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じんくんが、「なんで僕を選んだんですか?」って言った時に、
君には目に光がなかったからっていうじゃないですか。
つまり、満たされた人間は、物の考え方が浅くなって、幸福は創造の敵、そういう人たちにクリエイターの資格はない。
だからあなたを選んだ。目が光ってなかったあなたを選んだって、
ポンポさんがおっしゃるでしょ。
いいセリフだなって思いました。
黒木瞳の映画ここだけバナシ。
黒木瞳の映画ここだけバナシ、今日も聞いていただきありがとうございます。
映画に携わる様々なジャンルの方々とここだけバナシをしていきます。
今回のゲストは、前回に引き続きアニメーション映画、映画大好きポンポさん監督の平尾隆之さんです。よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
ポンポさんの魅力っていうのもいっぱいあるので、いろんなことを伺いたいんですが、
その前に、まず平尾監督は、なぜこの映画大好きポンポさんと出会われたんですか?
そうですね。
映画大好きポンポさんっていうのは、もともとPixivというウェブでイラストなどを公開できる、そういったサイトがあるんですけれども、そこに掲載された漫画なんですね。
その漫画をアニメ化したいっていう風に、僕がもともとその前作で一緒にお仕事をしたプロデューサーの人から連絡が来て、
読ませていただいて、とてもすごく面白かったのでやりたいですというところが始まりですね。
ポンポさんではなく、ジーン君、ポンポさんのプロデューサーに雇われているというか、会社で働いているジーン君を主役になさったというところは、
やはり前回おっしゃったように、マイノリティがマジョリティに一心報いるという若者の夢を実現させてあげたい、そういう思いがあってジーン君を主役にされたんですか?
そうですね。原作の一作目映画大好きポンポさんも、基本的にはジーン君を中心とはしているんですけれども、
よりそのフォーカスを映画版では当てていきたいというふうに思ったのは、やっぱりそういった気持ちの部分っていうんですかね。
自分の中のテーマと、この原作にあるマイノリティに対しての肯定感みたいなものとか、すごくリンクしたんですね。
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ご自身もその似たような経験があったわけですか?
そうですね。僕がそういった経験をしたのは小学生ぐらいなんですけれども、筆音っていうんですかね。すごく激しくなった時期があって、本当に喋れなかったんですよ。
恥ずかしい部分もあるし、喋ってもすぐに詰まっちゃうので、それで結構からかわれたりとか、本当にその友達もあまりいない時期があって、その時に映画や漫画、アニメーション、そういったものに元気づけられたというか、救われた経験があるんですね。
なので、やっぱりそういった気持ちをすごく思い出したというか、そういった部分を重ね合わせることができたっていうんですかね、このジーン君というキャラクターに。
自信を取り戻して治ったのは何かきっかけがあったんですか?
本当にそれが小学生ぐらいの頃で、覚えてないですけど、小学4年生か5年生ぐらいの時に急に治ったんですよね。
急に治った。
急に治るものなんですか?
覚えてるきっかけは、抵抗したというか、抵抗の意思を伝えたことがあって。
からかってたお友達に。
そうですね。
何ておっしゃったか覚えてます?
本当にあんまり覚えてはないんですけれども、おそらく何かやめてほしいとか、そういったような言葉だったと思うんですけれども。
でもそれが勇気になって、自分の殻を破って、それで自信にもつながって、気がついたら治っていたという感じなんですか?
そうですね、まさにそうです。
でもそういった何か経験なり体験があるからこそ、この映画大好きポンポさんの主人公ジーンくんが、社会不適合者と呼ばれていたけれども、どんどん彼が成長していくわけですね。映画を作っていくわけですよね。
そういう物語になっておりますけれども。
ジーンくんが、なんで僕を選んだんですかって言った時に、君には目に光がなかったからって言うじゃないですか。
つまりその満たされた人間は物の考え方が浅くなって、幸福は創造の敵、そういう人たちにクリエイターの資格はない。
だからあなたを選んだ。目が光ってなかったあなたを選んだって。
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ポンポさんがおっしゃるでしょ。
いいセリフだなって思いました。
かなり荒っぽいというか、論というか荒っぽい論理ですけれども。
そうですね、でもやっぱり僕もどこかしらそういう部分っていうのがあって。
これももしかしたら極端なのかもしれないんですけど、人はなんでみんな映画を見に行くんだろうとかって考えた時に、
本当に日々幸せで満足している人は映画って見に行かないんじゃないかなとか、もちろん違うかもしれませんよ。
ですけれどもそう思った時があるんですよね。
なんで映画を見に行くのかっていうと、やっぱりそこには何か現実に対して自分に対して何かすごく落ち込んでいたりとか不満があったりとか、
そういったものがあるから見に行くんじゃないかなっていう。
だったらやっぱりそういった気持ちをやっぱり持っていたりとか、
そういった人の方がより不満であったりとか悲しみであったりとかというのを理解してあげられる作品を作れるのではないかなっていう。
そういった気持ちは少しありますね。
アニメーションでの映画で、つまんないっていう作品ってあんまりないですもんね。
えーと、そうかもしれません。
私も何でも見ますけど、アニメーションも大好きですから見ますけれども。
ですけど、実写版ももちろん普通の映画も見ますし、本画も洋画も見ますけども、アニメーションも拝見しますけど。
そうか。なんで映画館行くんだろう。
映画館が好きなのかもしれない、私は。
空間っていうのもありますよね。不特定多数というか、知らない人たちと暗い空間で座席に座って、大きなスクリーンと音響で体感するっていうふうに僕は思ってるんですけど。
映画って見るものじゃなくて、行ってそのキャラクターであったりとかその世界観に一体化して最後には映画館に出るっていうか。
僕結構ヤクザモノとかマフィアモノも見るんですけども。
例えばアウトレイジだったら、映画館から出た後、なぜかみんな男性は肩をいかなせて帰っていくとか。
その一瞬だけでなりきって帰っていくみたいな。
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なんかそれって体感なんじゃないかなっていうふうに思うんですよね。
私はこのポンポさん見て、自分がポンポさんになったような気持ちになって。
机の上か何かに似合う立ちで、なんとか!って。
ツナサンド買ってきて!みたいな、そういう気持ちになりました。
ありがとうございます。それはポンポさんに、ポンポさんを体感するという。
そうですね。なんかそんな気持ち。映画ってそういう魅力がね、いっぱいあるんでしょうね。
この映画の、映画を作っていく。
ジン君が作っていくんですけれども、圧巻なのは編集のシーンですよね。
今デジタルなので、本当にパソコンでやるんですけれども、
昔のフィルムみたいなのがわーって出てきて、編集をしている。
切っていくというか、ある意味アナログ感じゃないですか。
ですけど、出てくるのはパソコンの手なんですけれども、パソコンを操ってるね。
あれがやっぱり、編集を知らない人にどう伝えるか?編集の大変さを。
そのあたりはやっぱり考えられました?
そうですね。やっぱり僕自身も映画であったりとかアニメーション作っていて、
一番苦しかったり楽しかったりするのが編集なんですよね。
そうですね。
やっぱりそこをクライマックスにしようと思ったんですね。
それは何でかっていうと、劇中にも伝えたんですけれども、
やっぱり自分が生きてきたこと、やってきたこと、選択してきたものっていうのを、
肯定していきたいなと思ったんですよね。テーマとしても。
その時に、じゃあそれを映画のセクション、集団作業の中でのセクションの中で、
何が一番テーマを体現できるかなと思ったら、編集だったんですよね。
編集っていうのも、やっぱり膨大にある素材、カットから一つを選んでいくわけですよね。
これがやっぱりテーマと絡めることができるなっていうふうに思ったんですよね。
それをクライマックスにしていこうと思った時に、やっぱりキーボードをカタカタやってるだけでは、
やっぱり地味なシーンになりますし、じゃあ実際に編集ってどういうことをやっているのかっていうのを、
どうやって楽しく見せられるんだろうと思った時に、
やっぱりああいうフィルムをイメージ空間に入って切るという、
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アクションシーンにしてしまえば、それはダイナミズムが生まれるんじゃないかなと。
そういった形で考えていったんですけど、
編集シーンってみんな興味があるのかっていう話なんですけど、
潜在的な興味って実はみんなあるんじゃないのかなとは思っていて、
今は特に数年前、もうちょっと前ですかね、
YouTubeであったりとか動画配信というのが、すごく活発になってきた時代で、
少しずつ配信している人も含めてみんな編集というものを経験し始めているんですよね。
今携帯でもできますからね。
すごく動画制作というのは身近になってきた中で、
じゃあ編集って実際どうやるんだろうとか、
そういったものを少し一端に触れることができて、
それを楽しく見せることができたら、
興味を持ってくれるんじゃないかなっていう。
この映画の中では、実際役者の人が演じて、
それでこれじゃあ長いとか、
じゃあ編集をし直して、
じゃあこっから持ってこようかとか、
この引きから始めようかとか、
いろいろそういう工夫がされているじゃないですか。
映画の中で実際にそれもあるんですけれども、
本当にアクションシーンに編集をしちゃったっていうのは、
アニメならではですし、
でもリアリティもそこにあるじゃないですか。
存在してるじゃないですか。
そこの微妙なバランスみたいなものがすごく斬新で、
やっぱり面白いなっていうふうに私は思いました。
そうですね。
編集シーンで多分気を付けたことっていうのは、
一つはちゃんとしたその知識としてというか、
編集というのはこういうふうに組んでいって、
ここで悩んでいるというのと、
あとはそのクライマックスとして、
編集シーンという技術というよりも、
そこに立ち向かうというか、
そこに向き合っている人の感情という、
その2つに分けていて、
いわゆるフィルムを切ってバサバサやってるところっていうのは、
どちらかというとキャラクターが向き合っている感情を、
共感してもらうために入れてるんですけれども、
もう一つっていうのは、
実際にこの5カットあった中で、
結局使用したのは3カットとか、
そういったものを知識として入れることで、
編集ってこういったことをやっていくんだ、
だったら結構自分も悩むかもとか、
そういったような2つをちゃんと描かなきゃいけないなと思っていて、
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そこを本当に何だろう、
あまりどちらも極端にいかないようにするっていうのは、
結構難しいバランスではあったんですよね。
あまり専門的な知識とか用語が多すぎても、
おそらく伝わらないしっていうのもあって、
そのあたりはやっぱり編集さんと一緒にいろいろと考えていったところですね。
それから時間も決まってますからね。
そうなんですよね。
その話はちょっと次回させていただきたいと思っております。
でもそういう思いはもう本当にご自身の経験だったり、
いろいろな思いだったり、
過去の思いとかがこの映画の中にいっぱい、
つまりこの映画大好きポンポさんの中には平尾監督がいるんですね。
そうですね、いると思います。
そういう映画でございます。
そんな劇場アニメ映画大好きポンポさんはただいま絶賛上映中でございます。
上映劇場などの詳細は公式サイトをチェックしてください。
またブルーレイの発売が12月3日に決定しました。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
さらに10月1日よりユーネクストで先行独占配信開始となります。
こちらの詳細も公式サイトをご覧になってくださいね。
次回も引き続き平尾監督に映画大好きポンポさんの制作にまつわるここだけ話を伺ってまいります。