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2021-10-31 21:50

〈UrbanistTalk07〉柔らかい構造を膠でつくるとは? / Nikawa Lab.

都市をフィールドに活動するアーバニストが交流し、お互いの実践知を交換・検証・実践することを目的とした移動型の展覧会・国際フェスティバル、for Cities Week 2021。展示参加者に作品についてご紹介いただく「Urbanist Talk」を、シリーズでお送りします。

今回は、「柔らかい構造」をテーマに、膠という素材を使った新しい構造体の可能性を展示してくれた、Nikawa Lab.のチームをお招きしてお話ししていきます。

for Cities Week 2021の詳細はこちら👉 https://www.forcities.org/ja/exhibition
for Citiesのインスタグラムで会場の様子も毎日発信しています👉https://www.instagram.com/for_cities/

◉Nikawa Lab.
https://www.forcities.org/user/YDK7skfzlom0ZFBwvlA3
建築を中心とした研究・実験チーム。本来空間的に扱われてこなかった要素・素材などを建築的なスケールで扱う実験を行うことで、空間と人間の新しい関係性を探る。今回は膠と繊維素材の可能性を、人々がより軽く、より簡単に空間的ジェスチャーを行うことができる方法として提案している。

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皆さん、こんにちは。リサーチャー・ストーリーテラーの杉田真理子と、
エクスペリエンスデザイナーの石川佳子です。
この番組は、都市というテーマが好きで好きでしょうがない2人が、
都市に関する様々なグッドニュースをザック・バランに話す場所です。
今日は、早稲田大学の小林慶吾研究室の
Nikawa Lab.のチームにお越しいただきました。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今回、Nikawaという、まだ皆さん聞き慣れないかもしれないんですけど、
その素材を使った、ちょっと柔らかい構造物を展示物として、
今回参加してくれました。
ちょっと簡単に自己紹介と、どんなことをやっているチームなのか教えてください。
Nikawa Lab.としてやっている野村って言います。
簡単にちょっと経緯から説明しますと、
今年の春、春ですよね、春には
ムサビであったニカワを旅するという、ニカワに関する歴史的な背景とか
社会的な背景とか、文化的な背景みたいなものを
リサーチして展示するという展示会がありまして、
それに僕たちの研究室が会場構成としてチームに加わって
デザインをやるという風になったのが始まりで、
そこでニカワについても色々リサーチをしている段階で、
ちょっとこれを、一つはニカワの特性みたいなものを使って
展示会場の構成そのものもできるんじゃないかという
スタディを始めまして、それで面白いなと思ったのが
ニカワ自体は形を持たないというか、
何かに付随させることで初めて形が出ることとか、
あとは何でしょうね、要は樹脂みたいに何かを固めたりとか、
そういう風な何かと合わせることで通常とは違った動きをするというところが
やっぱりちょっと面白いなという風に考えていまして、
僕自身はその時にはいなかったんですけど、他の3人のメンバーとかが
今ちょうど動いているのは4人チームで、当時はそれにプラスして
教授の小橋圭吾と、現時代の上村遥という2人が主導してやっていたという感じです。
展覧会自体ではその樹脂のアイディアというのは
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ちょっとキュレーションの方向性だったりいろんなことがあって
ちょっと使われなかったんですけど、そのアイディアだけが残った状態で、
今の状態で、それをこのままだともったいないというのが一つと、
やっぱりちょっと可能性があるよねということで、
ずっと実験してアーカイブしてというのは続けていたんですね。
最終的にフォーシティーズさんに、
なんかちょっと柔らかい構造体みたいなのを考えているんだよねという風に
前に会った時にお話いただいた時に、
そしたらちょうどいい実験をしているから、
何か展開させられたらいいですよねという話をちょっとして、
今回は特にテーマが都市なので、
マテリアルということをずっと考えていたんですけど、
どうすれば都市という話に展開できるのかなというのを、
一つのドライブさせる要因として考えて展開してみたというのが今回の経緯です。
ありがとうございます。
4人チームでめっちゃいいよね。いいチームだなと思って。
いつも一緒にニカワのストラクチャーを抱えてさ、
入ってきてね、お化けみたいなのを抱えてやってきて。
電車にそれで乗ってみんなにすごいびっくりされる。
とかね、軽トラで運んでくるとかね。
ちなみにニカワって何?みたいな。
そこの話をずっとバラバラに。
ニカワっていうのが、
ニホンガの定着剤みたいなのによく使われる素材で、
動物の皮とか骨とかコラーゲンの近くにあって、
というところから抽出されるような素材でして、
英語に直訳するとアニマルグルー、
それが結構伝わりやすいかなと思うんですけど、
で、これが…
大丈夫ですか?声枯れてないですか?
久しぶりに暖房つけて寝たから。
ちょっと声張ってください。
もともと低めではあるんですけど。
いろいろ都市っていうところに絡めてどういう風に語れるのかなっていうのは、
いくつかあるんですけど、
その中の一つが意外と身近にある素材として考えられるんじゃないかなっていうのが一つあって、
で、ちょっと近いのが最近竹中がよく研究してるハイパーオブジェクトっていう概念があって、
例えば発泡スチロールとか核物質とか、
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ああいう目に見えないんだけど全体としてはものすごい量を地球全体が持ってるっていうような
オブジェクトのことを考えていくと面白いんじゃないかみたいな考えが一つあって、
イテモシイモートっていう人が言ってることなんですけど、
そういうことを考えたときに、
少しもっともっと先の未来に定着剤とかグルーみたいなものが、
こういうものを使わざるを得ないような未来が来るんじゃないかっていう
少しSFチックな想像をすることも一つは射程には入るかなっていうのは一つあったりとか。
動物、主に牛とかから日本はニカワっていうものを採取するんですけど、
実際は牛以外にもいろんな動物から、どの動物からでも獲れる部位なので、
実際は食肉文化みたいなものがある地域だったらどこでも採取できるし、
そう考えてみるとニカワっていうもの自体はすごい身近じゃないんですけど、
採れるものとしてはどこでも採れるっていうギャップみたいなのがすごい面白いなって思ってて。
西洋とかだとウサギとかだよね。
日本は基本的には牛ですけど、魚から採ったりとかもするみたいだし、
そういう展開の余地は面白いなって思ってますね。
あと、今しゃべっている感想とニカワをどう使っているのかがよくわからないと思うので、
それで何をしているかっていうと、
例えば柔らかい布みたいなものに繊維素材に浸して、
ボックスだったりとか別の机だったりとかにかけておくと、
テーブルクロスのそのままの形が見た目としては柔らかいんですけど、
それ自体が結構固まって構造を持つっていう、
すごく軽い方法で構造体を作れるっていう、
一つの大きなテーマとしての柔らかい構造体っていうのがあって、
例えばクロスのひだだったりとか、
そういうものをそのまま固まるので、
それが構造体になるっていうのは見た目としても面白いっていうのが一つと、
あとはすごい軽いし、水に浸すと戻るっていうすごく柔らかさがあるというか、
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フォースティーズさんのキャンペーンとしては僕らは仮設性というところで出していたっていうので、
エフェメラルアワリス。
エフェメラルですね。
すごくラフに何かしらすごく大きな空間を作ったりとか、
そういうジョイントみたいなのが使える可能性があるっていうのが、
やっぱり一つの面白いところなんじゃないかなと思います。
今回スタディとしていろいろなものに染み込ませて、
どういった強度を持つのかとか、
お茶っぱとか泥とか天然素材とかいろんな素材にやっていたのが面白いなと思ったし、
さっき言ってたみたいにそれを染み込ませて乾かすことで、
こういうふうに皆さんがイメージしているような机の足とか柱がなくても、
それ自体が自立して軽いものだったら上に置けるぐらい、
すごく不思議な生き物のような。
そうですね。
ここに立ち上がっていて面白いなと私たちも見てました。
あとちょっと変化していくのが面白いなと思って、
多分冬の時期とかだったら変わっちゃうんだろうなと思うんですけど、
大きいインスタレーションが自立する布があって、
数日経ってちょっとずつ形が変わってきた。
本当は動物みたいな感じ。
私たちはあんまり全く何年かかっても変わらないような
スチールのオブジェクトとかに結構慣れているから、
新鮮な感覚だったというか、
それも含めてすごい素敵だなと思って見てました。
すごくまた射程の長いような話をしてしまうと、
いろんな物質みたいなものとか構造体みたいなもので、
そんなに永久的ではないということを
前提として自覚するかというところがあって、
そういうことに対しても、少しスパンが早いんですけど、
どんどん崩れていくものであるということを
前提として捉えて、
どういうふうに身の回りのものを構築していくかということとか、
建築とか都市みたいなものを前提として
どうやって考えていくかということは、
僕らも結構興味を持っていて。
都市ってすごい柔軟であるべきなのに、
実際に建てられている建物とかの構造物って
すごい固いイメージがあって、
それによって都市の人の動きとかも
制限されているようなふうに感じていて、
だったらむしろ構造が弱いとか柔らかいという、
ネガティブに捉えられてきたような建築の用語というものが
むしろ都市においては、
もっと柔軟に人間が活動する上での
すごい良いヒントになるんじゃないかなというふうに思っています。
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基本的には不安定な都市の状態とか自然状態というものを
固定して安定化させたいというのが建築の強みというか、
一つの使命だと考えることだと思うんですけど、
その中間体みたいなものっていうのも
面白いんじゃないかなという、
本当に完全に形のない状態というわけではなく、
微妙に柔らかい構造体ぐらいの状態というのが
いろんな意味で面白いと思います。
あとはあそこのマテリアルみたいなところもそうなんですけど、
いろいろジャンクなもの?
他に都市の中で出てくるジャンクなものを
どうやって組み合わせるかということも今回は
都市という文脈を考えたときに展開していて、
すごく細かいマテリアルなスタディでいうと、
コーヒーのクズとか、さっき言っていただいたお茶っぱとか、
ああいうそのままだとジャンクに捨てていくようなやつっていうのも
結構ラフに固められるというか、
普通に工場に出して何かで固めてもらって
プロダクトを作ってもらうというよりかは
結構簡単に割と手に入るというか、
それで結構自分のすぐに明日に実践できるぐらいのレベルで
そういうことが行える可能性があるというのが面白いなと思ったりとか。
あとはこのこたぎりくんっていうのは
基本的にメインで作ってくれた衣服をバーッとかぶせて
パーカーのやつね。
みんなビビってて、それでもいいんだよね。
大丈夫です。
パーカーにニカを染み込ませて、
組んだ木にかけるとちょっと椅子のようになっているというのを
持ってきてくれてました。
いらなくなった洋服とかを
棒材と組み合わせることで
椅子に転用できるということで
新しいDIYの手法じゃないけど
ビスとか工具みたいなものをあんまり使わずに
家具ができるというのが結構面白いなと思っているポイントの一つで
今回は椅子を出しているんですけど
それにもランプシェードとか作れると思って
例えば、ちょっと服を加工しちゃうけど
服の袖だけ切り取って
それを筒状にしたまま固めたら
多分その服の質感とか透け感みたいなものが残ったまま
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ランプシェードになるのかなと思ってたりするので
結構応用の幅は広くて
ニカで固めたからこそ
ただ縛るよりも
バウンドみたいな
反発みたいなのを持ってくれて
クッション性みたいなのが意外と向上して
まだ慣れない工法で作られているので
座るのに恐ろ恐ろになってしまうんですけど
意外と強くて
頼もしい椅子ができました
いいですね
衣服みたいなのを使うのに
一つの面白いところが
形がそのまま固まるっていうのがいいなと思ってて
そういうラフさが
一つの面白いところなんじゃないかなと思ったりしてます
ちょっと2つ聞きたいことがあって
答えてもらおうかなって思いますけど
一つが今結構欧米を中心に
職人行く文化っていうものが
世界中で結構批判されている時代だと思うんですけど
その中で私もさっき野村君が言ってた
にかわを旅するって本を読んでたときに
にかわってそもそも生産がどんどん減っている
作っている職人さんというか工場とかもなくなっている
おそらく同じものをヨーロッパに持っていったら
全然違ったフィードバックが来ると思うんですよ
このスタディに関しても
その時にどう答えるのかなみんなは
っていうのはちょっと聞いてみたいなっていうのと
もう一つはちょっと私もにかわっていう素材を
まだ自分で触ったりとか使ったことがないので
ちょっと聞いてみたいなと思って
にかわを旅するを読んでたときに
日本がにかわを使ってたけど
ある時期ちょっとにかわから離れて
木工用ボンドを使っている時期があったりとか
他のノリで代用しようとしてた時期があったっていう
記述があって
結局ダメでにかわに戻ってきた
みたいなことも書いてあったんだけど
他のノリとか結局ノリじゃダメなの?
みたいなことを聞く人もいると思う
固める形を固めるだけだったら
にかわである必然性というか
その素材の強さみたいなところって
一人じゃなくてもいいけど
ちょっとみんなに意見を聞いてみたいなと思って
これいいですか?
一番大事なとこだね
世界の食肉文化に関しては
確かにそういうふうな面で
肉を食べるのどうなの?
って言われてますけど
僕らもどっちかというと
そこまで食肉文化を知っているわけでもなくて
食肉っていう
今ある程度メインで食べられている
ある程度マジョリティがある
獲得されているものだと思うんですけど
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それの命を余すとこなく使う
意味合いで僕らはにかわというものを
使っている
にかわ自体の特性の面白さというのもあるんですけど
それが命から来ているもの
っていうのを
僕らの身近にもっと感じたいな
というのが個人的にはあって
僕らって大体スーパーで
お肉とか買うと思うんですけど
そういう意識の薄れみたいなものも
ちょっとこういうものを
使っていくことで
身近な生活の中に取り入れられないかな
と思っているというところはあります
いい回答ですね
感動しました
もう一つ
もう一つの方は
他の接着剤の違いとしては
やっぱり水につけると元に戻ることだと
僕は思っていて
やっぱり木工用ボンドだと多分
どう頑張っても
過逆性は生まれなくて
元の状態に戻せないと思うんですけど
このにかわを使った重機の場合は
割と水に浸した後に
洗剤で洗ってあげたりして
にかわを布から追い出せば
本当に布の状態に戻ってくれる
というところが
すごい面白いと思っています
やっぱりいろんな展示会場を見ている中で
僕は結構ゴミ問題がすごく気になっていて
普通の展示会場だと
展示のための重機が入ってきて
それがそのままの質量でゴミになって
出ていってしまうという現状を
結構何度も見ているんですけど
それに対してにかわは
一旦取り入れて
それから
何度も見ているんですけど
それに対してにかわは
一旦それを素材に戻せるという意味で
リサイクルではないけど
次の
展示に
転用できるような
可能性を
秘めていると思っていて
単純にゴミを使って
ゴミとにかわを組み合わせて
何か別の重機に転用することもできれば
それをさらに
一旦素材の状態に戻すこともできるという
過逆性
二重というか
何重もの過逆性を持っているというところが
他の接着剤とは違いかなと思っています
素晴らしいですね
そこはやっぱりこの素材の可能性ですね
なんかまとめ的な
まとめですか
いいチームだなと思った
4人に同時に話を聞けてよかったし
いいバランスの
人生とかメンバーだなと思うし
全員言葉も持っているし
今後に期待ですね
やっぱり今回
参加してみて
21:01
例えばすごくちゃんとプロダクト化して
流通させている方とか
要は個人でどういう風に展開させていくのか
いろいろ
そういう風に考えればいいんだみたいな
発見みたいなのが結構あって
そういう意味では
今後どういう風に具体的に展開していこうか
これから面白そうなところだなと思っています
ありがとうございました
楽しかったね
皆さんどうぞ遊びに来てください
よろしくお願いします
ありがとうございました
今後もこの番組では
都市をテーマに様々なおしゃべりを繰り広げる予定です
次回もお楽しみに
21:50

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