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皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日は、115 回、共通テストに実用的な文章が導入されて負担増になるという問題について、お話ししたいと思います。
いよいよ、共通テストがもうじき始まりますね。とうとうやってきました。
この 2025 年の共通テストから、国語は 80 分の時間が 90 分に増えます。
そして、今まで、評論、文学的な文章、古文、漢文って 4 つの分野だったのに、1 つ分野が増えまして、実用的な文章というのが入ることになりました。
この実用的な文章の中には、図や表、グラフ、それから実用的な文章も入って、レポートとかですね。
そういったのが入ってきて、新しい傾向の問題が導入されることになりました。
この背景には、OECD という、いわゆる経済協力開発機構という、そういう組織で求められている能力なわけです。
この OECD 諸国が図っているのは、有名な PISA っていう、学習到達度調査っていうね。
3 年ごとに行われる、この調査でいろんな能力を図っているわけですけれど、これに対応する力を身につけようということで、
大学入試の方で、そういうふうな傾向の問題を出そうということになったのが背景にあると思うんですけれど、
さまざまな資料や文章を関連づけて読み取る力が求められて、その中で共通点や相違点を分析しながら考察するという、非常に高度なレベルの能力を求められているということで、こういうテストが導入されることになりました。
現場では、それ対応の傾向と対策をやったりなんかするんだけど、
まあね、今までの評論と文学的な文章と古文、漢文だもん、ひひひひ言ってたのに、さらに実用的な文章っていうのが加わることによって、生徒ものすごい荷重負担になりましたね。
もうものすごい量の文章を90分で処理しなくてはならないので、時間配分も必要だし、トレーニングに次ぐトレーニングが必要になってきて、
本当に国語やってるんだか、トレーニングやってるんだかわからないような感じの、そういう高度な情報処理を求められるようになりました。
本当に生徒は大変だと思うし、私も解いていて、これ時間ギリギリじゃないっていう感じで、もう最後の方は勘で書かないといけないっていうような分野もあるんじゃないかなと。
生徒は本当に大変だと思います。こんな中で点数が取りやすい子っていうのは、速読できる子ですよね。
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ザーッと読んで、要領よく要点をつかんで、要領よく文章を切っていって、効率よく処理できるっていう、そういう生徒はまあまあ高得点しやすいんじゃないかなと思います。
だから読解っていうよりはトレーニングっていう方に重点を置かないと高得点が取れないのかなと思います。
その反面、時間をかけてじっくり読む子。私もなんかそっちの方なんですけど、時間をかけてじっくり文章を読んで、文章と対話したい人。
この作者はこのことを考えて、こういうふうな展開で、次にこういうふうな論展開をしたがってるんだなとか。
この小説ってこういう時代で、こういう時代の時代背景ってこうだったなとか、登場人物についつい感情引入しちゃって、それはないでしょうとか言いながら、文章と対話しながら読むとか。
そういう文章を味わって読みたい生徒。じっくりじっくり考えて、ゆっくりゆっくり考察して、その文章を堪能したいっていう人にとっては非常に不利な内容になってるんじゃないかなと思いますね。
でも生徒の中では、じっくり読みたい生徒もいると思うんですよ。文章を見たらじっくり読みたいって思う生徒もいると思うんですよ。
うちの娘なんかもそうだったんですね。じっくり考えたい人だったんですよ。じっくり考えて、しっかり考えたことをアウトプットして充実感を覚えるタイプの生徒にとっては、
短時間で処理して、要領をよく回答して、情報を処理する、そのトレーニングを積んだことを発揮するっていうタイプの生徒はいいかもしれないけど、そうじゃない生徒にとっては非常に苦痛な負担増な問題になってるんじゃないかなと思いますね。
だから現場でやってることと非常に乖離してるんですよね。例えば論理国語を担当してるんですけど、ゆっくりゆっくり複数文章を読ませるの時間かかるから、丁寧に正確に読ませようとしたらすごい時間を消費するんですよ。
おまけに個別最適とか、それから自由心の学習とか言われてるじゃないですか。個別最適にしようと思えば、やっぱりその人その人それぞれの読み方で時間もかかる子もいれば、それから自由心の学習というテーマも選べば、その子の進み具合もその子の個性を尊重しようということになってるので、
かたやまたインクルーシブ教育とか言われてるわけじゃないですか。そうやってその子の考えとか思考とかの時間とかやり方を大切にしようと思ってるそういう現場でやってることと、共通テストの内容と全然次元が違うわけですよね。
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そういうねじれがある中で、いつも私が思っているのは、入試とそれから現場の教育っていうのはちょっと質が違うんだな。だからダブルスタンダードでいかないといけないんだな。もうやり方違うものを混在させながら現場では教育していかないといけないんだなって思っていて、半ば割り切りながらやっているというのが現状です。
そういった思いをXでつぶやくと、やっぱりそういったことをコメントで返してくれる先生もいらっしゃって、やっぱり共通テスト対策っていうのと、それから日常の教材、授業っていうのとつなぎ合わせないといけないんだけど、なんかアプローチがねじれてるっていうね。そういったことを実感しました。
そんな中、これから共通テストの、2025年度の共通テストがね、とうとうあるわけなんですけれど、初年度は一体どんな問題になるのか。そして生徒はどういうふうにその初年度を乗り越えていくのかっていうのを見守りたいと思います。
それでは今日ちょっと愚痴っぽくなってしまったんですけど、共通テストをね、全国で受ける受験生の皆さん、両門が出て、そしてその中でベストの力が出せるようにお祈りしております。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。