1. Kanayafrica
  2. 017. 時間と時刻の違い
2020-10-29 09:30

017. 時間と時刻の違い

「時間」という言葉を私達は日常的に使いますが,その意味は「時刻」の場合と「時の間」の場合があります.古代の人々はそのような時間をどのように捉えていたのか,お話してみました.

毎週金曜日朝7時にアート,リベラルアーツと科学技術に関するニュースレター『STEAM NEWS』を発行しています.YouTube,ポッドキャストでまとめもお送りしています.

📬ニュース | 🎧ポッドキャスト | 📺YouTube | 🕊Twitter

00:00
おはようございます、いちです。 今日は長崎港の文字通り付け根にあるステージから録画と録音をしています。
実は前回のyoutube podcast の送信から少し時間が空いてしまったんですが、なのでひょっとしたら何か同じことを繰り返し言ってしまうかもしれないんですが、そこは気流していただければ幸いです。
時間、今ちょっと時間が経ってしまったとお話をしたんですけれども、時間というものについて今日少しお話をできればと思っています。
時間、我々が時間というときに意味していること、これ実は2つあると思うんですね。それは何かというと、例えば15分だけ寝ますといったときの時間、僕ね15分昼寝ってよくやるんですけども、
15分だけ寝る、1時間だけ運動する、3時間だけ勉強する、このような長さ、時の長さを表す意味での時間、それからもう一つは3時になったからおやつを食べよう、12時になったからご飯を食べようという時刻を表す時間、この2種類が日本語の時間の中にはあるわけです。
僕の大学の講義であるとか、それから書いているものの中に関しては、時間と時刻というのは厳密に区別をするように心がけています。
というのは、時間と時刻というのは非常に異なった概念だからなんですね。これは歴史を見てもかなり明らかにわかってくることだと思います。
例えば時刻の方ですね、時を知る、これは古代エジプト人たち当然知っていましたし、さらに時代を遡って古代バビロニア人たちも火時計を発明していたと言われているわけです。
つまり時刻を知ることができた。なぜか、例えば時刻に関してはそんなに意見の差が生まれないんですね。
例えばなんですけども日の出の時刻、僕と例えば隣にいる人が海辺を見ている、日が昇ってくる日の出だ、人によっては太陽の端っこがちらっと見えた時刻を日の出、ある人は太陽が全部昇りきったところ日の出と呼ぶような微妙な差はあるかもしれませんが、大きな違いはないわけですね。
事前にある程度示し合わせておけば時刻というのはかなり正確に一致させることができる。
ところが時間というものは時間を測る道具がないとわからないわけです。
古代エジプト人たちが水時計あるいは砂時計といったものを作っていた、持っていた可能性はかなり高いです。
03:07
そういうものがもうすでに出土していたというような記事は確か読んでいて、確か古代エジプトだったと思うんですけども、バビロニアだったかもしれないです。
とにかく紀元前からある決まった時間を測るということは可能だったと推定されるわけです。
今でいうキッチンタイマーはお湯入れて3分とかレンジで1分とか何かで5分とかですね、そういうふうな実際にはもっと長い時間を測ったと思うんですけれども、時と時の間の決まった時間を測るということは可能だったようです。
ところが例えば150メートルを走るのに何秒で走りますか、そんな短い時間は興味がなかったかもしれませんが、ある地点からある地点まで歩くのに何時間かかりましたか、これを測る手段というのは当時なかったわけです。
いわゆるストップウォッチがなかったわけですね。
実際にそのストップウォッチというのが英語ではクロノグラフと言いますけれども、そのクロノグラフというのが発明されるのはガリレオガリレイを待たないといけないので、彼は17世紀の人ですから、相当時間という概念を人類が自分のものにするには数千年の開きがあるわけです。
それは全く時刻と時間が違うコンセプトであるということを示しているのではないかと思います。
今はわりと当たり前で腕時計にストップウォッチがついていたりしますけれども、それは非常に時代的に見ると最近のことということになります。
ではその時間というものを古代の人たちはどう捉えていたか、例えば面白い証拠が一つありまして、古代ギリシャ人は時間の神様というのを祀っていたんですが、お二人いらっしゃいました。
一人はクロノス、先ほどのクロノグラフの語源になったクロノスという神様で、物理的な時間を表していました。
つまり砂時計とかが完全に落ちるまでの時間の長さであるとか、そういった時間を司っていた神様クロノス。
そしてもう一つは心理的な時間を司っていた神様カイロスですね。
心理的にこの時が来たみたいな瞬間を表しているのがカイロスという神様で、これは正しい解釈かどうかは分かりませんが、心理学者の河合俳夫先生のご本の中に大相撲の立ち合いというのを例としてあげていらっしゃいます。
06:04
大相撲の立ち合い、現在テレビ中継の関係で制限時間というのがあるんですが、かつては力士同士のタイミングが合うまでいつまでも待っていた。
力士同士のタイミングがパチンと合ったときに取り組みが始まる。それがカイロスだというふうに言われていました。
これが本当に正しい解釈かどうかというのは分かりませんが、おそらくそういった心理的なタイミング、時間というものをギリシャ人たちはカイロスという神様に託したんだと思います。
一方のクロノスというのは人間の精神状態と関係なく流れていく時間。
ちょっとややこしいのは、クロノスのクの音はギリシャ語のカイという文字の発音です。
もう一人クロノスという神様がいらっしゃって、こちらはギリシャ語のカッパ、英語のケイの発音の神様で、これは濃厚の神様なんですね。
これはローマの神様と合体した時に、ローマ人が無理矢理合体したんですけども、
サトゥルヌス、英語でサターンという神様と同じ神様だということにされました。
我々日本人から見ると、英語のサターンと、それからダテンシのサターンと発音が同じなんですけど、これは全く別の概念です。
響きが一緒だけども違う形で、クロノグラフのクロノス神様ね、これは物理的な時間の流れ。
数年前にお亡くなりになったホーキング博士の本の中では、この物理的な時間の流れというのも2種類あるんだよというようなこともお話ありましたが、
それはさておき、古代の人たちというのは少なくとも時間と時刻に関しては自然に区別がついていたというか、
時間の方に関しては、ある時点でスタートしたある時点で止まるという、時間を測る経時ということができなかったために、時間と時刻というのは厳密に区別がされていました。
僕の個人的な意見なんですが、この時刻というものを発明したのは誰かというと、これはガリレオ・ガリレイだと思っているんですけども、
ガリレオについてお話をし始めるとまた1本分のお話になるので、これはまた次回お話をさせていただければと思います。
今日はこの辺で失礼したいと思います。聞いてくださってありがとうございました。
09:30

コメント

スクロール