授業の基本の重要性
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日のテーマは、授業の基本ってなんだろう、教育実習生指導の振り返り、というタイトルでお届けします。
私は、国立大附属勤務時代に教育実習生を何人も何人も教えたんですね。
私が勤めているとき、今もなんだと思うんだけど、年に3回教育実習生が来まして、その都度4人から6人の教育実習生を担当して、それで2週間とか3週間とか指導していくわけです。
そういうときって本当に忙しくて大変だったんだけど、一番大変なのは、何といっても自分の授業を見られる。何人も実習生さんが来て、自分の授業を見られるので、
適当にやるわけにもいかないし、普段の授業で生徒をちゃんとしつけてないといけないし、本当に自分の授業力を問われるという状態が結構たくさん続くわけですね。
それはやっぱりね、自分の授業相当鍛えられたと思いますね。
発問についても、番書についても、生徒のやりとりについてもそうだし、もちろん教材研究についてもそうです。
そういう経験を経て、今振り返ってみるに、授業をする力とか授業の基本って何なんだろうと、こういうことについてまず語りたいと思います。
私が支持しているセラ・ヒロアキ先生は、授業の基本についてよく言われてましてですね、まずは教材研究だっておっしゃってました。これは当然だと思いますね。
教材研究を深めていって、できるだけ生徒をイメージした教材研究を行い、その中で教材分析する中で、その番書計画も形作っていくと、こういうことは必ず基本になってくると思います。
その次に、やっぱり大きな声でわかりやすく、やっぱり生徒にとって聞き取りやすい話し方とか、それから接し方とか、こういうのはね、とても大事だっておっしゃってましたんで、やっぱりその先生自体の身体性とかパーソナリティとか、そういったところが大きく関わってくるところだと思います。
それから3番目に、何と言っても発問応答ができないといけないというふうにおっしゃってまして、発問するというと問いを作る力もそうだし、問いを投げかけて、どういうタイミングで、どういうふうな強弱をつけながら問いかけるのか。
そして、問うた後、生徒が答えるその答えをどう受けて、どう全体の場で共有し、そしてそれを深めたり、あるいは関連づけたりしながら、どう番書計画に位置づけていくのか。ものすごく高度なテクニックが必要だと思うんですけど、でも発問応答がきちんとできなければならないとセラ先生はよくおっしゃっていました。
それを番書計画の中に位置づけるのにも、生徒のどの言葉を取り上げて、それをどう切り取り、どういう場所に番書として位置づけていくか。これもその場で判断しないといけないので、これまた高度なテクニックが要求されるわけですけど、でもこれが基本なんですよね、実際問題ね。
だから教材研究ももちろん深くないといけないですし、生徒の答えを受けて、生徒の言わんとしていることを上手に拾って、それを評価して、そして番書に位置づけてやるという、まずこれが授業の基本だというふうにセラヒロアキ先生はおっしゃってました。
だから一足飛びにグループ学習とか発表させて、それを共有してまとめるっていう、ついついパフォーマンス課題が最近花盛りなので、そういうのにどんどんどんどん行ってしまう人多いと思うんだけど、まず基本がそこなんだよっていうふうに私は教えられてきたんで、自分自身もパフォーマンス課題に走りすぎてるなと思ったときは常に番書に立ち戻るようにしてますね。
ということで、私が教えてもらった授業の基本っていうのはそういうところにあります。
教育実習生の対照的な経験
特にやっぱり生徒の答えを拾うっていうのものすごいテクニックで、私が発問します。
生徒がそれを答えます。生徒の答えがどうしても小さい声だったり、それから言葉足らずだったりした時にまたそこで問いを重ねたり、あるいは私自身が生徒の答えを拾って復習をしたりしないといけないですよね。
そこで今のどういうことだったのか、もうちょっとこの辺詳しく説明してくれるとか。
なんとか君はこう思ったけど、なんとかさんはそのことについてさっきこんなこと言ってたけど、そのことをどう思うとか、そこで関連づけるとか広げるとか収束するとかさせながらやっていくっていうこのコントロール力がね、相当大変だと思うんですよね。
私やっぱり国立大附属に勤務してた時に本当に鍛えられたなと思って、月に1回研究授業があるんですよね。
林番で回ってくるんだけど、他の先生の授業も見るわけですよ。すごい勉強になる。めちゃくちゃ上手い。
もう教材研究もすごいし、生徒との応答もそうだし、日頃鍛えてるなって思うし、私も毎日毎日がもう特別訓練ですよ。
教育実習生が来る、教育実習生に下手な授業を見せられない、ものすごいトレーニングというか修練の日々を送り、油汗をかきながら頑張ってきました。
相当ね、修行したなって感じがするな。
ということで、思い出に浸りすぎてみましたが、そんな中でもある教育実習生がとても印象に残っていて、
Aさんは女性、日本語学の要するに留学生とか外国の方に日本語を教えるというそういう学部にいらっしゃった方で、
日本語学の学生さんで国語の免許取りに来られてまして、その時には言語と記号だったかな、評論を担当されました。
Bさんは男性で、これは国文学の出身の方で、大学院生かな。
もう本当に丁寧に丁寧に考えて、しっかり勉強される方で枕草子を担当されました。
この2人を受け持った時、非常に対照的だったので、これをお話ししたいと思います。
まず、Bさんという男性の方なんですけど、教材研究がすごく深くてバッチリなんですよね。
ちゃんと全体が4時間だったら、その4時間の中できちんと構成されていて、指導案もちゃんと教えられた通りに基本を踏まえて、
深く深く書くこともできますし、文章計画も上手に本当に構造化された文章計画で、とてもよく考えられてるなと思ったんですね。
ちょっと何癖をつけるとすれば、国文学寄りの作家作品研究によっているかなと思ったんだけど、
それはこの人の持ち味でもあるし、専門分野でもあるので、そこを活かして頑張ってもらおうと思って、
ちょっとやってみようかということでやってもらいましたけど、やっぱり教団に上がるとなると、どうしても生徒とのやりとりがギクシャクしてたり、
まずもって前に立って説明するっていうところに非常に手慣れてないというか、ものすごくマゴマゴして説明するのも難しいし、
生徒に発問する、そしてそれを返すっていうのもなかなか難しくて、やっぱり自分自身でコツコツと勉強することには慣れてるけど、
そうやって大勢の前でやりとりするっていうことにはとても慣れてないなっていう感じがしましたね。
それに引き換え、Aさんという女性の日本語学出身のこの女性は指導案はどっちかというとシンプルで、
あんまり説明をいっぱい書いてなくて、これでできるんだろうかっていうぐらいポンポンポンと書いているわけですよ。
私が質問したらちゃんと答えるんで、その指導案については彼女自身の中で落ちている、きちんと理解できているんだなと思って、
やってみようかということでスタートしたんですけど、まず導入部分でちょっとしたゲームのようなアクティビティみたいなものを入れて導入部分で生徒を引きつけまして、
そして非常に、要するにアイスブレイクですね。そこでほぐし、さらに子供を当てるのがうまい、タイミングがすごいうまかったですね。
そしてその子供が答えを受けるのもうまかったし、そしてすぐに生徒の特徴をつかんで、
なんとかくんどう思うっていうふうに、この場で行くとあの子に当てたら一番いいっていうふうにね、判断してさっとその子を当てるっていうような、
もうその遠い素急妙なやり取りもうまかったですし、締めくくりもね、その4時間の一番最後の落ちもね、
自分が学生時代に使っていた英語の辞書を持ってきて、こんなことをやって、私は勉強して、本当に頭に入ったっていうようなことを実際に目で見せてみて、
本当に生徒の心をつかんでタイミングよく授業をした、そういう女性の学生さんがいらっしゃったんですね。
いやこれはすごいなと思って聞きました。どうしてそういうふうに展開するのがうまいのかって聞いたら、
日本語学の学生さんなんで、何回も何回も留学生相手に模擬授業をしてたんですね。
その都度、教授の先生からダメ出しを何度も受けて、もう教団に立っている数が普通の教育実習生じゃないぐらい、
今までたくさん教団に立ってきて、教えてきて、やり取りの面でもかなり修練を積んでいたということが分かりました。
ということで、教育実習生対象的な2人を見て、教材分析がちゃんと深く深くできるだけでもダメだし、
とりあえずしゃべるだけでもダメだし、生徒とのやり取りに本当に慣れてないといけない熟練を必要とする分野なんだなっていう、
そういう感想を持ちましたね。
自己反省と今後の方向性
じゃあ自分の授業をいざ振り返ってどうなのかっていうのを日々反省するばかりです。
どうなんですかね。やっぱり自分の授業をビデオに撮って見てない、見てみないといけませんよね。
最近ね、ビデオに撮って見てないんで、ビデオに撮って見てみたいなっていうふうに、このポッドキャストで思いました。
ということで、今日のテーマは授業の基本から自分自身の授業をビデオに撮って見直してみないといけないという、自分自身への反省となって帰ってきました。
でもまずはこのポッドキャストで自分のしゃべり方の鍛錬をしているのですが、これはやっぱり何となく半年経ってきたと思うんですけど、日々の授業でとても生きているなと思う瞬間が多々あります。
これからもまだまだたどたどしい部分はあるとしても、自分自身が修練していくべくポッドキャストを続けていきたいと思います。
それでは今日、この取り留めのない話にお付き合いくださりありがとうございました。
今日の配信はここまでです。またお会いいたしましょう。