカー 2
森林の中で?
スピーカー 1
そう。ちなみに太陽とかももう入り込まないような、もう本当に密林。
スピーカー 2
え、年輪とかじゃないの?
スピーカー 1
あー、もうなんかほぼそんな感じだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
これね、ぜひね、森林で遭難してしまった人とか、参考にしてほしいんだけど、
いやいや、聞いてないだろっていう。
ポツゲスト聞いてないかな?
いや、そんなゆとりがあるんだったら、たぶんね、遭難しないと思う。
スピーカー 2
あ、そっか。これね、あの、周りのその10木5、6本の枝を見るんだよね。
スピーカー 1
うん。
で、木はさ、東南側に面した枝が一番多く伸びるらしくて、
それからね、西とか北側の順に伸びていて、北側の枝はね、さらに苔が多くついてるんだって。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そうそう。ま、こんな風に方角を判断して、確実にこう移動することができたんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ま、自分もね、なんか将来の進路に悩んだらいつも、あの、枝を見るようにしてるんだよね。
スピーカー 2
オガタロン、だってそもそも進路に迷うことないじゃん。もう、だってずっと黄金ロードしか来てないんだから。
スピーカー 1
そんなことないわ。
で、えっとね、食料確保にも力を発揮していて、潜伏生活でさ、やっぱり食料不足が深刻になっていって、
徐々にね、目的っていうのがさ、米兵をこう攻撃するってことから、食料確保するってことに変わっていったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そこでね、タカソコ族っていうのは水中に潜って魚を捕ることに優れてたりとか、豚の足跡を見つけると逃げた方向を見極めて捕まえてきたりしていたんだって。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、それをね、取ってきたら必ずね、独り占めするんじゃなくて、日本兵たちに平等に分け与えて生活をするっていうようなことをしていたんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、ただね、ちょっとタカソコ族って言っても、冒頭に言ったけど部族がいろいろあって、この密林の中で活躍したのは、どっちかっていうと主に産地に住むタイヤル族とか、その部族が中心なんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
スニオン自体はあくまでアミ族出身で、平地で主に農業を営む部族だったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そこまでジャングルの生活を得意としていなくて、ただ彼自身は力持ちで荷物を担ぐのは上手かったっていうのはあったらしいんだけども、
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ちょっとそういう背景がある。
で、そんなジャングル生活の中でだんだんね、食料が不足していったんで、それでも。
また、セキリとかマラリアとか栄養失調で多くの死者を出していったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
このね、モロタイトウではね、1945年の終戦までね、1700人が戦死してる。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、終戦後ね、投降した兵士たちっていうのはもう骨と皮だけの状態だったりとか、かなり悲惨な状態だったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ただこの終戦となっても、ジャングルの中でまだ潜んでる日本兵っていうのはいくつかいたんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、その中にスニオンっていうのもいた。
で、彼はね、最終的に10人くらいの仲間と行動してたんだけども、ある時ね、これは仲間の証言なんだけど、スニオンが突然いなくなっちゃったんだって。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、これはね、本人が明確に証言してないから、謎の部分も多いんだけど、仲間の証言やその後の彼の行動から見ると、
まあ、大勢で行動するよりも1人を自ら選んだんじゃないかなっていうところが言われてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、彼はね、1人になって、ジャングルの奥地のね、谷の合間で見つかりにくい場所にね、小さな小屋を建てて暮らしたんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
屋根はね、ヤシの葉で覆って、高さ1メートルくらいで、人がね、1人やっと寝れるだけの大きさの小屋に暮らしたんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、ここにもね、やっぱちょっとジャングル生活の中では敵が多くて、例えば野生の豚がね、小屋に突進してきて破壊されたこともあったし、
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ある時はね、寝ているとね、3メートルほどのヘビが首にこう巻きついていて、数時間のこう、格闘の末、やっとね、そのヘビの喉を指で突き刺して倒したっていうこともあったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、まあ、そんな中ね、最大の敵がいたんだけども、これは何だと思う?
スピーカー 2
え?ジャングルだよね。
スピーカー 1
そう。
スピーカー 2
蚊じゃない?
スピーカー 1
あー、正解。
スピーカー 2
そうそう。
スピーカー 1
たくさんの蚊がいてさ、いろいろ工夫したんだけど、やっぱ蚊からは逃げられなかったんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、最終的には彼はね、膵体だけ血を吸わせたんだって。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、そうするとまあ皮膚がね、慣れてきて、まあもう徐々に苦痛はなくなっていったって言うんだよね。
スピーカー 2
まあ、方法としてはダメだろうけどね。
スピーカー 1
いやもう、このさ、極限の世界まですごくない?それ。
スピーカー 2
なんか、ただ諦めただけな気はするけどね。
スピーカー 1
あー、でも確かにさ、こういう産地に住む部族とかもそうなんかな?
スピーカー 2
いやー、皮だってね、マラリア売買したりするからさ、基本的に危ないからね。
スピーカー 1
あー、確かにね。
スピーカー 2
うん、だから吸わせるのがいいかっつったらよくはないと思うけどな、俺は。
なんか、分かんない、メリット、だから諦めたんじゃないかなと思うけど、やっぱりもう対策取れないから。
スピーカー 1
あー、確かにね。
スピーカー 2
割り切ったって言った方がいいかな、諦めたっていうよりも。
スピーカー 1
で、食事はね、産虫に生えてる、モンキーバナナっていうのもたくさん生えてたらしくて、
あと、川にはウナギとか、野生のブタ、キジバトとか捕まえて食べてたらしいんだよね。
スピーカー 1
もうね、この時、満55歳だって。すごいよね。
スピーカー 2
30年だ。もう人生の半分以上、ジャングルだからね。
スピーカー 1
そうなんだよ。で、その後ね、インドネシア空軍輸送機でジャカルタへ到着して、そこでね、飛行機のタラップから降りた時に、彼はね、ショックを受けて膝から力が抜けたんだよね。
うん。
これ何でだと。
スピーカー 2
いや、全然わかんないな。
スピーカー 1
これね、報道関係者たちがいて、望遠レンズをつけたカメラを構えて待ってたんだって。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
それがね、全部ね、銃砲だと勘違いして、ここで殺されるんだと思ったらしい。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そうそうそう。そして、ちょっと短い記者会見の後、彼はちょっと病院で数日過ごして、で、彼自身はもう本当に至って健康で、今までね、そのジャングルの中では風邪なんかひいたこともなかったんだけども、このね、ジャカルタに来て初めて風邪をひいたらしいんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
まあ、なんかこれも不思議だよね。
スピーカー 2
ああ、だから人間がやっぱり風邪とかを倍快するんだろうね。
スピーカー 1
ああ、そういうことか。
スピーカー 2
うん、多分そうだと思う。
スピーカー 1
そう、で、こっからがね、ちょっと本当にね、複雑な事情がどんどん入ってくるんだけど、
うん。
まずさ、台湾っていうのはさ、1945年の終戦後からさ、日本統治の時代は終わっていて、1951年にサンフランシスコ講和条約で台湾の領有権を放棄してるんだよね。
うん。
で、スニオンがさ、生まれた時っていうのは、台湾は日本であって、日本人として教育もされて育ってきたんだよね。
うん。
で、それがさ、発見後、彼の国籍はもうすでにね、中華民国になってたんだよね。
うん。
で、名前も中村テルオからリクワンホエっていう、その中華民国の名前になってた。
うん。
で、さらにね、日本は1972年にさ、北京を首都とする中華人民共和国と国交を結ぶようにしたんだよね。
うん。
だからさ、台湾のその中華民国とは国交をその時断絶していて、
まあこれはさ、中華人民共和国が掲げる一つの中国っていう意向を日本が取ったんだよね。
うん。
だからさ、インドネシア空軍から中村テルオの発見連絡が日本政府にあった時に、対応がすごく複雑で、日本人としてではなくて、元日本兵として対応したんだよね。
うん。
で、インドネシア側から見るとさ、スニオンっていうのはさ、台湾籍の不法滞在者になるわけで、台湾へね、送還するのが原則なんだよね。
うん。
で、もし本人が日本に行きたいっていう希望をする場合は、日本政府は亡命っていう形で帰国に協力するっていうような形なんだよね。
うん。
で、スニオンはね、家族のいる台湾へ帰国するって意思表明をしたことで、台湾へ行くことになったんだよね。
うん。
それで、インドネシアからさ、台北の飛行場にこう着いて、そうするとね、空港はね、もう寒散としていて、何の歓迎行事もなかったんだって。
うん。
これはさ、台湾の中華民国政府としてはさ、やっぱ複雑でさ、旧日本兵は第二次世界大戦では敵国同士だったわけじゃん。
うん。
歓迎して盛大に祝うっていうことはやっぱ難しくて、報道とかではね、日本軍閥の犠牲者だっていうような報道されたんだよね。
うん。
で、記者団の数もね、日本の記者団で言うと14人ほどで、これね、小野田さんとか横井さんとかはもう本当にすごい数で100人ほどぐらいこう押し寄せたんだよね。
スピーカー 1
うん。
こういうね、かなりの差もあるんだよね。
うん。
で、妻と息子と念願の再会を果たすんだよね。
うん。
ここでね、日本の記者のインタビューがいくつかあるんだけども、例えばね、「どうして出てこなかったんですか?」って質問に対して、「殺されるのが怖いんだ。当たり前だろ。出て行けば殺される。」いうような回答をしてるんだよね。
うん。
で、「この30年は無駄だったと思いますか?」っていう質問に対しては、「お国のために行ったんじゃないか。出世、召集されたらみんな行って戦う。しょうがないじゃないか。」っていうふうに答えて。
うん。
で、「30年間ね、何を一番考えていましたか?」っていう質問に対しては、「やっぱりふるさとのこと。」っていう回答をしてるんだよね。
うん。
そうそう。彼にとってやっぱり生きてふるさとへ帰るってことが生き甲斐だったらしいんだよね。
うん。
で、その翌日ね、スニオンと妻っていうのは新婚時代に過ごした村へ向かって行って、そこで地元住民らがもう歓迎する準備をしていたんだよね。
うん。
そこにね、スニオンらの乗ったマイクロバスがやってきて、突然急停車して、妻と息子が降ろされて、荷物も全部降ろされて、スニオンの乗せたバスはそのまま去っていったんだよね。
うん。
これ何でだと思う?
スピーカー 2
いや、全然わかんない。
スピーカー 1
これね、バスの中で実は妻が再婚してるってことを告げたんだよね。
あ、スニオンに?
スピーカー 2
そう。
スピーカー 1
いや、それを聞いてね、スニオンが軍国の妻がなぜ待てないのかとか言って、怒り出して暴れ出したんだって。
うん。
で、妻と息子は降ろされたっていう。これすごいよね。
スピーカー 2
うーん、まあ気持ちはわからなくはないけど。
そうそう。
スピーカー 1
このちょっと背景を話すと、その妻っていうのは、終戦後夫の部隊が帰ってきた時は、まだ帰ってこないから、ききに回って10年間夫の帰りを待ってたんだよね。
うん。
ただ、一向に帰ってこなくて、それでも小さな子供を抱えながら畑仕事をしなければならなかったし、生活がすごく苦しいものだったんだよね。
うん。
で、そこに隣で畑を耕していた16歳年上の男と出会うんだよね。
うん。
彼がね、畑を一緒に手伝ってくれるようになったりとかしてる中で、その村長の勧めもあって、2人っていうのは結婚することになったんだよね。
うん。
こうしてね、息子を入れて3人での結婚生活が始まって、男は一生懸命働いて一家を支えていったんだよね。
うん。
で、我が子のように子供を可愛がって、もう仲良く3人で暮らしていった。
うん。
で、こうして21年の月日が流れて、突然前の夫のスニオンっていうのがモロタイトで発見されるっていうことを知るんだよね。
うん。
で、このことでこの幸せな家庭っていうのは揺るがす事態になっていったんだよね。
妻と再婚相手の男っていうのは、当時生きていたことは嬉しく思うが、今の夫婦関係の継続を希望するっていう意思表明をしているんだよね。
うん。
ただね、息子に関しては産みの親であるスニオンと一緒に暮らすことを希望したんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そんな息子の気持ちを感じて再婚した男っていうのは、スニオンが家に帰ってきたら自分は身を引くっていう決断をしたんだよね。
うん。
で、そういう背景があって、妻と息子は台湾で再会をスニオンとして、そのバスの中で再婚してるっていうことを打ち明けたっていうことがあった。
うん。
でも怒り狂って降ろされちゃったわけよ。
うん。
で、そのマイクロバスっていうのはさ、猛スピードでスニオンの生まれ育った村へ向かったんだよね。
うん。
で、その後さ、妻とか息子が後を追ったんだけども、家に入れてもらえなかったんだよね。
うん。
で、その毎日ね、妻はね、スニオンのところへ訪れて、これ許してもらおうとしたんだけども、会うことすらできなかったんだよね。
うん。
で、そうした中、親族たちも交えて話し合いが行われて、ようやくね、スニオンがね、再び妻と一緒に暮らすことを同意したんだよね。
うん。
ただ、その再婚してた男にも今まで育ててもらえた恩があるから、そのためね、彼にはね、お金と牛一匹をあげることで解決したんだ。
で、こうしてね、復婚式って言われる式が家で行われて、もう一度ね、夫婦は一緒になることを誓ったんだよね。
うん。
で、このね、村人たちが祝福をしたんだけども、そこにね、かつての再婚相手であるその男も来賓の中に来ていたっていうんだよね。
うん。
いや、これすごいよね。
スピーカー 2
まあ、これはほら、全員がハッピーになれる結末はないわけじゃん。
スピーカー 1
もうないんだよね、そう。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
かなり苦悩して、で、このね、2番目に結婚した人っていうのかな。
うん。
彼はね、私は恨まない。これは戦争がもたらしたものだ。苦労したのはリクワンホエであるっていうようなことを言ってるんだよね。
うん。
でも思うとさ、この2番目に結婚した男っていうのはさ、約21年間の結婚生活なわけよ。
うん。
スニオンとはさ、もう約4年ぐらいしかいなかったんだよ、戦争に行く前。
うん。
このさ、年月から言ってもさ、いや、すっごい複雑だよね。
スピーカー 2
まあ、俺は何だろうな、2番目が可哀想だなとしかちょっと思わないな、これに関しては。
スピーカー 1
ああ、確かにね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
いや、で、その後ね、スニオンっていうのはね、アミ族一の金持ちに実はなるんだよ。
うん。
で、これはね、なぜかっていうと、日本政府がね、規定に沿ってまずそのスニオンに未払給与って言われるその38,000円を渡したんだよね。
うん。
で、さらに特別未払金として200万円送ったんだよね。
うん。
またね、国会議員とか日本台湾の民間人からも様々な援助金額を殺到して、総額ね、彼はね、日本円で800万円以上もらったって言われてるの。
うん。
で、これはね、タカサゴ族の当時の一般水準と比べても桁外れの財産を持つことになって、彼はね、その新しい家を建てて水田も買うことができたんだよね。
うん。
で、その後スニオンに対して周囲の村の人の評判をこう聞くとね、実はね、評判が良くなかったっていう回答が多いんだよね。
うん。
そう、彼はね、多くの人から接待を受けるんだけども、で、それでね、たくさんの酒とか毎日平均60分ぐらいタバコを吸うようになって、
あとね、瓶狼って呼ばれる覚醒効果のある木の実をかじり続けていたんだって。
うん。