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2024-09-02 12:27

018 「ミロのヴィーナス」導入と終結のマイ決定版

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高等学校国語の定番教材「ミロのヴィーナス」ではいろんな工夫をしてきましたが、このたび、私の決定版ともいえる導入と終結の取り組みが見つかりましたので、ご報告します。

評論指導における絵本の活用ー「ミロのヴィーナス」と 「ぼくを探しに」ー

 

↓ 上記リンクがだめな場合こちらからどうぞ

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jtsjs/131/0/131_309/_article/-char/ja/

 

皇太子フェリペ・プロスペロの肖像

 

 

00:00
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
このチャンネルでは、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと語っています。
おはようございます。日曜日の朝に録音しています。
昨日の夜に、私が所属している広島みおの会、水脈と書いてみおの会と読むのですが、国語教育の研究会がありまして、私はそこで実践発表してきました。
この発表は、先日夏の大学の教育学部の学会でも発表したものを発表したのですが、
その時の模様は、後々じっくり発表するとしまして、今回はその中の一部として取り組みました、
高等学校の定番教材、「ミロのヴィーナス」という評論文の導入と終結についてお話をしたいと思います。
ミロのヴィーナスというのは定番教材になっていて、私が高校生の頃から入っていました。
概要を言いますと、皆さんがルーブル美術館に飾られているミロのヴィーナスをご存知だと思うのですが、
あれは両腕を失っているからこそ、さまざまな腕を創造させて、美術心として普遍的な価値を持ったという内容なわけです。
これはどの高等学校でも多分一学期にされると思うのですが、私も何回も何回も授業をしてきまして、導入と終結に工夫をしてきました。
ミロのヴィーナスとか、ルーブル美術館という美術品自体、生徒に沿道いい存在なものですから、
どうやって生徒に引きつけようかなということで、過去やった導入は誰でもやったことがあると思うのですが、
まず両腕のないミロのヴィーナスをプリントに印刷して、それに腕をいろいろ描かせて、復元案を試みさせて、
それをみんなで見合って感想を言い合って、興味づけでスタートします。
終結はどんなことをやったかというと、ミロのヴィーナスの美術展覧会をやるとして、
そのポスターを描きましょうとか、そのリーフレットを作りましょうとか、
そういう感じで美術作品の興味づけと、美術作品の魅力を紹介するというパフォーマンス課題でやりました。
楽しかったのは楽しかったのですが、やはり表面的といいますか、やるためにやるというような感覚が拭えなかったわけです。
今回はそこをやめまして、新たに大胆に試みたことが大変良かったので、それを紹介したいと思います。
03:07
まず、生徒は美術作品の見方というのをあまり知らないだろうと思って、
美術作品には様々な仕掛けがあるんだ、面白いんだということを味合わせたかったんです。
そこで私が過去に大変影響を受けました、中野京子さんの本に怖い絵というのがあるんですけど、
これを読んでみたら面白いんですね。これで私が美術作品を見る目は変わったんですけど、
その中にベラスケスという画家が描いた、皇太子フェリペ・プロスペロの肖像というのがあるんですね。
これは皆さんネットで検索していただいたらわかると思うんですけど、皇太子フェリペ・プロスペロの肖像。
2歳ぐらいの男の子が女の子の服を着されて、ドレスを着されて、豪華な彫土品の中にいて、非常に老成した表情で立っていて、
ドレスには鈴が付けてあるわけですね。実に不思議な、ちょっと後ろのバックが真っ黒で、ちょっとした不安を感じさせるような、
それが皇太子の男の子の肖像画なんですよね。これいろいろ仕掛けがあるんですけど、
これ喋ってたら10分じゃ終わらないので、後でまた紹介してもいいかなと思うんですけど、これの謎解きをやりました。
これが生徒が本当に興味引きつけられて、何なんだ、何なんだということで、謎解きをやったらものすごく盛り上がりまして、
いつも謎解き3回目ぐらいかな、やるんだけど、どの生徒も興味鑑賞いただきます。
美術作品というのは、やっぱりいろんなことを知って、いろいろな知識、教養をバックボーンに持って、それで鑑賞すると、ものすごい解像度が上がるんだよ、
というようなことで導入に使って、じゃあミロのビーナスを見ていきましょうということでやりました。内容については、ミロのビーナスはごく普通に展開はしていったんですけど、
最終的に集結、パフォーマンス課題というわけではないんですけど、どういう集結にしたかと言いますと、
これをやった後、両腕を喪失することによって新たなる美を得た、普遍的な存在になったという、そういうまとめとして、
じゃあこれからある絵本を見ましょう、それと比較読みをしましょうということで、絵本を見せました。
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この絵本の名前は、僕を探しにっていう絵本なんです。皆さんご存知でしょうか。
僕を探しにっていうのはですね、有名な外国の絵本で、シルバスタインっていう人が作って、倉橋由美子さんが役をしたものですね。
簡単に中身をちょっと紹介しますと、僕っていう丸いキャラクターがいるんですけど、それはちょっと欠けてしまって不完全なんですね。
欠けているので完全になりたいっていうことで、僕の欠落した部分を探しに、どんどん回転しながら、丸は回転しながら行くわけです。
でも欠けてるから、回転がスムーズじゃなくて、あちこちにぶつかったり引っかかったりするわけですね。
その度にいろんなものと出会い、いろいろと刺激され、考えさせられ、会話したり対話したり、つまずきながらずっと転がって、僕の欠片を探しに行くわけですね。
欠片は見つかったんです、ぴったり来るものが。
ぴったり来たら、ぴったり来るがゆえにパーフェクトになるので、円がどんどんスピードをもって回転し始めて、早く走ることができるようになるわけですね。
わーいということで、一時この僕は非常な喜びに包まれるわけですが、あまりにも早く風景が過ぎ去り、大切なものをどんどん関わりもなく過ぎ去って見失ってしまって、
もしかしてこれは欠片がない方が自分は良かったんじゃないかということで、欠片を外すわけですね。
そして僕は完全じゃなくていいんだ、欠けているからこそ見える風景があるんだということに気づいて、欠けたまま人生を豊かに幸福に歩んでいくっていうような絵本があるんですね。
これは良いわと思って、そしてこれヒントは得たのは、2016年に発表されたリーグンさん、評論指導における絵本の活用、ミノのビーナスと僕を探しに、
これは全国大学国語教育学会国語化教育研究の大会発表用紙集、後で概要欄にリンクを貼っておきます。
これを目にして、もうこれはいいわということで、私が導入したわけですね。
最後、比較読みというスタイルで、ミノのビーナスと僕を探しにを比較してみようということでやらせたわけですけれど、
これが非常に生徒に響きまして、生徒は食い入れるように見て、それから比較読みのワークシートをむさぼり書くように書きまして、非常に取り組み熱心でしたね。
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一部紹介しますと、2つとも書けているところがあるからこそ、いろんな発想や体験など多様な価値観が生まれると思った。
これはミノのビーナスも、それから僕を探しにの僕という主人公も、書けたところがあるからこその多様な価値観というコメントがあったり、
ミノのビーナスも、僕を探しにも、自分の体の一部が欠損していることで大切な何かを生み出せたと言えるというコメントがあったり、
どちらも不完全さが取り柄であることが分かり、またその不完全さはミノのビーナスであれば特殊から普遍の条約であり、
僕を探しににおいては芋虫や蝶やカブトムシという他者との触れ合いに必要不可欠なものということに通じていると思い、
面白いと感じた。それがミノのビーナスでいうところの媒介であることに気づいたということで、
ちゃんと2つを上手に関連付けさせて対応させてコメントさせてましたね。
ということで、関連付けっていう能力もつけさせることはできますし、
自己の欠損と自己回復っていう認識を新たにするっていうところもできますし、
ミノのビーナスのパンフレットを作ろうとかいうパフォーマンス課題よりも、よほどか生徒の成長になりましたね。
ということで、この僕を探しにっていう絵本との比べ読みが、私の長い業品生活の中で最もヒットした取り組みだったので、
私の毎決定版としてこれからもミノのビーナスをやることがあれば、この2つをセットにしてまたやってみたいと思います。
パフォーマンス課題とか、実生活に密着した役割を与えて描かせるとか、そういうのが新学習指導要領、現学習指導要領では非常に重要視されているんですけれど、
パフォーマンス課題もある意味、ちょっと取ってつけた感がなきにしもあらずというそういう欠点というか、そこが見え隠れするなと私は思っています。
なので、パフォーマンス課題を与えることはいつも大事に思っているんですけど、パフォーマンス課題に無理にしなくても、やっぱり生徒の認識を新たにしたり、
それから資質能力を知らず知らずにつけてしまうような、そういった面白い複数テキストの読み合わせっていうのも大いにありなんじゃないかなと思いますので紹介いたしました。
ということで、今日は私のマイ決定版ミロのビーナスの導入と集結をお届けしました。
12:05
こんな感じで教材の工夫とかも配信してほしいなっていうことがあれば、
ぜひスター評価の方をポチッと押していただければ、こんな内容がいいんだなということでまた私のいろんな工夫を配信したいと思います。
それでは今日はこの辺で。ありがとうございました。またお会いしましょう。
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