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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
こちらの番組では、たくさんのワンちゃんや飼い主さんと関わってきた私が、日本の犬と飼い主さんのQOLをあげるおテーマに、犬のあれこれについて、私個人の見解からお話ししています。
時には、子育てネタや留学時代や旅行の思い出などのお話しもお届けいたします。
今回は、前回の続編、ワンちゃんのハンドリングの重要性についてお話ししようと思います。
前の回で、ワンちゃんのデンタルケアについてお話ししました。
健康で長生きしてもらうためにはとても大切というお話をしたと思います。
歯磨きをする前に、デンタルスキンシップという顔周りを触ること、唇や口の中を触ることを受け入れてもらう練習をしましょうということもお伝えしましたが、
歯磨きをするために、口周りや口の中を触ることに慣れてもらうというのは、実は歯磨きそのものよりも大事であったりするんですね。
ワンちゃんの体の隅々を触ることをハンドリングと言います。
ハンドは手ですね。
前回ご紹介したデンタルスキンシップは、このハンドリングの一つになりますが、
ハンドリングが抵抗なくできるということは、犬の健康と寿命を伸ばすことにつながり重要事項になります。
何を大げさな、たかが体を触るだけでしょう?と思われるかもしれませんが、
どんな時でも、どこでも、どんな風にでも、そして誰にでも体を触らせるということは、実はワンちゃんにとって簡単なことではありません。
飼い主さんが体の隅々を触れるということ、
それは日々の健康チェックとともに、体の異変にいち早く気づくことができるんですね。
そして、獣医さんが同じように体を触ることができるということは、診察をスムーズにし、診断を早くし、そのワンちゃんの命を救うことにもつながります。
トリマーさんに嫌がらずシャンプーやカットをさせてくれるということで、事故や怪我から愛犬を守ることもできます。
また、時間も短くて済み、ワンちゃんのストレスも軽減できます。
私がこのハンドリングの重要性を痛いほど感じたのは、東日本大震災の5ヶ月後、仙台にあった被災圏の収容ボランティアに行った時でした。
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そこで獣医さんのボランティアさんに言われたことを今でも覚えています。
犬が好きな一般の方や獣医のボランティアは多いけれど、一番今必要なのはトレーナーのボランティアなんだよ。
心身ともに深く傷ついた犬は、トレーナーさんの技術でしか扱えないことも多い。
例えば、被災したワンちゃんを収容する、捕まえるにしても、診察をするにしても、散歩に連れ出すにしても、体を洗ってきれいにしてやるにしても、犬が怖がり、怯えて、攻撃してきたりしては手が出せない。
もしくは、無理やり行うことでよりワンちゃんにストレスを与えてしまう。
そうした時に、人の手を受け入れるトレーニングをしてくれるトレーナーさんが圧倒的に足りません。
昔のことなので、ちょっと詳細は違うかもしれませんが、そういうニュアンスで言われたことを思い出しました。
その時、ハンドリングのトレーニングと囲われた小さな空間で落ち着いて過ごせるハウストレーニングの重要性を忠誠に感じたものです。
ハンドリングのトレーニングは愛情のトレーニングです。
信頼と愛情を持って触ること、触ることに慣れている犬は、環境や人が変わってもその手を受け入れてくれるのです。
だから私は犬に対抜、特に手を使っての対抜などはしたいと思いません。
そして対抜によって何かを教えるということはしていません。
私のトレーナーの師匠は、恐怖を持って教えられた犬はいつか必ずその恐怖が爆発して人間に立ち向かってくると私に教えてくれました。
表面上は従っているように見えても根底に恐怖がある限り、その犬がどん底に追い詰められた時、彼は攻撃性を見せて立ち向かってくる可能性があるからです。生き延びるために。
ハンドリングは飼い主さんとワンちゃんの関係性が一番見えるトレーニングです。
通常の体、全体だけではなく耳の中、口腔内、目尻、肛門、脇、尻尾、肉球、指の間、爪などの繊細な部分。
お手入れで言えば歯磨き、爪切り、ブラッシング、ハーネスをつける、カラーをつける、リードをつける、シャンプー、足を拭く、ドライヤーをかける、抱っこをする、仰向けにするといった行動。
人で言えば老人、子供、獣医さん、トリマーさん、男性、女性、そのすべてを、そのすべてに容易に触らせるということは、飼い主さんへの深い信頼がまずなければ成り立たないと思います。
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せっかく出会った人と犬ですから、その20年未満の時間をなるべく幸せに楽しく過ごしてほしいというのが私の願いです。
前回の配信を聞いて、そうは言ってもうちの子、歯磨きはハードル高いなぁとか、うちの子、体を撫でるのはいいんだけど、ブラッシングやシャンプーは苦手なんです、という飼い主さん。
まずはこの愛情のトレーニングであるハンドリングから始めてみてはいかがでしょうか。
ワンちゃんがリラックスして寄り添ってくれているときに始めるのがおすすめです。
そして、普段は触らない場所や敏感な場所、嫌がりそうな場所については、「いい子だねー。」と声をかけながら、触れるか触れないかぐらいのタッチで優しく触ります。
ハーネスやブラシ、足拭きなどが苦手なワンちゃんは、まずは道具ですね、それを見せてあげるところからスタートします。
道具を見せる、道具を体にそっと当てる、道具を適切な部分にタッチする、道具をちょっと使って動かしてみる、など細かいステップを踏んで、その都度、「いい子だねー。」と声をかけたり、褒めてあげましょう。
いずれにしても、じっと受け入れてくれたときには、それが当然、犬なんだから、主人の言うことは受け入れて当然と思わず、触らせてくれてありがとうね、と感謝をして褒めてあげましょう。
小犬でも正犬でも、触らせてくれたら感謝を伝えて、ご褒美をあげることで、これはいいことなんだ、おとなしくしていればおやつがもらえる、だな、と学習してくれますよ。
この学習はワンちゃんの健康を維持し、時には命を救うということにつながるものになりますので、どうか大切だということを心に留めておいてくださいね。
本日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
あなたとワンちゃんの今日が、ますます輝くものになりますように。
また次回もよろしくお願いいたします。