それを意図的にやんないとなんか面白くないなって思って、意図的にできるようにいろんな職業を増やしていったっていうところですかね。
なるほど。平下さんご自身がすごくユニークな経歴をお持ちでいらっしゃると思うんですけど、ニューヨークでしばらく核製作会社にお勤めでいらっしゃったでしょ。
先ほどちょっとおっしゃってましたけど、やっぱり地元に帰りたいなって、地元の自然だとかを思い返して帰りたいなっていうことを思ったんだっておっしゃったんですけれども、
やっぱりニューヨークって都会の中の大都会で、そこで働いてることにあまり意義を感じなくなっちゃったんですかね。どうして地元に帰ろうってなったんでしょう。
もちろん自然のあるところに戻りたいもそうだろうと思うんですけれども、もし何かそれ以外にあれば教えていただきたいなと思います。
一番大きかったのが、僕のことをすごく興味を持ってくれる外国の方とかニューヨークの方とかって、パーソナリティというよりも僕の背景というかバックグラウンドみたいなものにすごく興味を持ってくれる人が多かったんですよね。
今これが僕が料理がうまいとか、僕がこんな料理を作るとか、料理屋さんじゃないんですけど、趣味が料理だけなんですけど、それじゃなくて、なぜこういう料理を作るのかってなると、実は地元では例えばすき焼きっていう食事があるんです。
でも実はうちの町は肉があんま取れないから、鯖をすき焼きのお肉代わりにするんですとかって言ったら、今の首相さんとかでもえーってなるでしょ。
鯖のすき焼きって何?ってなるじゃないですか。
でもその鯖のすき焼きはやっぱり海岸場であったらすごく安価に取れる魚だったりするし、その上ちょっと油もちょっと多かったりする旬の時はですね。
そういった手軽なものだったので、別に対して工夫はないんだけども、他の人から見たらえーってなる。面白いっていう僕のパーソナリティというか、僕のバックグラウンドに興味を持ってくれる人が確実にそこだなと思ったところがあって。
一緒にダンスをすごいやってる人とか、ブロードウェイ目指してとか、いろいろやってる人もたくさんいて、すごい技術をたくさん身につけてパーソナリティをどんどんどんどん高めていってる人も5万といる中で、パーソナリティよりもバックグラウンドをしっかりと知ってることだったり、そこを掘り下げてることのほうがものすごく簡単なんじゃないかなという感じで。
そういう感覚があったので、僕のバックグラウンドでなんだろうかってなると、別に望んだわけでもなく島根県豪津市というすごい小さな町に生まれたので、そこのルーツというものをもう一度掘り下げてデザインしたほうが、よっぽどそのグローバルの人にとって価値を生むことができるんじゃないかなっていうふうに思ったんですよね。
本当そうですね。要するに自分のオリジンってことですよね。そこから出ていってもそこに結局は帰ってくるわけですから、自分の中のオリジンに。なるほどね。それをまたニューヨークで違う人種の人たちの中にいてることで気づかされたっていうことなんですよね。
ありがとうございます。じゃあもうその心情に本当に素直にご自身の地元に戻られてから会社を立ち上げられたっていうことなんですね。
そうですね。まだまだ何も知らないことだらけだったっていうのもやっぱり思いますし、さっきみたいに共同料理に対しても、もっといろんな共同料理があるんですよ。
正月にはどこどこの地域はこうなんだけど、なぜかここだけは、例えば正月のお雑煮がお餅とお吸い物だけがあって、なぜか大豆を入れてるんですよね。お汁っぽいじゃないんですよ。お雑煮なんだけど、なぜだろうって思うじゃないですか。
大豆、小豆ですね。
面白いですね、本当。
それは山の方の料理だったんですけど、山間部の。そういった取れるものでシンプルに食べてるっていう人も疑いもなくやってる人たちもいて、それはそれで面白いので、今は共同料理のレシピをもう一回情報収集して保存しつつ、
チャンネルに合わせて食べ飽きてる地元の人にはちょっと新鮮な形に、初めて来る人にはオリジナリティ高めの、外国人の方にはもっとオリジナリティというか、ちょっと100年前にタイムスリップしたかのような出し方をしてみたいとか、一つそれだけでも表現の方向ってたくさんあるので、
そういったものを学んだので、ものづくりの観点で、逆に今回はそういったものをオランダの人々にチャンネルを合わせて伝えていけたらなと思ってるんですけどね。
なるほど。ありがとうございます。
買収バーンとしてそれで土地買収してとか買い占めてそこから採掘しますとかそんな自然の取り方じゃないんで、
ちょっとここにあるのを分けてくださいよって、いいよいいよ切っていいよみたいなとか持って行きなさいとかそういうのなんで、
そういうのだと別に買い占めなくても自然素材は誰のものでもないっていう感覚もあるので、
みんな心よくいろんな素材をくれたり分けてくれたりするんで、すごく重要かなとは。
いい話。
中条さんはアムステルダムっていうとても都会に住んでらっしゃるんですよ。
住んでないです。
レンハーグだった。
ライデン近く。
言ってること全然違う。
全然違うじゃないですか。
でも昔はアムスにお住まいだったんですよね。
私はそこから南に100キロほど下がったところに住んでるんですが、
私の夫はさらにそこから南に行った人口2000人しかいない村の出身なんですよ。
そうすると、昨日何食べたからね、どこでこんな大喧嘩しとったやろうから、
いろんなこと村中の人がみんな知ってるんですよね。
だから子育てをする場合にはいろんな意味で安心でもあるけれども、
大人としてのプライバシーを考えるときにはものすごいめんどくさいわって思っちゃうよなっていうのは、
私は1年半しかそこに暮らしたことはなかったんですけど、
そんなふうに感じたことを今ちょっとお話伺ってて思いました。
ちょっとそこ行きたいです、今度オランダ行った時に。
本当ですか。
日本の2000人、3000人クラスの集落と、
ヨーロッパの集落って何がどう類似してて何がどう合うのかっていうのはすごく興味があって、
結局いいコミュニティがいい教育が作れますし、
いい職人が育てれますし、いい生産者が育てれますし、
いいデザインもできるっていうのは思っているところもあって、
うちの会社の思い的には。
なのでやっぱり人口が少なくなることが別に問題ではなくて、
そのコミュニティが劣化していくというか、地域が劣化していく、
その土壌の中でしか物が作れなくなってしまう部分を何とかしたいなっていうものがあるので、
やっぱり情報をやっぱり行きたいですね、そこの2000人の集落に是非。
しかも2000人のうち1800人ぐらいみんな出たからないんですよ、その村を。
みんな自分の村にやっぱり残りたい。
どんな若い人もね。
その若い人もまだまだいるんですか、その村は。
いますよ。
すごい。
なんかオランダ人ってほとんどの人がどの田舎出身だと思うんですけど、
みんな結構ご自分の田舎に執着してるっていうイメージが私の中にはとってもあるんですよ。
それは南の方の人たちですよね。
やっぱりそれでか。
南の方と内陸部、だからドイツ寄りと北海側、私たちが住んでる西側とか、
かなりメンタリティが違うんで。
そう、だから夫は絶対その川より上には住みたくないっていつも言ってますから。
すごい言いますよね。
川向こうとかあれがあるんですね。
そうそうそう。
ありますね。
そっか。
どこ行ってもいいですね。
なんだろう、地方そんなに製造業とかがあったり念頭がある地方の出身、日本でじゃないので、
結構そういう伝統がはっきり他と違って、うちはこうみたいな家であったり、風習というか習慣であったりが残ってる地域ってすごく憧れがあるんですけど、
ただそれがどうやって継続的にそのコミュニティが営まれていくのかっていうのはすごい興味があって、
例えばフランスの田舎とかに行くと、結局フランスの田舎でもそこに新しく若い人たちが魅力を見出せないでどんどんパリとか都会に行っちゃって、
そこで別にイノベーションを起こそうみたいな若者とかいないし、
結局バケーションにいい地域であれば外国人が家を買っていってみたいなことってヨーロッパ中すごく多いじゃないですか。
で、オランダでもその地域の魅力を掘り起こしてみたいなことを実際すごく活発に言ってたりやってたりする市民、
トップダウンでそれちゃえば、ボトムアップでそれが起こってないなっていうのはすごい感じてて、
ボトムアップで起こってるのはむしろ日本の方が活発なような気がしますよね。
それは私も思います。若い子たちはそういった小さな村を出たがらない傾向がすごい強いんですけど、私が知っている小さなコミュニティのある村はね。
でもそれは何かそこの中で、この村の良さを何とかしてもっと活性化していくんだっていう強い意思にみなぎってるからそうしてるわけではなく、
やっぱりそこが居心地が良くって、方言とかも含めてね。
自分たちの家族、親戚がそこにいて、小中学校からの友達がみんなそこにいて、
自分が大好きな場所がここにあるっていうことに居心地の良さを感じて、わざわざ外に行こうとしないんだなっていうふうに私は思ってるんですけどね、外から見てて。
ロランダってやっぱり九州サイズぐらいの国なんで、そこまでの地方さと食の差とか、自然の差がないんですよね。
でも言葉は全然違いますね。500メートル離れた村だけで全然違う言葉をしゃべってたりしますよね。
それはすごいですね。
めっちゃ脱線しちゃった。
いやいや、でも本当に今うちの会社って、今この10年ぐらいで20人ぐらいどんどん会社の人数が増えて、
都会で20人増えたったら、いやそんなもんってなりますけど、田舎でなかなかね。
そうですよね。
すっごい共感します。
自分がどういうふうに、誰とつながって誰と一緒にいて、どういう生活をどういう地域で、
どういう自然とか、どういう環境に囲まれていきたいのかっていうのが、やっぱりテクノロジーとかが発達したので、
都会っていうことの選択肢っていうのが、自分を満たす大部分じゃもうないじゃないですか。
そんなものを自分の自由環境で作れたりするんで、すごくいいんですよね。
まだその分野に関しては、まだまだ成長産業というかコミュニティ分野というか、
まだまだ、今までそれを全然、さっき中嶋さん言われるようにちょっとないがしろというか、ちょっと後回しにいってきたので、
後退してしまっているので、伸びしろが無限にあるとは思っているので、
そういう今回のきっかけで、コミュニティがどんどん伸びしろがグローバルにも含めて広がっていけばなと思っていますよ。
あのね、しげちかさん、実は今回のモノジャパンのテーマはコミュニティなんですよ。
バッチリやね。
狙ったような感じで。
そんなにすごくしげちかさんたち、好き者がどういうふうに気持ちでとか希望で、
このジャパンに出てくれているのかっていうのを、ものすごくはっきり理解できているかどうかわかんない時期から、
今回はモノフォーカスのテーマじゃなくて、人とかね、こととかそっちの方のフォーカスのテーマにしたいなと思ってて、
絶対コミュニティだなと思って掲げてるんですよね。
本当にありがたいですね、そういった。
もう何か狙っていったつもりでは全くないんですけど。
一心伝心や。すごいね。
モノジャパンの方がガーって吹き寄せられた感じですよね。
これであの、実はテーマがテクノロジーなんですよって言われたら。
それは恐ろしい冗談ですよね。
前にお話したけど、私たちもオンラインプラットフォームを作ってて、そこが出会いの場っていう感じで、
どんな人がいるんだろうっていうのを、オランダ人の参加者も日本人の参加者も見ていただくことができるんですけど、
出会って、例えば私がオランダ人のデザイナーでシゲチカさんたち好き者のことを見て、
例えばここすごい行ってみたいっていうのでね、なんか行かれるようになるとか、
そういう出会いのきっかけになればいいなと思ってて、
オンラインプラットフォームも出会いのきっかけづくりの場ではあるけど、
例えばシゲチカさんたちもオランダに来てくださるし、
今オランダ人のデザイナーってバンバン日本行ってるんですよ。
日本行きのツーリストは本当に多くて、デザイナーもすごい多いんです、行ってる人が。
そういう実際の行き来が始まったら、ふわっとした一コミュニティが出来上がる感があるなと思ってて。
楽しみですね。
そうなんですよ。コミュニティっていうテーマにしたんです。
だってその豪津市出身でない方々が、そのものづくりの場に集まってこられているっていう、
その状況が面白いですよね、すごく。