1. 神田大介の経験
  2. 遊軍記者の憂鬱
2024-04-09 09:50

遊軍記者の憂鬱

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はい、新聞の社会部の話をしてましたけど、その社会部もですね、私が入社した2000年当時、2000年当時は私は地方にいましたんで、本社社会部のことは全然知らなかったわけですが、
あの当時の空気感っていうのは分かって、その社会部から来たですね、地方に来ていた先輩記者が言うには、東京の社会部っていうのは三つの派閥に大きく分かれると。
一つが警視庁クラブ、もう一つが検察担当、さらに一つが遊軍。
説明が必要だと思いますが、警視庁クラブが一番分かりやすいでしょうね。警察担当です。
警視庁本部を担当する人たち、一家担当二家担当っていうね、と、さらにその下に方面回りっていうのがあって、東京警視庁の管内は第一方面から第二方面と分かれてるんですよね。
第一方面が何ですか、公家とか含む千代田区のあたりで、第二方面が羽田空港ある方ですよね。
第三方面、第四方面、第五方面、それぞれ渋谷、新宿、池袋ですけど、みたいな、六六方面が上のね、それぞれに若名の記者が配置されていて、そういうグループですね。
方面回りから目星人が警視庁クラブに上がっていくっていう構図。
もう一つ、事件系で目星人が挙げられていくのが検察ですね。
P担当がいますけれども、あと裁判だけを担当する人もいますが、司法記者クラブという言い方をしますけどね。
こちらはね、警察に比べるとやや敵なムードがあって、あと手がける事件が大きいことが多い。
政治家の汚職であったりとか、そういうのね。比較的、刑事事件っていうと、警察の担当は殺人とか強盗とか、そういうのが多いので、そればっかりじゃないですけどね。
なので、どちらかというとやっぱり政治経済に影響を及ぼしやすい。
だからちょっと何か、誤解を恐れず言うと知性の香りが社会部内ではする感じの部署ですね。
それと他にまた友軍っていうのがあるんですよ。
友軍っていうのは何でもやりますやっていう感じですね。何でもやさん。
ただし、警察と検察の島という言い方も役者みたいですけれども、担当するところはちょっと避けるというか、
実際にはすごい大きい事件とかあった時には友軍の記者でもみんな借り出されて、わーっと取材かけるんですけれども、
そういう大きいことがない時に普段何をやってるかというと、まさに前回紹介した西田さんご指摘のような、ナラティブで重い記事を探してる場合が結構ありますね。
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いわゆる待ち種であるとか、ちょっといい話であるとか、感動的な話みたいなの。
長らくやっぱり、しかし新聞社の花形って事件記者だったんですよ。
NHKなんかでももう名物ドラマとしてならせたぐらいですから、かっこいいってされてたんですよね。
事件記者が何がかっこいいって、特種種を書いたりする、要するに他の社が知らない事件のことを書いたりすると、バーンと見出しが立つんですよね。
何々容疑者を逮捕へみたいなこととか、金丸一億円みたいなね、そういうのって見出しとして大きくなりやすい。
ところが、友軍の各記事ってそういう見出しは立たないんですよ。
要するにストレートニュースではないので、こういう感動的なお話がありましたみたいなのって、そんなに扱いとして大きくなりにくい。
あと、やっぱり新聞ってその日その日のニュースが一番大きくなりやすいので、カルロス・ゴーンが逃げたみたいなね。
そういうのっていうのが、どうしてもニュースとしては扱いが大きくなる。
だから、これは別にいつでもいいよねって感じで、お話し物っていうのは軽視されがちなんですよね。
なので、社会部内でも、前にちょっと言ったかもしれませんけど、政治部は基本的に社会部のことばっかりしてるんですよね、政治部は経済は。
朝日新聞は明確に、ずっと政治部と経済部が社長を出してきたんですよね。
政治部出身者がなって、次は経済部出身者がなってっていう、暗黙の了解みたいなのはあり、それで助け掛けで人事が行われてきたわけです。
社会部から社長になった人がいなかったんですよね。
昔は知りませんけど、少なくとも戦後、しばらくなかったんですが、
最近、いろいろ不祥事があってから社会部の人がなるようになりまして、
ともかく政治部と経済部の人に言わせると、社会部ってワーキャーだと、ワーキャーって騒ぐって言うんですけど、
何かあった時にバーって騒ぐっていうのは、下に見てるんですよね。見てる人もいる。
みんながそうじゃないって言っておりますけど、ただ伝統審議はそうでした。
逆に社会部から見ると政治部なんていうのは、長徳町の村の中で偉そうに、
国のことを自分たちが決めているみたいな気持ちで、言いやがってこの野郎、みたいな対立があったんですけど、
今はっきり言って薄くなりましたね。どっちも影響力が低下してるから。
ともあれ、見られている社会部の中では社会部の中で、事件局の人たちっていうのが、
事件局っていうのは警察とか検察は事件局、あと国勢とかもそうですけどね。
まあ、友軍を見下しているところがありました。否定する人がいるかもしれないですけど、それは嘘つきです。
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ありました。で、検察が警察を見下すみたいなのもあって、検察担当が。
結局事件を決めるのは検察だからな、みたいな。警察も大きい事件だと検察庁の許可がなかったら、事件ができないからな、みたいなのがあったりとか。
一方でやっぱり警察担当から見ると、検察ってお互く止まってるみたいな反感があったりとかっていうのもありましたけれども、
それよりさらに低い位置に、友軍の人たちはそう思ってないでしょう。人もいるでしょうけど、低い位置にいたのが、でも友軍なんですよ。
その新聞の紙面における場所取りみたいなので、やっぱりどうしても大きい事件とかがバーンってあったり、特種種がドーンって入ってくると、
友軍はその場所を開け渡さざるを得ないんですよね。どんないい話があったとしても、なかなか勝てないんですよね。
そんなへんも地位に関係あるのかな。あと友軍の話で特種種っていうのがあんまりちょっと考えにくいですもんね。
やっぱり警察事件ネタとかって、検察もそうですけれども、抜き抜かれってのがはっきりしてるから、特種種になりやすい。スクープみたいなのが成立しやすいですよね。
っていうこともあって、わりかし友軍畑の人には不遇感を持ってる人も少なからずいたんですよね。
友軍の中にも、例えば教育担当の記者とかもいて、教育担当とかだとまた自分で記事を載せる場所を持ってたりするんで、
そうなんです。いまだに思いますけど、新聞社って戦国時代みたいな感じがあって、新聞の紙面の領土を取ったりとか、
あとは、よその部から人員を持ってきたりとか、そういうところですごく固執するみたいなのが、いまだに文化として残っているのはひしひしと感じますね。
長くなりましたけど、何が言いたいかというと、こういう西原さん、西原佑介さんが指摘するようなエモい記事っていうのは、
昔から間違いなくありました。だって友軍の記者はそれを書いてきたからね。
災害の時とかもそういうものが大きくなるなんてことは、ざらにあったかと思います。
他方、新聞社内のヒエラルキー的に言うと、ずっとバカにされ続けてきた部分も否めないと思いますね。
お涙ちょうだいものっていう言い方を西原さんがしているあたりは、まさに事件局の担当記者とかキャップとかが、友軍の記事を見下していっている口調にそっくりなんですよね。
西原さんは全くそういう意識はないと思いますけれども。
なので、西原さんの指摘っていうのは、新聞社内の一定の古い価値観を持っている人には大変受け入れられやすいのではないかなという感じがしますね。
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もちろん、殺人事件にまつわってもエモい記事はありますけど、それを書いているのが友軍なんですよ。
事件局、例えば捜査一課担当は、筋を追うっていう言い方をして、被疑者の動向であったり供述だったり、
あとはその場でどういう証拠品が上がってきているのかとかですね、を取材してますので、一般的にはあんまりエモい話は取材しないですね。
もちろんケースバイケースなんですけど。
なので、この指摘っていうのは、実は新聞社の中でそういう仕事をしている人たちがいるという背景があるっていうのは、あんまり一般的には知られていないかもしれないですよね。
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