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2024-03-25 12:41

【INTERVIEW#234】なぜ一線に立ち続けられるのか│吉本ばななさん(小説家)

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【なぜ一線に立ち続けられるのか】
1987年に『キッチン』でデビューして以来、37年もの間、小説家として第一線で活躍し続けている吉本ばななさん。長きにわたりその地位を保ち続けることができた理由は何か?世界中を旅し、様々な経験をしてきたばななさんの人生観と創作へのアプローチを深堀りします。最後までどうぞお楽しみに!
(2024年1月取材)

【吉本ばなな】よしもと・ばなな
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。
87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。
著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。
noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。
『小説家としての生き方 100箇条』(吉本ばなな/NORTH VILLAGE)
note(どくだみちゃん と ふしばな)

第一回 小説家としての生き方
第二回 ニーズに合わせて書かない
第三回 私がnoteを選んだ理由
第四回 なぜ一線に立ち続けられるのか
再生リスト

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▼【聞き手・早川洋平プロフィール】
はやかわ・ようへい/1980年横浜生まれ。新聞記者等を経て2008年キクタス株式会社設立。羽生結弦、コシノジュンコ、髙田賢三など世界で活躍する著名人、経営者、スポーツ選手等ジャンルを超えて対談。13年からは「世界を生きる人」に現地インタビューするオーディオマガジン『コスモポリタン』を創刊。 海外での取材を本格化するいっぽうで、戦争体験者の肉声を世界へ発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。 公共機関・企業・作家などのパーソナルメディアのプロデュースも手がけ、キクタス配信全番組のダウンロード数は毎月約200万回。累計は3億回を超える。『We are Netflix Podcast@Tokyo』『横浜美術館「ラジオ美術館」』『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』などプロデュース多数。近年はユニクロやネスレ、P&GなどのCMのインタビュアーとしても活躍。 外国人から見た日本を聞く番組『What does Japan mean to you?』で英語での発信もしている。

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▼目次
世も末?
小説家として第一線で続けられている理由
現在の小説のテーマ
人生で成し遂げたいこと
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00:01
インタビュー
あとこれはこの10年っていう区切りじゃないと思うんですけど、なんかその10年までいろいろお話を伺ったときに、もうその言葉だけをそのまま音声をかき起こしたんで、ちょっと読みますけど。
ファンタジーラインに特化してもっと作品作ったら、稼ごうと思えばもっと稼げるかもしれないけど、自分は嫌だ。もっと大きな財産を自分は欲していると。財産といってもお金よりも全然知らない国の全然知らない誰かが自分のおかげで助かっているといいみたいな、目に見えない道を積んでいきたいみたいな、そういう話をされていて。
そのときにふと思ったのが、吹き上げ機タンの1冊目のあとがきかなんかに、「私がファンタジーを描くなんて世も末だなあ。」みたいな。
はい、そう思いましたね。
しかし、「こんな時代になると、こういうものでしか人の心に力をあげられない。」って言ってたんで。吹き上げ機タン、最初の作品描いたのも、多分7年前とか5年ですよね。
とにかく、私は長編描くのが全然好きじゃないので。最後だと思って。しかも、最後の絵に分冊にすれば何とか長くなるんじゃないかっていう思いだったんで。
漢曆前に終えたいなと。一応区切りましたけど、次に書くときは長い一冊じゃなくて、多分短編の中析になると思うので、吹き上げ機関も。
まだ出る可能性がある?
まだ出します。
もう出しますって言ってた人。それは嬉しいです。
なので、なんて言うんでしょう。私がファンタジーを書くなんて、世も末だなっていう。書く前に、僕がお話しを伺った時に、いつかそう、みたいに言ってたね。
その辺、その世も末感っていうのは、あんまり良いことじゃないのかなと思うんですけど。
もっと悪くなりましたもんね。
なんかそれは本当に、このご時世っていうことなんですか?
そうですね。あんまりSNSでちゃんとしたことを書くのは良くないなと思ったけど、昨日耐えきれずにセクシー田中さんのことを書いちゃったんですけど。
拝見しました?
なんか、本当に世も末だなと思いますよね。
本当に芸能界関係だけでもね、世も末感が。
でも、そんなの昔からだったから、表に出てきたっていうのは、良いと言えば良いし、悪いと言えば悪いし、バランスが崩れてきたなってことですよね。時代が変わる時なんだろうなぁ、みたいな。
10年前というところで、10年前と同じ質問をしたいんですけど、今年で小説家として、さっきのところで言うと、36年とかデビューされてたと思うんですけど。
なぜここまでやっぱり第一線でやり続けられてきたかと思いますか?
やっぱり締め切りを守ってきたからじゃないですか。
やっぱり前回と一緒ですね。さすが。厳密に言うと、前回は原稿の読み書きが圧倒的に早いっておっしゃってたので。
やっぱり締め切りを守ってこれたからだと思います。約束を破らなかったからじゃないのかなって。
今まで一回もない?
ないです。
それこそ、それも才能というか、持って生まれたものなんですか?
真面目にやってるからとかではないと思います。
03:03
やっぱり、ある程度クオリティが整ったものを納品できるという記述までに、職業の最低限のラインを守ることができてきたからかなとは思います。
逆に言うと、基本的に職業小説家の方にとって、締め切りってあるに決まってると思うんですけど、それこそはるきさんだったら。
書き下ろしは私もちょっと幅を持たせてますよ、もちろん。
もし締め切りが、吉本先生、締め切りはもう全部お任せしますみたいな感じでも、締め切りをやっぱり切りたい人ですか?
いや、そうだったら切らないです。
やっぱり切らないけどでも、3年も4年も5年もみたいな、書く可能性はありますか?
あるんじゃないですかね。切らなければ。
ありがとうございます。やはり同じでしたね。
吹上木さんの話もさっき出ましたけど、やっぱり小説のテーマって勝手に時代の方からやってくるっていうのをおっしゃってたと思うんですけど。
ハーバーライトだと宗教二世とかだと思うんですけど、ある記事だと人類滅亡っていうキーワードが出てきてましたけど、
せっかくだったら、それ以外にも何かあります?バナナさんの中で。今、書いてるっていうのは言えないかもしれないですけど。
今まさに書いてるからあれだけど、とにかく私は長編が嫌いなんですよ。だるいから。
だから短編を思う存分書きたいっていう思いを今年は叶えようと思ってます。
それはもう本当にもともと?
もともと。
それを言語化するのも嫌かもしれないですけど、単純にもう長いのはバナナさんにあってないみたいな。
全然あってない。
そうですか。
自分が一番近い、近いというか、したいことに似てるのは、特にある日々だったかな。漫画なんですけど、
中ケントさんだったかな。ケント?ケイト?
ちゃんと言います。
特にある日々だと思いました。
特は特別の特ですか?
うん、ひらがなで特にある。
本当だ。
別にそれは最近読んだからとかじゃなくて、その漫画がものすごい好きなんですよね。
そういう同じ人が出てきて、特に何も起きないっていう話をずっと書いていたいんですけど、
なかなかそういうことを言ってもなかなか実現しないから、仕方なく毎回テーマに合わせて人々を呼んでくるんだけど。
本当に最後なんですけど、まだまだ長生きしていただきたいんですけど。
長生きしたいものですね。
人生を終えるまでに、これだけは本当にしたいなって、孔子、何も問いませんけど、まだしてないことで。
え?してないことでこれだけは?そういうの特にないかも。
ないですか?
うん、本当に。
じゃあ、会いたい人でも。
いないかも。
あまり欲がもうない?
いや、もうって、前はあったみたいじゃないですか。
すみません、すみません。いや、僕がすみません、欲まみれなんで。
なんだろう、カジノとか行きたいってことも特にないし。
でも、それこそね、やっぱりバナナさんは旅っていう一面もあると思いますけど。
06:02
アラビア語圏に行きたかったんだけど、行けたからスッキリした。
アラビアのどの辺?
アブダビ。
はいはいはい、ドバイ。
ドバイじゃないんだな、アブダビ。
アブダビはUAEか。
そうなんですよ。ドバイもそこに入ってるけど、でもなんかアブダビに行くことができて、
本当にアラビアってアラビアなんだってわかって、すごいスッキリしたから。
結構バナナさんが描いてた、ある意味期待してた通りだと。
うん、その文化圏には行ったことがなかった。
あとアフリカには厳密には行ったことがないんだけど、超アフリカに近いとこまで行って。
どこですか?
ランサロテ島?
スペインとアフリカの間ぐらいってギリギリ国境みたいな。
なるほど。
気候はアフリカより、それでなんかすごい満足しちゃって。
エジプトにももちろん行ってますけど。
なんかそれで、そんなにアフリカにめちゃくちゃ行きたい、ライオンとか見たいとか思ってるわけじゃないから。
サソリとかいそうで嫌だなと思って。
旅があんま好きじゃないから、基本的に。
だから行ってないのは、ちょっとアフリカの感じかな?
で、いつか行くのかな?行かないのかな?
でも、イーロンマスクの本読んでたら、絶対アフリカ行きたくないと思って。
なんか、あの方アメリカで育たれてるから、それでなんか恐ろしい話が繰り出されてきて、次々。
絶対アフリカに行きたくないなと思っちゃったから。
イーロンマスクがいると、より怖い感じがしますよね、ちょっとね。
イーロンマスクだからあんなに怖いんだと思って。
僕もバナナさんほどじゃないですけど、結構いろいろ海外行かせていただいてるんですけど、やっぱり南米は行ったことがないんで。
改めて久々にフリンと南米も読ませていただいて。
南米はやっぱり一生に一回行った方がいいと思いますよ。
いいですか?
だって、あんなに嫌だったのに、すごいなんか今も残ってるもん。
いや、だってもう本当に変なアリとか噛んでくるし。本当に嫌だったけど。
やっぱりデカいんですか?
泥棒とかついてくるし。
デカいというか、なんかあれですよね。世の中を騒がせるアリですよね。
それは困ります。
なんとかヒアリーがノーマルにいるから。
そうか、そうですよね。
この間久しぶりに去年コロナ開けて、ポルトガルとかいろいろ行ったんですけど、ちょっとそっからアルゼンチン行こうかなと思ったんですけど。
アルゼンチンがまだちょっと違うんだな。
違うんですか?
やっぱりブラジルとか、なんていうの?
その辺の国あるじゃないですか。チリとかさ。
ハラグアイ、ウルグアイとかね。
そのあたりに行かないと、あの感じは得られないかも。
なんかあの滝、あれブラジルとアルゼンチンでしたっけ?どっかのイグアスが。
あれなんかどっち側から先行った方がいいとかってあるんですか?
どっち側から、やっぱりアルゼンチン側から行って、ブラジル側からも見るのがいいような気がする。
南に下がっていくより上がって行った方が、なんかリアルな感じがしたけど、気のせいかしら?自分の体調かしら?
なんかブラジル行ったら、急にみんな南みたいになって。
そうなんですか?
楽園。
へー。
本当に言っちゃ悪いけど、アルゼンチンの人たちはすごい普通なんですよ。
09:03
すごいなんか綺麗な。
普通なんですよ、本当に普通な。
そこは声を大にして。
それで、「えー!?私の思っているアルゼンチンの人たちはタンゴの人たちだから、みんなああなのかと思ったら違った。」って、韓国にいた時くらいに衝撃を受けて。
それでブラジルに行ったら、本当に南美女って人間に力をくれるんだって、すごい思いましたよ。楽しかった。
でもとにかくすごい辛かったから、移動も辛いし、すぐワイルをよこせとか、カバンを開けろとか。
本当にあるんですね。
あと女だけこっちへ来いとか、本当に怖いんですよ。
だから怖かったけど、本当に泥棒いるし。
そうか。でもそうですね、一緒に一回行っておきたいですね。
ぜひ行ってください。
ということで、今日は小説家の吉本バナナさんにお話を伺いました。
バナナさんありがとうございました。
ありがとうございました。
いつもインタビューをご視聴いただいてありがとうございます。
この度スタートしたメンバーシップでは、各界のトップランナーから戦争体験者に至るまで、
2000人以上にインタビューしてきた僕が、国内外の取材、そして旅の中で見つけた人生をアップデートするコンテンツをお届けしていきたいと思います。
ここでしか聞けない特別インタビューや、秘蔵トークにもアクセスしていただけます。
随時、これは面白い、これはいいんじゃないかというコンテンツもアップデートしていきますので、そちらも含めてどうか今後の展開を楽しみにしていただけたらと思います。
なおいただいた皆様からのメンバーシップのこの会費は、インタビューシリーズの制作費だったり、国内外のインタビューに伴う交通費、宿泊費、その他取材の諸々の活動経費に使わせていただきたいと思っています。
最後に、なぜ僕が無料でインタビューを配信し続けるのか、少しだけお話しさせてください。
この一番の理由は、僕自身が人の話によって、うつや幾度の困難から救われてきたからです。
そして何より、国内外のたくさんの視聴者の方から、これまで人生が変わりました。
毎日すぐ勇気をもらいました。救われましたという声をいただき続けてきたからに他になりません。
この声は、世界がコロナ禍に見舞われた2020年頃から一層増えたように思います。
これは本当にありがたいことです。
ただ、同時にそれだけ心身共に疲弊したり、不安を抱えたりしている方が増えていることに関わらない、その裏返しであると僕は強く感じています。
正直に言えば、かつて僕自身も15年以上前に起業して以来、最大のピンチといっても過言ではない時期をこの数年送り続けてきました。
でも、こんな時だからこそ、森に入ることなく、インスピレーションと学びにあふれる、まだ見ぬインタビューを送り続けることが、インタビュアーとしての自分の使命なのではないかと強く感じています。
世界がますます混迷を極め、先の見えない時代だからこそ、僕はインタビューの力を信じています。
これまでのようにトップランナーや戦争体験者の方への取材はもちろん、今後は僕たちと同じ姿勢の人、普通の人の声に耳を傾けたり、ややもすると打ち抜きになってしまう、今こそ海外でのインタビューに力を入れていきたいと思っています。
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そして彼らの一つ一つの声を音声や映像だけでなく、本としてもしっかりと残していきたい、そう考えています。
そんな思いに共感してくださる方がメンバーシップの一員になってくださったら、これほど心強く、そして嬉しいことはありません。
ぜひメンバーシップの方でも皆様とお耳にかかるのを楽しみにしています。以上、早貝大平でした。
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