――寺田さんは、世界は誰のもんやと思ってますか?
――世界が誰のもんか?
――うん。
――世界はみんなのもんでしょう、そりゃ。
――www
――そうか。
――え、違う?
――まあまあ、いやまあ、たぶんそうなんやと思うけどね。
――あー、もっと個人名とか言ったほうがよかった?
――いやいや、そんな、いや個人名出てこないでしょ、それで。
――www
――そうね。
――個人名出てくるのちょっと怖いよ、なんか思想みたいなの感じるもん、それ。
――世界にそうか、急にグッとね、なんか思想が見えてちょっと危険な感じするけど、あんま考えたことないね、世界が誰のもんかと。
――あー。
――うん。
――まあ僕、都内をね、よく運転してるんですけど、仕事でね。
――はいはい。
――日中だいたい運転してる時間が毎回、まあ日によるけど、ない日もあるけど、1、2時間、もうちょいあるかな、3、4時間は運転をしてることが結構あって。
――結構長いっすね。
――うん。
――で、やっぱりすごい運転してて思うのがさ、
――うん。
――自分のことしか考えてない人ってやっぱめっちゃ多いなって思うね。
――www
――多いですね、特に都内の下道とかなんて結構入り組んでるとこ怖いよね。
――そうそうそう、まあでも、なんか大阪に比べたら東京って、指示器出したら割り込ませてくれるし、なんかまあ、マナー良い方だと思うんやけど、
――うんうん。
――やっぱそれでも、狭い道なのに路中してるタクシーとかのせいで渋滞が起きたりとかさ、あるあるやんか、ほんまに。
――いや、タクシー怖いよな、都内。
――タクシーがマジでエグいなっていうのは東京を走ってた思うんやけど、
――うん。
――よくあるのがタクシー乗ろうとしてる人が、なんか競り出してきたり止めようとしてるから、タクシーも強引に行かなあかんみたいなさ、なんかそういう場面とかもあって、
――接客ゆえのね、うん。
――そうそう。あとさ、自転車とかが結構だるかったりするんやけど、最近。
――あー多いね。まあでも、都内あの自転車用のさ、ここ走ってくださいねマーク結構出してるけど。
――そうそうそう。とか、あと今ループとかさ、ああいうやつ。
――あーはいはい。
――結構危ないんだけど、たぶんあれって車運転する人だったらこう行ったら危ないなとか、ここまで滑り出したら危ないなとか、
――ロカタにタクシーとか止まってるから、ある程度車道の方に出てこなあかんから、
――うん。
――そのどんぐらいはみ出すかみたいなんで、自転車でもこう右でこうパッて出してくれんのやんか。
――うん。
――だからあーこう膨らむのねっていうのがわかるんやけど、やっぱそれこそ自分のことしか見えてない、たぶん車も運転せえへん人って、そういうのがわかれへんのやんか。どう走られたら怖いかっていうのが。
――まあね、自転車とかは特にね、車運転しない人もそれは運転するから、ここらへんはね難しいよな、折り合いつけるのは。
――そうそうそう。だからその、タクシー乗りたいやつもなんか、なんで止まらへんねんみたいな感じになるし、タクシーはタクシーでサービスだから行かなあかんけど、
――俺は仕事で行っとんねんみたいな傲慢さを見せてくる、走り方してくるやつも多いし、道間違えたーとかで入れてくれるのはいいんやけど、
――なんかその、王兵な態度した方が早く帰れたりするやんか。
――まあね、それはほんとそう思う。なんか結局強引なやつが一番効率よく動けてしまうってことになっちゃってるよな。事故を起こさんようにすると遠慮する人が多いやんか。
――そうそうそう。
――そうなったら結果遠慮する人ばっかの中で強引な人とかわがままな人って通りやすいやん。
――うん。なんかやっぱ、そういうの見るためにWho's world is this?ですよ。なんかもう。
――急に何?
――世界はお前のもんやねんって、World is yoursっていう感じになるのよ。
――あー、そういうことね。
――これ、NASのWorld is yoursっていう曲なんだけど、ビートロックっていう人がビート作ってて、Who's world is this?っていう風にサビが入るんやけどね。World is yours, world is yours。
――ヒップホップのクラシックっていう。
――クラシック、そのIllmaticっていう90年代のアルバムに入ってる有名な曲ですけど、なんかそれが毎回そういう王兵な態度を見るたびに頭の中になって、
おい、世界とは誰のもんやねんって思ってんの。
――デカいっすね。まあでも確かに、そのね、その空間の中ではね、この世界が俺のもんやと思ってるもんな。確かに一瞬でも。
――そうそう。だからやっぱNASみたいにお前のもんだって言わなあかんのかなって思ったりしてて。
――なるほどね。
――世界と選択、まあなんかそれって、世界は俺のもんだって思ってる人からしたら、多分自由意志。
いやだってこうしたんやからこうしたらええやんっていうことを大事にしてる人の方が多いと思うねんか。
――うんうん。まあそれはそれで自分の思想的なものでやってるってことかな。
――まあ思想って言ったら、そこまで多分考えてないと思うけど、まあだってこうやったらこうするやんみたいな。だるいやんっていうさ。
――そういうことか。
――そういうことを考えると、やっぱそれって自由意志。自分の自由意志っていうのを大事にしてるっていう態度やんか。
――うん、そうね。
――うん、なんかそれと、それこそ世界と自分の自由意志が成り立つんかって、まあそれこそカタカナの世界系っていう作品とかってこういうことが多かったと思うけども。
――うんうん。
――なんかそこについてちょっと改めて考えたいなと思って。
――うん、なるほどね。
――なんかそんなことを話してみようかなと。だから今日は世界系ですわ。
――おー、世界系に触れる。
――いやあんまりいかんかもしれん。
――あははは。
――まあけどなんかそういうことなんだと思う。
――はい、なるほど。
――っていう感じのことをね、話していこうかなと思ってます。
――お願いします。
心のすな字は様々な文化や日常の気づきをヒントに考え続けることで、言葉の記憶装置を目指す教養バラエティ番組です。私、シャア君です。
――はい、そして私は寺田です。よろしくお願いします。
――ということで本日も始まります。心のすな字。
君のこと好きだって気づいてた
だけど僕は怖くて言えなかったんだ
これって多分、日本だと石原慎太郎という人が書いてるんですけど、ここは。
実際、石原慎太郎のものにジャンリックゴダールとかが影響を受けて、それでヌーベルワーグとかの勝手に仕上がりとか生まれてるっていうふうには結構言われてるんで。
だから石原慎太郎が、たぶん戦後の自由意志みたいなものを書いた重要人物としてはめっちゃ大事っていう話はあるんやけどね。
だから、完全なる遊戯っていうタイトルの本とか書いてるし、やばい話でしかないんやけど。
だから石原慎太郎って晩年になってもめちゃめちゃやったやんか。基本的には普通に。
差別的なことばっか言って、なんでこんなボケ老人が都知事ずっとやっとんねんって感じだったけど。
もともと文化人としてはそういう、だから本当に自由意志っていうのが大事なんだっていう人だから。
そのままその人が政治家になって大人になったら、そうなる理由はわかるっていうかね。
まあまあ確かにね。サッカーとしてやってた時のメンタルのままやったからね。
そうそう。そこは、だからブレてはないっちゃあブレてはないんだよね。っていう石原慎太郎の話まで行きましたけど。
なんかでもその、スカーフェイスやっぱ僕も今回見直して。
これってもともと暗黒街の顔役っていうハワード・フォークスの映画があって、それのリメイクなの。スカーフェイスってデパルマの。
あ、そうなんすか。
そうそう。で、俺元の方も今回初めて見たけど、まあ話し意味は一緒なんだけど、暗黒街の顔役30年代だ。1932年。
うわ、古。
だからそういうのを描いてるんだけど、やっぱそういう自由意志と社会、それこそ家族について。
家族っていうのがそいつにとって唯一の世界、ちゃんとした人間関係のある社会みたいなもんだとしたら、
そことの摩擦みたいなんていうのはずっとみんな抱えるんだなと思ったの。
家族と折り合いがつかないみたいなところっていうこと?
スカーフェイスの主人公からしたら、何でもかんでも全部奪ってやるぜっていう自由意志だけで動いてるけども、
彼にとって唯一ある社会っていうものは、その家族との関係っていうものだけやんか。
そうですね。
でもそことをどんだけ自由意志で好きなようにやっても、妹についてはすごい悩むやんか。
そうですね。そこは自分の言う通りにしろっていうだけじゃなくて、向こうの意思もある程度尊重したいみたいなそこの葛藤がある感じ。
感じもあるし。だからやっぱそことの摩擦っていうのは、やっぱそういう人でも起きるんだなと思ったのよ。
世界俺のもんだからなっていう人でも、やっぱどっか持ってる社会みたいなのがそこと摩擦みたいなのが起きるんやろうなって思ってて。
なるほどね。
だから俺が都内を運転してて、こいつ自分が世界だと思ってるっていうさ、世界は俺のもんだと思ってるっていうふうに見えるけど、
そういう、90年代半ば?
日本だと95年、阪神淡路大震災を負うエヴァンゲリオンの年だけども、
その前後ぐらいって多分アメリカもすごい病んでる時期っていうかさ。
そういうのは多分時代の、それこそそれって多分レーガンの時代の反動で90年代アメリカしんどかったみたいなんとか、
日本もそういうバブルの後だからすごいしんどかったみたいな。
社会的なものがそういう病んでるものっていうのを作ってるっていうふうには見えるんだけども、
まあそういう時代だから来るよね。
時代によってそういう表現ってあるよねっていうふうには、
思ったりもするんだけど、
先週から引き続きやらすごい切実な問題になってるっていうか、
その病んでいるっていうことが自分のアイデンティティのところに食い込んでるとか全然違うっていうか。
そうですね、よりこう食い込んでる分、
その、なんていうんだろうな、
やっぱりどうしても自己破壊の度合いがやっぱ違う。
なんかより、さっきシャークさんも言ってましたけど、
僕らの頃ってまだやっぱこういう中二病的な言葉で片付けられる範囲だったような気がするんですよ。
まあ洒落にはなったね、まだね。
そうじゃない人もいたかもしれないけど、
大半はやっぱそういう中二病的なところで片付けられるレベルのことしか起こってなかった。
身の回りではね、少なく。
でも最近はもう普通に社会問題的になってきてるっていう感じが。
その、若い人たちがダメって言ってるんじゃなくて、
僕らがどうにかしないといけないレベルになってきてるっていう感じですよね。
そうねー。
僕ら世代がね。
そこはやっぱ年代の分断すごい感じるよね。
そうですね。
それこそ90年代とかそういう援助交際ブームとかって、
あんま今振り返るとどうなんかなって思うけど、
そういう援助交際に対してフィールドワーク的に色々話を聞きに行く社会学者っていう人がいたりとか、
まあ実際それがすごい売れた本になって、
そういう社会思想の、その人が提案する思想の何かになったりとか、
なんかそういう上の世代の人が、
そういう10代とかの病んでいるっていう感覚とか、
そういった抱えてる問題にアクセスしてどうのこうのしていこうみたいな感覚が
もうちょっとはあったような感じがするんだけど、
俺らの責任、俺らの問題、社会の問題は俺らの問題っていう感じがあったと思うんだけど、
なんか今ってやっぱそこの切り離しがすごい感じるっていうか、
僕もやっぱその20代の子たち、10代の子たちの問題だよなって、
ちょっと前まで20代だったのに思ってしまってるとこってすごいあんねんな。
そうですね。
僕その辺りはやっぱり僕らの時代ってめちゃくちゃ自己責任論の時代だったんで、
だからなんかこう、社会を良くせなあかんみたいなのに対して一番無気力やった気がする。
まあだからそこが、本人がそういうふうに勝負せえへんのんやったら、
それはしゃあないんちゃうっていう感じのことを言う人が多いかなあ。
そうですね。
うーん。だからまあ、その子にとって世界はあんたのもんやからなって言ってるっていう。
そうですね。
うーん。
なんかちょっとこの本題とどれくらい関連あるかわかんないですけど、
ISISに捕まったジャーナリストの人がいたときに、
あったね。
もう本当にSNSとかやったら、いや自己責任でしょっていう意見一色やったのがすごく衝撃的で覚えてる。
デビ夫人とかね、自決しろみたいなこと言ってましたからね。
本当最悪だなって思ったけど。
いや本当に。
デビ夫人最近もジャニーズ問題に関しては、
まさに自己責任論的なめちゃくちゃなことをちょうど言ってましたけど、昨日ぐらいね。
うーん、そうね。
なんか、うーん、なんかそういう時代やし、
なんかその自己責任論っていうことって、なんでこう否定できないんやろうな。
なんか、いや自己責任でしょって言われたらさ、なんか否定できないんですよね、なかなか人間。
うーん。
いやでも、その責任は俺らの社会の責任なんじゃないんと思うけどなぁ。
だからその一対一で言われた時にさ、社会ってないんですよね。
二人で話してる時って社会がないので、社会の責任なんですっていうのは見えにくい。
うーん、でもやっぱそうやな。やっぱそれこそ場とか社会っていうのがすごい欠けてるんだろうな。
なんかやっぱそういう社会的な責任を取るっていうことの恐怖症めっちゃあると思うんだよな。
うーん。
いやでもなんか、そこってマジで死にしか向かってなくない?そんなこと言い出したら。
いや、まあそうだと思いますよ。
だからこそ、就活失敗しただけで自殺するような人がやっぱ出ちゃうじゃないですか。
行動と死の距離がちょっと近づいてんだな、たぶんそれはな。
うーん。
だから社会っていうものが見えなくなるっていうのは恐ろしいことです。
そうそう。
社会が持ってる責任が見えなくなるっていうのはめっちゃ恐ろしいことですよ。
そうそう。社会がその、死というものへの何かを覆い隠してくれてるクッションに本来なるべきだもんね。
だからそこをみんなで形作ることによって協力し合うことによって各々の死へのクッションを作ってるのに、それがなくなっちゃうと何のクッションもないまま落下しちゃう。
いやだからそう考えたらやっぱり自己責任論ってその、ほんまに危ないなあ。
危ないし、まあ社会が貧困であることの象徴のような感じですよね。
うーん、そうね。クッションにも何もなれへんってことだもんね。
クッションになってないって状況っていうのは。
うーん。やっぱそれは、死だなあ。
俺がなんかそれ怖いって思ってんのはやっぱ、イコール死への恐怖だんだろうな。
うーん。
だからやっぱりもうこれがダメになっちゃったらもう終わりだっていう感覚。
うーん。やっぱね、死を肯定したくないもんね。
そうですね。
俺やっぱ何があっても死を肯定したくないわ。多分そこが引っかかったようなと思う。
そうだなあ。死を肯定。なんかその今って文化的に死を肯定、間接的にはしてるかもしれんけど。
うーん。
どこまで行ってるんだろう。ちょっと僕らの時代と違うなって思うのは、なんか僕らの時代ってなんかこう、なんかさっきそう中二病的なとこで終わらせれてるような気もしてた一方で。
うーん。
かなり死の匂いもしたというか。
うーん。
よりこう自分の体を傷つけたりとか。
うーん。
あと僕は結構そういう感覚がすごかったなって思うのは、さよなら絶望先生とかまさにそういう雰囲気をね、かなり汲み取ってた。
すぐね、自殺しようとすると。
うーん。
まあまあ、完全自殺マニュアルっていう本、それこそこうやったら死ねるっていうのを、半分そういう風なことがわかって乗り越えようみたいなさ、ところから始まって。
うん。
なんかそういうのがこう、ある程度デフォルトになってった感じだったな、俺ら世代だったな。
なんかその死がむしろ、死を茶化すことで何とかやってたけど、でも。
なっていこうみたいな。
茶化すことによって距離も縮まってた気はするんやけどね。
そうね。
うん。だからそう考えると今はもっとこうドラッギーなんですよね。
うーん。
まあ死も近いんだと思うんですけどね、見えてないだけで。近いとは思うけど。
まあ、もっと感情だろうね。その範囲に、範囲になることと死が近づいていくことっていうのが、近くでもそれは構わないっていう。
うーん。
感じだよな。
だから、死にたいっていうかもう死んでもいいみたいな感じなの。
うーん。かもな。まあまあ、大雑把にね、いろんなことがあるんだけどもちろん。
まあそうですね、かなり僕ら2人があくまで認識してる範囲での話をしてますね。
うーん、でもそういう感覚はちょっとわかるな。
うーん。
やっぱでもスカーフェイス見てほしいけどな、そこの末論みたいな。最高。
ワールドイズユアーズって自分の作った地球儀のところにこうやって見られて終わるみたいな。
いやー、あれすごい終わり方やね。
あれ暗黒街の顔役もそうやね。30年代の元ネタの方もパッと見た方に、お、って気に入って、やっぱりそれが最後出て終わんのよな。
えー、あそこの下りは全く一緒なの?
一緒やね。
へー。そうなんやなー。
まあでも、あれよな、スカーフェイスはやっぱその、トニーがさ、やっぱどうしてもこの移民であってっていうところ。
そうそう、アイデンティティーのね、そういう問題抱えてんのよ。
があるじゃないですか。そもそも俺は何者なんかみたいな。
うーん。
何者なんかっていうか、まあそのキューバー、だから俺は、だからすごくこの、なんていうんだろうな、差別的な振る舞いをされることにめちゃくちゃキレるじゃないですか、トニーは。