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2023-08-24 53:48

第45回『ROCA、才能と業と愛。サウダージと市井の人々と……。』

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いしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』を特集しています。

昨年2022年8月に自費出版、という形で単行本として発表された本作、目利きの漫画読みたちの間では非常に話題になった作品、ですが、今年7月末にkindle化!ということで今回このタイミングで取り上げたいと思います。

「才能」についての話、とも、「シスターフッドもの」とも、「ひとつの街を描いたもの」とも、「言葉にできないようなブルーズ感を漂わせる作品」とも……。思わず似たような感覚を覚えた作品の名前も、たくさん挙げさせていただいております。

兎にも角にも大傑作なことは間違いないのですが、いしいひさいち先生のキャリアなどを改めて振り返りながら、ひとりでも『ROCA』に触れていただくひとを増やすべく、本作の魅力についてお話しています。


『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』あらすじ:【これはポルトガルの国民歌謡「ファド」の歌手を目指すどうでもよい女の子がどうでもよからざる能力を見い出されて花開く、というだけの都合のよい話です。】

○主な登場人物
・吉川ロカ (きっかわ ろか)
・柴島美乃 (くにじま みの)


◆第45回の⁠⁠⁠用語集、詳しい解説、補足のnoteはこちら⁠。⁠⁠

https://note.com/lnt91/n/n86b5a9e02a17


《#kokosuna掲示板》

「三十日間の新聞」

https://note.com/lnt91/n/nc592a8854262

『心の砂地#』も参加しました!


「てらださんがつけているイヤーカフ」

https://www.hario-lwf.com/21108/

(2023年8月20日収録)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 番組Twitter:https://twitter.com/kokosuna 感想など、ツイートしていただける場合のハッシュタグは#kokosuna でお願いします! ここすなリンク集→ https://lit.link/kokosuna 番組感想、お便りは kokoronosuna@gmail.com  ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠もしくはこちらのフォームまで!⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ 2023 artwork:⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠セキヤ@sekiyanabemotsu⁠⁠⁠⁠⁠⁠

2023 spring op theme:⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠@k5_y4⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

00:00
今回は漫画特集ということで、石井久市先生のROCA、キッコアロカストーリーライブという作品を取り上げたいと思っております。
はい。
で、これがね、去年、2022年の8月に、自費出版っていう形で出てて。
で、石井久市ROCAとかで調べたら、その特設サイトがあって、そこから今も多分通販で買えるし、東京だと一部書店とか、中野のタコシェとかでも買えるし。
あとは、先月からKindle版が配信されまして。
で、これKindle Unlimited対象なんだね、チラッと見たら。
そうですね。
なんでKindle Unlimited入ってる人だったら見放題で読めるしっていう、なかなかお得な感じのやつで。
今回取り上げるんだけど、僕、いろいろこの作品の選定の時に、これはある程度、評論とかある程度の人がいいよって言ってくれてるやつは避けよって思ってんのよ。
うん。
いいやつっていっぱいあって、それを当たってないものにちゃんと当てよっていう感覚が結構あるんだけど、いろんな漫画を話してきた中で、石井久市先生の話も、
さくらん桃子の特集の時にギャグ漫画の歴史みたいなんで、ちょろっと名前を出したりはしてるんだけど、今やっといた方がいいなっていう感覚と、
僕たちがこの作品についていろいろ話せることっていろいろあるんじゃないのかなって思ったりとか、そういうことを思ったので。
はい。
中野ヤベさんとかが宇多丸さんのアトロクで紹介してたりとか、文化人メキキたちがいるんですけど、漫画読みの。
さくまさんとかもいるし、スカートのベイアンとかさ、いろいろいるんだけど、その辺の人らみんな出た時からヤバいって言ってて、
多分濃い漫画読みはなんとなくチェックしてるかなって感じだと思うんだけど、いかんせん手に入りにくさとか、そういうのもあったりするんで、
ただ今Kindleで配信されたっていうタイミングもちょうどバッチシっていう感じなんで、その辺も含めてぜひとも読んでほしいし、
この魅力をいろいろ語っていきたいなというふうに思ってやろうかなと思ってます。
はい。
ざっくりいつも聞いてるんですけど、寺田さん今回読んでみていかがだったでしょうか、石被災地ロカ。
そうですね、本当に落ちに行く時のこの急スピードみたいなものがあるんですけど、
本当の最後のラストの落ちね。
そこ行くまでっていうのが、それまで積み上げてきたもの全ての重みが急に乗っかかってくるような感じじゃないですか。
だから、それまでの4コマってわりと石被災地、僕は新聞に載ってた野野ちゃんとかで馴染みがあったんで、
どういう作風の人かっていうのは簡単には知ってたんですけど、
石被災地さんの4コマなんだなーぐらいで読んでたものが、急にスピードを変えてこっちに突っ込んできた感じがして、
03:06
しばらく読んで、みんな言ってることだと思うんですけど、ちょっと呆然としてしまったというか。
すごくテンポ感は抜群にいいし、この4コマのリズムっていうのを作ったのが石被災地さんだから。
なるほどね、そうなんや。
今ある全ての4コマ漫画は、石被災地が石杖を作ったと言っていいと思ってるんだけど、
本家本元だからさ、4コマとか、もしかしたら触れたことない人でもすごいテンポ感は感じられると思うんだよね、この漫画の。
そうですね。言ったら日常系っぽい4コマの思想的な部分もあるとは思うんですけど、
これって別に4コマじゃなくてもいけるなっていうシーンでも、ちゃんと4コマに落とし込んでるのが凄まじくなるっていうふうに思いましたね。
だから、よくあるこれ別に4コマじゃなくてもいいなっていうもんで、多分、2000年代後半ぐらいから正直あるのよね。
アニメになってヒットしてる作品とかもいっぱいあるけど、多分、でもこの4コマのミニマルさをさ、
もちろんそれこそ朝日新聞で未だにずっと連載してる人だからさ、でもそれを切り詰めてやってる人の雰囲気のストーリー漫画っていうさ、
でも形は4コマっていう感じだからさ、結構この主曲の感じがしてて。
そうですね。
で、そのテンポ感で楽しめてて、これで畳むんか、どう畳むねん、どう畳むねんで、ガッとくるっていう。
やっぱり、その辺りが衝撃的でしたし、僕らってわりとその石井久市さんが、多分その石杖を作ってる日常系4コマっていうもののアニメがすごい氾濫してた時期。
学生時代とか過ごしてるから。
そうね、5世代ぐらいになるかな。
そうですね。そういったものの懐かしさもありつつ、でも4コマって別にこんなに普通のストーリー、ドラマ、急にドラマっぽくなったりとか、
ちゃんとコメディーになったりとか、ちょっと悲しい話やったりとか、ヒヤッとするような話とか、全部4コマでちゃんと表現されてるっていうのが、
こんなに幅広い表現が4コマで可能なんやっていう。
で、あとラストまで多分1回テンポよく行って、読み返した時にも、そのラストを知ってから読み返すと、
あ、この初期の時からなんかそういう情感みたいなのは描いてたんだっていう法準さみたいなのもすごく感じることができて。
そうですね。その人間の、キャラクターの意図というか、あくまでその4コマのオチをつけるためのキャラクターじゃなく、
生きてるキャラクターの1本が、こう筋が通ったものの話だったんだっていうのが、後から読み返すと分かるっていうね。
そうそう。だからまあ、初めに言っちゃうともう、この街とかこの世界自体を視点にした漫画なんだっていうことが浮かび上がってくるっていうかさ。
06:08
あ、そうですね。その表現がめちゃくちゃ分かりやすいですね。
そうそう。だからなんか、ジャック・タッチの映画でプレイタイムっていう、本当に街作っちゃったみたいな、なんかそういう感じ?
でもさ、そういうもんって結構箱庭的っていうかさ、高橋留美子のルーミック・ワールドみたいな、そういう感じじゃないんだよね。
すごい開けた、すごいストリートっぽい感じの匂いもしつつ、その街をこう切り取りましたっていう感じが。
そうですね。だから僕の中では結構それでも街は回ってるとか、かなり思い出した作品ではありましたね。
そうね。なんかやっぱりそこの温泰の凄みっていうかね、が去年出て結構若い人にも刺さってる印象ではあるんだけど、
ぜひともその辺を感じてほしいなと思いながらね、石井久市先生の歩みとか、このロカストリライブの魅力について今日は喋っていきたいなと思っております。
この番組、心のすなじは、様々な文化や日常の気づきをヒントに考え続けることで、言葉の記憶装置を目指す教養バラエティ番組です。
私、シャーク君です。
はい、そして私は寺田です。よろしくお願いします。
ということで、本日も始まります。心のすなじ。
僕は怖くて言えなかったんだ。春の青さと夏の輝き。君と二人ずっと歩きたいだけ。
まずは石井久市先生の紹介から軽くさらっていこうかなと思うんですけど、僕たちの関係あるところで言うと関西大学出身ですね。
これ知らなかったですね。先輩なんすけどね。
そうそうそう。関西大学社会学部に70年に入学っていうところで、もともと地元は岡山県の多摩野市だったかなところ出身で、大学の時に大阪に出てきてみたいな感じの方なんですけど。
石井先生はインタビューとかほとんど受けないっていう人で。
へー、そうなんですか。
ただ唯一、2012年に川で夢ムック総特集1-1ってこれ文芸別冊の川で夢ムックっていうシリーズで、それぞれいろんな作家さんのムックみたいなのが出てるんだけど、それの時はインタビュー答えてて、2012年に。
で、それ読むと結構いろんなこと聞いてて、大体今までの歩みっていうか、だいぶ年も取られてっていう感じのとこだったんで、いろいろ答えてくれてるんですけど。
09:06
なんで、ちょっと石井被災地について調べたいなっていう人は、この川での総特集1-1を読むのが一番、大体の情報が載ってるっていう感じかな。
でもその1冊しかないっていうのはすごいね。
そうね。
なんか作風からそんな感じの人っていうイメージがあんまなかったですね。
なんかちょっとシャイっていうか、そういう高齢を持つタイプの人じゃないっていう感じなのかな。
で、この寄稿してるメンバーですよ。分かりやすい名前だけちょっと挙げていくんですけど、
井原清美孝、尻上琴吹、鳥巻、吉田専写、埼原理恵子、東清彦、大友勝博、宮嶋美雪、っていうのがそうそうたる。
そうですね。まあでもしっくりはくるメンズかも。
うん。まあ初めの方とかは、いわゆるこの4コマとかね、ギャグ系の流れの人らだよね。
井原先生とか尻上先生とか。
うん。
で、まあ埼原さんとかもそうだし。で、まあちょっと気になるところで言うと、やっぱみんな大友勝博だろうね。
まあそうですね。そこだけちょっと意外かも。
そうそう。でも大友勝博って、日本の漫画の新しい世代っていうのが、70年代後半ぐらいから80年代ぐらいまでに出てくるのね。
うん。
その、いわゆる時和装手塚治文化圏の人らとか、あと劇画の人たちとかが出てきた後に、
なんかその漫画表現を更新することが多分ないだろうと思ってたら、大友勝博の登場とかとともに、
え、もっと新しいもの出てくるん?っていうところを総称してニューウェーブって呼んでたんですよ。
へへ。あ、そうね。漫画界にもニューウェーブってこともある。
ニューウェーブがある。まあこれはあの、それこそ当時パンクの世代とほんまにほぼ一緒なんで、そっから取ってきてるんだけど。
あー、なるほどね。うん。
で、大友勝博、高野文子を代表的な作家としていろんな人がいっぱい出てきてるんだけど、
そん中の一人に石井久市もいたと言っても過言ではないかなと。
そのニューウェーブの4コマの人っていう、ギャグの人っていうのと石井久市も言えるかなっていうところで。
あ、そんな存在なんや。そっか。
うん。で、大友勝博って言うと多分みんなもうアキラのイメージなのよ。
そうですね。
今の大友勝博のイメージって。ただ大友勝博って初期は、それこそ金のない下宿生とかがマージャンずっとし続けてるだけとか、
そういう自分の青春のちょっと何もない感じみたいなのを結構描いた作家だったんだよね。
意外と日常を切り取った作もやってた。
うん。はじめはそう。
へー。
そうそう。で、多分ドームっていう作品で評価をガラッと変えたっていうか、そこら辺からSFのイメージになってアキラになるという感じなんだけど、
初期の大友勝博ってほぼそういう感じなんだよ。
うーん。
で、やっぱり僕も初期の断片集とか読み返したけど、石井被災地が初期描いてたものとかなりやっぱりかぶってる内容としては。
大友勝博が描いてたものと石井被災地が描いてたものっていうのは。
12:01
へー、そうなんや。
うん。だから多分そういう同世代っていうか、多分年で言うと石井先生が3つぐらい上だと思うんだけど、なんかちょっとこうシンパシーもあったらしくて、
唯一大友さんは若手の時に一回わざわざ大阪まで来て会いに行ったらしい。
うーん。ああ、そういう結構ちゃんと繋がりというかね、友情があるんや。
そうそうそう。あって、そうそうそうとかで、でも一時期は寝る前にいつも石井被災地を読んで寝るっていう時期も結構あったっていうぐらい大友勝博にもめちゃめちゃ影響を与えている。
そうそうそう。だからみんな多分今石井被災地のイメージってまあ、俺たちの親父世代とかはがんばれタブチ君なのよ。
がんばれタブチ君。えー、僕ちょっと知らないですね。
うん。パロディーの漫画があってタブチっていう体がでっかい選手とかいるんだけど、そこをこう、まあいい感じに野球のパロディーみたいな感じの漫画を描いてたので、それとかアニメとかになってすごいヒットして。
うーん。
親父とかの世代に聞いたら多分みんなあーって知ってるっていうぐらいのやつなんだけど。とか、あと今だったらもちろん朝日新聞でずっと野野ちゃんをやってるから、あー野野ちゃんの人ねっていうイメージが多分あると思うんだけど。
うんうん。
その野野ちゃんが朝日新聞に載ってるってことがめちゃめちゃヤバいことっていう。
そうですね。僕は知らなかった。ほんとに野野ちゃん入りやったから、ああいう4コマをちょっと描き続けてる人なんやなーっていう。
そうそう、もちろんそうなんだけど、その野野ちゃんみたいな尖ったもんが載ってるっていう状況がすごいのよ。
なるほどねー。
うんうん。
まあでも知り上がり先生とかも書いてたしね、新聞で4コマ。
書いてる、ゆうかんはね。
うん。
そうそうそう、とかなんで。だからあの4コマが割と尖った作家がやってんのは、石井久市のせいですって、西原理恵子がこの気候の漫画に書いてるんやけど。
あーなるほど。
なんでこんな日本の新聞はこんなシュールなもんが載ってんだみたいな。って言ってるぐらい。
いいことですよね。
うーん、ていう。で、まあ僕ら世代で4コマって一番人気があるっていうところと、まあ寺田さんも好きなところで言うと、やっぱどうしても吉田戦車になると思うんですよ。僕ら世代の4コマとか尖ったギャグっていうのって。
まあ今にも通じる感じがね、一番あるし。
そうそうそう。やっぱその一世代記者になる。ちょうど12個くらい記者なんだけど、吉田戦車が石井久市の。63年生まれなんで。吉田戦車がやっぱ変えたと思ってたんだけど、僕らその4コマの何かみたいなのを。
うんうん。
でもやっぱ吉田戦車もどう考えても石井久市フォロワーっていう。
うん、確かにね。それを感じる部分がいっぱいあるかもね。
そうそうそう。だし、今回の文芸別冊石井久市にも吉田戦車が記事漫画を描いてて、その中で本当にデビュー作ぐらいの戦い軍人くんっていうのは、吉田戦車って名前だからちょっと戦争物っぽいやつ描いてくれよって言われて描いたんだけど、そういうので石井久市しかないなと思って、石井久市の戦争ネタのやつを参考に描いたって言ってたり。
15:04
そうか。
当時よくある変プロのバイトでカットみたいなの埋めてたらしいんだけど、吉田戦車って。
うん。
で、本当はもっとストーリー漫画描きたかったんだって、吉田戦車も。
えー、そうな。そんなイメージないな。
そうそうそう。描きたかったけど、なんか4コマ描けないって言われて、4コマだったら石井久市が唯一好きだなと思って、石井久市の真似して描いたネタのことを描いてんのよ。
うーん、そうなんや。
そう。だから、石井久市がいないと吉田戦車は確実に生まれてないっていう。
なるほどね。
あと宮部みゆきさんは本当に、宮部少年だったかな。出てくんのよ。そういうミステリー好きの少年みたいなキャラがいるのよ。もう宮部みゆきのまんまのやつが。
出てくるっていうのは。
その、野野ちゃんとかにも出てくる。
そうなん。へー。
そうそうそうそう。っていうぐらい。ミステリー方面は多分描いてたっていうのもあって、まあこの世代の人はミステリー読んでる世代なのよ。ミステリーとかSFとかすごい読んでる世代で。
うん。
SFはあんまり石井先生は好きじゃなかったらしいんやけど、ミステリーは結構読んでたみたいで、たぶんその辺でミステリー作家とも交流があったっぽくて。
まあ交流があったって言っても、どこまでどうだったかわかんないんだけど。まあそれでネタにしてたりとかね。そういうのもありますね。だから宮部先生も寄稿でいろいろ描いてますね。石井愛を。
っていうぐらい、すごい人にももちろん影響を与えた人なんだろうっていうところとかで。作品の特徴としては、これは手塚治虫から連なるあれですけど、スターシステムが採用されてるタイプの作家さんだよっていう。
そうですね。
で、今回のロカにも野野ちゃんとか、たぶち君とかも出てくるし。
そうですね。野野ちゃん、おばあちゃんとお母さんとか結構何人か出てきてたしね。
出てくるし、途中でロカちゃんがライブする菊池食堂ってところは野野ちゃんの家の隣なんだよね。だからよく出てくる。
あーそうか。だから同じ街なんでしょうね。
そうそうそう。同じ街。で、それは本当に岡山県の石井先生の出身地である多摩野市を元にしてる街っていうね。港の街っていう、こうなってたりとかしてる。
っていう、だから、作ったキャラクターがいろんな作品に出てくるよっていうスターシステムっていうのもあるし。
あとは、時事ネタとかパロディのセンス。これは野野ちゃんが一番出てるところだと思うんだけど。
やっぱその、そろそろ野球のパロディネタとか文豪のパロディとか、あとは現代思想の漫画みたいなのを描いてる時期あるけど、それも現代思想の人たちのパロディとかやってて。
すごいな、パロディするところが。
そうそうそう。政治家とかみんな、ほぼほぼやってないことないんじゃないかなっていうぐらい、各ジャンルをちゃんと石井さん一スタイルに取り込んで、石井さん一の笑かせ方で笑かしてるっていう人で。
18:00
だからたぶんすごい勉強されてるし、そこをちゃんと取り入れるまで持ってこられてる人なんだろうなっていうところがあるし。
作品も野野ちゃん、今は野野ちゃんだけでちょっと他もやりだしてるのかな。一回病気されて、野野ちゃんに一回絞ってみたいな時期が2010年代前半にあるんだけど。そこまではそれこそ雑誌とかいろんなところで書いてるし、本当にいろんなジャンルのものを書いてるっていう作家さんですね。
野野ちゃんが書いてるからそんなに作品質でないんかなって鷹をくくってたら、めちゃめちゃあって、結構読むの大変でした。たくさんあって。ちょっと話を前後するんだけど、関西大学入ってキャリアのスタートっていうのは、万犬みたいなところから出てやってて、大学時代の友達とかと。
その時にチャンネルゼロっていう同人誌を75年に大学生の時に始めてるんだよね。だから初めは言ったら、万犬的なところからサークルのノリで派生して同人から始まってる人で、今また野野ちゃんやりながら廊下も出してるっていうのは、また同人の活動に戻ってるっていう感じでもあるって感じかな。
なるほどね。ちょっと一周してきた感じでもある。
そうそうそうそう。バイトくんをチャンネルゼロとかでやってるときに書いてて、その後79年の頑張るタブチくんでヒットするという感じですね。
80年にはチャンネルゼロも、言ったら同人サークルみたいなところだったところから、期間漫画誌みたいなのを出してて、これが漫画ゴールデンスーパーデラックスっていう、万金町と書いて。これも5,6巻ぐらいまでしか出てないと思うんだけど、そういう漫画誌を出してて。
創刊後は、関東は大友克洋のサンバーグズヒルの思い出っていう、そこから始まる。
そっか、ここでやっぱり。
そういう交流があってみたいな感じだったんだろうね、80年。このとき大友克洋も出て騒がってるときだから。あとは高野文子のタナベのツルが、この漫画ゴールデンスーパーデラックスに載ってるんですよ。
そうそうとあるメンツですね、本当にね。
高野文子のタナベのツルって、漫画誌に残るすごい作品だからね。
それってここに載ってたんやって感じあるけど。
そうそうそう。だから石井幸一たちがやってた同人誌、期間漫画誌に載ってたっていう。で、関東は大友克洋でそれにも載ってるっていう。他にもそういうニューウェーブの方々が書いてるんだけど。
なるほどね。
結構多分この70年後半から80年代前半って多分、大阪は大阪でそういう独自の同人っぽいノリって結構強かったみたいで。
白尾正宗とかも関西の方から出してるんだよ。関西の方の出版社でいきなり出て、衝撃みたいな感じだったりとか。後に攻殻機動隊を書くね、白尾正宗。
21:00
あとはもちろん、みんなは今多分島本和彦の青い炎とかで知ってるけど、81年にDAICON3っていうSF大会が大阪であって、これがあの伝説の庵野秀明とかがオープニングアニメを作ってみんなドギも抜かれたっていうやつ。
はいはい。
後にガイナックスに繋がっていくんで、アニメの方だったらそういう庵野秀明でありっていう人たちがいろいろやってた時期とも重なるっていう。
なるほどね、そうか。
だからちょっと今は正直失われてるけど、こんぐらいの時ってやっぱ関西は関西のカルチャーでどんどん新しい人が出てくるっていう感じがあって。
石井久市先生はチャンネルゼロの活動とかと一緒にニューウェブの機種としていろんなことをやってたっていうね。
しっかり田淵くんとかでちゃんと当ててみたいな感じだったっていう感じかな。
なるほどね。
石井久市先生としては、ののちゃんってもともと隣の山田くんっていう作品だったの。
隣の山田くんをののちゃんに改題してやってて。
多分みんな今隣の山田くんっていうと、高畑勲のスタジオジブリの映画版っていうのが多分イメージ強いと思うんだけど。
そうですね。
これ要考えてほしいのが、高畑勲が原作に選んだ男の作品ってことなんですよ。
そう考えたらすごいな。
要考えてくれと言う。
そうか。それをでも高畑勲が選んだっていう、確かにそこをちゃんと切り取ってみると、やっぱめちゃめちゃすごい人なんやなって改めて感じるな。
一回も会ったことはないらしい、高畑勲も。
え、そうなの?
そうそう。会ったことはないって言ってた。展覧会みたいなのに来たんだって高畑勲が。その時にインタビューで言ってたんだけど。
そう考えるとちゃんと読みたくなるな、隣の山田くん。
そうそうそうそう。っていうのはあるんで。だからそんぐらいの人なんですよって言うんで。今は野野ちゃんがメインだと思うんだけど、いろんな作品を70年代後半のデビューからずっと書き続けてた。
すげえ人だよっていうのが石井久市先生の作品たちって感じかな。
で、影響?石井久市先生自体が何を読んでたかっていうと、なんかデビューみたいなのはコム。手塚治虫の火の鳥を載せるために作った雑誌ですね、コム。
あー、それでデビューしてんの?
作品賞みたいなのを取ってんのよ、コムに。
あー、なるほどなるほど。
そうそう。で、コムっていうのは当時、これも漫画の話するたびに毎回言うんだけど、ガロっていう雑誌がありまして、これはカムイデンを載せるために作ってる雑誌なんだけど、言ったらオルタナティブ誌。で、それに対抗して作ったのがコムなんですよ。
あー、そうなんやったっけ。
うん。だからガロとコムのミックスで短編集とか出てたりするんだけど。で、石井先生はコムに出てたりしてて、漫画好きだったんですねって言うんだけど、実はあんまり読んでなかったみたいな、いい感じにはぐらかしたインタビューと答えてるんだけど。
たぶん、ほんまにめっちゃ読むっていうより漢字の人ではないっぽいんだけど、漫画作品のベスト3っていうのは全部ガロの短編。安倍晋一とか鈴木王子とかの作品をあげてて。
24:08
へー。
でも、この野野ちゃんとか読んでたらあんまわかれへん。野野ちゃんでもちゃんといっぱい読んだらわかるんだけど、ガロの70年代感というかさ。あの漢字?音楽的に言うとブルーズ感というかさ。
まあ、四畳半フォークと一緒に並べて語られることも多いけど、ガロは。あの漢字と、このロカはファドっていう音楽がテーマになってるけど、このロカのブルーズ感と石井先生がガロ好きなんていうのはすごい、今回ロカ読んですごい納得がいった。
ガロの持ってるその四畳半フォーク感とかの詩っぽい感じ。やっぱポエミだけどすごく70年代のあの、なんていうかな土っぽい感じというかさ。あの漢字?っていうのがすごく出てるなーとは思ったね。
なんかそれに結構ロカは、これはなんか漫画の影響じゃないのかもしれないですけど、その関西とかなんかそういう人たちの土着感みたいなさ、たぶん生活の中で見聞きしたんであろうなっていう感じの人間の会話みたいなのがたくさん出てくるから、なんかそこに温かみがあって、なんかガロとかと比べるともうちょっと優しい感じはするんですけどね。
懐かしいな。だから次ヨシハルとかの、ガロでも何を取るかっていう話になってくるね。90年代とかのガロぐらいになるとさ、すごくナナナンキリコとかも出てくるからさ、もうちょっとオルタナティブ誌という面が強調されていくんだけど。オルタナティブ誌なんだけど、70年代の時のガロのこの土っぽい感じ。人情、まあ人情って言うと怒られるな。人の温かみみたいな感じっていうのはやっぱすごいロカにも出てるなというのはすごく思うね。
その辺りのガロとか全然読んでないからな。
って感じかな。まあなんかそういうところがあるかなと思います。
心の砂地。心の砂地。
ここからロカについて喋っていこうと思うんですけれども、あらすじから行こうか、ロカの。これは単行本の一番初めにも石井先生が書いてあるので、それを読もうかなと思います。
これは、「ポルトガルの国民かよ。ファドの歌手を目指すどうでもよい女の子が、どうでもよからざる能力を見出されて花開く。というだけの都合の良い話です。」っていうのがあらすじとしてあるんですけれども。
このロカ自体の説明をちょっとしなかったんだけど、これは朝日新聞で野野ちゃんが連載してるんだけど、野野ちゃんの連載ない連載としてちょいちょいこのキッカワロカシリーズとして結構やってたらしいのよ。
じゃあ新聞に載ってたってこと?
載ってた。
ああ、そうなんですか。
だからちょいちょいやってたんだけど。石井先生が後で発表した文章としては、2012年までやったんだけど、朝日新聞の読者には評判が良くなかったので、確信犯的にやったんだけど、一旦終わらせたと。
27:16
その後、webとか、あとは同人誌の活動をやられてたんで、そこで出してる同人誌とかにちょっとずつ載せていって、今回単行本にまとめるってことで追加をしてまとまったっていうのが去年でございます。
だから10年ぐらいかかってるのかな、単行本になるまで。
すごいな。
だから結構ね、いろいろ連載時代から、それこそこのMOOCの方にも、取見木先生とかは2012年時点で気候漫画を書いてるんだけど、ロカちゃんについてだけの話みたいなのを書いてるんだよ。ロカヤバいみたいな。
だから本当の上の石井先生大好きっていうちゃんとマニアの人とか、上の漫画読みの人たちからしたらおなじみのシリーズではあったっぽいんだけど。
ファドの歌手を目指す女の子の話っていうのは、ほんまそれだけなんだけど、いろんな人出てくるんですよ。この人誰なんだろう、どういう関係だっけっていうのがパッと浮かばんぐらいたくさんの人が出てくるんだけど。
メインのキャラクターは2人。キッカはロカちゃんっていうファドの歌手を目指している女の子と、相棒というか、もともとは高校の、同級生って言ってもダブってるからちょっと違うんだけどの、
国島美乃さんっていう女の子の、この2人の女の子の話とも言えるかなっていう。
そうですね。その2人の関係性の始まりと結末っていう見方すると一番キャラクターが明瞭に見れるかもしれないですね。
そうそう、だからこれやっぱ凄い方針なのは、キャラ物として見たら、この2人のシスターフッドものっていうか、才能あるなしものとか、その境遇が似てるけど違う道をこう、道のクロスみたいなところにも読めるっていう感じでもあるし。
そうですね。なんで僕、最近のシスターフッド映画想起しましたね。あれか、クイーンズギャンビットとか、あれはドラマやけど、なんかそういう才能があってガンガン進んでいく人と、でもその、やっぱりそこで自分の中で変わらなく友情がある人の存在みたいなもの。
で、最近、映画でよく見るって言ったらチンプンな感じになっちゃうけど、今だから読むべき作品かなっていう感じしますよね。
うーん、まあ映画だと色々あるよね。もうちょっとこう、恋愛関係とかそういう風に振ってるやつとかもあるけど、まあキャロルとかさ、アニメだとリズとアオイトリとかさ。まあ一番リズとアオイトリとか近いかなって思うけど。
まあ才能のさもの。だから言うと、先にちょっと前後しちゃうんだけど、ピンポンっていうのが多分一番才能あるなし。松本太陽が一生描いてる才能ある人とない人とその他みたいな。
30:08
で、リズとアオイトリっていう、ユヒビキ・ユーフォニウムっていうのスピンオフの映画があるんだけど、これを見たときに、これはピンポンへのアンサーやなって思った。
そのピンポンってやっぱ男同士の関係で、まあそこが結構いいよねっていう。まあ割とこの言い方で聞きたくないけど、マッチョっちゃマッチョだし、男しか出てこない世界の漫画なのよね。
まあまあ、そうね。そういう言い方もできるかもね。
そうそうそう。だからそこに対してのリズとアオイトリっていうのは、もうさらに先を行ってた感じがあったんだけど、ロカはリズとアオイトリのさらに先行ったなと思った。
うーん、そうか。さらに先なのか。
才能あるなしの作品とかが囲える何かって、二人の関係で、そこのキビだけでやっていくっていうのが基本なんですよ。
うん、そうですね。
そうそう。だから結構その、まあ言ったら視野がキュッと狭い。まあ本当にその二人がそういう関係で生きてきてるから仕方ないんだけど、そこのキビみたいなのをやっていくんだけど、
そういうのをやりつつさ、視点がはじめに言ったとおりすごい引いたとこにもあるんだよね、カメラが。
うんうん。
だからこの、言ったらそこの関係自体全部を描ききってるっていうとこが、僕はすごいなと思った。
あー確かにね。そういう意味で言うと、
うーん、なんかこれをもうちょっと、今よく見るアニメとか映画風にすると、もうちょっとこう二人の世界っていうものを強調して描くような気がするんだけど、
さっきシャークさんが言ったような、この俯瞰の視点がしっかりあるから、
うん。
なんやろうな、そっ、うーん、でもなんかそこがこう、最後こう、切りつけてくるものっていうのがあるじゃないですか、だから、
そうね。
なんやろうな、こう、勇気づけられるとかではなくて、
うーん。
だから僕はなんか、すごい好きな作品なんやけど、ここからこう、不要意にあんまりなんか、メッセージとかを受け取らんほうがいいんかなっていうふうに、
うーん。
思ったんですよ。なんかこう、ポジティブなメッセージが最後あるのかというと、なんかちょっとなかなか難しい。
まあ、漂ってくるのはやっぱこう、諸行無常感だもんね。
うーん、そうですよね。
でし、このファドという音楽が、表しているサウダージっていう言葉だよね。
うーん、まあ最後にね、出てきますけど。
そうそう、この何とも言えんこの儚さみたいなのを描いてるから、だからまあ解釈としてはまあ、そこはもう任せるよっていう感じではあるし、
何もないって言ったら何もない、この雰囲気を味わってくれとも取れるし。
そうなんですね。
っていうまあね、そこはすごくレベルの高いメッセージの漫画だなとは思うかな。
うーん。
で、なんかこの、今まで漫画の系譜だと、この4コマでこうポンポンポンってあって、気づいたらこの世界とかこの人たちのこととかに持っていかれてたみたいなんて、まあゴーダヨシエの自虐の歌っていう。
33:13
これも4コマ漫画でどうのこうのって言ったら絶対出てくる作品なんですけど。
うんうん。
これがまあ感覚的には一番近いっていうか、まあ自虐の歌の方が早いし、やってることとしては近いなっていうところで挙げられると思うし。
あとこの、街の視点とそこのブルース感というか、まあ自虐の歌もこの元ヤクザの人だったりするから、旦那が。
なんでそこにこんなにも寄り添うのかっていうところがだんだんわかってくるっていう感じで、まあ最後はやっぱすごい泣いちゃうっていう感じの漫画なんだけど。
なんかそのブルース感みたいなんで言うと、やっぱサイバラ・レイコの漫画、まあ僕んちとかに代表されるような。
で、僕んちだったらサイバラ・レイコって地元が高知県の漁村のところで、まあそこで生きる結構まあ、言ったらハードな環境っていうか、まあそういったところでの話みたいなのもしてて。
なんかこの簡易なキャラクターたちだけですごく鮮やかに描かれてるけど、中身はめちゃめちゃなんていうかズンとくる感じっていうかね。
まあかなり現実がしっかりとある。
そうそうそうそうそう、っていうのがあると思うんだけど、これも前紹介してくれた人がいましたけど、コウノフミヨの長い道っていう漫画があるんだけど、この辺も結構そらそらこう時代にこの3つぐらいが挙げれるかなっていう。
まあポップな簡素な絵で語られる、まあ愛っていうよりは先にくるのは豪語だよね。
ポップな絵で語られる豪語の話っていう漫画っていうのはまあ、連綿とある。出てきたし良い漫画もある。
そうですね。
うん、し、なんかもっと言ったら、矢沢愛も結構知見じゃねえのかなって僕は思っていて。
ああ、矢沢愛。
このロカが描いてるのは、まあ言っちゃうとナナってすごいロカだったなって思うところもあったりとかしてて。
ああそうなんですか。
だから、ナナの漢字が好きな人はロカはすごい好きだと思うんだよねっていう。
そこもまあ僕からすると、なんか一番近いのはナナかもしんねえなとか思ったりもしたんだけど、まあそんな、いろいろね、作品で語ってるのはそういう作品も挙げられるっていう感じなんだけど。
なんかでも、まあさっきサウダージって言ったけど、これはもう作品の話ばっかりで語るのちょっとあれかなと思うけどさ、このなんていうか切ない漢字って、花火ぐらいまでの北野たけしの映画が一番近いのよ、僕としては。
ああ、ああ、ああ、なるほど。
やっぱ、ソナチネのあの漢字っていうのはめちゃめちゃ近い、僕からすると。
まあでも確かに確かにそう近いかもな、あの沖縄でさ、少年のようにみんなで楽しんでるあの漢字からこう、ラストのこの緊張感というかさ。
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そうそうそうそう。読み返すとロカも、あ、これは結構な緊張感の中に走ってたんだなっていう、でも笑えるっていう感じも、その初期北野たけし映画っぽいっていうかさ。
その言い方は確かにね、めちゃめちゃ面白いし、なんか言われるとしっくりきますね。
めちゃめちゃしっくりくる、だからあのソナチネのあの、あの感覚を味わいたい人は、そのロカがおすすめっていう、こういう言い方もできるなと思っていて。
確かにね。だからそういうやっぱりさ、まあさっきしゃーくさんが挙げた漫画とかもそうなんでしょうけど、現実の中、僕らもどっちかっていうとやっぱり田舎の出身ですけど、なんかこういう閉鎖的な現実的な世界みたいなところで生きててもやっぱり人間でポジティブに生きるじゃないですか。
だからその感じが、このこういう簡素なイラストで現実を生きる人を描くっていうのとすごくこうリン、マッチするというか、すごくいい表現だなって思いますね。
その、なんていうかもう本当にやるせない、閉鎖的で保守的な感じの田舎で生きていくけど、でもずっと泣いてるわけじゃないじゃないですか。ずっと泣いて怒ってるわけじゃなくて、笑ってる時間の方がやっぱ多い。
でもなんかその全体にこういうやるせなさがあるっていう感覚って、まあ僕らは多分結構小っちゃい頃に味わってるっていう。
わかる。
うん。
し、まあ2人とも割と海が近いところで育ってるやんか。
そうですね。
うん。で、この廊下の舞台も、まあのんちゃんと同じ舞台なんだけど、その港町っていうのがあってね。で、まあ2人とも抱えてる過去っていうのもその船の事故みたいなのがあったりもするんだけど。
うん。
なんか、あの港町のあの感じの感覚がわかるってなんか多分、俺らがすごいグッとくる感覚が、そこを共有してるからっていうのも多分あるんだろうなと思っていて。
確かにね。こうなんとなく知ってる風景な感じするもんね。
うんうんうん。
しなあ。もうちょっと中身でここ良かったみたいな話ちょっとしとくか。
そうですね。まあちょっと僕冒頭も言ったんですけど、これを4コマでやるの面白いなって思った部分で言うと、この主人公2人が初めてそのプロのライブを見に行ったときに、国島さんの方が出てきてすごい、すごかったって言って、でそれに対して廊下が、やっぱプロのライブすごいよねって言ったら、その後に、
いや、全員吉川よりも下手くそだったぞって言って。
うーん。
なんかこれってか、音楽漫画とかやったらさ、こう、熱いシーンやんか。
うん。
なんかそれをこうちゃんと4コマっていう形式にして、全くこう遜色ない形で、でもちゃんとこう、熱いシーンを描いてるっていう。
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そうそうそう。だからこれ、普通にギャグとして読んだらこの、すごいぞって、いやお前よりみんな下手だろって言うとこで、ギャグとしては完全に落ちてるけど、この読み方がいっぱいあるっていうのが面白いよね。
うーん、そうなんですよね。
あと、こうライブで廊下がこうライブをやってて、で、その時に、こうライブ終わって国島さんに会った時に、3人帰ったぞって言って、え、3人帰っちゃったの?って押し込んだら、いやお前のライブだけ見て帰ったやつが3人いたぞっていうのも、めっちゃいいシーンやけど、ちゃんとこう、落ちがちゃんとついてるっていう。
笑える。
何これって言う。なんか4コマとしての切り取り方が上手すぎて、ストーリーを4コマとして切り取ってるって感じがあんねん。4コマがあってそこにどうストーリーを当てはめてるんかじゃなくて、だからなんか僕らの日常にもこう4コマになるとこっていっぱいあるんやろうなって。
そうね。だから石井先生に書かせたらちゃんとできるんだろうなっていう。
あ、そうですね。うんうん。そういう視点があれば、いかようにも4コマになってしまうんやなっていうところが面白かったですね。
そう、だからそれがまあこれ100、100ペンぐらいあるっけな。100何ペンあるんだけど。
100、何十ペンぐらいありますよ。
そうそう。だけど、もうその100ペン全部完璧に決まってるやんか。オチとしては1ページ1ページ。でもこのキャラクターもんとしてもさ、すごいロカちゃんのキャラクターも国島さんのキャラクターも、このすごいスピード感で読んでいくけど、すごいさ、染みてくるんだよね。
そうですね。
で、やっぱその、確かねこれ浅井新聞の連載の時では、ののちゃんとかが最近、見ないねーみたいな、ロカちゃんが歌ってたの見ないねーって言ってて、後ろにでっかいポスターがあってデビューってなってるところで終わり。
あ、そうなんや。
うん。だからそっからデビューした本っていうのはいろいろ同人誌とかいろいろなんて書いてたらしいんだけど。
うん。
だから、あ、そこまで来たらデビューしたっていうハッピーエンドだったんだけど、その先をね、書いてて。で、そっからがやっぱね、こう、ああなんか、町からも離れるし新しい人にも出るし、みたいなさ。
まあなんかこういう運動系の漫画とかでもさ、例えばサッカー漫画だったら部活から始まって代表メンバーとかになったらそこから離れて違う人になるみたいなさ、まあスッと行く場合もあるんだけど、なんかそこのこの、
そこから出てきたけど離れる人、まあ引いてはその国島さんと離れることっていうこの切なさがずっと聞いてくるから、やっぱ後半どうしてもなんか泣いてしまうっていう。
そうですね。
うーん。
国島さんがいない廊下っていう感じがするからね、同人誌でも。
そうそうっていう風になってくるからね。
そうですね。
いやー。
なんかそういうずっと不安があるからさ、131とかの廊下が貧血で倒れるシーン、こう一瞬等身が変わるシーンがあるんですけど、そこの倒れ方がすごくこう、怖いというか。
42:12
うーん、あ、死んじゃうんかなっていうね。
うん、本当にそれぐらいの危うさが急にこうスポッと出てくるから。
そうそうそう。
うーん、こうそう、ずっとザワザワして読んでる。
廊下ちゃんがこう歌ってる時とかは、すごく等身も伸びるし、綺麗に書いてるんだよね。
うーん。
だから、そこが来る時のオッて感じを知ってるから、ちょっと怖いんだよね。
やっぱでも、僕が好きなのは国島さんの目から見た廊下の後ろ姿っていうカットがあるんですよ。
ナンバー59、73ページにあるんですけど。
うんうん。
まあちょっとずつ人が入るようになってきて、まだキャパ100人に30人だけど、みたいな感じで言ってて。
で、そのアンコール、そのお客さん30人全員がアンコールするから、戻っていくっていうところを、
そのステージ外で、見てた国島さんが出ていく、歌っていく廊下ちゃんの後ろ姿を見て、廊下ちゃんが出ていく時に30人が50人ぐらいに見えるみたいな。
うん。
みんなワーッてやってるから。っていうところに、国島さんは半端に小さいな、500人ぐらい言えって言ってるんだけど、廊下ちゃんが歌いだしたら、いや5,000人ぐらいに見える。
で、一人で自分で言いながらこう、ライトがね、当たってる廊下ちゃんの後ろ姿。
ここはやっぱ唸るね。
ここのステージ袖の親友から見た後ろ姿っていうのを切り取ったっていうのは、やっぱすごい。
うーん。
いやここは、これめちゃくちゃすごいし、もう何度も言うけど、ちゃんと落ちてるっていうのも含めてすごすぎるよね、本当にね。
そうそうそう。
もっと上って言うとね、5,000人ぐらいの背中に見えるっていう。
なんていうか、音が聞こえてくる感じっていうよりは、この受け側の人だよね。
こう書いて、その廊下の歌のすごさっていうのがどんどん際立っていくみたいなのが後半どんどん出てくるんだけど。
そうですね、だから廊下が頑張っていくっていう廊下の視点っていうよりは、廊下を聴いてる人の視点っていうのが僕らにこう、どんどん入ってくる。
そうそうそう、とか。
あのー、めっちゃ豪雨の時でさ、立てないおばあちゃんみたいなのが来てさ、廊下の歌聴いて立っちゃうっていうやつとかもさ。
そうですね、あそこも。
あそこすごいのがさ、確か初めは廊下ちゃん側で、今日一人とかしか来てないなーみたいな、インストアライブみたいなね。
で、雨降ってて、こんななのに来てくれたんだっていう話があって、次、ページ向かった次は、車椅子で来てるおばあさんとそれを押してるお母さんの話っていうのがあるんだよね。
お母さんおばあちゃん視点の話っていうのが同じように展開されるっていうのがあるんだけど。
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こういう視点を変えたものっていうのは、ちょくちょくあるけど、グッと来ちゃうんだよな。
あ、もう廊下ちゃんはこんぐらいのファンというか、それぐらい伝わってエネルギーを持ってるっていうとこまで来たんだっていう感覚?
そうね。大きくなっていくっていうのが、廊下ちゃんvs群衆的なあれじゃなく、その群衆一人一人、危険側に一人一人のストーリーにどう影響されていってるのかっていうのを描いていってるし、
あとこの最後のオチがさ、縦になるっていうのがやっぱすごく視点が。
4コマがね、こう伸びる感じね。
ガッと開ける感じがあって、これ面白いですよね。
やっぱそこがこの歌の勢いみたいなのを、すごいつけてるよな。
なんかこう視点をこじ開けてるのような感じのね。
っていうのがな、すごい漫画だと思います。僕が好きなとこで言うと。
いやーでもこれ、ほんまに一回読み始めさせるまでが難しい漫画だと思ってて、今の人たちに。
なんかきっかけがないと、たぶん読み出したら、それこそスロースターターというかさ、
あ、こういう感じのギャグ漫画だね、みたいな感じで始まっちゃうと思うから。
だからこう、なんとかこう、まあ我慢って言ったらあれないけど、ちょっとこう頑張って前半は読んでくれって言っといた方がいいんかな、これから読む人には。
確かに、まあちょっと最終キャラクターので人数とか関係性もちょっと見えにくいっていうのは確かにあるんだけど、
まあでもそれが、やっぱこう後半効いてくるというか重要な部分、街を描いているっていう部分で重要な部分なので、
なかなかね、こう最後までなんとか走り切ってほしいよね、読み始めたからには。
うん、読み終わってこそ歌詞があるから。
そう、この人誰なんだろうとかちょっと引っかかっても、まあとりあえず言っちゃえばいいよね、初めはね。
そうですね。
この誰なんだろうっていうのが最後まで読み切ったら、あ、この市政の人々っていうのをこう描く人なんだっていうさ、描く漫画なんだっていうさ、市政の人々、この街を描いてるっていうやつだから、そこが効いてくる。
いやー、そうやなー、じゃあ一つだけさ、言うとさ、なんかグッとくるっていうあれじゃないんやけど、なんかこれどういう感情、なんかこんなに感情ぐちゃぐちゃにされるのっていうところで、137のやつなんですけど、
はい、ページ。
そうですね、国島さんがさ、結局こう、関係を切るわけじゃないですか、目障りになっちゃいますけど、で、その時にさ、その国島さんの弟がさ、なんか、いやそれは手が切れて願ったりかなったりだろうみたいなことをさ、もうこいつはずっと空気読めないから、
うん。
ブンブン殴るっていうシーンがあんねんけど、ここなんか、ギャグとして描かれてるけど、もうなんか涙止まらんというか、何この感覚っていう感じがすごいして、
48:13
で、なんかまたこの弟のキャラっていうのがずっとこう一貫してこう、空気読めないことを言っちゃうっていうのが、ここに来て、僕らの心にこうストレートで切り込んでくるっていういやさというか、
そうだねー。
ほんとに4コマでまあ、こう最後殴ってみたいなギャグやけどさ、なんでこんなに殴られるんやろっていう。
やっぱこの国島さんのね、気持ちを考えるよねー。
そう、なんかそこの場面、まあチャークさんもさっき言ってたように知ってましたけど、そこの場面で起こってるのと別のなんかストーリーがあって、それを受け取ってるから、こう、4コマ以外の情報を読み取ってる感じがやっぱしますね。
うーん。
そこが分かる。
分かるんだよな。後半ってその、国島さんも、もうまあ、言っちゃうとオブチがね、そういう、まあカタギじゃないから。
そうね。
うーん、だからその、俺と関わったらもうダメなんだよっていう感じがちょくちょく出てくるやんか、久々に帰ってきたけど、あのロカちゃんがさ、もうなんか、アマチュアの頃より聞く人が少ないみたいな。
はいはい。
なんでだろうみたいになったら、その目線しぐさ、立ち姿がもう見られる人のものになっていて、その違和感が通る人を寄せつけんのだ。まあ、別れの季節だろうって言ってるんだけど。
いやここね。
うーん、なんかこの感じがなあ、これもなんかすごいとこ切り取ってるなと思って、なんかもうデビューしてる歌手になったら、逆に人は寄りつかへんっていうさ。
やっぱこう、いわゆる芸能人とかってオーラがあるとか言うけど、やっぱそれって姿勢とか、そういう目線とかがちゃんと見られる人になってるから、逆にそのバンと出てくるものになると意外とみんな、あ、見るんだったらちゃんと見なあかんとか、そういうプレッシャーがかかってたぶんその人が集まんないみたいなさ。
うーん、まあパッケージングされちゃうと逆にちょっと距離があっていうね。
そうそうそう、っていうなんかすごいとこ切り取ってるなあと思ってて。
切り取り方が、なんかこことかも、僕今まで一番漫画で、どんな切り取り方したいねんっていうので度肝抜かれたんで、海の地下の3月のライオンで、
はいはい。
試合、熱い試合が終わった後に、どっちが勝つか分からへんけど、着いた時点であ、こっちが勝ったなってことが分かるっていうシーンがあった。
はいはい、ありましたね。
で、それが、負けた方はちゃんと理由が整理できるから、すぐインタビューとかちゃんと答えてるっていう、ここがこうだよみたいな。
で、勝った方はやっぱギリッギリまで落としたらあかんって思うから、やっぱ疲弊してるからそんなすぐにこう喋られへんみたいな、っていうところを海の地下がたぶん取材して、これを切り取ってきたんだなって思った時に、本当に度肝抜かれたの。
いやー、そうやなー、なんか言ったら、そこって、うーん、言ったら生えない部分ではあるじゃないですか。
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そうそうそう。私まあ実際に行ってみたりとか、自分の肌で感じてないと描けないとこだと思ったのね、漫画で。
そうですね。
海の地下のすごいところってやっぱそこだと思うんだけど、海の地下的な、ああいうガッと切り取る感じが、ロカにはすごい出てて。
うん。
うん、だから今のこの、なんかその逆に人が寄ってこむみたいなのとか、そういうのもねー。
そうねー、この別れの季節っていうのがさ。
うーん、あ、そうねー。いや、すごい。
うーん。
ふふふ。
なんてとかな、うーん。
そうですね、うーん、まあ面白いけど、やっぱりこう読み切って喰らってほしいですね。
うーん、いや、喰らうね、うん、これは喰らう。
うん。
喰らうと思うけど。
くらい目的で読んで全然いい作品やと思います。
うーん、でも多分本当に、人によって多分どこに響くかっていうのが全然違う。
うーん。
その、多分ギャグだな、お前もそんな面白くないギャグだなって思って飛ばしてるとこが、ここがすごいこういうことだよねって言って響くこととかも、このロカの出た時に話した友達とかから出てきたりとかしてて。
あー。
でもすごい面白いので、あのいろいろ読んでみてね、ここがって響くとことかもまた、ぜひとも読んでいただいて教えていただければなと思います。
そう、確かに事務所とかの話とか全然しなかったしね、今回ね。
うーん、後半のね。
うーん、結構この辺も熱いからね、うん。
うーん。
というわけで、心の砂地は引き続きお便りをお待ちしております。
すべての宛先はkookoronsunaatmarkgmail.com、心の砂atmarkgmail.comまでよろしくお願いします。
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アップルポッドキャストへのレビュー評価も絶賛募集中です。
ぜひともよろしくお願いします。
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投稿していただく際にはエピソードのリンクも貼っていただけると嬉しいです。
また、本編で出てきたこういう名刺などはnoteにも募集がありますので、そちらもご覧ください。
noteのURLも各配信サービスのエピソードの詳細にございます。
ということで、今回も聞いていただきましてありがとうございました。
ありがとうございました。
何度も言いますけども、イシイサイチロッカーとかで検索していただければ単行本特設サイト、そこから通販で送られてきますし、
デジタル派の方はKindleで先月から配信がスタートしておりますので、Kindleで読んでみるっていうのもアリなんじゃないでしょうか。
それでは皆様、ごきげんよう。
53:48

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