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2024-04-01 20:38

【INTERVIEW#235】誰もが自らを「訂正」し続けている│東浩紀さん(批評家/作家)

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【誰もが自らを「訂正」し続けている】
今回のゲストは、『訂正する力(朝日新聞出版)』『訂正可能性の哲学(ゲンロン)』の著者で批評家/作家の東浩紀さんです。
「訂正する力」とはそもそも何か。なぜ今の時代で「訂正する力」が必要なのか。著者である東さんに詳しく伺いました。今回から全4回にわたってお送りします。(2024年3月取材)

【東浩紀】あずま・ひろき
1971年東京生まれ。
批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。
専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(講談社)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(河出書房新社)、『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)ほか多数。
『訂正する力』(朝日新聞出版)
『訂正可能性の哲学』(ゲンロン)

第一回 誰もが自らを「訂正」し続けている
(4/8公開)第二回 「立場」と「訂正する力」のジレンマ
(4/15公開)第三回 もしも日本を「訂正」できるなら
(4/22公開)第四回 僕の哲学の源泉
再生リスト

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▼【聞き手・早川洋平プロフィール】
はやかわ・ようへい/1980年横浜生まれ。新聞記者等を経て2008年キクタス株式会社設立。羽生結弦、コシノジュンコ、髙田賢三など世界で活躍する著名人、経営者、スポーツ選手等ジャンルを超えて対談。13年からは「世界を生きる人」に現地インタビューするオーディオマガジン『コスモポリタン』を創刊。 海外での取材を本格化するいっぽうで、戦争体験者の肉声を世界へ発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。 公共機関・企業・作家などのパーソナルメディアのプロデュースも手がけ、キクタス配信全番組のダウンロード数は毎月約200万回。累計は3億回を超える。『We are Netflix Podcast@Tokyo』『横浜美術館「ラジオ美術館」』『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』などプロデュース多数。近年はユニクロやネスレ、P&GなどのCMのインタビュアーとしても活躍。 外国人から見た日本を聞く番組『What does Japan mean to you?』で英語での発信もしている。

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▼関連キーワード
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#訂正する力
#訂正可能性の哲学

▼目次
東浩紀さんのご紹介
ゲンロンカフェについて
Xのサブスクについて
最近の読書時間
『訂正する力』『訂正可能性の哲学』の反応
訂正する力が働いている事象
訂正する力の存在に気づく
物事に対する反応
固有名化と立場の問題
メンバーシップ随時募集中

サマリー

言論カフェにお邪魔し、東浩紀さんにお話を伺っています。東さんの自宅でのインタビューやゲストのサインの話もあり、東さんの訂正する力について触れられています。 自己の訂正やアップデートの重要性について議論され、狭間さんが「アップデート」とは言わずに「気づく」と述べたことが注目される一方、猪瀬直樹さんとの対談での訂正する力や固有名になることの重要性が議論され、固有名の立場と猪瀬さんの後陣になることの問題性が指摘されました。 このエピソードでは、番組の企画とは異なる「万博」の話になり、猪瀬さんが自らを訂正する力を持っていることが伝わってきます。

言論カフェでのインタビュー
さあ、今日はですね、言論カフェにお邪魔して、批評家の東浩紀さんにお話を伺います。東さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
さあ、インタビューさせていただくことは、実はですね、3年前にオンラインで東さんに、その時はこの言論戦記でインタビューさせていただいたんですけど、
その時は場所がですね、もうちょっとわいざつって言ったらちょっと失礼かもしれんけど、なんか部屋みたいなところに、後ろに本棚がいっぱいあったんですけど、どこだったんですかね?
あ、それはたぶん自宅じゃないかな?
あ、ご自宅ですかね。
ちょうど2021年のたぶん、そうですね。
Zoomの画面ですよね。
そうです、そうです。
後ろに全部本棚があって。
うん。
あれは自宅ですね。
それでその時に、なんか最近のベストバイは何ですか?って聞かれたら、
いやー、なんかあの新エヴァの、なんかこんな杖みたいなやつがあって、
じゃあ、ご自宅ですかね?
はい。
わかりました。
はい。
そういうわけでですね、僕は今日ね、オフラインは初めてなので非常に緊張してるんですけども、
今日はですね、この言論カフェ、逆にお借りしていますが、
こういった形で、あずまさんが当然主催のイベントでここをもちろん使うと思うんですけども、
僕なりに外部の人間を取材させていただくって形でここを使うこともあるんですか?
僕が本の観光で取材を受けるときは結構ここを使ってますね。
あ、そうなんですね。
そういう意味で今日ね、僕も普段外から見ていて、こういう感じなんだってことで、
このね、カメラの逆側なんかにもね、結構いろんなサインとか絵があるんですけど、
これ、ゲストで来た方?
そうです。基本的には登壇された方に、最初にここを出た時に1回お願いしてるって形ですね。
これ、こんなこと言ったらあれですけど、ここ絶対、場所を移ったり壊せないんですよね。
そうなんですよね。だからこの壁…
バンクシーみたいに壁剥がすの?
壁取り外せるんですけど、取り外してもね、これどうやってもう1回建てるかって言ったらちょっと難しいですからね。
なかなかここから引っ越す時にこれどうするんだとは、時々思い入ってます。
東さんの自宅や訂正する力
ちょうど前回にお話が上がった時は、たぶんゲンロンという会社が10年だったと思うんですけど、
このゲンロンカフェはそれから少しズレてますよね。
ズレてます。ゲンロンカフェが去年10年かな。
そうですよね。ということでね、今そういう節目で今日お話を伺いたいんですけど、
これ、バーもあるじゃないですか。バーというかドリンクカフェ。
ここ、もともとどういう場所だった?
僕たち借りる前ですか?
このためにこういうの作ったんですか?
そうです。だから借りる前は単なるオフィス用のビルですよ、ここは。
もとはバーだったとかじゃないんですかね?
ないないない。
いや、すごいですね。そんな中でね、今日お話を伺うんですが。
本編に入る前に、最近、安島さんのサブスクも拝見させていただいてて。
思った以上に安島さんがさらけ出してて。
いや、そうですよね。基本的に何々の本を読んだしか書かないサブスクですけど。
はずで安心して読んだんですけど、ちょうど僕、当然タイムライン長いってことじゃないですか。
最近、取材…取材じゃないや、来る人はあまりに準備してなくて。
ちょっと困っちゃうなっていうのを、僕、見ちゃってやりにくいんですけど。
やっぱり、そうなんですかね。
まあ、そういう感じることもありますよね。
いきなりこんな仕掛けるのがあるんですけど。
でも、単純に言ったんですけど、本のことしか書いてないっておっしゃってたんですけど。
本当に、あの本を毎日のように、普通の僕なんかからすると、
本を読むのに1週間1ヶ月かかるんじゃない?っていう本を毎日のようにあげてますけど。
毎日、本当にかなり相当量読んでる感じなんですか?
まあ、やっぱり本読むのが好きな仕事なので、空いてる時には大体本を読んでるので。
前回のインタビューの時に、やっぱり言論っていう会社を作った時に、
経営でいろんな得るもの失うものみたいな話がありましたけど、
やっぱり一つに、本を読んだり映画を見たりする時間は相対的に減ったよねっていう。
お子さんとかも含めて。
最近どうですか?その辺はちょっと増えた?減った?変わらない?
どうだろうな。もしかしたら少し楽になってきているのかもしれないですね。
ただやっぱり雑用多いですからね。いろいろ会議だ、なんだかんだ。
あとイベントやるって言ったらイベント用の本読まなきゃいけないし。
でも少し楽になったっていうのは、もうちょっと詳しく聞くと何でしょうね。
やっぱり会社が大きくなったので、その分責任が重いこともありますけど、
やっぱり話せることができるところも増えたので。
昔はそれこそ5、6年前とかだと、本当に全てに口出してたというか、
全部会議出てたというか、そういう感じだったので、
もう今はそれはないんでね。そういう点では少し楽です。
東さんの本と訂正する力
その辺もね、この言論戦記は出てからもうすぐね、3年、4年ぐらい。
そのアフターもちょっとね、後で少し時間があれば伺いたいなと思うんですけど。
そもそもなんですけど、本当に東さんに忖度するわけじゃないんですけど、
訂正する力と、今回のこの訂正可能性の手伝い、去年それぞれ出て。
本屋さんって、めちゃくちゃ、この特に訂正する力?
平積みとか、コーナーすごいんですけど、
ここまでの売れてるというか、その辺ってご自身で言うのですか?予測してました?
いや、そこそこ売れるものを描くつもりではやったので、
これくらいの反響はあるだろうと思ってました。
これ、今どのくらい差し支えなければ売れてるんですか?
僕がここで数言っていいのかな?
とりあえず、この間、スポーツ新聞に記事に出た段階では、6万部を超えてたんですね。
すごいなあ。そうなんですね。
そうなので、今日ちょっとね、いろいろお話伺いたいんですけど。
でも、売れる方ってことはあると思うんですけど、なんででもこのくらい売れたと思います?
やっぱり、僕の問題提起は、ある意味非常にシンプルで、
今のインターネットを見ればわかる通り、とにかく自分の間違いを絶対認めないと。
ちょっとでも認めたらもうアウトっていう、すごい防衛的になってる人が多いので、
そういう中で、間違いを認めて正すっていうことが大事なんだよっていうメッセージは、
多くの人に響いたんじゃないかなと思いますね。
その中でですね、間違い、謝罪するものの誤る、ミスティックの誤りも両方かかってると思いますけど、
これ、今日見てる方でね、訂正する力、当然読んでいただきたいんですけど、
ざっくり定義のところで、ちょうどこの本の1章のところで、
訂正する力っていうのはいくつか、僕なりに定義として書かれてるんじゃないかなってことか、
過去との一貫性を主張しながら、実際には過去の解釈を変え、現実に合わせて変化する力、
持続する力、聞く力、追い抜く力、記憶する力、読み返る力といろいろありますが、
せっかくなんで、この定義も大事なんですけど、事例っていうことで、
できれば本書に書いていないタイムリーなことで、
訂正する力が最近働いてるなと思ったら、できればポジティブなこと。
ネガティブなことはすぐ思いつくんですけど。
そういう質問されると思ってなかったので、ちょっと今思いつきませんが、
本当は訂正する力って、僕たち日常的に常に働かしてるもので、
どっちかっていうと、この本の主張は、
訂正する力持ちなさいっていうよりも、僕たちが日常的にみんな訂正してるってことに気づきなさいなんですよね。
日常的に。
だから、ずっと一貫してますとか、同じことやってますっていうふうに自分で思い込んでても、
実は変わってるんですよ。で、そのことに気がついてほしいわけ。
だから、僕たちは実はずっと訂正し続けてるんですよね。
自分は全然そんなことやってない、昔から一貫したこと言ってるし、
主張は全くブレてないって思ってる人でも、いろいろ見てみると、
時代時代で少しずつ修正してるはずなんですよ。
そのことに気がついてほしいっていうのが僕の考えなんで、
だから、訂正する力は、むしろあちこちで働いてて、
大抵の場合は上手くいってるというか、大抵の場合はそれを使いながらみんな生きてると思います。
そうすると、使いながらだし、僕もこういう質問をするってことは、
意識すらされてないことが日常?
ところがむしろ、議論とかしようとすると、それを忘れちゃうわけですよ。
自分がいろいろ変化してきたってことを忘れて議論を立てて、
絶対的な正しさがあって、急にすごくカタクナになるわけですよね。
で、議論がどんどんこじれていくということが多い。
だから、もっと自分たちが常に訂正してるってことにみんな気がついたら、
もっと議論も豊かになるし、トラブルも少なくなるんじゃないですかってのが僕が言いたいことですね。
訂正する力を身につけようというよりも、気づこうってことですね。
そうですね。気づこうってことですね。
そういう意味で、ここのカバーにもね。
先生ですけど、私自身がずっとこの番組をやっていて、
ライフアップデートっていう概念がすごい大事だなと思っていて。
訂正する力とアップデートについて
やっぱり人生って、個人的な考えですけど、20世紀的な感じだとライフアップグレード。
どんどん積み上げていけば成長していくだろうみたいな概念だったと思うんですけど、
やっぱりこれからそうじゃなくて、どんどん更新していかないといけないっていう。
ポジティブでもあるし、やっぱりちょっと恐れてみたいなところもあるんですけど。
でも今の話でいくと、今日訂正する力とアップデートって一緒だなっていうふうには思ってたんですけど、
狭間さんがおっしゃってるのは、このアップデートっていう意味では重なるんですけど、
やっぱり、すみません、繰り返しになっちゃうんですけど、そういうふうに変わろうよじゃなくて、気づく。
っていうか、僕たちはそもそもアップデートし続けてるわけですよ。
だって体だって変わってるし、歳もとってるし、新しい情報を毎日入れてるわけでしょ?
1年前の僕と今の僕では、多分微妙に考えも変わってるだろうし、
世の中に対する認識とか、例えば何が正しいことで間違ってることかっていう軸なんかも変わってるはずなんですよね。
人間みんなずっと変化しながら生きてるわけであって、
変化してるっていうことを、転校したとか、変設したとか、一貫してないとかって言って、
攻め合うのは意味がないんじゃないですかっていうのが僕の考えなわけ。
だからアップデートは考えなくてもみんなしてる。大丈夫。
パソコンでアップデートしますかじゃなくて、もう自動でしてるってことですね。
猪瀬直樹さんとの対談
そうね。だから自動でしてるのに気がつかないと、
アップデートなんかしてねえよとかって、いらねえよ、そんなの。っていう話になっちゃう。
いや、そんなこと言ってもしてんですよ、実はと。
どんどん環境って変わってくんで、環境が変われば同じことを言ったり同じことを行動してても、
効果って変わってるわけですよ。変わってくわけですね。
そしたらその結果の変化に応じて自分の方の振る舞い方も変えなきゃいけない。
これかなり普通の話で。
ところがそれが政治とかの議論になると、そういう議論が急にできなくなるんですよね。
ここで挙げてるのは、例えば憲法を改正するかどうかとかですけど、
もう憲法一軸でも変えたら終わりだみたいなね。
でも憲法を作って、もうすごい時間が経っていて、今の日本語憲法を作った時とは、
これ安全保障だけじゃなくて、いろんなものの考え方が変わってるわけですよね、世の中。
そしたら、憲法の政治を守ろうとするんだったら、もちろん文章を書いてもいいはずなわけですよ。
ところが、守るために変わるっていうことに対しても、すごく恐怖を覚えたり、反発を言ったりする人たちっていうのが多くて、
そういうことが、さまざまな議論の出口をなくしてるなっていうふうに感じるんです。
今、憲法の話があったんで、ちょうど触れたいんですけど、この本のところですね、59ページのところで、
「訂正する力は記憶する力でもある」っていうところでですね、いろいろちょっと読んでた時に、
日本人の国民性として、やっぱり手のひら返しというか、熱しやすく冷めやすいみたいなものは書いてあって、
やっぱり、100・0、今、例えば憲法は変えるか変えないか。
で、たまたまこの間、日本保守党か、百田さんの書いた本も読んで、
個人的にはちょっと、やっぱり、日本保守党とか百田さんっていうだけで、僕はちょっと勝手に構えてたところなんですけど、
意外と読んだら、移民政策に関して、やっぱり、イエスかノーかっていう質問自体は、やっぱりちょっと乱暴だっていう。
それはその通りだなと思って、その中で、移民政策の中でこういう部分はいいんじゃないかみたいな。
自戒も込めてですけど、どうして僕たちというか、ちょっと日本は01というか100・0なんでしょうね。
こういう風土っていうのはなんかあるのかなって思ったんですよ。
いやー、わかんないな。それに、日本がもともと100・0の国だったのかどうかもわかんないし、
とにかくSNSが100・0の議論に向いてるのは間違いない。
あと、日本は明治維新と敗戦の2回の、ある意味での成功体験っていうのがあって、
1回、過去を全部否定すると。それも江戸幕府全否定、近代化、開国。
そして次は明治維新体制全否定、民主化、アメリカ化。
そういう過去の全否定、方針全面展開によって成功したっていう記憶があるので、
どうしても今も日本の未来を考えると、もうリセットというか、
もう1回、とことんぶっ壊れちゃったらいいんだよみたいな議論が、結構インテリの方なんかもしますよね。
だから、ああいうロマンチックな議論は僕はやめたほうがいいと思うんですよ。
1回壊れたら終わりですって。壊れないほうがいいですよね。
だからやっぱり、1回とことんぶっ壊れちゃうよ、希望が出てくるんだみたいなのは、物語としてはいいけど、
現実はやっぱりそうじゃないと思うんで、やっぱりそこそこいろんなものを引き継ぎながら前に進んでいくしかないわけですよ。
それに実際、明治維新とか敗戦にしても、全部壊れてるわけじゃないんですよね。
かなり様々なものが引き継がれているわけですよ。
だからこれから日本を変わりにしたって、今の日本が持ってるものを全部壊して、新しくリセットなんかできるわけないわけで、
そういう点で議論する時に、古いもの全部ダメとか、あと老害全部ダメとか、そういうのは僕はあんまり好きじゃないんですよね。
やっぱりいろいろ引き継いでなかなきゃいけない。
その中で今日ね、やっぱり個人的には一番、訂正する力、その発動できるか、気づかないかの鍵かなと思ったのはですね、
やっぱり触れないわけにはいかないと思うんですけど、今日インタビューする、ちょうど1週間くらい前ですかね、猪瀬直樹さんとの対談を僕も見させていただいて、
おそまきながらギリギリこの昭和16年夏の敗戦も読ませていただいたんですけど、その中で、その中身を云々と言うより、
この訂正する力の中に、立場と固有名っていうことを2つ書かれてると思うんですけど、その訂正する力を発動できる鍵っていうのは個人的には、立場と固有名に欠けてるんじゃないかなと思ってて。
っていうのも、ご本人に言うのもあれですけど、僕なりに勝手に読み取ったのが、立場っていうところでいくと、読んでない方もいらっしゃると思うんで、
この本の中で猪瀬さんが、昭和16年夏の敗戦という名著について、東さんが触れられてて、その内容は去っておいてですけど、
その本で、やっぱり猪瀬さんがジャーナリストとして、きちんと日本の必ず戦争に負けるっていうことがわかってたのに、
日本がなぜ戦争に走ってしまったのかっていう、その辺の組織のいろんな問題なんかを鋭く切り込んでいて、
そういったものを猪瀬さんがきちんと書いたジャーナリストとして、素晴らしいブームがあったにもかかわらず、
猪瀬さんが逆に都知事になってからは、東京の暑い夏か、おそらくわかっていたけど、訂正できなかったというか、その辺に関して書かれてたと思うんですね。
その時に、東さんが最後にその下りのところで、ちょっとだけ引用しますけども、
猪瀬さんも東京の夏が暑いことはわかっていた。ただ、それを一言でも言ったら批判勢力か何を言えるかわからない。
今の日本である程度の影響力のある立場になってしまったら、危機管理上訂正しない人間にならざるを得ないわけです。
固有名の立場と問題性
ここで僕は、この猪瀬さん云々と言うより、やっぱり人が影響力のある立場になることによって、訂正しないといけないとわかっていても、そうなってしまうのかなっていうふうに、当然読みました。
その逆で、この本の中に、「訂正する機会に恵まれる人には、固有名になれ。」って書いてありますよね。
固有名になるっていうのは、この中には交換不可能な存在になるとか、その辺と連動すると思います。
ただ、どうなんでしょうね。これ、僕が勝手に猪瀬さんとの対談を見てて思ったんですけど。
昭和16年の夏の敗戦を描いた時の猪瀬さんは、当然その訂正する力、まさにそれを体現されてた方。
でも、固有名になっていた猪瀬さん自身が立場、後陣になってしまったことによって、固有名が外れちゃったんじゃないかって思ったんですけど、どう思うんですか。
全くおっしゃる通りだと思います。結局、政治家っていうのはある意味、立場の権限みたいなやつ達ですよね。
それに対して猪瀬さんは、作家が政治家になるってことが大事だとおっしゃってた。
それは今の話だと、固有名になっている人間が立場を引き受けることによって、政治の硬直性を揺るがすことができるんだよ、というふうに猪瀬さんはおっしゃってたんだと思うけど、
先日ここに来て、大阪万博について話されたときに猪瀬さんは、もう完全に立場からしか話されてないので、
猪瀬さん、そうは言っても僕の質問の意味わかってるでしょって言っても、全然わかんないよっていうことだけだったから、
そういう意味で、ある意味、作家の部分っていうか、まさに固有名として立ち現れた部分っていうのが、猪瀬さんからちょっとそぎ落ちてってるのかなと思いました。そこは残念に思いましたね。
これ僕の深読みしすぎかもしれないですけど、あの場に出て、猪瀬さんも、当然ですけど、いろいろ言われることはわかってらっしゃるじゃないですか。
万博の話の展開
でも、出て会場から来た方とか、僕もやっぱりちょっと残念ではあったんですけど、でもその残念だって思われるっていうことは、それも訂正する力が働いてるってことなんですかね。固有名の猪瀬直樹をみんなもう一回見てるみたいな。
そうですね。だってあの番組は、そもそも大阪万博がテーマではなかったんですよね。
打ち合わせでも、万博の話っていうのは後半ぐらいでやりましょうかということになっていたんだけど、実際に壇上に上がったらすぐ万博の話を自ら始めて、猪瀬さんという人間というのを聴衆や視聴者に伝える時間を持たせてくれなかったと感じました。聞き手としては。
それ残念なことなんですが、猪瀬さん自体が選んだというか、「俺は今日は万博の話をするから。五輪の話をするから。」っていうので来てるので。
でも、あの時聴衆の方から質問も来たけれども、「俺たちそれ聞きたかったっけ?」ってあったと思うんですよね。猪瀬さんってもっといろんな仕事されてた人で、五輪と万博のスポークスマンだけの人ではなかったわけだから、
猪瀬さん自身が自ら自分を立場の中に閉じ込めているというところは思いました。
いつもインタビューをご視聴いただいてありがとうございます。この度スタートしたメンバーシップでは、各界のトップランナーから戦争体験者に至るまで2000人以上にインタビューしてきた僕が、国内外の取材、そして旅の中で見つけた人生をアップデートするコンテンツをお届けしていきたいと思います。
ここでしか聞けない特別インタビューや地蔵トークにもアクセスしていただけます。随時、これは面白い、これはいいんじゃないかというコンテンツもアップデートしていきますので、そちらも含めてどうか今後の展開を楽しみにしていただけたらと思います。
なお、いただいた皆様からのメンバーシップのこの会費はですね、インタビューシリーズの制作費だったり、国内外のインタビューに伴う交通費、宿泊費、その他取材の諸々の活動経費に使わせていただきたいと思っています。
最後になぜ僕が無料でインタビューを配信し続けるのか、少しだけお話しさせてください。この一番の理由はですね、僕自身が人の話によってうつや幾度の困難から救われてきたからです。
そして何より国内外のたくさんの視聴者の方からこれまで人生が変わりました。毎日すぐ勇気をもらいました。救われましたという声をいただき続けてきたからには他になりません。
この声は世界がコロナ禍に見舞われた2020年頃から一層増えたように思います。これは本当にありがたいことです。
ただ、同時にそれだけ心身ともに疲弊したり不安を抱えたりしている方が増えていることにかならない、その裏返しであると僕は強く感じています。
正直に言えば、各僕自身も15年以上前に起業して以来、最大のピンチといっても過言ではない時期をこの数年送り続けてきました。
でもこんな時だからこそ森に入ることなく、インスピレーションと学びにあふれるまだ見ぬインタビューを送り続けることがインタビュアーとしての自分の使命なのではないかと強く感じています。
世界がますます混迷を極め先の見えない時代だからこそ僕はインタビューの力を信じています。
これまでのようにトップランナーや戦争体験者の方への取材はもちろん今後は僕たちと同じ、
市政の人、普通の人の声に耳を傾けたり、ややもすると内向きになってしまう今こそ海外でのインタビューに力を入れていきたいと思っています。
そして彼らの一つ一つの声を音声や映像だけでなく本としてもしっかりと残していきたい、そう考えています。
そんな思い共感してくださる方がこのメンバーシップの一員になってくださったらこれほど心強くそして嬉しいことはありません。
ぜひメンバーシップの方でも皆様とお耳にかかれるのを楽しみにしています。
以上、早川佑平でした。
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